傷だらけの天使たち
「真人、謙吾……バカ二人が死んだなんて、嘘だ」
現実という物はそう簡単に飲み込めないほど、厳しいものがある。
目の前で小さい頃から一緒に遊んだ幼馴染を失った少女は、小さくなって座り込んでいた。
現実を認めたくなくて、その場から一歩を動こうとはしなかった。
前向きになろうとしたら、つまり二人の死を認めてしまうような気がしたからだ。
目の前で小さい頃から一緒に遊んだ幼馴染を失った少女は、小さくなって座り込んでいた。
現実を認めたくなくて、その場から一歩を動こうとはしなかった。
前向きになろうとしたら、つまり二人の死を認めてしまうような気がしたからだ。
あいつらはバカだけど、凄く頑丈なんだ。
だから死ぬはずがない。
頭が無くなったからって死んだなんて信じられない。
最期の最後までバカ二人は笑っていた。死ぬ直前で笑うなんて信じられない。
そうだ、死ぬはずがない。頭を必死に振って雑念を捨ててしまおうとしていた。
頭が無くなったからって死んだなんて信じられない。
最期の最後までバカ二人は笑っていた。死ぬ直前で笑うなんて信じられない。
そうだ、死ぬはずがない。頭を必死に振って雑念を捨ててしまおうとしていた。
「理樹……恭介ぇ……」
助けてほしい。
一人ぼっちは嫌だ。
こんな過酷な現実は嫌だ。
夢なら早く醒めてほしいと願い続けた。
一人ぼっちは嫌だ。
こんな過酷な現実は嫌だ。
夢なら早く醒めてほしいと願い続けた。
だが、これが現実だ。
井ノ原真人は死んだ。
宮沢謙吾は死んだ。
鈴は一人ぼっちで座り込んだまま、ただ意地っ張りなまでに首を振るだけだった。
どうしようもないほどの倦怠感に身体が動かなかった。
宮沢謙吾は死んだ。
鈴は一人ぼっちで座り込んだまま、ただ意地っ張りなまでに首を振るだけだった。
どうしようもないほどの倦怠感に身体が動かなかった。
「ここは、嫌だ。こわい。真人も謙吾も死ぬなんて嫌だ、理樹も恭介もいないなんて嫌だ……嫌だ、よぉ」
とうとう泣き出してしまう鈴。
その泣き声や慟哭を聞きつけたのか、それとも全くの偶然なのかは分からない。
鈴の前に一人の少女が立っていた。焦点の合ってない瞳がぼんやりと虚空を眺めていた。
泣き腫らす鈴が気づく様子はない。
その泣き声や慟哭を聞きつけたのか、それとも全くの偶然なのかは分からない。
鈴の前に一人の少女が立っていた。焦点の合ってない瞳がぼんやりと虚空を眺めていた。
泣き腫らす鈴が気づく様子はない。
少女は少し迷った様子だったが、声を掛けてみることに決めた。
髪は白いが、美しさや神聖さというものが際立っている可愛らしい容姿の彼女は、一歩前に出る。
瞳を閉じて、一歩一歩。ゆっくりとした足取りで鈴の元へと行く。
髪は白いが、美しさや神聖さというものが際立っている可愛らしい容姿の彼女は、一歩前に出る。
瞳を閉じて、一歩一歩。ゆっくりとした足取りで鈴の元へと行く。
「あの……」
「っ―――――!!?」
「っ―――――!!?」
その途端、鈴は飛び上がっていた。
目の前に突然、巫女服に身を包んだ少女が立っていただけだが、人見知りの激しい鈴には大事件だ。
ましてや、親友二人が殺されたことで警戒心は最大まで高まっていた。
突然、石を投げられた猫のような動作で慌てて逃げ出してしまう。
目の前に突然、巫女服に身を包んだ少女が立っていただけだが、人見知りの激しい鈴には大事件だ。
ましてや、親友二人が殺されたことで警戒心は最大まで高まっていた。
突然、石を投げられた猫のような動作で慌てて逃げ出してしまう。
「あ、あのあの! 待ってくださ、――――あう!」
巫女服の少女は慌てて追いかけようとするが、足元にあった石に躓いてしまった。
無防備に受身を取ることも出来ず、少女はそのままバタリと倒れてしまう。
鈴はそんな彼女を見やって驚くと、慌てて少女の下へと戻ってきた。
無防備に受身を取ることも出来ず、少女はそのままバタリと倒れてしまう。
鈴はそんな彼女を見やって驚くと、慌てて少女の下へと戻ってきた。
「だ、大丈夫か!?」
「は、はい……何とか。うう、ありがとうございます……」
「は、はい……何とか。うう、ありがとうございます……」
少女を抱き起こした鈴は、自分の行動が不可思議でしょうがなかった。
いつもなら人見知りしてしまい、すぐに逃げてしまうのだ。
それなのにどうして今回に限っては逃げることもなかったのだろうか、と鈴は小首をかしげる。
いつもなら人見知りしてしまい、すぐに逃げてしまうのだ。
それなのにどうして今回に限っては逃げることもなかったのだろうか、と鈴は小首をかしげる。
恐らくは、同じことがあったのだ。
おっちょこちょいな友達が躓いたときも、鈴は同じ事をしていた。
あの時の焼き増しのような気がして、鈴は少し頬を赤らめて照れてしまう。
知らない人にお礼を言われる、というのは中々に慣れない鈴だった。
あの時の焼き増しのような気がして、鈴は少し頬を赤らめて照れてしまう。
知らない人にお礼を言われる、というのは中々に慣れない鈴だった。
「いい。急に逃げたあたしが悪かった。ごめん」
「い、いえ……気にしないでください……はい、もう大丈夫です」
「い、いえ……気にしないでください……はい、もう大丈夫です」
もう一度頭を下げる少女を見て、ふと鈴は違和感を覚える。
彼女の瞳が何処か中空を見つめているのだ。
どうしてだろう、と鈴はまたもや首をかしげていると、巫女服の少女は恥ずかしげに笑った。
彼女の瞳が何処か中空を見つめているのだ。
どうしてだろう、と鈴はまたもや首をかしげていると、巫女服の少女は恥ずかしげに笑った。
「実は、冬芽は目が見えないんですよ。生まれてからずっとなんですけどね」
「なにい? お前、目が見えないのか?」
「はい」
「そうか……それは、可哀想だな……」
「なにい? お前、目が見えないのか?」
「はい」
「そうか……それは、可哀想だな……」
例えば自分が何も見えないようならどうなるだろう、と思った。
歩くのも大変だ、ご飯を食べるのも大変だ、勉強も運動も大変だ、寝るのは少し楽かも知れない。
でも、やっぱり目が見えないのは可哀想だ、という思いがストレートに考えた結果だった。
一方の少女も、そうした憐れみの視線に慣れているらしく、純粋に照れくさい笑みを浮かべると口を開いた。
歩くのも大変だ、ご飯を食べるのも大変だ、勉強も運動も大変だ、寝るのは少し楽かも知れない。
でも、やっぱり目が見えないのは可哀想だ、という思いがストレートに考えた結果だった。
一方の少女も、そうした憐れみの視線に慣れているらしく、純粋に照れくさい笑みを浮かべると口を開いた。
「えと、そういえば、お名前を伺ってよろしいですか? 冬芽の名前は冬芽、と言います」
「あたしは鈴だ、棗鈴。よろしく。ふゆめ」
「あっ、冬芽のことはどうか、ユメと呼んでください。親しい人は皆、そう呼んでいますからっ」
「わ、分かった、ゆめ」
「あたしは鈴だ、棗鈴。よろしく。ふゆめ」
「あっ、冬芽のことはどうか、ユメと呼んでください。親しい人は皆、そう呼んでいますからっ」
「わ、分かった、ゆめ」
握手をひとつ。
純粋な行為と純粋な思いによる握手だった。
この殺し合いという地獄の中で、二人の少女は相手を全く疑うことなく笑いあった。
それが、純粋な少女と純朴な少女からすれば当然のことだった。
純粋な行為と純粋な思いによる握手だった。
この殺し合いという地獄の中で、二人の少女は相手を全く疑うことなく笑いあった。
それが、純粋な少女と純朴な少女からすれば当然のことだった。
◇ ◇ ◇ ◇
冬芽と鈴が邂逅を果たしている頃、その近くではもう一人の少女が歩いていた。
二人とは違って、その表情には苦悶と不満が満ちている。
大股でドスドスと進撃しながら、三ツ廣さちという名の少女は苛立たしげに舌打ちした。
二人とは違って、その表情には苦悶と不満が満ちている。
大股でドスドスと進撃しながら、三ツ廣さちという名の少女は苛立たしげに舌打ちした。
「………………」
それは精一杯の虚勢だ。
急場凌ぎに見繕ったに過ぎない心の鎧だ。
そうでもしなければ潰れてしまいそうだった。正気を保っていられなかった。
急場凌ぎに見繕ったに過ぎない心の鎧だ。
そうでもしなければ潰れてしまいそうだった。正気を保っていられなかった。
「うっ……」
今でも思い出すと吐きそうになる。
次々と首輪を爆発させられ、殺されていく同じ年頃の少年少女たち。
同じものが自分の首に填められているなんて一分一秒だって耐えられない。
次々と首輪を爆発させられ、殺されていく同じ年頃の少年少女たち。
同じものが自分の首に填められているなんて一分一秒だって耐えられない。
怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。
同じように自分も首輪を爆発させられて死ぬなんて嫌だ。
痛いのも苦しいのもさちは嫌なのだ。
こんな掃き溜め以下の地獄の中に、どうして突き落とされなければならないのかと思うと怒りで歯を噛み締めた。
痛いのも苦しいのもさちは嫌なのだ。
こんな掃き溜め以下の地獄の中に、どうして突き落とされなければならないのかと思うと怒りで歯を噛み締めた。
どうして、どうして、どうして。
何でこんなことになったんだろう。
たださちは楽して生きたかっただけだ。ちょっとだけ自堕落に生活していただけだ。
小さな同居人と、新しく家に住むことになった特別高等人の青年と、適当に遊んで暮らしていけたらそれでよかったのだ。
楽して生きたい、と思うことはそんなにも酷い罪なのか、と苛立ちは収まらない。
たださちは楽して生きたかっただけだ。ちょっとだけ自堕落に生活していただけだ。
小さな同居人と、新しく家に住むことになった特別高等人の青年と、適当に遊んで暮らしていけたらそれでよかったのだ。
楽して生きたい、と思うことはそんなにも酷い罪なのか、と苛立ちは収まらない。
死にたくない、死にたくない、死にたくない。
このままジッとしてても死ぬ。
主催らしきあの女に反抗しても死ぬ。
さちは死にたくない。当たり前だ、まだ死にたくない。
なら殺さないと。殺される前に殺さないと。まだ死にたくない、とにかく殺さないと。
主催らしきあの女に反抗しても死ぬ。
さちは死にたくない。当たり前だ、まだ死にたくない。
なら殺さないと。殺される前に殺さないと。まだ死にたくない、とにかく殺さないと。
「なんでよ……どうして、こんなことになってんの!?」
さちだって人は殺したくない。
憎くもない人を殺したくもないし、殺したくなるほど憎い奴なんていない。
だけど自分の命が惜しい。死にたくない。
支離滅裂だが、今のさちを占めているのはそんな思いがほとんどだった。
憎くもない人を殺したくもないし、殺したくなるほど憎い奴なんていない。
だけど自分の命が惜しい。死にたくない。
支離滅裂だが、今のさちを占めているのはそんな思いがほとんどだった。
(殺さなきゃ……)
自分に言い聞かせる。
死にたくないなら殺さないといけない。
ここはそういう島だ。生きたければ殺す、殺せない奴は死ぬ。
死にたくないなら殺さないといけない。
ここはそういう島だ。生きたければ殺す、殺せない奴は死ぬ。
(殺さなきゃ、いけないんだって)
右手には人を殺す凶器が握られている。
黒くて重い人殺しの道具。引き金を引けばそれだけで人は死ぬ。
見るのも初めての銃を、突然手渡されて『生きたければ人を殺して来い』と言われたのだ。
黒くて重い人殺しの道具。引き金を引けばそれだけで人は死ぬ。
見るのも初めての銃を、突然手渡されて『生きたければ人を殺して来い』と言われたのだ。
(仕方ないじゃん。誰だって死にたくないんだからさ)
なら、仕方ない。
これは仕方のないことなんだ。
悪いのは自分じゃなくて、殺し合いを強要した奴らなんだから。
これは仕方のないことなんだ。
悪いのは自分じゃなくて、殺し合いを強要した奴らなんだから。
(あたしは悪くない)
そんな思いで夜の闇を歩き続けた少女は、ようやく自分と同じ境遇の人を発見した。
巫女服の少女だった。歳はさちよりも年下の雰囲気だった。
少女はまったくの無警戒でニコニコと笑っている。
周囲には他に人の姿はなかった。さちはまず呆れてしまったが、一人ならチャンスだ。
巫女服の少女だった。歳はさちよりも年下の雰囲気だった。
少女はまったくの無警戒でニコニコと笑っている。
周囲には他に人の姿はなかった。さちはまず呆れてしまったが、一人ならチャンスだ。
「…………っ……」
殺せ、生きたいなら殺せ。
「…………っ」
銃の撃ち方もろくに分からない少女は銃を構えた。
テレビで見たことがあるような、ぎこちない姿勢だったが、とにかく狙いは定めた。
あとは引き金を引けば、さちは晴れて人殺しの仲間入りを果たす。
手を血で汚すことの怖さを実感して、手が震えてしまう。
テレビで見たことがあるような、ぎこちない姿勢だったが、とにかく狙いは定めた。
あとは引き金を引けば、さちは晴れて人殺しの仲間入りを果たす。
手を血で汚すことの怖さを実感して、手が震えてしまう。
「……あの、どちらさまですか?」
「――――――!!?」
「――――――!!?」
そのときだった。
銃で狙いをつけ、もはや引き金を引くだけというところまで来て。
巫女服の少女がさちに声を掛けてきたのだ。もちろん、邪気のない微笑みをつけて。
銃で狙いをつけ、もはや引き金を引くだけというところまで来て。
巫女服の少女がさちに声を掛けてきたのだ。もちろん、邪気のない微笑みをつけて。
「あの、そこの樹に誰か隠れていますよね? 凄く苦しそうな魂魄を感じたものですから」
当てずっぽうだと思いたかったが、少女の瞳は真っ直ぐこちらを見ていた。
ちゃんと隠れていたつもりなのに見つかってしまった。
どうしよう、と殺し合いなんて非日常に慣れていないさちは混乱してしまう。
とにもかくにも銃を構えた様子を見られてしまっては終わりだ。どの道、殺さなければいけないと思ってしまう。
ちゃんと隠れていたつもりなのに見つかってしまった。
どうしよう、と殺し合いなんて非日常に慣れていないさちは混乱してしまう。
とにもかくにも銃を構えた様子を見られてしまっては終わりだ。どの道、殺さなければいけないと思ってしまう。
「あ、急に魂魄とか言われてもわかりませんよね。
冬芽は目が見えないので、魂の位置を感じることで位置を把握しているんですよ。
こちらにいらっしゃいませんか? もう一人も周辺を見てくると言ってましたから、もうすぐ帰ってくると思いますよ」
冬芽は目が見えないので、魂の位置を感じることで位置を把握しているんですよ。
こちらにいらっしゃいませんか? もう一人も周辺を見てくると言ってましたから、もうすぐ帰ってくると思いますよ」
はっ、と息を吐くと、嫌な汗が流れた。
一気に色々なことを言われても混乱しているさちには半分も理解できない。
ただ分かることは、冬芽と名乗る少女は目が見えない。
つまり銃を構えたとしても冬芽には分からない。そしてもう一人仲間がいる、とそういうことは理解した。
一気に色々なことを言われても混乱しているさちには半分も理解できない。
ただ分かることは、冬芽と名乗る少女は目が見えない。
つまり銃を構えたとしても冬芽には分からない。そしてもう一人仲間がいる、とそういうことは理解した。
とにかく、まださちは助かっている状態ではあるらしい。
このまま逃げてしまうか、それともひと思いに殺してしまうか。さちはどうすればいいのか分からない。
分からないまま、ふらふら、と冬芽の前へと姿を現していた。
このまま逃げてしまうか、それともひと思いに殺してしまうか。さちはどうすればいいのか分からない。
分からないまま、ふらふら、と冬芽の前へと姿を現していた。
「えと、こんばんは。冬芽の名前は刀伎直冬芽と申します」
「あたし、三ツ廣さち」
「はいっ、もうすぐ鈴さんも帰ってきますから、座って待っててくださいね」
「………………」
「あたし、三ツ廣さち」
「はいっ、もうすぐ鈴さんも帰ってきますから、座って待っててくださいね」
「………………」
何をやっているんだろう、とさちは思った。
生きるために殺さなければならないことは、冬芽という少女も知っているはずなのに。
どうして初めて逢った自分を警戒しないのかも分からないし、さち自身もどうして姿を現したのか分からなかった。
生きるために殺さなければならないことは、冬芽という少女も知っているはずなのに。
どうして初めて逢った自分を警戒しないのかも分からないし、さち自身もどうして姿を現したのか分からなかった。
多分、怖かったのだ。
人殺しをするしかない、と言うのが現在の状況だ。
人殺しをしたい、とは言ってない。
人殺しをしないといけない、ですらない。ただ、そうするしかなかったのだ。
人殺しをしたい、とは言ってない。
人殺しをしないといけない、ですらない。ただ、そうするしかなかったのだ。
でも、本来のさちは人殺しをするような悪ではない。
むしろ、元気担当とすら呼ばれるほど底抜けに明るい少女だ。
周りに元気を与える、そんな性格の気さくな人格の持ち主だ。
そんな彼女だって死にたくない、と思ってる。でも皆殺しにするということは、孤独になるということにも等しい。
島に居る80人以上の人が全員、敵に見えてきて……さちの心は一時間も待たずに磨耗した。
周りに元気を与える、そんな性格の気さくな人格の持ち主だ。
そんな彼女だって死にたくない、と思ってる。でも皆殺しにするということは、孤独になるということにも等しい。
島に居る80人以上の人が全員、敵に見えてきて……さちの心は一時間も待たずに磨耗した。
だから、優しい冬芽を見て毒気を抜かれたのかもしれない。
生きるためには殺さないといけないのに。
生きるためには殺さないといけないのに。
(殺さないと、殺さないと、いけないのに……)
人殺しになるのが怖い。
人に殺されることが怖い。
そんな感情ばかりが溢れてきて、さちはいつしか泣き出していた。
世の中の全てが怖いものだらけに見えてきて、静かに少女は肩を震わせていた。
人に殺されることが怖い。
そんな感情ばかりが溢れてきて、さちはいつしか泣き出していた。
世の中の全てが怖いものだらけに見えてきて、静かに少女は肩を震わせていた。
◇ ◇ ◇ ◇
鈴が戻ってきたとき、冬芽の隣にも誰かがいて鈴は驚いた。
最初こそ警戒するのもいつも通りだが、ほんわかマイペースな冬芽に安心感を与えられてすぐに瓦解する。
猫っぽい、というのがさちの第一印象だった。
猫の尻尾を思わせる髪型も、その人見知りする性格も、全てが中々人に懐かない猫を連想させた。
最初こそ警戒するのもいつも通りだが、ほんわかマイペースな冬芽に安心感を与えられてすぐに瓦解する。
猫っぽい、というのがさちの第一印象だった。
猫の尻尾を思わせる髪型も、その人見知りする性格も、全てが中々人に懐かない猫を連想させた。
「こちらが、三ツ廣さちさんです。さちさん、こちらの方が棗鈴さんですっ」
「……よろしく」
「さちだな。よろしく」
「……よろしく」
「さちだな。よろしく」
戻ってきた鈴とも握手を交わす。
結局、さちは冬芽に向けようとしていた銃の引き金を引くことは出来なかった。
冬芽の底なしのお人好しに毒されたわけではない。
結局、人を殺す覚悟も出来なくて、時間を無為に潰した結果だった。
結局、さちは冬芽に向けようとしていた銃の引き金を引くことは出来なかった。
冬芽の底なしのお人好しに毒されたわけではない。
結局、人を殺す覚悟も出来なくて、時間を無為に潰した結果だった。
「とりあえず、冬芽や鈴さんやさちさんの知り合いを捜していこうと思うのですが」
「理樹や恭介たちを捜すのか?」
「はいっ、皆さんのお知り合いのこと、これから教えてくださいね」
「理樹や恭介たちを捜すのか?」
「はいっ、皆さんのお知り合いのこと、これから教えてくださいね」
明るい話題を振り向く二人の少女。
すっかり疲れ果てたさちは、笑う冬芽と照れる鈴の背後をトボトボと歩く。
銃を構えて、撃つ。それだけで早速二人も殺せる。
それなのにそんなことも出来なくて、さちは迷わされた。
すっかり疲れ果てたさちは、笑う冬芽と照れる鈴の背後をトボトボと歩く。
銃を構えて、撃つ。それだけで早速二人も殺せる。
それなのにそんなことも出来なくて、さちは迷わされた。
(何さ、これ……サガるね)
自分があまりにも惨めに見えてきて。
自分があまりにも小さく見えてしまって。
自分があまりにも小さく見えてしまって。
(でも……)
前を歩く少女が羨ましい、と思う反面。
やっぱりなし崩しに同行することになった少女は、ぽつりと心の中で独白する。
やっぱりなし崩しに同行することになった少女は、ぽつりと心の中で独白する。
(あたし、やっぱり死にたくない……)
この銃を再び、彼女たちに向けることができるだろうか。
人殺しをする勇気を得られるかどうかは本人にも分からなかった。
一連の事情の総てを見ていた月は、何も語らない。
淡い光を優しい者にも、迷う者にも、修羅の道を歩く者にも、平等に注ぎ続けるだけだった。
人殺しをする勇気を得られるかどうかは本人にも分からなかった。
一連の事情の総てを見ていた月は、何も語らない。
淡い光を優しい者にも、迷う者にも、修羅の道を歩く者にも、平等に注ぎ続けるだけだった。
【D-1 森(マップ右方)/1日目 深夜】
【刀伎直冬芽@終末少女幻想アリスマチック】
【装備:】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:殺し合いには乗らない
1:知人を捜す
2:鈴やさちと共に行動する
【装備:】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:殺し合いには乗らない
1:知人を捜す
2:鈴やさちと共に行動する
【備考】
※参戦時期は未定です。
※盲目状態での参戦です
※参戦時期は未定です。
※盲目状態での参戦です
【棗鈴@リトルバスターズ!】
【装備:】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:殺し合いには乗らない
1:知人を捜す
2:ゆめやさちと共に行動する
3:未だ現実が受け入れきれていません
【装備:】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:殺し合いには乗らない
1:知人を捜す
2:ゆめやさちと共に行動する
3:未だ現実が受け入れきれていません
【備考】
※参戦時期は鈴ルート、ノーマル終了後です
※参戦時期は鈴ルート、ノーマル終了後です
【三ツ廣さち@車輪の国、向日葵の少女】
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~2)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:死にたくない
1:とりあえず冬芽や鈴たちに付いていく
2:殺すのが怖い、殺されるのが怖い、この島の全部が怖い
【装備:S&W M627PCカスタム(8/8)】
【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~2)】
【状態:健康】
【思考・行動】
0:死にたくない
1:とりあえず冬芽や鈴たちに付いていく
2:殺すのが怖い、殺されるのが怖い、この島の全部が怖い
【備考】
※参戦時期は共通ルート、第二章よりも前です
※参戦時期は共通ルート、第二章よりも前です