そして彼と彼女が出来るコト(前)
(遠峯りりす……りりす……無いわね)
月の光も届かない深い森の中、ランタンの灯で名簿を確認している少女が一人。
ランタンに照らされたその姿はまるで何処かの貴族のように気品が溢れていた。
その少女の名は嘉神川クロエ。
殺し合いが初まり暫くはずっと目を閉じ体と心を休めていた彼女。
だが次第に落ち着き初め、これが夢でない事を確認すると彼女は名簿を確認していた。
ランタンに照らされたその姿はまるで何処かの貴族のように気品が溢れていた。
その少女の名は嘉神川クロエ。
殺し合いが初まり暫くはずっと目を閉じ体と心を休めていた彼女。
だが次第に落ち着き初め、これが夢でない事を確認すると彼女は名簿を確認していた。
(知り合いは塚本、春日さんのみか。二人の生徒会メンバーに……それと稲穂信。名前だけ知っているけど……まぁ気にする事もないか)
クロエは腰に届くぐらいの長いアッシュブロンドの髪を手でくるくると巻きながら名簿を見ていた。
その髪は二つにくくって肩の前に流し両側を真っ赤のリボンで結んでいる。
クロエは髪を弄るのを止めるのをと端整な顔を歪め大きな溜め息をついた。
その髪は二つにくくって肩の前に流し両側を真っ赤のリボンで結んでいる。
クロエは髪を弄るのを止めるのをと端整な顔を歪め大きな溜め息をついた。
「遠峯さんがあそこで死んだのは……無作為で選ばれたのではなく……意図的だったのね……やりきれないわ」
彼女の溜め息の原因はあの始まりの時死んだ知り合いの事。
遠峯りりす。
クロエが会長を務める生徒会において会長を補佐する役目であった塚本志雄の幼馴染である。
クロエ自身はあまり話す機会が無かったが志雄とよく話しているのをクロエは度々見ていた。
志雄は大丈夫だろうかとクロエは思う。
志雄自身彼女の事に気を使っていた事をクロエは知っていたのだから。
彼がりりすの死を意図的と考えたらどうなるのだろうかはクロエには見当が付かなかった。
そもそもクロエがりりすの死が意図的であると判断した理由は
遠峯りりす。
クロエが会長を務める生徒会において会長を補佐する役目であった塚本志雄の幼馴染である。
クロエ自身はあまり話す機会が無かったが志雄とよく話しているのをクロエは度々見ていた。
志雄は大丈夫だろうかとクロエは思う。
志雄自身彼女の事に気を使っていた事をクロエは知っていたのだから。
彼がりりすの死を意図的と考えたらどうなるのだろうかはクロエには見当が付かなかった。
そもそもクロエがりりすの死が意図的であると判断した理由は
(聞こえたエルルゥと言う名前……そして遠峯さんの名前、名簿に無いじゃない……準備してあるというのに名簿に載せてない……つまりは最初から殺すつもりだった)
彼女の名前が名簿に無かったからだった。
最初から用意されていたこの名簿に何故彼女のが無いのだろう。
本当に無作為なら乗っているはずと。
そう考えた上で意図的であると判断したのだった。
つまりは見せしめのだけに連れてこられた。
確定なる死がそこにあったのだ。
とてもやり切れるものではない。
そこまでクロエは考え、改めてもう一度大きな溜め息をつく。
最初から用意されていたこの名簿に何故彼女のが無いのだろう。
本当に無作為なら乗っているはずと。
そう考えた上で意図的であると判断したのだった。
つまりは見せしめのだけに連れてこられた。
確定なる死がそこにあったのだ。
とてもやり切れるものではない。
そこまでクロエは考え、改めてもう一度大きな溜め息をつく。
「なんで、こんな冷静に死を判別してるのかしら……私」
今度は自分自身に対して。
余り縁はないといえ知り合いが死んだのだ。
なのにこんなにも冷静になっている。
そんな自分自身が何処か不思議で軽蔑したい程だった。
しかし
余り縁はないといえ知り合いが死んだのだ。
なのにこんなにも冷静になっている。
そんな自分自身が何処か不思議で軽蔑したい程だった。
しかし
「……御免なさい……でも。それでも……私は……死ねない」
クロエもまた死にたくはなかった。
まだ、こんな所では死ねない。そう思ったから。
父の為にも。
自身の為にも。
まだ、こんな所では死ねない。そう思ったから。
父の為にも。
自身の為にも。
だから先程逝ってしまった七人に謝罪を。
自身が生きる為に彼女たちが踏み台になっていくのだから。
もっと哀しむべきだろう。
もっと祈るべきだろう。
それでもクロエはそれをしなかった。
踏みとどまり続ける事は単なる停止でしかない。
進めないのだから。
生きるためにも進まなければならない。
だから、ここで死んでいった者を思うのは一先ずお終い。
だからこそ彼女達に謝った。
この謝罪が生きている者の傲慢だとしても。
それでもクロエは生きる為に進まなければならない。
自身が生きる為に彼女たちが踏み台になっていくのだから。
もっと哀しむべきだろう。
もっと祈るべきだろう。
それでもクロエはそれをしなかった。
踏みとどまり続ける事は単なる停止でしかない。
進めないのだから。
生きるためにも進まなければならない。
だから、ここで死んでいった者を思うのは一先ずお終い。
だからこそ彼女達に謝った。
この謝罪が生きている者の傲慢だとしても。
それでもクロエは生きる為に進まなければならない。
酷い人間だなとクロエは自嘲する。
身近にいる人が選ばれていないだけでここまで淡白にもなるのだから。
7人も死んでいるのに。
でも、だからこそ。
身近にいる人が選ばれていないだけでここまで淡白にもなるのだから。
7人も死んでいるのに。
でも、だからこそ。
「ええ、生きてみせる―――この殺し合いなんかに乗らずに。絶対に」
こんな殺し合いになど乗るわけには行かない。
誰かを殺して生き延びるなど……クロエには考えられなかったし考えたくも無かったから。
幾ら死んだ7人が縁が薄くて彼らの死が遠いものでも……誰かを殺してまで生きようとは思わない。
そして何より
誰かを殺して生き延びるなど……クロエには考えられなかったし考えたくも無かったから。
幾ら死んだ7人が縁が薄くて彼らの死が遠いものでも……誰かを殺してまで生きようとは思わない。
そして何より
「あの人達を信頼なんてできないもの」
伊集院観影、炎凪と名乗った2名が信頼できなかった。
何がしたいのかがクロエには全く理解できなかったから。
このふざけた命の奪い合いに何の意味があるのか、クロエには見出せなかったから。
ただの金持ちの下らない遊戯だとするのならばそれは絶対に許せなかったから。
だからクロエは
何がしたいのかがクロエには全く理解できなかったから。
このふざけた命の奪い合いに何の意味があるのか、クロエには見出せなかったから。
ただの金持ちの下らない遊戯だとするのならばそれは絶対に許せなかったから。
だからクロエは
「抗ってみせる。最後まで」
この殺し合いの中で抗う覚悟をする。
最後まで嘉神川クロエは抗うと……そう決めたのだ。
最後まで嘉神川クロエは抗うと……そう決めたのだ。
「澄空学園生徒会会長、嘉神川クロエとして。真っ当してやってみせるわ」
誰もいない深い森でその決意の言葉が響く。
主催者達にあるいは自分自身の為に。
ただ、その言葉を紡いだ。
主催者達にあるいは自分自身の為に。
ただ、その言葉を紡いだ。
(とはいっても……ハードルは随分と高いのだけれど)
クロエは腕を組み片目だけ閉じ苦笑いを浮かべる。
そう決意はしたはもののすべき事やそれに対するハードルは途方も無く高いのだから。
クロエは小さく溜め息をしてやるべき事を整頓し始める。
そう決意はしたはもののすべき事やそれに対するハードルは途方も無く高いのだから。
クロエは小さく溜め息をしてやるべき事を整頓し始める。
(まずは……人材。要するに仲間かしら)
最優先事項とするならばまずは仲間。
クロエ自身ではできる事は少ない。
だが、他にもこの島には沢山の人が居る。
その中には、戦闘力に秀でる者、知略に秀でいる者、また、主催者に因縁がある者がいるだろう。
それらの人を集めそして協力する。
クロエ自身ではできる事は少ない。
だが、他にもこの島には沢山の人が居る。
その中には、戦闘力に秀でる者、知略に秀でいる者、また、主催者に因縁がある者がいるだろう。
それらの人を集めそして協力する。
(まだ具体的なプランは情報が足りないから思いつかない……だけど仲間を集め情報が入れば、主催者の意図、目的がわかっていくはず)
今は未だ情報が不足しているので具体的なプランを出す事はできない。
だけど情報を集めていけばそこに至るまでの工程自ずと見えていくだろう。
そして
だけど情報を集めていけばそこに至るまでの工程自ずと見えていくだろう。
そして
(その意図、目的が見えれば……打開策はきっと見つかるわ)
意図や目的さえ見えれば打開策は見つかる。
今までクロエ自身がそうやってきたのだから。
今までクロエ自身がそうやってきたのだから。
これがクロエが今立てた暫定的な方針だった。
後はこれに従って行動していけばいい。
後はこれに従って行動していけばいい。
「さて、そうと決まると……ん? 何かしら?」
クロエが方針を決めた矢先、茂みからかすかにランタンの灯りが見えたのだった。
警戒する間も無く草陰から現れたのは全身黒ずくめと言っていいような服装をした長い黒髪の女性――小町つぐみ。
つぐみは右手にランタン、左手にデイバックが持っていた。
デイバックには大剣の柄と日本刀の柄が露出していて何時でも取り出せるようになっていた。
警戒する間も無く草陰から現れたのは全身黒ずくめと言っていいような服装をした長い黒髪の女性――小町つぐみ。
つぐみは右手にランタン、左手にデイバックが持っていた。
デイバックには大剣の柄と日本刀の柄が露出していて何時でも取り出せるようになっていた。
「貴方は……?」
「……ふん」
「……ふん」
クロエが名を尋ねようとした矢先、つぐみは値踏みをするように彼女を姿を見て。
クロエが疑問に思うと同時につぐみはカンテン地面に置きデイバックから大剣を引き抜きデイバックを投げ捨てる。
その瞬く間の行動にクロエはすぐに対応できずそしてつぐみは
クロエが疑問に思うと同時につぐみはカンテン地面に置きデイバックから大剣を引き抜きデイバックを投げ捨てる。
その瞬く間の行動にクロエはすぐに対応できずそしてつぐみは
「死になさい」
そう死の宣告を告げ地獄の鎌を振るった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「何がどうなってるんだ……」
静寂が支配する森の中、茶髪の少年――丸目蔵人――が片手で頭を抑えて呟く。
蔵人は長い間木にもたれ掛けてただ状況の把握に徹しようとしていた。
それでも返ってくる答えは一つだけ。
それは解らないという後ろ向きな答え。
何より
蔵人は長い間木にもたれ掛けてただ状況の把握に徹しようとしていた。
それでも返ってくる答えは一つだけ。
それは解らないという後ろ向きな答え。
何より
(何で……観影先生が……?)
蔵人の担当の先生であり参加していた実験の研究主任だった彼女。
それがこんな悪夢の様な殺し合いを企画するなんて蔵人には思えなかった。
それがこんな悪夢の様な殺し合いを企画するなんて蔵人には思えなかった。
観影が計画した殺し合い自体は蔵人は経験していた。だがそれはあくまで仮想世界での事。
古武術を極めた少年少女が死合い、その結果が世界を救うというある意味夢のような事。
蔵人自身も手馴れの武芸者であり刀を獲物としていた。
その中で友であり強敵と呼ばれる仲間達と戦っていた。
でもそれは仮想世界の事であり現実には死に至る事はない。
ならばこの事も仮想世界と蔵人は一旦考えるもその考えを否定する。
体に当たる風、この手を握った感触、そしてあの始まりのときに死んだ人の血。
それが余りにも現実に近くて。
古武術を極めた少年少女が死合い、その結果が世界を救うというある意味夢のような事。
蔵人自身も手馴れの武芸者であり刀を獲物としていた。
その中で友であり強敵と呼ばれる仲間達と戦っていた。
でもそれは仮想世界の事であり現実には死に至る事はない。
ならばこの事も仮想世界と蔵人は一旦考えるもその考えを否定する。
体に当たる風、この手を握った感触、そしてあの始まりのときに死んだ人の血。
それが余りにも現実に近くて。
蔵人の体に感じるもの全てが現実である事をありありと教えていたのだ。
つまり
「これは……現実なんだ」
これは現実であると言う事。
あの時死んだ7人は本当に死んだと言う事。
そう、この殺し合いは現実にある本当の殺し合いである事。
それを全部蔵人は実感していた。
あの時死んだ7人は本当に死んだと言う事。
そう、この殺し合いは現実にある本当の殺し合いである事。
それを全部蔵人は実感していた。
「くそっ……!」
蔵人は怒りと困惑の余り拳を木に打ち付ける。
理解できなかった。
これが観影が望む事なんて信じたくもなかった。
理解できなかった。
これが観影が望む事なんて信じたくもなかった。
「これも……この事も世界を救う事なのかよ……」
観影のしていた実験。
それは世界を救うと言う重大な事。
厳しくも理解があり優しい一面があった観影がこんな大規模の殺し合いを開くとは未だ思えずただ違和感ばかりが残って。
それは世界を救うと言う重大な事。
厳しくも理解があり優しい一面があった観影がこんな大規模の殺し合いを開くとは未だ思えずただ違和感ばかりが残って。
「まさか……これも実験なのか?……いや違う」
蔵人はこの殺し合いも実験の事だと思うが即座に否定する。
実験ならば、実験の最中に手元に無くても呼べた獲物が呼べないのだ。
それにこんなに大雑把で不確定要素が大きいものを観影が計画するわけが無い。
ならば
実験ならば、実験の最中に手元に無くても呼べた獲物が呼べないのだ。
それにこんなに大雑把で不確定要素が大きいものを観影が計画するわけが無い。
ならば
「これは本当の殺し合いなのか……なにがしたいんだ! 観影先生は!」
実験も世界を救う事も関係ないただの殺し合い。
そんな野蛮な殺し合いを計画する観影がただ理解できずに蔵人は迷う。
世界を救いたい。
そう、観影が言った言葉は意志が確かに篭っていた、やり通すという気概が篭っていた。
なのに何故こんな凄惨な事を行うのだろうか。
そんな野蛮な殺し合いを計画する観影がただ理解できずに蔵人は迷う。
世界を救いたい。
そう、観影が言った言葉は意志が確かに篭っていた、やり通すという気概が篭っていた。
なのに何故こんな凄惨な事を行うのだろうか。
解らない。
理解できない。
理解できない。
必死に考えるも答えが見つからない。
「畜生……!」
もう一度、木の幹に右の拳を打ち付ける。
わからないことが悔しくて。
ただ、怒りをぶつけていた。
わからないことが悔しくて。
ただ、怒りをぶつけていた。
だけど蔵人は思い至る。
「なら……考えるのはやめた」
そう言い、打ち付けた拳をゆっくりと開き掌を見つめる。
指を少し動かしやがてギュッと強く握り締め強く宣言する。
指を少し動かしやがてギュッと強く握り締め強く宣言する。
「考えても解らない……ならば俺はこんな殺し合いなんか絶対に止めてみせる。観影先生もだ!
これが正しい事なんて……意味がある事なんて……絶対に思わない! 俺はそう思う!」
これが正しい事なんて……意味がある事なんて……絶対に思わない! 俺はそう思う!」
殺し合いを止めると言う事を。
考えても意味なんて分からない。
理解できない。
でもこれが正しい事なんて絶対に思わない。
意味がある事なんて絶対に思わない。
それだけは蔵人は確信を持っていえるから。
だから……それだからこそ。
殺し合いを止める。
そう宣言する事ができたのだ。
考えても意味なんて分からない。
理解できない。
でもこれが正しい事なんて絶対に思わない。
意味がある事なんて絶対に思わない。
それだけは蔵人は確信を持っていえるから。
だから……それだからこそ。
殺し合いを止める。
そう宣言する事ができたのだ。
「難しく考えるのは俺らしくないし嫌いだ……殺し合いに乗ったものを戦って止める。それこそが……俺かもしれないからな」
そう、戦う事が真っ先に浮かんだ自分自身に苦笑いが出る。
やはり、戦う事自体は好きでそれこそ自分である事を思う自分自身に蔵人は笑う。
そう思って武器を探す為にデイバックの中身を見るが入っていたのは
やはり、戦う事自体は好きでそれこそ自分である事を思う自分自身に蔵人は笑う。
そう思って武器を探す為にデイバックの中身を見るが入っていたのは
「トンファーか……悪くは無いんだが……刀は無いか」
鉄製のトンファー。
これが当たりに位置するものなのかは蔵人自身判断は付かないものの蔵人だけで言うのなら外れだった。
古武術を極める蔵人が獲物にするのは日本刀。
蔵人の流派は「タイ捨流」と呼ばれるものであり日本刀の中でも野太刀と呼ばれるとても長い刀「長船兼光」を愛刀して扱っていた。
まさかそれが支給されているとは思わなかったがせめて刀と呼べるものが支給されていればと苦々しく思う。
これが当たりに位置するものなのかは蔵人自身判断は付かないものの蔵人だけで言うのなら外れだった。
古武術を極める蔵人が獲物にするのは日本刀。
蔵人の流派は「タイ捨流」と呼ばれるものであり日本刀の中でも野太刀と呼ばれるとても長い刀「長船兼光」を愛刀して扱っていた。
まさかそれが支給されているとは思わなかったがせめて刀と呼べるものが支給されていればと苦々しく思う。
「まぁ文句を言っても仕方ないか……」
そう呟き、カンテラを樹に掲げトンファーを持ち試しに振ってみる。
トンファーは大きな唸りを上げて風を切った。
刀ではないといえ暫くは獲物になるものだ。
いざという時の為に扱えなければ意味が無い。
そう蔵人は思いトンファーを振るう。
トンファーは大きな唸りを上げて風を切った。
刀ではないといえ暫くは獲物になるものだ。
いざという時の為に扱えなければ意味が無い。
そう蔵人は思いトンファーを振るう。
何回か試しに振るい、蔵人がトンファーに慣れて来た時のことだった。
「あれは……?」
蔵人が「ある物」に気付いたのは。