仮面の少女達
彼方、空より注がれるのは、儚く、それゆえに優しい、光
天にありて、地を見下ろすは、青白き輝きを投げかける、月
時刻は、天照大神ではなく、月読命が司るべき、夜の垣間
獣の声も、鳥の声もしない、あるのはただ、かすかな風によって巻き起こる、森の木々の梢のみ。
天にありて、地を見下ろすは、青白き輝きを投げかける、月
時刻は、天照大神ではなく、月読命が司るべき、夜の垣間
獣の声も、鳥の声もしない、あるのはただ、かすかな風によって巻き起こる、森の木々の梢のみ。
月の光を受けて、大地に独得の影を投げかけるは、木で組まれた朱の境界
神のおわす地の内と外を分ける、大き鳥居、それより内にある世界、神の社。
月明かりの元、赤い鳥居の影より、その先。
境内の石畳より外れた、森のすぐ側にて、向かいあうのは、『二人』の人影。
神のおわす地の内と外を分ける、大き鳥居、それより内にある世界、神の社。
月明かりの元、赤い鳥居の影より、その先。
境内の石畳より外れた、森のすぐ側にて、向かいあうのは、『二人』の人影。
一人は後方に引いた直後の姿勢で立ち、もう一人は地に腰を付けている。
肩口の辺りにて切りそろえられた茶の髪を持ち、袖を捲った薄い黄の上着に、輝く一対の腕輪を付けている少女と、
銀の長い髪を背中に流し、濃紺の制服を纏い、腰を地に付けて相手を見上げるもう一人の少女と。
どちらも、美しいと言ってなんら問題の無い、少女であった。
肩口の辺りにて切りそろえられた茶の髪を持ち、袖を捲った薄い黄の上着に、輝く一対の腕輪を付けている少女と、
銀の長い髪を背中に流し、濃紺の制服を纏い、腰を地に付けて相手を見上げるもう一人の少女と。
どちらも、美しいと言ってなんら問題の無い、少女であった。
茶の髪の少女の茶の瞳と、
銀の髪の少女の翠の瞳とが、お互いの姿のみを移している。
銀の髪の少女の翠の瞳とが、お互いの姿のみを移している。
気まぐれに吹いた一陣の風が、少女たちの髪を流すが、それでもどちらも身じろぎもしない。
今、彼女たちには、目前の相手しか、存在していない。
今、彼女たちには、目前の相手しか、存在していない。
……やがて、片方の……見下ろす側の少女が、その可憐な唇を震わせ、口に言の葉を乗せる。
その向かうべき相手は、ほかに居るはずも無く、銀の髪の少女へと、その意思を告げる。
その向かうべき相手は、ほかに居るはずも無く、銀の髪の少女へと、その意思を告げる。
「え、えーと、その……マ、マイネームイズ、マイ、トキハ……えと……フーアーユー?」
「???…………えっと……?」
「???…………えっと……?」
……どうやら、異文化交流の第一歩は、失敗に終わったようである。
■
茶の髪の少女、『鴇羽舞衣』は混乱の極地にあった。
いきなり、何処なのかすら判らない場所に居て、いきなり殺し合え、と言われたところで、どうすれば良いのかなど判るはずもない。
いきなり、何処なのかすら判らない場所に居て、いきなり殺し合え、と言われたところで、どうすれば良いのかなど判るはずもない。
とりあえず、と"ぐにっ”と思い切り頬を抓ってみる。
「……いひゃい」
認めたくはないが、夢では、無い、証。
確か、テントの中で眠っていた筈なのに、気がつけば何処かもわからない場所。
そこで起きた、赤い、赤い光景と、よくわからない寸劇。
そして、再び、今度は一人でどこか、多分神社にいる。
首筋に手を伸ばし、指先に伝わる硬い感触が、さっきのが幻で無いと告げる。
そう、幻では無いのだが、
確か、テントの中で眠っていた筈なのに、気がつけば何処かもわからない場所。
そこで起きた、赤い、赤い光景と、よくわからない寸劇。
そして、再び、今度は一人でどこか、多分神社にいる。
首筋に手を伸ばし、指先に伝わる硬い感触が、さっきのが幻で無いと告げる。
そう、幻では無いのだが、
「殺し……あい?」
どうにも、現実感の無い状況だ。
思い起こせば数日前、丁度あの新任の古典教師が転任して来た頃からか、舞衣の周囲にはあまり現実的で無い出来事が多すぎる。
学園の裏山で変な化け物に襲われて、クラスメイトの『玖珂なつき』と彼女に従う変な犬に助けられた。
ついでに、その時腕に変な輪っかが現れて火が出た。
夢か幻覚の類かと思い、極力忘れようとして、漸く幻だったのか、と思いはじめた矢先、学園の林間学校に出向いた先で、再び同じような化け物に襲われた。
そして、その時に色々あったので、疲れてテントに戻って寝て……起きたら、コレ。
思い起こせば数日前、丁度あの新任の古典教師が転任して来た頃からか、舞衣の周囲にはあまり現実的で無い出来事が多すぎる。
学園の裏山で変な化け物に襲われて、クラスメイトの『玖珂なつき』と彼女に従う変な犬に助けられた。
ついでに、その時腕に変な輪っかが現れて火が出た。
夢か幻覚の類かと思い、極力忘れようとして、漸く幻だったのか、と思いはじめた矢先、学園の林間学校に出向いた先で、再び同じような化け物に襲われた。
そして、その時に色々あったので、疲れてテントに戻って寝て……起きたら、コレ。
「どうしろ、っていうのよ……」
空には月がきれいに輝いていて、時間的に考えれば、寝りに落ちてからまだ数時間も経っていない。
月明かりはそれなりに明るく、それで見渡せる範囲の建物から、ここが神社かお寺である事を理解する。
神社にしろお寺にしろ、夜の日本建築というのはかなり不気味な代物であるのは間違いなく、言いようの無い不安感を舞衣に与える。
思わず、自らの腕を抱いて、キョロキョロと周囲を見渡してしまう。
月明かりはそれなりに明るく、それで見渡せる範囲の建物から、ここが神社かお寺である事を理解する。
神社にしろお寺にしろ、夜の日本建築というのはかなり不気味な代物であるのは間違いなく、言いようの無い不安感を舞衣に与える。
思わず、自らの腕を抱いて、キョロキョロと周囲を見渡してしまう。
と、その時。
「ひぅ!?」
後方、暗い、暗い、森の中。
ガサリガサリとそれなりの大きな物音が響いた。
瞬間、彼女はまず風が枝を揺らしただけ、と考えた、……考えようとした。
だが、次の瞬間には先ほどよりも大きな音が聞こえ、舞衣の中に、不安の色が大きく広がる。
ガサリガサリとそれなりの大きな物音が響いた。
瞬間、彼女はまず風が枝を揺らしただけ、と考えた、……考えようとした。
だが、次の瞬間には先ほどよりも大きな音が聞こえ、舞衣の中に、不安の色が大きく広がる。
(…………だ、だいじょうぶ……よね……)
音は音、単なる物音に過ぎない。
幽霊の、正体見たり枯れ尾花、ともいうのだ、振り向いて見てしまえば、そこには何も無いかも知れない、何も無いに決まってる。
そう、何も無いはずなのだが。
幽霊の、正体見たり枯れ尾花、ともいうのだ、振り向いて見てしまえば、そこには何も無いかも知れない、何も無いに決まってる。
そう、何も無いはずなのだが。
「…………」
もし、何かあってしまったら、どうすればよいのだろう?
ただでさえ、最近は非現実的な出来事が多い。
ただでさえ、最近は非現実的な出来事が多い。
……そして、
現実に、
振り向いた先には『人魂』が浮かんでゐた
「…………ひぅ……」
何かが、そこにいる。
少しずつ、少しずつ、舞衣のいる方向に近づいて来ている。
少しずつ、少しずつ、舞衣のいる方向に近づいて来ている。
「ぇ……ぁ……」
舞衣の口から、かすれた声が漏れるが、無論そんな物、何の変化も生みはしない。
ただただ、大きくなっていく人魂を、眺めているだけ。
ただただ、大きくなっていく人魂を、眺めているだけ。
どうしよう、
どうすればいい、
どうにかしなければ、
どうすればいい、
どうにかしなければ、
舞衣の意識は、盛んに対策を要求するが、彼女の身体はまるで応えない。
そして、最早聞き間違い様の無い距離に至った時、
そして、最早聞き間違い様の無い距離に至った時、
「ひ…………あああ!」
彼女の身体は、無意識に反応を返していた。
突如生まれた『赤い光』
それは、彼女の両の手首に現れた、一対の『腕輪』から放たれていた。
咄嗟に振るった右腕の先、手首全体を覆うかの様な『炎』が生まれ、それは彼女の前方、
突如生まれた『赤い光』
それは、彼女の両の手首に現れた、一対の『腕輪』から放たれていた。
咄嗟に振るった右腕の先、手首全体を覆うかの様な『炎』が生まれ、それは彼女の前方、
「……きゃ!?」
丁度木々の間を抜けてきた『人影』の近くを通り過ぎた。
「……え……あれ?」
突然の出来事で、思わず尻餅を付いてしまった人影を目にして、舞衣は停止を余儀なくされる。
彼女の目に映るのは、一目で生まれつきのものと判る、長い銀の髪をもつ、恐らくは年上の女性の姿。
夜の闇と相まって、その姿はまるで大きめのコロポックルといった所だろうか。
碧の瞳を、大きく見開き、舞衣の姿のみを写している、綺麗な少女。
彼女の目に映るのは、一目で生まれつきのものと判る、長い銀の髪をもつ、恐らくは年上の女性の姿。
夜の闇と相まって、その姿はまるで大きめのコロポックルといった所だろうか。
碧の瞳を、大きく見開き、舞衣の姿のみを写している、綺麗な少女。
……どう見ても、普通の女の人だった。
■
「……に、日本語、通じる……の?」
異文化交流の失敗の後、舞衣は改めて、銀の髪の少女に問いかけた。
どう見ても日本人には見えないのだが、彼女の困惑の声が、日本語のそれであったからという理由からである。
どう見ても日本人には見えないのだが、彼女の困惑の声が、日本語のそれであったからという理由からである。
「ニホンゴ? ですか……えっと、『ニホン』というのは、何処の地方ですか?」
応える少女の声には、困惑の響きが強い。
どうやら、銀髪の少女は、『日本語』のうち『日本』という固有名詞は判らないが、それでも『語』の部分から、言語という事だけは判ったようだ。
どうやら、銀髪の少女は、『日本語』のうち『日本』という固有名詞は判らないが、それでも『語』の部分から、言語という事だけは判ったようだ。
「え……?」
だが、それならば何故、二人は意思疎通が出来ているのだろうか?
少なくとも、少女の方は日本語を喋っている、という意識すら感じられ無い、にも関わらずだ。
少なくとも、少女の方は日本語を喋っている、という意識すら感じられ無い、にも関わらずだ。
「…………えーと、マイ……さん、で良いのかな?
私はファルシータ、ファルシータ・フォーセット、です」
私はファルシータ、ファルシータ・フォーセット、です」
「あ、うん。 舞衣、舞衣・鴇羽です。
え、と……日本語、というか日本を、知らない、の?」
え、と……日本語、というか日本を、知らない、の?」
「……え、ええ」
少女達の困惑は、より大きなものとなって行く。
ファルという少女が日本を知らないというならば、今彼女が話している言語は何語なのだろうか?
ファルという少女が日本を知らないというならば、今彼女が話している言語は何語なのだろうか?
「えっと…中国、はわかります?」
「いえ……」
「アメリカ」
「聞いたことくらいは……」
「えと、じゃあフランスとか、イギリスとか……」
「あ、はい、私はその近くになる筈の、イタリアの……」
「そうなの…ですか、じゃあ……ロシアは?」
「あ、はいロシアも知ってます」
「えーと、そのロシアの東の端っこの下が中国で、そこから海を越えた島国が日本なんだけど……。
ト○タとか、○ニーとか知りませんか?」
「……ごめんなさい、どれも知らないわ……」
「いえ……」
「アメリカ」
「聞いたことくらいは……」
「えと、じゃあフランスとか、イギリスとか……」
「あ、はい、私はその近くになる筈の、イタリアの……」
「そうなの…ですか、じゃあ……ロシアは?」
「あ、はいロシアも知ってます」
「えーと、そのロシアの東の端っこの下が中国で、そこから海を越えた島国が日本なんだけど……。
ト○タとか、○ニーとか知りませんか?」
「……ごめんなさい、どれも知らないわ……」
自己紹介じみた、やり取り。
舞衣は、イタリアという国は一般的な知識として知っているが、それでも精々スパゲッティとかサッカーが有名、という程度の知識しかなく、世界地図があったとして、場所が判る自身など無い。
対して、銀髪の少女は、そもそも日本という国自体を知らないという。
当然、舞衣はイタリア語など話せないし、少女は日本語など聞くのも初めてだろう。
にも関わらず、お互いの意思疎通は、普通に行なわれている。
対して、銀髪の少女は、そもそも日本という国自体を知らないという。
当然、舞衣はイタリア語など話せないし、少女は日本語など聞くのも初めてだろう。
にも関わらず、お互いの意思疎通は、普通に行なわれている。
舞衣にしても、少女にしても、本人は普段どおりに会話しているのに、当たり前のようにお互いの言葉が理解できているのだ。
理解できないのは、『風華学園』や『ピオーヴァ』といった固有名詞のみ。
それも意味が判らない、というだけで、言葉自体は問題なく聞き取れるのだ。
何がどうなっているのか、まるで判らない。
それも意味が判らない、というだけで、言葉自体は問題なく聞き取れるのだ。
何がどうなっているのか、まるで判らない。
■
「えっと、ファルシータ……さん、はどう思います? さっきの事を」
夜半過ぎた時間帯故に、一先ず神社の本殿の中に入った二人の少女達。
ファルが拾い上げたソレを見て、舞衣も己の持ち物からランタンを取り出し、頼りなさげではあるものの、二つの光源によって照らされた部屋の中、少女達は話を再会する。
結局、何故言葉が通じるのかは、考えても判らない、という結論しか出なかった。
いい加減というか危機感が無いというような感覚は抱いてはいるものの、それ以上はどうしようも無いのだから。
そして、余り進展の無い話が終わった後、舞衣はファルに問いかけた。
ファルが拾い上げたソレを見て、舞衣も己の持ち物からランタンを取り出し、頼りなさげではあるものの、二つの光源によって照らされた部屋の中、少女達は話を再会する。
結局、何故言葉が通じるのかは、考えても判らない、という結論しか出なかった。
いい加減というか危機感が無いというような感覚は抱いてはいるものの、それ以上はどうしようも無いのだから。
そして、余り進展の無い話が終わった後、舞衣はファルに問いかけた。
「わからない……としか」
話題は当然、先ほどの、
いや、現在進行形で行なわれている、この『殺し合い』について。
とはいえ、やはり判る事など殆ど無いのだから、内容は当然表面的な物になる。
すなわち、この殺し合いという状況が何なのか、だ。
いや、現在進行形で行なわれている、この『殺し合い』について。
とはいえ、やはり判る事など殆ど無いのだから、内容は当然表面的な物になる。
すなわち、この殺し合いという状況が何なのか、だ。
「私は……ピオーヴァという街で……」
ファルが告げるのは、己の現在の身分から始まり、どのような生活を行なっているか、という彼女の日常について。
つまるところ、彼女にはこの状況が起こりうる要素は、何も無い、という事柄の説明だ。
聞いた舞衣としても、ソコからこの状況に繋がりそうな事柄は見出せ無かった。
つまるところ、彼女にはこの状況が起こりうる要素は、何も無い、という事柄の説明だ。
聞いた舞衣としても、ソコからこの状況に繋がりそうな事柄は見出せ無かった。
「……えと、じゃあファルシータさんは……」
「あ、ファル、で良いですよ」
「あ、はい、えーと、ファルさんは……」
「あ、ファル、で良いですよ」
「あ、はい、えーと、ファルさんは……」
そして、ファルと舞衣の共通点、というものも、殆ど見出せ無かった。
判りやすい共通点と言えば、精々学生であるという事と、両親が居ないという所くらいなのだが……
両親が居ない、という点については、先に名簿を見ていたファルによって否定される。
彼女の知り合い達の親は、普通に存命なのだから。
そのファルの言葉を受けて、漸く名簿の存在に思い至った舞衣が確認したことで、学生という共通点も否定される。
しいて言うなら、学校関係者、という共通点が残ったくらいか。
判りやすい共通点と言えば、精々学生であるという事と、両親が居ないという所くらいなのだが……
両親が居ない、という点については、先に名簿を見ていたファルによって否定される。
彼女の知り合い達の親は、普通に存命なのだから。
そのファルの言葉を受けて、漸く名簿の存在に思い至った舞衣が確認したことで、学生という共通点も否定される。
しいて言うなら、学校関係者、という共通点が残ったくらいか。
「ところで、舞衣さん」
「え、はい?」
「え、はい?」
だが、ソレにしたところで、学生なんてのはそれこそ沢山いるだろうに、などと考えていた舞衣に、
「さっきの炎のみたいのは、何なのかな?
ニホンて国の人は、皆あんなことができるの?」
ニホンて国の人は、皆あんなことができるの?」
ファルから不意打ちに近い一言が浴びせられる事になる。
……思い起こされるのは、昨晩、寝る前に起きた出来事。
泊りがけの、林間教室。
何とは無く出かけた、夜の散歩。
偶然出会った古典教師である高村と話している最中に、現れた『オーファン』とかいう化け物。
『美袋命』も『玖珂なつき』も歯が立たないその化け物に、殺されそうになって、再び……前に同じような化け物に襲われた時と同じ……現れた、手の輪。
何とは無く出かけた、夜の散歩。
偶然出会った古典教師である高村と話している最中に、現れた『オーファン』とかいう化け物。
『美袋命』も『玖珂なつき』も歯が立たないその化け物に、殺されそうになって、再び……前に同じような化け物に襲われた時と同じ……現れた、手の輪。
……そして、
“その大切なものを守るために、舞衣ちゃん、
君は自分の一番大事なモノをかけることができるかい?”
君は自分の一番大事なモノをかけることができるかい?”
現れた『凪』という謎の少年の言葉に答えた後、現れた舞衣の力だという炎の竜……『カグツチ』
化け物を一撃で打ち倒したその力を得た、代償が、
化け物を一撃で打ち倒したその力を得た、代償が、
(この事……なの?
あたしの大切なもの……巧海を、守る……?為に、あたしの命をかけろ、と、そういうこと?
最後の一人になれば、その願いをかなえてくれる、って事?)
あたしの大切なもの……巧海を、守る……?為に、あたしの命をかけろ、と、そういうこと?
最後の一人になれば、その願いをかなえてくれる、って事?)
殺し合えと
己が願いの為に、他者を全て殺し尽くせと、あの時の言葉は、そういう意味であったのだろうか?
何か、矛盾しているような、気はする。
けれども、意味としては通る。
つまり、
己が願いの為に、他者を全て殺し尽くせと、あの時の言葉は、そういう意味であったのだろうか?
何か、矛盾しているような、気はする。
けれども、意味としては通る。
つまり、
(あたしの……)
「……舞衣さん?」
「え、は、はい!?」
「え、は、はい!?」
終わらぬ思考の果てに、ある意味最悪に近い答えを出そうとした時、ファルの声が響く。
「大丈夫……? 何だか顔色が悪そうだけど……」
「あ……う、うん、だ、大丈夫です……」
「そう、なら良いのだけど……」
「あ……う、うん、だ、大丈夫です……」
「そう、なら良いのだけど……」
沈黙した上に、徐々に顔色の悪くなる舞衣を見て、声を掛けたらしいその言葉には、安堵の響きが混じっている。
先ほど出会ったばかりの舞衣の事を、案じているらしい言葉。
先ほど出会ったばかりの舞衣の事を、案じているらしい言葉。
「えーと、さっきの輪っかみたいのなのは、支給品、というものなのかしら?」
「え…………あ……、はい、そ、その通りです」
「そう、私は小さなレコードみたいなものだったのだけど……」
「え…………あ……、はい、そ、その通りです」
「そう、私は小さなレコードみたいなものだったのだけど……」
既に質問の内容すら忘れていた舞衣は、その支給品、という言葉に、咄嗟に首肯を返す。
答えてから、彼女を騙した事に気付いたが、かと言って本当の事を説明するわけにもいかない。
ただ、その事柄と、純粋に、舞衣の事を疑ってすらいないであろう言葉に、舞衣は小さな罪悪感を抱く。
答えてから、彼女を騙した事に気付いたが、かと言って本当の事を説明するわけにもいかない。
ただ、その事柄と、純粋に、舞衣の事を疑ってすらいないであろう言葉に、舞衣は小さな罪悪感を抱く。
(あたしの……所為……なの……?)
なおも続くファルの言葉を聞きながらも、はじき出された結論。
それはつまり、
それはつまり、
(あたしは、巧海の為に、人を、殺さないといけないの?)
本来の意味においては正しい結論。
そして、この場においては定かではない答え。
そして、この場においては定かではない答え。
その結論に、舞衣は底知れぬ恐怖を、覚えていた。
■
(殺し合え……と言われても)
何処から見ても、何かを隠している舞衣に気付かぬフリをしながら、ファルは思考する。
仮に、ここで舞衣を殺せば、首輪を外して学園に返してくれる、というなら迷わず殺す努力をするのだが、そうでは無い以上、もしもの時に殺す方法を考えるだけに留める。
今すぐ舞衣を殺す事に、何の意味も見出せないから。
だから、『服の内側に隠している、小さな銃』を、使う事は無い。
仮に、ここで舞衣を殺せば、首輪を外して学園に返してくれる、というなら迷わず殺す努力をするのだが、そうでは無い以上、もしもの時に殺す方法を考えるだけに留める。
今すぐ舞衣を殺す事に、何の意味も見出せないから。
だから、『服の内側に隠している、小さな銃』を、使う事は無い。
『殺し合い』という状況自体は、理解できる。
別に、難しい事では無い筈。
純粋に命を掛けるという場合はそうは無いが、生きているからには生存競争がある。
自分の運命を自分で掴む為に、限りある席を巡り、他者を利用して、蹴落とす。
その事自体は、当然の事。
別に、難しい事では無い筈。
純粋に命を掛けるという場合はそうは無いが、生きているからには生存競争がある。
自分の運命を自分で掴む為に、限りある席を巡り、他者を利用して、蹴落とす。
その事自体は、当然の事。
少なくとも、ファルシータ・フォーセットという少女にとって、それは当たり前の事でしかない。
ファルシータ・フォーセットという少女の価値は、歌を歌う事。
孤児であった彼女にとって、その他の価値など求められていないのだから。
その事自体、今更嘆いても仕方の無い事ではあるし、歌を歌うという行為自体は、純粋に好んでいる。
だから、素晴らしい音楽の才能の持ち主である『クリス・ヴェルティン』の能力を、己の為に活用出来れば良いと考えているし、
その為に貴族の同級生である『アーシノ』を、情報源として活用してもいる。自身の肉体を活用して。
孤児であった彼女にとって、その他の価値など求められていないのだから。
その事自体、今更嘆いても仕方の無い事ではあるし、歌を歌うという行為自体は、純粋に好んでいる。
だから、素晴らしい音楽の才能の持ち主である『クリス・ヴェルティン』の能力を、己の為に活用出来れば良いと考えているし、
その為に貴族の同級生である『アーシノ』を、情報源として活用してもいる。自身の肉体を活用して。
ただ、今回の場合は、その『純粋に命を掛ける』という場合であり、敗者には別の道を選び直す権利も与えられない。
(与えられる席は、一つだけ)
加えて、誰かと一緒に、というのは不可能。
なら、その席に座る為に、他者を利用する事に迷いは無い。
迷いは無いが……
なら、その席に座る為に、他者を利用する事に迷いは無い。
迷いは無いが……
(けど……)
いきなり、人を殺すなんて出来る筈も無い。
そもそも、現実に人が殺せるのか?という問題がある。
歌うという行為は見た目よりも体力を消耗するし、小さな食堂でバイトもしているので、それなりに体力はある方だと自負している。
だが、それでも少し体力に秀でた、ごくごく普通の少女というだけに過ぎない。
当然、人を殺した経験なんてある筈がない。精々鶏を締めた経験があるくらいだ。
人相手に同じことをやれと言われても、不可能に決まってる。
歌うという行為は見た目よりも体力を消耗するし、小さな食堂でバイトもしているので、それなりに体力はある方だと自負している。
だが、それでも少し体力に秀でた、ごくごく普通の少女というだけに過ぎない。
当然、人を殺した経験なんてある筈がない。精々鶏を締めた経験があるくらいだ。
人相手に同じことをやれと言われても、不可能に決まってる。
(それに)
それと、そもそも『願いをかなえてくれる』と漠然と言われても、困る。
具体的に、どのようにして願いが叶うのだろう。
具体的に、どのようにして願いが叶うのだろう。
例えば、ファルの未来への大きな岐路になる、『卒業演奏』の舞台で最高の評価を願ったとして、それはどのように叶えられるのか。
普通の練習しかせずに本番に臨んでも、最高の評価が貰えるのか、それとも、彼の……『クリス・ヴェルティン』の様な、上を目指せるだけの才能が貰えるのか。
その場合は、後者を願えば、自然と高い評価を得られるだろうけど、いきなりそんな物を得たら、おかしく思われるかもしれない。
それを扱う能力がなければ、宝の持ち腐れになってしまうかもしれない。
それを得たとして、維持することが出来るのかも判らない。
先に続く、具体的な『道』が、見えない。
普通の練習しかせずに本番に臨んでも、最高の評価が貰えるのか、それとも、彼の……『クリス・ヴェルティン』の様な、上を目指せるだけの才能が貰えるのか。
その場合は、後者を願えば、自然と高い評価を得られるだろうけど、いきなりそんな物を得たら、おかしく思われるかもしれない。
それを扱う能力がなければ、宝の持ち腐れになってしまうかもしれない。
それを得たとして、維持することが出来るのかも判らない。
先に続く、具体的な『道』が、見えない。
『卒業演奏』で最高の評価を得られたのなら、その先、音楽の世界の高みに上っていく入り口に立てる。
そういう、仕組みになっているのだから。
逆に言えば、そういう道順を経ていかないと上には登れない、そういう風に、出来ている。
それを、まるで関係の無い事柄によって、埋められるのだろうか?
そういう、仕組みになっているのだから。
逆に言えば、そういう道順を経ていかないと上には登れない、そういう風に、出来ている。
それを、まるで関係の無い事柄によって、埋められるのだろうか?
そして何よりも、勝手に人をこんな事に巻き込む相手が、律儀に願いをかなえてくれるのだろうか?
(まずは、状況を見極めるのが先決かしら……)
生き残る為の努力は惜しみなくするつもりであるし、必要とあればどんな行為でも行なうのは当然である。
それ故に、彼女は舞衣とはとりあえず普段どおりの『ファルシータ・フォーセット』として接すると決めた。
今すぐ殺すことに利点は無いし、良く判らないけれど、御伽噺の魔法使いのような力も持っているようだから、いざと言う時には頼りになるかもしれない。
それ故に、彼女は舞衣とはとりあえず普段どおりの『ファルシータ・フォーセット』として接すると決めた。
今すぐ殺すことに利点は無いし、良く判らないけれど、御伽噺の魔法使いのような力も持っているようだから、いざと言う時には頼りになるかもしれない。
言語も人種も、思考すらもかけ離れた少女二人。
一見すれば平和のやり取りは、果たしてどのような結末をむかえるのか?
一見すれば平和のやり取りは、果たしてどのような結末をむかえるのか?
【E-1 神社/1日目 深夜】
【鴇羽舞衣@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式、不明支給品(1~3)】
【状態:健康、不安】
【思考・行動】
基本方針:不明
1:この状況が自分の所為かもしれないという不安。
2:ファルに対する小さな罪悪感。
※参戦時期はカグツチを呼び出した直後です。
※カグツチを呼べるかは不明です。
【装備:無し】
【所持品:支給品一式、不明支給品(1~3)】
【状態:健康、不安】
【思考・行動】
基本方針:不明
1:この状況が自分の所為かもしれないという不安。
2:ファルに対する小さな罪悪感。
※参戦時期はカグツチを呼び出した直後です。
※カグツチを呼べるかは不明です。
【ファルシータ・フォーセット@シンフォニック=レイン】
【装備:ワルサーPPK/S(32口径)(7/7+1発)】
【所持品:支給品一式×1、DVDロム×1、32ACP弾×7】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:最期まで生き残る
1:とりあえずは状況を見極める。
2:いざとなれば手段は選ばない。。
3:舞衣は利用したい。
※参戦時期は未定です
【装備:ワルサーPPK/S(32口径)(7/7+1発)】
【所持品:支給品一式×1、DVDロム×1、32ACP弾×7】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:最期まで生き残る
1:とりあえずは状況を見極める。
2:いざとなれば手段は選ばない。。
3:舞衣は利用したい。
※参戦時期は未定です