英雄の話をしよう──
と、思うがその前に問いたい。
英雄とはなんだろうか?
と、思うがその前に問いたい。
英雄とはなんだろうか?
その英雄は、英雄とは人殺しであると結論を得た。
始まりは、一人の女だった、初めての恋をした、その女の為に世界全てを敵に回す覚悟を決め、その女の笑顔の為にその手を血に染めることを選んだ。
そうして、男は英雄になった、世界を救う気など無かったが、結果として世界を救い、10人の王を配下に加え怪物の王として君臨し、愛した女と結ばれ人としての幸せを得た。
そうして、男は英雄になった、世界を救う気など無かったが、結果として世界を救い、10人の王を配下に加え怪物の王として君臨し、愛した女と結ばれ人としての幸せを得た。
それから3年後に娘が産まれ、幸せを実感し、男は酷く苦しんだ。
人を殺めた罪だ、幸せを知って初めて自分の奪ったものを知った。
多くの屍の上に立つ男は"英雄"と呼ばれることを嫌った、その言葉に心を酷く痛めるようになった、英雄と呼ばれる度に己の犯した罪を突きつけられた様な気分になる。
人を殺めた罪だ、幸せを知って初めて自分の奪ったものを知った。
多くの屍の上に立つ男は"英雄"と呼ばれることを嫌った、その言葉に心を酷く痛めるようになった、英雄と呼ばれる度に己の犯した罪を突きつけられた様な気分になる。
そして、"虫"が現れた、嘗ての仲間達が新たな力を使い戦う中、英雄が戦場に立つことは無かった。
己の罪に苛まれ、戦いを忌避するようになった男の元にギアは集まらなかったのだ。
それでも戦わねば幸せが奪われる、怪物の王としての力を振るい戦おうとするも力の差が大きく、戦いにならない。
英雄が戦場に立ったのは3年後に娘が危機に瀕した時だ、その時に傷付く覚悟を決めて狼を使った。
英雄の復帰に沸き立つ解放軍の言葉にその胸を切り裂かれながら、英雄は再び戦場に戻った。
己の罪に苛まれ、戦いを忌避するようになった男の元にギアは集まらなかったのだ。
それでも戦わねば幸せが奪われる、怪物の王としての力を振るい戦おうとするも力の差が大きく、戦いにならない。
英雄が戦場に立ったのは3年後に娘が危機に瀕した時だ、その時に傷付く覚悟を決めて狼を使った。
英雄の復帰に沸き立つ解放軍の言葉にその胸を切り裂かれながら、英雄は再び戦場に戻った。
しかし、英雄は再び戦場から姿を消す、激化する戦闘に対抗し作られた幻想種ギア、英雄に与えられたギアは"英雄であること"が使用条件であった。
英雄は自らを英雄だと認めることが出来なかった、英雄と呼ばれれば人殺しと呼ばれているようにしか聞こえない、そんな英雄にそのギアは使えず、狼の力は戦闘についていけなくなり戦場から姿を消すことになったのだ。
そんな英雄が再び戦場に戻るきっかけは、仲間の心が折れた瞬間を見た時だった。
その仲間は人を殺すことに傷付き、最後には自殺を選んだ。
それを見た英雄は、"人殺し "になることを決意する──
英雄は自らを英雄だと認めることが出来なかった、英雄と呼ばれれば人殺しと呼ばれているようにしか聞こえない、そんな英雄にそのギアは使えず、狼の力は戦闘についていけなくなり戦場から姿を消すことになったのだ。
そんな英雄が再び戦場に戻るきっかけは、仲間の心が折れた瞬間を見た時だった。
その仲間は人を殺すことに傷付き、最後には自殺を選んだ。
それを見た英雄は、"
「あぁ、俺は人殺し だ…だから、全ての傷を背負ってやるよ、俺らしくな──」
その日から、戦場に一匹の龍が現れるようになった、その龍はその身を血に汚し、全ての命をその手で奪った。
敵を殺そうとした味方を突き飛ばし、自らの手で仕留め、殺されかけた味方の元へ駆け付けては敵を喰い殺し、鱗のないその身を血で染め上げた。
敵を殺そうとした味方を突き飛ばし、自らの手で仕留め、殺されかけた味方の元へ駆け付けては敵を喰い殺し、鱗のないその身を血で染め上げた。
「もうあいつ一人でいいじゃないか」と、解放軍から抜ける者が現れるほどに戦果を挙げた英雄は孤独になった。
人々の声援は耳に届かず、獲物を求めて彷徨う血に飢えた"血龍"。
だが、臣下たる王達とその娘は知っていた。
その龍の血は己のものなのだと。
その身の傷は人々の言葉により付いたものなのだと。
その龍は守りたい者達に傷付けられて血に染まっているのだと。
人々の声援は耳に届かず、獲物を求めて彷徨う血に飢えた"血龍"。
だが、臣下たる王達とその娘は知っていた。
その龍の血は己のものなのだと。
その身の傷は人々の言葉により付いたものなのだと。
その龍は守りたい者達に傷付けられて血に染まっているのだと。
英雄は、誰よりも優しく、誰よりも傷付く、ただの人間なのだ──
「付き合わせて悪かったな…渡……」
「構いません…最後の一人となったこと…王のために死ねるならば本望で御座います……あぁ、しかし…一つ心残りがあるとすれば…麗様ですね…何が原因かわかりませんが、時間跳躍に成功なされたようで…」
「ならいい…そもそも時間跳躍なんてのは建前だ…本当はな────」
「……!!なるほど、流石我らが王…やはり貴方はどこまでもお優しい……」
「これで終わりだな…この世界は奴らのもんだが…生き残った連中は幸せに生きてけるだろうな…全く、何のために俺は戦ってたんだろうな……」
「ふふ…意地でありましょう、それ以外に有り得ませんとも……」
「そうか…意地か……悪くねぇ…悪くねぇなぁ……こんな残酷な世界でも、救う価値はあったってわけだ…なら──悔いはねぇ…今逝くぜ…お前ら…夏希……」
「どうかお休みを、王よ…私もすぐに参ります……」
「構いません…最後の一人となったこと…王のために死ねるならば本望で御座います……あぁ、しかし…一つ心残りがあるとすれば…麗様ですね…何が原因かわかりませんが、時間跳躍に成功なされたようで…」
「ならいい…そもそも時間跳躍なんてのは建前だ…本当はな────」
「……!!なるほど、流石我らが王…やはり貴方はどこまでもお優しい……」
「これで終わりだな…この世界は奴らのもんだが…生き残った連中は幸せに生きてけるだろうな…全く、何のために俺は戦ってたんだろうな……」
「ふふ…意地でありましょう、それ以外に有り得ませんとも……」
「そうか…意地か……悪くねぇ…悪くねぇなぁ……こんな残酷な世界でも、救う価値はあったってわけだ…なら──悔いはねぇ…今逝くぜ…お前ら…夏希……」
「どうかお休みを、王よ…私もすぐに参ります……」
────
英雄の娘がいた、怪物の王を継承する未来を背負い生まれた怪物と人間のクォーター。
英雄の娘は、父と母の人脈により、多くの大人と触れ合って過ごし、多くの知識を得て、多くの経験を得た。
そんな娘は物心付いた頃には父親の苦悩を悟っていた。
怪物の特性として発達したその知能は幼くして成人並みの思考力を有し、大人達との触れ合いは彼女に多くの知識を与えた、それさえあれば後は自己学習で大体のことを知る。
だから娘は父親の苦悩を取り除こうと幼いながら奮闘した。
英雄の娘がいた、怪物の王を継承する未来を背負い生まれた怪物と人間のクォーター。
英雄の娘は、父と母の人脈により、多くの大人と触れ合って過ごし、多くの知識を得て、多くの経験を得た。
そんな娘は物心付いた頃には父親の苦悩を悟っていた。
怪物の特性として発達したその知能は幼くして成人並みの思考力を有し、大人達との触れ合いは彼女に多くの知識を与えた、それさえあれば後は自己学習で大体のことを知る。
だから娘は父親の苦悩を取り除こうと幼いながら奮闘した。
しかし、戦争が始まれば娘は戦う術を求めた、自分の力を活かす時だと考えたのだ。
そうして、戦えない父親に鍛えられた娘は13歳の頃に戦場に立った、父親を苦しめる戦争を終わらせねばならないとその身を危機にさらし、結果として父親を戦場へと呼び戻すことになった。
そうして、戦えない父親に鍛えられた娘は13歳の頃に戦場に立った、父親を苦しめる戦争を終わらせねばならないとその身を危機にさらし、結果として父親を戦場へと呼び戻すことになった。
それから時が過ぎ、娘は親の元を去ることを選ぶ。
それは、些細なことだった。
娘は両親を好いていた、しかし違和感も感じていた、母親がおかしいと気付いていたが、それでも二人はずっと上手くやってきていた、これからも上手くいくと思っていた。
母親が父親に渡したギアの特性を聞くまでは──
父親の苦悩の原因を、一番理解していると思っていた。
なのに、なのに、なのに──
それは、些細なことだった。
娘は両親を好いていた、しかし違和感も感じていた、母親がおかしいと気付いていたが、それでも二人はずっと上手くやってきていた、これからも上手くいくと思っていた。
母親が父親に渡したギアの特性を聞くまでは──
父親の苦悩の原因を、一番理解していると思っていた。
なのに、なのに、なのに──
「これは、"自他共に認める英雄"だけが使えるギアです…つまり──」
裏切られたと思った、一番の理解者だと思っていた人が、誰よりも惨い仕打ちをするなどと思ってもいなかった。
その日から、早乙女麗は早乙女夏希と会話をすることはなくなり、一ヶ月後には前線に立ち、母親の顔を見ることもなくなった。
それは、時間跳躍作戦のメンバーの護衛として任務に参加し、彼らの盾となり敵と交戦しながら、時間跳躍することはないとタカをくくって時間跳躍装置の効果範囲内に踏み込み、時間跳躍に成功するその瞬間まで、一度たりとも顔を合わせることも、言葉を交わすことも無かった。
その日から、早乙女麗は早乙女夏希と会話をすることはなくなり、一ヶ月後には前線に立ち、母親の顔を見ることもなくなった。
それは、時間跳躍作戦のメンバーの護衛として任務に参加し、彼らの盾となり敵と交戦しながら、時間跳躍することはないとタカをくくって時間跳躍装置の効果範囲内に踏み込み、時間跳躍に成功するその瞬間まで、一度たりとも顔を合わせることも、言葉を交わすことも無かった。
だから、英雄の娘は母親を嫌っている。
"英雄"を嫌っている。
彼女が信じるのはただ一つ──
"英雄"を嫌っている。
彼女が信じるのはただ一つ──
"早乙女涼雅という名の一人の人間"が自分に与えてくれた全てである。