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もう一度名前を呼んで ◆BEQBTq4Ltk


【Phrase1:セリム・ブラッドレイ――froidement.1】


 放送を聴き終えた段階で気になることと言えば、キンブリーが死んだことだ。
 彼は決して弱くない。正面からの戦いでも対応可能な有力な人材でもあった。
 特に殺し合いは全てが己の全力を賭けた戦いになるとは限らず、強い参加者が最期まで生き残る保障は無い。

 闇討ちや奇襲。
 頭の働くキンブリーからしてみれば、この環境は彼が喜ぶ状況を簡単に演出出来るのではないだろうか。
 紅蓮の錬金術師と呼ばれたその男……意思だけは本物である。


 良くも悪くも覚悟が出来ている人間だった。
 殺し合いだろうと己を曲げず、悪に汚染されずに自我を保ち、状況を謳歌していたのだろう。
 悪い笑みを浮かべている姿が容易に想像出来てしまう。


 そんな彼が死んだ。
 悲しみの感情は抱かない。哀れみも喜びの感情も湧いてくることは無かった。


「貴方が死にましたかキンブリー」


 信じられない。と思うことも無い。
 仮に自分とキンブリーが交戦したならば勝者は前者であるホムンクルスだ。
 紅蓮の錬金術師が規格外の怪物と戦闘を行ったならば、負ける未来が見えてくる。


「まあ……今はゆっくり休みなさい。もう、起きることはありませんが」


 もう会うこともない。
 生物は死んでしまえば、それで終わりです。
 貴方も例外ではない……別れの言葉も必要ありませんか。



 目的地はもう目の前だ。
 武器庫――此処に首輪を交換するシステムが備わっていると先の放送で広川が告げていた。

 自分の持っている首輪。
 蘇芳・パブリチェンコ。どれくらいの価値があるだろうか。



 銃火器を操っていたことを考えれば、ただの一般人よりは戦闘に知識があったのだろう。
 拳銃の類ではなく、破壊に重点を置かれ戦争の中に配置されそうな対物ライフルを操る少女が一般のカテゴリに入るとは考えられない。


 あの時対峙した後藤の首輪があれば、確実に絶対数値の結果を得られそう気もしますが、仕方ない。
 文句は試してみてから……首輪交換にどれほどの価値があるかを見定めましょう。


 そんなことを考えながら歩いていると、時間の経過が早いのかそもそも近くにあったのか。
 太陽が沈んでいる今なら灯りがよく見える――武器庫の傍にまで到着した。

 奥を見ると人影が一つ、どうやら先客がいるようだ。
 ホムンクルスの真実が何処まで広がっているかは不明だが、どうだろうか。
 人影はそこまで大きくないはず。つまりセリムの個体と同一程度の人間だろう。

 背は高くない。
 一人で武器庫にいるとなれば仲間とはぐれたか、殺し合いに乗っているかのどちらかになる。
 あまり大事にするつもりは無いが、何時までも時間を無駄にしている暇も無い。


 プライドを知らない参加者ならば、セリムとして接すればいい。

 プライドを知っている参加者ならば、プライドとして振る舞えばいい。


 殺し合いの情報交換も含め、何にせよ武器庫へ入ることに変更は無い。


「あの……こんな所で何をしているんですか?」


 扉を潜り歳相応の声を出す。


 目の前には本当にセリムの個体と変わらないぐらいの少女……さて、どうしましょうか。




【Phrase2:エドワード・エルリック――vigouroux.1】



 何時まで経っても、人が死ぬことに慣れねえ。いや、慣れたくもない。
 三回目になった広川の放送を聞いた俺は、この時、柄にもなく立ち止まっていた。

 御坂を追い掛けなきゃいけない。
 大佐は自分で立ち直ってるだろうとある意味信頼していたから。
 じゃなきゃ、イシュヴァールを乗り越えて此処まで生きていないだろうし。


 広川から告げられる死者の名前。
 ジョースターの孫である空条承太郎の名前が呼ばれた。
 話を聞く限りじゃかなり強い印象を抱いていた。感じたのは驚きではなく後悔。
 また人が死んじまった。
 ジョースターさんの心情は俺には解らない。だけど、俺とアルは大切な存在を失った経験がある。
 個人の情を抜きにして、今のジョースターさんに掛ける言葉が見つからねえ。


「アン……ジュ……っ」


 今度は顔も知っている奴だった。
 俺とあいつの過ごした時間なんてきっと一時間にも満たない。
 少ない時間の中で解ったことは気が強くて、自己中心的な女だってこと。

 俺のコート。持ち逃げしやがって……違う。
 そんなことを考えているんじゃない。俺は自分の頬を叩いた。

 棘みたいにいちいち言葉が尖っている女だった。
 だけど、エンブリヲに拉致されたリンって子を救いたい気持ちは本物だった。
 表には絶対に出さない。恥ずかしがって面を被っているタイプの女だった。


「……死んだのか」

「おい、エド」


 エンブリヲを追って別れた。アンジュの名前は呼ばれたがエンブリヲの名前は呼ばれていない。
 実際にどうなったかは不明だが、志半ばに倒れたのは事実だろう。
 仇。そんなもんじゃないけどとってやる。だから、安心して眠ってな。



「……そうか」


 紅蓮の錬金術師が死んだ報せに対して抱いた感情は言葉に、簡単には表せない。
 敵だった男だが、人間が死んで喜ぶほど腐ってはいない。

 言えるとすれば。
 一発この手でぶん殴りたかった。これだけだ。

 あの男を殺せる参加者がこの会場にいることになる。
 味方なら心強いが、敵だった場合は考えたくない。


「聞こえてるかエド」

「あぁ、悪い悪い」

「聞こえてるならいい。それだけだ」


 マオが俺のことを気にして何度も声を掛けていた。
 猫のくせに……と思うけど、今はそのお節介が有り難い。
 一人だけだったら、変に塞ぎ込んじまうから。





【Phrase3:佐倉杏子――vigouroux.1】





 夢でも見ている気分だった。いっそ夢ならどれだけ良かったことか。
 殺し合いに巻き込まれたこと全てが夢で、誰も死んじゃいない世界ってのが一番の幸せだろう。
 少なくとも、殺し合いの中で死んだ奴は救われる。


『佐倉様……』


 サファイアがあたしの事を気に掛けている。
 エドワードの行く先目掛けて走って。放送が流れても足を止めなかった。
 死者の発表が始まった途端、結局その場に止まった。

 急いでいるし焦ってもいる。時間が惜しいのは本当だから。
 こうしている間にもジョセフはDIOの野郎と戦っている。
 認めたくはないけど、あの野郎は強い。あたし一人が加わった所で勝てる見込みは薄い。


 それをジョセフは解っていたんだと思う。だから一人で残った。
 DIOのスタンド能力の正体は時を止める――馬鹿らしい能力だった。



 小さい子供が考え付きそうな捻りの無い能力。
 王道で、実際に存在すれば子供でも理解出来るぐらいの反則能力だ。


 戦っている間は瞬間移動のように感じた動きも全部、時を止めていたならば。
 不思議なぐらい全てが理解出来る。あの男は時を止めていたんだって。

 広めなくちゃならない。ジョセフが暴いたDIOのスタンド能力を可能な限り会場に伝え回る。

暁美ほむらにジョセフ……冗談キツイな本当に」

 後頭部をハンマーか何かでぶん殴られた気分だ。それぐらい意識を手放したかった。

 これで会場に居る知り合いは美樹さやかだけになった。
 暁美ほむらは何だかよく解らない奴だった。でも根からの悪人には見えない。
 そんなことを言ってしまえば自分の方がよっぽどの悪人である。
 盗みや家屋への侵入など自慢にはならないが、結構なことをしてきたつもりだ。


「暁美ほむら、ね」


 どんな顔をして死んでいったのか想像もつかない。
 巴マミ鹿目まどかも暁美ほむらも。魔法少女は次々に死んでいく。
 たった一つの奇跡を願ったばかりに、その終末は希望とは程遠い絶望であった。

 そんな話は願い下げである。生きているならば夢ぐらい見させてくれとも思う。
 それでも、死んでしまえばその夢すら望むことを許されない。
 吹き抜ける風が普段よりも冷たく感じ、心も冷えてくる。

 もし死体に出会えたなら。
 縁起でもないけど、弔ってやる。
 仲間に出会えたとか独りぼっちだったとか。彼女が殺し合いでどう動いたかは知らない。


「……仇、取ってやるからな」


 誰に殺されたかは解らないけど、見つけたら倒してやるよ。
 暁美ほむらが殺された。ってのが問題じゃない。人を殺す奴に容赦何て要らないから。

「それにしても」

 空を見上げるともう太陽が落ちている。
 夜はかっこいいと思う。自分もまだまだ子供だと実感する。
 それよりも。不安が心を埋め尽くしてしまう。
 夜は吸血鬼の時間だから。あの男が最も輝いてしまう時間だから。


「またあたしを置いて死んじまった……くそ」


 ジョセフ・ジョースター
 解ってはいたけど、放送で名前を呼ばれてしまった。


 心の何処かでは思っていた。
 ジョセフはあのままDIOと戦って死んでしまう。
 悔しいがあの男は強い。カラクリが時を止めること。それを暴いても対応のしようがない。
 マミさんを殺したらしいサリアの名前が呼ばれても、上の空だ。

 時計塔に残って戦闘していても、無駄死で終わっただろう。
 最悪の結末を回避すべくジョセフは自分に逃げろと言った。言葉は違うが意味合いは一緒だ。

『佐倉様。お気持ちは解りますが此処は』

「……大丈夫だ。引き返してDIOをぶん殴るなんて言わないよ」

 今すぐにでもDIOを始末したい。
 でも、行った所で勝てる見込みは薄くて、それじゃあジョセフの死も無駄になってしまう。
 あたしは生きてDIOを倒すための礎になるんだ。


「なぁサファイア。馬鹿なことは言わないけどさ。あたしとあんたで別行動にしないか?」


 戦力の低下になるけど、あたしが死んでもいいように保険を掛けとく。





【Phrase4:セリム・ブラッドレイ――froidement.2】 



 武器庫の中に置かれている首輪交換のための機械は言ってしまえば四角い空間だった。
 公衆電話のようなボックスがあり、その中に首輪を入れると思われる機械がある。それだけだ。

 本当に面白みも無い。
 広川の放送で仮に存在を告げられなければ気づかなかっただろう。
 殺しの対価に得た首輪を新たな対価へ昇華させるシステムは少々活用されてないらしい。
 積極的に殺し回る参加者からすれば、天の声に近い制度だと思われるが自分には関係無い。


「さて、何処まで聞き出せることやら」


 求めるのは武器では無く情報。
 私に武器など与えても不必要……と、までは行きませんが特段、急に必要になる確率は低い。
 発光源を確保出来れば嬉しいのですが、必ずしも手に入るとは限らない。

 ならば、情報を求める。
 不可解なことが多いこの殺し合いの裏側を私は開示する。
 謂わば真理。誰かの掌で踊り、真理に触れることすら無く死ぬのは誰も望みませんから。



 空間に侵入しようと足を進めた所で、武器庫へは既に誰かが立ち寄った痕跡がある。
 ある程度物色されており、もしかしたら首輪を持った参加者が居たのかもしれない。
 建物内に生物の気配を感じないため、今は誰も居ないようですが若干の警戒は必要でしょう。

 何処に誰が潜んでいるかは解らない。
 現れた所で蘇芳のようにライフルを具現化させ、後藤のように怪物に変身する可能性もある。
 私の知らない錬金術師だったり御坂美琴のように雷光を用いるかもしれない。

 元々、人の目から注目されることのないホムンクルスではありますが、慢心はいけない。
 下等生物と見下して足元を掬われるなど……全く、笑い話にもなりません。
 その点から言えばキンブリーが死んだこととエンヴィーが生きていることは釣り合いませんが。


 ――と。
 このとおりに進めば順調だったのですが、建物内には既に先客が居るのは明らか。
「あの……こんな所で何をしているんですか?
 さて、どう動くか。


「……何をしていると思う」


 建物内には誰も居ませんが、入り口に一人で立っている女性が此方を見ている。
 歳はセリムの個体と変わらない少女と云った所でしょうか。
 返しの言葉はあまり友好的には感じ取れず素っ気ない声色。
 気になることと云えばその両手に抱えて持っている首輪でしょうか。


「えっと……首輪を交換しようとしているんですか?」

「そうだよ。よく解ったね……君、名前は?」

「………………知らない人に名前を教えちゃ駄目だってお父様が」


 皮を被る。
 相手の素性が不明なため、出来るだけ様子を伺う必要がある。
 問答無用で処分しても問題は無いが、情報を得るためには会話を行うための土台を作らなければならない。
 少々面倒ですが、目の前の少女と一時の会話を行いましょう。


「私とそんなに変わらない見た目なのに偉いね……セリム君?」

「――――――――――!」

『すっごい良い子ブッてますけど明らかに人間じゃない反応を感じますし、キンブリーが言っていたホムンクルスの可能性が高いですねイリヤ様』


 驚いた。
 セリムの情報を知っていることには問題無い。
 マスタング大佐達を仕留めきれなかった時点で私の正体は露呈されたと同然ですから。

「キンブリーに会ったのですね」

 このことの方が驚きだ。
 目の前のイリヤと呼ばれた少女はキンブリーと知り合いらしい。
 言語を話す棒状のモノにも驚きを示すが、私にとってはどうでもいい。

 口振りからしてキンブリーに私の正体を教えて貰ったのでしょう。
 意図には興味ない。気になることは。


「教えてくれますか、彼はどうやって死んだのでしょうか」












「キンブリーさんは私が殺した」



 少女の顔は人間らしい感情を帯びていない、まるでホムンクルスのように冷たい印象を受ける。
 普通の人生を歩んでいるならば生物を殺害して平然としていられる少女など居るはずも無い。
 故に目の前に立っているイリヤと呼ばれた少女は、常人の枠をはみ出した存在だと仮定する。


「全く……どうして人間は不可解なことばかりやってのけるでしょうか」


 近寄りながら不満を漏らしつつ、決してイリヤを視界から逃さない。
 嘘か本当かの真実など言葉だけでは不透明だ。しかし例え冗談だとしてもキンブリーを殺したと発言した。
 あの男を知っている人間からすれば、随分と大きく出ましたね。



 仮に。彼女が本当にキンブリーを殺したならば、思ったよりも苦戦するでしょう。
 紅蓮の錬金術師の強さは知っている。並の錬金術師は歯が立たないことも知っている。けれど。


「仇を取る訳ではありませんが、その首輪を渡してもらいましょうか」


 それが、ホムンクルスのプライドが勝てない理由にはならない。
 背後から影を鋭利な形状でイリヤを殺すために這い寄らせる。

 この攻撃で死ぬようならキンブリーを殺すことなど不可能でしょう。
 嘘なら――の話でしたが。


『イリヤ様、あの影から不気味な力を感じます。気を付けて』

「解ってる……当る前に、殺しちゃえば問題は無いよね」


 光が彼女達を包み込んだかと思えば服装が衣装のような派手になっていた。
 そのまま飛翔を行い、影を避けつつ――喋る棒を私に向けた。


「吹き飛べ……吹き飛べっ!!」


 すると棒状の先端が輝き出し、その光は錬成を行う時に発するそれを連想させる。
 つまり、高位のエネルギー密度が私に向かって発射された。



【Phrase5:佐倉杏子――vigouroux.2】


 渋々だったけどサファイアはあたしの言葉を受け止めて、先にエドワードを追って行った。
『絶対に死なないでください』『貴方が死ねば悲しむ人が居るのを忘れないでください』『エドワード様と合流したら佐倉様を迎えに行きます』

 マシンガンステッキだった。
 言葉が口も無いくせにどんどん飛び出して来てこっちの言葉を無視していた。

 わかってるわかってる……適当に言葉を並べて我慢してもらった。
 悪いことをしたとは思っている。パシリみたいな形で行かせちゃったし。


「さてと……あたしはどうすっかな」


 目的地。そんなものは無い。
 ジョセフの仇を取るためにDIOの元へ向かうか。
 残念だけど、あたし一人の力じゃあいつには勝てない。サファイアも居ないし。

 近くにある武器庫に寄ってみるか。
 やばそうな悪寒を感じる。首輪を交換するために碌でもない奴らがうじゃうじゃいそうだ。

 エドワードを追い掛ける。
 何でサファイアと別れたのか、意味が解らなくなる。
 でも、これが今一番の目的で、取るべき行動だと思う。


 あたしは少しだけでもいいから一人の時間が欲しかった。

 勿論、DIOの野郎の秘密を知っているあたし達をバラす意味もある。
 二人とも死んじまえば、ジョセフの死が無駄になっちまうから。

 涙は流さない。
 瞳から落ちた水滴はマミさんの時に全部流したつもり。だから今は流さない。

 暁美ほむらが死んで、ジョセフも死んだ。
 思い返せば最初に突っ掛かった空条承太郎も死んでいる。

 あたしと関わった人間がどんどん死んでいく。
 まるで死神だ。そのくせあたしは今も生きている。


「――――――――――――はぁ。嫌になるよ」


 言葉が勝手に口から出ていた。
 勿論、反応してくれる人は誰も居ない。
 強いて言うなら、西から大きな音が聞こえて来たぐらいだ。
 ……強いて言うならって何を強いられてんだか。



【Phrase6:セリム・ブラッドレイ――froidement.3】



「――ッ、外に」


 イリヤの放ったエネルギー体に対して影を重ね、防いだ。
 しかし勢いを失わず力の行き場は自分に変わりなく、衝撃と共に武器庫の外へ弾き飛ばされてしまった。

 外だ。

 太陽が落ちている中で、外での戦闘は好ましくない。
 影が闇と同化する今の時間帯では、普段の力を発揮出来ない。
 何とかして光源体を確保したい所ですが、私を追って当然のように彼女は現れた。


「今ので死んでいたら貴方も私も楽なのに……」


 距離が離れているため聞き取れないが、口の動きや表情からして哀れみや悲しさを帯びているのだろう。
 これから死ぬなんて可哀想に……などと思っているのかもしれない。
 今まで見てきた人間の中で、あの瞳を持つ者は何かしら大切なモノを失っていると相場が決まっている。
 人間特有の感情が。


『イリヤ様、もう一発いきますか?』

「うん――そうしよう」


 まただ。
 また、喋る棒きれの先端に高位度のエネルギーが収束していく。

「光……今なら戦えますか」

 この灯りからならば影が生まれ、普段通りの戦闘を行うことが出来るが――回避に移る。
 自分が数秒前に立っていた大地を削り、遠くの果てまで伸びる攻撃。
 正面から喰らえば賢者の石の消費が無視出来ないものになるでしょう。


 全く――どうしてこんなことをしているのでしょうね。



【Phrase7:トゥッティ】


 天を飛翔する魔法少女――イリヤはルビーを携えてセリムに向かっている。
 ルビーには魔力が収束しており、開放することによってビーム状の波動が敵を襲うことになるだろう。

 キンブリーを殺したことによって、イリヤの中にあるスイッチが押されてしまった。

 いや、スイッチなど最初から存在しないのかもしれない。
 殺し合いが始まり彼女が体験した全ての出来事は良くも悪くも影響を及ぼした。
 出会いと別れを繰り返し、様々な感情を抱いた上での殺しに対する覚悟と焦燥。

 何にせよ紅蓮の錬金術師が残した爪痕は一人の少女の人生を狂わせた。
 仮に元から狂っていたとすれば、自分色にイリヤを染め上げてしまった。

 彼女を知る人間が今の殺人鬼を見れば。
 受け入れられない現実が待っているのは避けようのない結末であろう。


「また影で自分を覆っている……目や口がたくさんあって気持ち悪い」


 自分の標的であるセリムはホムンクルスとして持ち合わせている能力を使い防御態勢に移っていた。
 己の影を自由自在に操る能力だがイリヤはそんなことを知るはずも無い。
 客観的に彼の能力を見て口から感想が漏れていた。本心からの一言である。


「だから――消すッ!」


 ルビーから放たれた高密度の魔力は空間を抉るように全てを巻き込みセリムに放たれた。
 一呼吸程度の間あ置かれた後に、影に魔力が直撃した音が暗闇に響く。

 木々ならば簡単に消え去る一撃だが――ホムンクルスは健在である。


「防ぐことは出来ても光が無き今、攻勢に出れませんね」


 影の隙間から見える赤い瞳。
 優しい少年であるセリム・ブラッドレイからホムンクルス・プライドに変化した瞬間だ。


 排除の対象であるイリヤへ向ける瞳など、ゴミを見つめる視線と同程度である。
 消せば全ては同じ結末を辿る。彼女がこれまでに歩んできたドラマなど他人には関係も無ければ興味も存在しない。

 しかし、影を扱うプライドにとって夜間での戦闘は厳しい条件が付き纏う。
 何せ発光源が無ければどうしようも出来ないのだ。

 イリヤがルビーから魔力を放出する際に生まれる光を頼りに影を操っても、己のリズムが狂うだけである。

 現に魔力を防ぐしか出来ることが無い。
 それに無限に防げる訳でも無く、唯でさえ賢者の石の再生能力に制限を掛けられている現状。
 このまま攻撃をもらい続けた所で、プライドにメリットは何一つ存在しない。

 彼の立場からすれば何とかしたい所ではあるが――他人が乱入する。


「大きな音や光があったから来たけど……大丈夫かい?」


 赤い髪に赤い衣服を纏った少女がプライドの隣に立ち、彼に声を掛けた。
 幸いプライドは光が無くなったため影が発動せず、本性を知らない人間からすればセリムに見える状態であった。


「大丈夫と言いたい所ですが……一つ聞きたいことがあります」

「何だよ言ってみな」

「貴方は光や炎を生成することは可能ですか」

「いや、できな――炎なら出来るかも」


 赤い魔法少女――佐倉杏子は開口一番に否定から入ろうとしたが、言葉を引っ込める。
 炎ならば出来る可能性があると。
 自爆の際に生まれる魔法の塊は大炎の結晶と云っても差し支えは無い。

 大炎を応用し、極限にまで薄めれば日常生活での活用も可能かもしれない。
 これでガスに頼らなくても生活が――などと思っている余裕は無い。

 彼女が見据える先には大きな音や光の犯人が居る。
 今は大人しくしているが、何時襲ってきても可怪しくない状況である。


「出来るならどうすればいい?」

「そうですね……近くの草を燃やしてください」

「お安いご用――来るぞ!」



 佐倉杏子は槍先に炎を灯し、少年から言われた通りに草を燃やす。

 セリム・ブラッドレイはイリヤが放った光を利用し影で己を――隣に立つ少女を含めて防衛する。

 さて、光が晴れれば先程と同じ通りプライドは健在である。
 問題があるとすればこの先に己からの攻撃手段が無いことだが、名も知らない魔法少女がそれを解決する。

 燃えた草むらの周辺には当然のように灯りがある。
 つまり――。

「礼を言いますよ。少々面倒に感じていた所ですから」

 光が晴れても尚、影は生きている。

「……なぁ、お前はもしかしてセリム・ブラッドレイなのか?」

「貴方も私を知っていますか。この状況でセリムの名前を出すならば正体も知っているでしょう」

 口元が緩み笑みが浮かぶが、底の知れない沼地のように引き込まれるような邪悪。
 影を見てセリムの名前を出すならば、当然のようにプライドの姿を知っている人間から情報を得たのだろう。

「ホムンクルスのプライドか。知らなかったとは云え敵に協力したって言えばエドワードの野郎が面倒だ……ったく」

「鋼の錬金術師から私のことを聞いていましたか。
 では此処で私を殺しますか? それでも構いませんが先約があるのでお待ち下さい」

 鋼の錬金術師の名前を聞いたプライドは全てを悟る。
 彼から情報を得ているのならば、今更セリムとして振る舞う必要も無い。
 聞くことがあるとすれば敵になるか協力するかのどちらかである。
 そしてこの状況を考えるに答えなど一つしか無いだろう。頭が柔軟な者ならば。


「…………お前はどうしようもないホムンクルスなんだろ?
 なら、あたしの敵になる……けど。あぁ、本当に何なんだよこの状況は……お前よりもヤバイ奴が目の前に居る」


 槍を斜めに構えながら悪態をつくように佐倉杏子は現状の意味不明さを嘆いた。
 セリム・ブラッドレイ――プライドは敵だ。
 参加者の敵であり、人間の敵であるホムンクルス。
 もしかしたら、殺し合いに置いて正義の心に目覚めて――冗談は必要無いだろう。

 そのプライドが隣に居るが、残念なことに目の前に居る空を飛ぶ少女の方が危険であった。
 此方に光輝くサファイアのようなステッキを向けており、見たことのある魔力が放たれていた。

 まともに思考する時間も与えてくれないらしい。
 大地を蹴り、右に跳んだ彼女は槍を握る腕に力を込め、標的を視界に捉える。

 着地と同時に駆け出し、距離を詰める。
 突き――では無く、槍を投擲した奇襲を試みるも、魔力の壁に阻まれ槍は消える。

(あのステッキはやっぱサファイアと同じかよ)

 新たな槍を精製しつつ杏子は宙に滞在する少女を睨む。
 彼女が持っている杖は先程別れたサファイアと同系統――ルビーだ。

 その能力を知っているからこそ、目の前の敵が強大であることに汗を流す。
 そして、戦力の面から考えるにサファイアと別行動を選んだことに後悔が走る。

(安易過ぎたよな……何処までやれるか。
 サファイアから聞いた話だと杖がルビーで使っているのがイリヤか)

 大地を槍で小突きながら杏子は目の前の敵がサファイアの仲間であることを再認識する。
 再認識した所で、戦わなければ自分が殺されるだけであり、選択肢は無い。
 おまけにホムンクルスと肩を並べることになる。杏子の顔は呆れ気味だった。

「イリヤを何とかするぞ。だからお前はその後だ」

「話が早くて助かります。私一人では中々……エドワード・エルリックから聞いているかも知れませんが」



「もういいよね……ごめんね」



 黙っていたイリヤが塞がった口を開いた同時にルビーを振るう。
 その軌跡を辿るように魔力が横一閃に放出され、標的を殺さんと輝いていた。

 杏子は右に、プライドは左に跳ぶことによってこれを回避し、攻めに移る。

 近接攻撃を主とする杏子は距離を詰め、プライドは影を使役し両サイドから攻撃を行う。
 迫る影をイリヤは空を自在に飛び回ることで回避し続ける。



 幾らでも追って来る影に苛立ちながらも決して捕まることは無い。
 影同士の間を縫うようにプライドへ迫るも、割り込む形で杏子が上空から多節棍を振り下ろす。

「止まってな!」

「止まらない……私は止まれないの!」

 初撃を回避。
 二撃をルビーで防ぐ。
 三撃を蹴りで弾き返す。

 滞空の術を持つイリヤに対し、杏子は空を飛ぶ手段を持たない。
 数刻前までならばサファイアが共に居たがタイミングが悪過ぎた。

「堕ちて楽になって……それが私からのお願い」

 落ちるだけの杏子に対し追い打ちを掛けるべくルビーを鈍器の要領で振り下ろす。
 多節棍を引き戻し、一本の線にはならないものの、分断されているそれぞれの節を集結させ衝撃を防ぐ。


『こんなお願いは許されませんが、イリヤさんを止めてください』


「はぁ!?」


 しかし下から持ち上げる力と上から叩き下ろす力では後者が圧倒的に有利である。
 故に杏子は大地に叩き付けられることとなり、落ちた彼女を中心に砂塵が舞う。

「ねえルビー、今何か言わなかった?」

『そんなことないですよ――イリヤさん』

 そう。と、感情の無い相槌を行った所でイリヤは大地に降りる。
 砂塵がまだ晴れてはいないが杏子へ止めを刺すべくその足を動かす。

 冷たい瞳だった。
 まるで生命を物として扱うような冷徹で、何処か寂しさを感じさせる瞳であった――が、豹変する。

「――ッ!」

 イリヤの両肩に走る激痛。
 徐々に熱を帯びていく痛みは背後からの奇襲。
 両肩を固定されるように貫かれた――影によって彼女の表情に苦痛の色が浮かぶ。


「随分と余裕そうな表情をしていましたが……今の苦しんでいる表情の方がよっぽど人間らしい」


 影の使役者であるプライドはゆっくりと歩きながらイリヤに接近。
 杏子のみを視界に入れていたのが、イリヤの失態であった。
 ルビーの補助に頼っていた線もあるが、生憎、今の彼女達に上手い連携が取れる訳では無い。
 最もそのことを知るのはルビーだけである。知るというよりも戸惑っていると表現するのが正しい。

 明らかに道を踏み外している主に対し、何かしらの感情を抱くのは当たり前のことである。

『い、イリヤさん!』

 己の身体を振るい影を追い払うルビー。
 影から開放されたイリヤは直ぐ様、ステッキを握ると怒りと共に魔力を放出。

 それを予測していたのか、プライドは既に移動しており魔力の先には居ない。

「――――――――――ッ!!」

 ルビーを限界にまで横に振り切ったその先には立ち上がった杏子が立っている。
 イリヤを中心に円を描くように薙ぎ払われた魔力の刃が迫る。

「冗談じゃねえぞ……ッ!!」

 防御魔法。
 結界を貼ることや隔絶空間を発生させ攻撃を黄泉の彼方へ放り込む。
 と、様々な手段が存在するが杏子が得意とするのは鎖の結界である。

 物理的な攻撃にはめっぽう強いが、実体を持たないビーム状の攻撃とは相性が悪い。
 つまり、彼女一人ではイリヤの攻撃を完全に防ぎきることは不可能である。

 そして、空条承太郎から始まり直近ではDIOと戦闘を行った彼女の身体は限界に近い。
 防いだ所で瀕死に変わりは無く、言ってしまえば絶体絶命の状況であった。



 この場から脱するためには他者の手助けが必要となるだろう。
 居合わせるのはホムンクルスのプライドであるが、彼が其処まで力を貸すとは思えない。
 故に第三者の来訪を願うしか無いのだが、それは出来過ぎている台本だ。

 謂わば正義の味方が駆け付ける愛と勇気が勝つ物語である。


「派手に暴れている奴らが居ると思えば……何なんだよあいつは」


 魔力の刃が佐倉杏子を切断する前に。
 見慣れた青い閃光が走り、彼女達が立っていた場所が隆起した。


 鋼の錬金術師――エドワード・エルリック。
 少々到着が遅れたが、この戦闘に参加する一人の男である。



【Phrase8:エドワード・エルリック――vigouroux.2】


 あれだけ派手に戦闘していたら誰だって気になっちまうもんだ。
 光が輝いたり大地を削る音が響いていた。その犯人を確かめるために足を動かしていたら懐かしい顔があった。
 懐かしいって言っても数時間前だが、それでも懐かしさを覚えた。

「悪いエドワード……あいつはイリヤだってよ」

「イリヤ……おい、それって」

 その名前は聞いたことがある。
 サファイアの口からだった筈だ。
 なら、俺達が敵対する必要が無い――いや、杏子を殺すつもりで攻撃していたよな、アレ。
 理由は解らないが、敵なんだな。俺は目の前に浮かぶ少女を嫌だけど敵と認識した。


「……ったく。ならサファイアの出番だな」

「…………悪いなほんと。あいつとは別行動なんだ」

「あ!? 絶好のタイミングで居ないのかよ!」


「仕方ないさ……ジョセフが残した遺産を少しでも繋ぐためなんだ」
(それにお前を追い掛けた筈なんだけどな……)

 そうか。
 寂しそうに声を出した杏子を見て俺は勝手に理解する。
 そうだ、こいつはジョセフさんと一緒に行動していた。そしてあの人の名前が呼ばれた。
 別れを乗り切って、佐倉杏子は此処に居る。

 何が起きたかは聞かないと解らない。
 けど、俺は御坂の野郎を止めるためにも無駄に時間を消費するつもりは無い。

 なら――やることは結局、何一つ変わらない。


「わかったよ――さっさと目の前の女を止めて次へ進むぞ」

「へっ、次って何さ」

「こんな所で立ち止まる訳にもいかな――――――――――ハァ!?」


 自分で云うのは恥ずかしいが、きっと物語じゃかっこ良く決めていた場面だと思う。
 だけど俺は馬鹿みたいな声を出して驚いちまった。

 杏子の隣に立っていた奴を見て、な。


「セリム・ブラッドレイ……?」



【Phrase9:トゥッティ】


 鋼の錬金術師が声を荒げたが無理も無いだろう。
 己の視界に映る少年は殺し合いが始まる前からの敵である。

「あー、あれだ、あれ。えっと……昨日の敵は今日のシリーズだよ」

「利害の一致……私とこの女性、杏子と呼ばれている方は共通の敵を倒すために一時的に行動を共にしています」

「それだよそれ!」

「………………可笑しな行動をしたらお前から倒すからな」

「ええ、それで構いませんょ。私もそのつも――来ますッ」


 言いたいことがまだまだある。
 と、云わんばかりの表情を浮かべるエドワードであるがイリヤが黙っていない。
 勝手に盛り上がっている三人に対し、ルビーを彼らに向けまたも魔力を射出する。

「――速射」

 幾千もの弾に分裂した魔力が彼らを襲う。
 逃げる場所など無い……訳では無い。しかし、今から動き出すことを考慮すると避け切れる距離では無い。

「頼みましたよ」

「誰がお前のためにやるかよ!」

 クスリとセリムが微笑み、エドワードが吠える。
 合わさった掌から走る青い閃光が大地を伝わり彼らを守る障壁となる。



 大地に魔弾は防がれ、豪快な音を響かせながらもエドワード達は誰一人して傷を負っていない。
 しかし。


「身体強化――10」


 魔弾の音が止んだと思えば、間髪入れずに鋭利な切断音が三人の耳に残る。
 音を認識した所で既にエドワードが錬成した壁は斬られていた。


(あたしがサファイアを薙刀にしたみたいにしてエドワードの錬成をぶった斬ったのか)


 ルビーの先端には魔力で構成された刃が誕生していた。
 つまりステッキを剣と見立て壁を切断したのだろう。
 即席とは云え錬成の壁は簡単に崩せる程の耐久では無い。
 それを一撃で葬り去るのだ。人体がまともに喰らえばひとたまりも無い。

「敵は一人ではありませんよ」

 イリヤの姿に驚くエドワードと杏子であったが、セリムは攻撃に移っている。
 影を敵に忍ばせ、その腹を抉るべく先端が直撃し――血が出ない。


「ルビー、物理保護全開」


『この程度の攻撃なら防げますね』


 貫いた筈の影はイリヤの身体に傷一つ付けることが出来ずに弾かれた。
 その光景を見た三人は本能が赴くままに、彼女から距離を取る。

 最早、相手を人間だと認識していれば負けるのは己だと察してしまう。
 少女の見た目に騙されるな。目の前の悪魔は――強い。


【Phrase10:DIO――chanter】


「つまらん。所詮は面白みも無い機械仕掛の箱ではないか」

 武器庫にあると聞いていた首輪を対価に情報や武器を得る箱。
 わざわざ足を運んでみたものも、何も得られることは無くとんだ無駄足だった。

 このDIOに対して、だ。
 それだけで理由は充分だろう。『世界』の拳によって破壊――む。

「耐えるか……ますます気に食わん」

 凹みすら見せていないではないか。
 簡単に壊れる玩具を置く必要も無い……ならば。

「床ごと持ち上げればいい」

『世界』の拳を箱周辺の床に叩き付け、亀裂を走らせた所で床ごと持ち上げさせる。
 外にある奈落へ落としてしまえば、誰も使うことはあるまい。

 価値を見出して使う人間も居るだろう。だがしかし、既にこのDIOが奈落へ叩き落とす。
 低能な種族故の遅さを嘆くがいい。このような玩具が無くても関係無いからな。

 普段ならば恥ずかしながらもう少しは怒りに震えていることだろう。
 だが、今は気分がいい。
 何せ、ジョースターの腕と血はこの身体に良く馴染む。それに空条承太郎も勝手に死んでいた。
 現世に置いてこのような気分が味わえるとはな……ククク。


「ハハハハハハハハ!!」


 おっと。下品な嗤いが漏れてしまった。いかんいかん……さて。


「先程から外で暴れている猿共……そろそろ永眠の時間をこのDIOが授けよう」


【Phrase11:ウェイブ――conservant】



 イェーガーズ本部で応急処置を済ませた俺に訪れたのは広川の放送だった。
 余った包帯をバッグに押し込みながら、上着を着用し耳を傾ける。

 本当なら少しの時間も無駄にしないためにとっとと動くべきだろうが、死んでしまえばそれで終わりだ。
 俺はまだ生きている。生きていればやれることが必ずある。
 何人もの参加者が死んだが俺は生きているんだ。この生命、粗末に扱うモンじゃない。


 俺は救えなかった。サリアを。
 もうこれ以上、俺の近くで消える生命なんて御免だからな。

 ベッドに横たわるサリアの顔は少し笑っている。
 あの世で少しでも楽しいことがあれば……いいんだろうか。
 全てを終わらせた後に、弔ってやる。
 だから少しの間だけ待っていてくれ。




 放送を聞いた俺はイェーガーズ本部を飛び出した。
 キンブリーが死んだことなんかどうでもよかった。
 この手で決着をつけるつもりだったが、それは仕方が無い。

 里中千枝
 会ったことはないが、天城雪子の友人だ。
 俺は結局、彼女達に何も出来なかった。許せとは言わない。
 ただ、殺し合いを企てた悪を俺が葬ってやる。それがせめてもの手向けになってくれ。


 それよりも、だ。
 セリューの名前を聞いた俺は身体が勝手に動いていた。


 必要以上に正義に囚われていて、狂気的にまで正義を求めていたセリュー。
 それでも俺にとって大切なイェーガーズの仲間だった。
 エスデス隊長と決別した今でも――それが、あの頃の思い出を汚すことにはならない。


『あ』


 走る俺の目の前に謎の物体が話しかける。
 ……本当になんだこれ。喋る帝具の仲間だろうか。
 空中に浮いている蒼い棒切れが言葉を紡いだ。


『お願いです……佐倉様達を救うために力を貸してください』


 サクラってのは誰だか解らない。けど。
 今の俺に救える生命があるなら、この手を傷付けたって最期まで伸ばしてみせる。
 やり直し何て必要無い。その前に俺が止めてやるからな。そんな意気込みじゃないと――心が辛い。

【F-4/一日目/夜】

【ウェイブ@アカメが斬る!】
[状態]:ダメージ(中)、出血(止血済み)、疲労(大)、精神的疲労(大)、左肩に裂傷、左腕に裂傷、全身に切り傷(全て応急処置済)
[装備]:修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る!、エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:ディバック、基本支給品×2、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~3(セリューが確認済み)、首輪×2、タツミの写真詰め合わせ@アカメが斬る!、雷神憤怒”アドラメレク@アカメが斬る!(左腕部のみ 罅割れあり)
[思考・状況]
基本行動方針:ヒロカワの思惑通りには動かない。一度自分達の在り方について話し合い、考え直す。
0:杖の話を聞く。
1:エスデスが誰かを害するのなら倒す。出来れば説得したいが。
2:地図に書かれた施設を回って情報収集。脱出の手がかりになるものもチェックしておきたい。
3:工具は移動の過程で手に入れておく。
4:盗聴には注意。大事なことは筆談で情報を共有。
5:セリューと合流し、一緒に今までの行いの償いをする。
6:サリア……。
[備考]
※参戦時期はセリュー死亡前のどこかです。
クロメの状態に気付きました。
※ホムンクルスの存在を知りました。
※自分の甘さを受け入れつつあります。



【Phrase12:トゥッティ――終曲】




 魔法少女の槍がルビーに切断され、その蹴りをモロに受けた杏子は大地を転がった。
 その背後から拳を翳すエドワードに対し、イリヤは旋回し近距離で砲撃を行った。
 砲撃はエドワードを飛ばしつつ後方に立っていたセリムをも巻き込み、大きな爆発を引き起こした。


 幾分の時がながれ戦闘が加速するも健在なのはイリヤとセリムだろう。
 杏子、エドワード、イリヤ、セリムの順に傷が浅い。
 近距離でしか戦闘方法の無い杏子が一番、傷を負う機会が多くなってしまう。

 エドワードもその性格と戦闘スタイル故、傷が多くなってしまうのも仕方が無い。
 けれど一方的にやられている訳でも無く、イリヤに対して攻撃が通っているのも事実だ。
 交戦を得て彼女の防御能力が大幅に上昇している時が確認されている。
 その時点ではセリムの影すら弾き返すものの、反面的に攻撃は弱くなっている。

 逆にエドワードの錬成した壁を簡単に斬り裂く程、力強い時もあるが、その時は防御能力が下がっている。


「貴方が囮になった隙に私の力で彼女を殺しましょうか」

「俺の前でそんなことしてみろ。お前から先にぶん殴るからな」

「やれやれ……こんな状況でもお人好しですか」


 吹き飛ばされた先で体勢を立て直した二人は掛け合いを行いながら、イリヤを視界に定める。
 セリムは目の前の敵を殺すつもりでいるが、エドワードは彼女を止めるつもりで戦っている。
 そのため、行動や作戦を共有出来ない彼らであるが、地力が強いためそれでも戦闘が成り立っているのは流石と云うべきか。

 エドワードが大地を錬成した土の棒をイリヤに飛ばす。
 その攻撃をルビーの魔力砲撃で破壊する彼女だが、その隙にセリムの影が迫る。

 空中に逃げるもエドワードの錬成した土は複数であり、空にいる鳥を落とすかのように狙いを定めて射出されている。
 合間を縫うように影もイリヤを殺さんと迫っているため、例え防戦であろうと気を抜けば一瞬で形成は逆転するだろう。


『イリヤさん、これ以上戦闘しても無駄に疲れるだけです』

「じゃあ、どうするの」

『話し合って彼らと協力するのは――う』


「次にそれ言ったら壊すよ。優勝するのに仲間なんて、いらない」


『――イリヤさん』

「なに」


『もうこんなこと止めましょう。殺し合いに乗ったって何の意味もありません』


 などと言葉を語らい合う彼女達ではあるが、エドワード達が空気を読んで攻撃を中断する訳では無い。
 彼らに彼女達の声は聞こえていない。止まない嵐の中で主と従者は己の胸の内を語る。


『キンブリーが言ったことなんて忘れてください。
 こんなことをしても誰も、誰も喜びませんよ。イリヤさんが今すべきことは他にもある』


「私が優勝すれば皆を生き返らせる。それがやることであって、みんな幸せだよ?」


 心が壊れている主に向かい、従者は何度でも声を飛ばす。
 こんなことはあってはならない。貴方に似合うのは人を殺すような黒い笑みじゃないから。


『本気で言っているんですか!? 馬鹿ですか、馬鹿ですよ!!
 蘇生魔術を使えばいい? 時と場合を考えてください! それに全てをやり直す規模の魔術をあの広川が使えるとでも思っているんですか!?』


「セリム君は死んでいた……キンブリーさんが言っていたでしょ。
 でも、目の前に居るのは間違いなくセリム・ブラッドレイとしての個体……それも本人だよ?』


『貴方はどうしてそこまで――ッ!』


 躱す攻撃はあれど、交わす言葉はイリヤの心に届かない。
 それ程までにキンブリーの言葉が彼女の中で響いているだろうか。
 ルビーには理解出来ない。あの男が紡いだ言葉は全てが破綻していた。

 狂気じみた意味不明な言葉と理解出来ない信念を勝手に並べた男。
 挙げ句の果てに自らの生命を殺せと命じるイカれた男にルビーは何一つ共感出来なかった。

 イリヤが仲間や友を失った極度の精神状態であったことを含んでも、この変わりようは可怪しい。
 そう思いたいが、現実問題として今の彼女は昔のように笑ってくれない。


『解らずや!! 死んだ人達が!! ――や――様が喜ぶとでも思っているんですか!!』




「なに言っているの」




 空気が凍る。
 少女が呟いた言葉は短いけれど聞いた者の心を支配するような底深い闇を感じさせる。
 近くに居たルビーはおろか、エドワード達も攻撃の手を緩め、少女を見つめていた。
 そして、言葉が、紡がれる。



「私が生き残ればそれで――もう、言わなくても解るよね」



 まるで太陽のような輝きを持つ笑顔で。
 少女は言い切った。

 多くを語らず、少しの言葉で察せ、と。
 生き残ることは優勝を意味する。
 優勝することは――願いを叶える権利を得ることと同意。

 どれだけ、綺麗な言葉を並べ彼女を説得しようにも。

 今の彼女には全く響かない。



『イリヤ……さん。もう貴方は戻るつもりが――戻ることを選ぶことすら出来ないのですね』











「取り込み中悪いけどさ、ちょっと床に足付けようか――あたし達と同じ土俵に立ってさ!」








 空に位置するイリヤよりも更に高いソラから杏子が多節棍を振り回し降下する。
 エドワードの錬成によって隆起した大地から飛び降り奇襲を仕掛けるも――成功だ。

 本来ならば錬成に気付けるだろうが、生憎イリヤとルビーは取り込んでいた。
 取り込みも取り込み、完全に集中していた状態だからこそ奇襲が光る絶好の機会となる。


「絡め――取った!!」


 多節棍は弾かれることなく、空中のイリヤを捉えることに成功し、杏子が力強く自分側に引き寄せた。
 鎖が重なる金属音が耳を傷めつける。風を斬る音が耳を傷めつける。

「離してッ!」

「離してって言われて離すような奴じゃないんだよ、あたしは」

 暴れるイリヤを抑えつけている杏子ではあるが、戦闘の爪痕が響き思うように力が入らない。
 実際に多節棍は僅かでは在るが、対象から離れており、完全に動きを封じれていない。

「――――――っあ!」

 駄々をこねる子供のように暴れ続けたイリヤの右足が杏子の顎を蹴り上げる形となった。
 口から溢れる鮮血、不意打ちを受けた魔法少女の力が弱まってしまう。
 その隙を逃す程、もう一人の魔法少女は甘くない。

「貴方が――堕ちて」

 飛翔の術を持つイリヤは杏子の真上へ移動すると、勢い良く両足を叩き込む。
 それに対し杏子は多節棍を重ね防いではいるが、空を自由に動けない彼女にとっては致命的だった。

 何せそのまま落ちるしか無い故に。

『……すいません』

「――――――――――――サファイアと別れなかったら、よかったかもな」

 落ちる間際に聞こえた謝罪の声に、小さな声で応える。
 誰も悪くない。悪いのは、悪いのは誰でも無い。

 佐倉杏子の脳内に走る感情は弱き自分に対する情けなさ。
 殺し合いに巻きこれてからは己の弱さを痛感するばかりである。
 仲間を守れないどころか、洗脳され外道の尖兵にまで成り下がった。

 己に何が出来たのか。
 自分の周りから人が死んで行き、己だけが生き残る。
 そんな状況がとても辛く、彼女の心は徐々に黒染みを帯びていくばかりである。



「……助けられてばっかだな本当に」



 そして今も。
 大地に叩き付けられる覚悟をしていた彼女だが、待っていたのは硬い土地では無い。

 セリムから伸びる影が自分を包み込んでいた。

「……畜生」

 口から零れた小さい弱音は誰にも届かない。
 ただ、自分の胸を締め付けるように彼女の中で何度も反響する。

 そして。
 役者はもう一人。



 杏子が影に包まれた姿を目撃したイリヤはルビーを掴み周囲を警戒する。
 第一に警戒するのはホムンクルスのプライド――セリム・ブラッドレイだ。

 しかし彼は杏子を救っているだけであり、攻撃する素振りを見せない。
 イリヤの視線に気付いたのか、黒い笑みを浮かべ顔を向けるだけである。

 ならば脅威になる存在はエドワード・エルリックだろう。
 妙な力を扱う彼の出方はまるで想定の域を飛び越えるのだ。視界に収めていなければ厄介だ。
 けれどどれだけ首を動かしても彼の姿が見当たらない。

 大地を何度も往復するように見つめるものの、彼の姿は何処にも無い。
 嘲笑うセリム・ブラッドレイしか発見出来ず、自然とイリヤに焦りが生まれる。


「何処にもいない……?」


「まさか! 俺は此処だ!!」


 上だ。
 空中に居る状態で更に上を見上げると、大地を錬成し塔を創り上げたその先に鋼の錬金術師。
 大地を蹴り上げ、宙に跳ぶとその右腕を振り上げ――振り下ろす。


「目を……醒ましやがれええええええええええええええええええ!!」


 奇襲に対応出来る筈もなく、下された正義の鉄拳は暴れる少女の顔に突き刺さる。
 衝撃と共に加速するその身体は大地へ落ちるのに時間は必要無かったのだ。

 響く音と巻き起こす砂塵。
 エドワードが地上に降りた時には既にイリヤは大地に倒れていた。

「ならば死になさい」

「セ、セリムッ!? 止めろォ!!」


 砂塵が腫れる前にセリム・ブラッドレイは影を使役し、イリヤの息の根を止めようと動く。
 その行動に怒号を飛ばし制止するために走るエドワードだが、セリムは彼にも影を飛ばす。

「私達は利害の一致で共に行動しているのですよ……私は彼女を救うつもりなどありません」

「知るかよそんなの、俺の前でそんな舐めた真似さっせかよ」

 機械鎧に錬成を施したエドワードは影を捌きながらセリムに詰め寄る。
 相手は影であれど、響く音は剣の果たし合いと何ら変わりない。


 距離を詰め切った所で、鋼の錬金術師はホムンクルスの胸ぐらを掴む。

「私を止めた所で彼女は――――――――――そうですか」

 セリムの視線がイリヤの方角へ向いていることに気付いたエドワードの視線も移っていた。
 砂塵が晴れた中で、影は彼女を貫くこと無く、一つの支給品によって守られていたのだ。


『何をするんですか、そんなことはさせません』


 人間ならば己の身体を犠牲にし盾になっていたことだろう。
 倒れる主の前に立った従者に対し、影は止まっていた。
 止めたのは使役者であるセリム・ブラッドレイであるが、何か興味を抱いたのだろうか。

 影は引かれて行き、戦闘は終わりを見せる。
 立っていた者が勝者とするならば。立っているのは三者である。

 佐倉杏子、エドワード・エルリック、セリム・ブラッドレイ。

 明らかに傷を負っているのは彼女達である。
 特に前者二人の損傷が多いが、彼らは今、立っている。


「美味しい所は全部持ってかれたしあたしは力になれた気がしないけど、止めてやったぜ?」


 ルビーに近寄った佐倉杏子が言葉を飛ばす。
 戦闘の際に言われたイリヤを止めること。それを成し遂げたと。
 但し、彼女自身が言うとおり手柄はエドワードとセリムの割合が大きい。
 無論、彼女が力になれなかった訳ではないが、自分の言葉に傷付けられる。























「『止める』――本当に貴様は『止めて』いるのか? 格の違いを見せてやろう」




















【Phrase13:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン――expirant peu a peu】













 たった一つ。

 たった一つでいい。


 もしも、私の願いが届くのなら。

 欲張りは言わないから、一つだけ叶えて欲しい。


 あの頃のように。




 もう一度名前を呼んで。




 そして、みんなで、また笑っていたい。






 それが、私の刹那に思った願い。


【Phrase14:トゥッティ――アンコール】


「テメェ何してんだよ……テメェエエエエエエエエエエ!!」


 怒号と共にエドワードが走りだし、一番来訪者に近い杏子が槍を振り廻す。
 男は槍を片手で受け止めると、握り潰し砕けた破片を迫る錬金術師に投擲する。

 錬成した刃で破片を叩き落とすと、杏子の隣に立ち、敵を睨む。



 突如、戦場に現れた男は背後からの襲撃によりイリヤの額に何かを埋め込んでいた。
 その行動を佐倉杏子は、エドワード・エルリックは知っているのだ。
 あまりにも不気味で、邪悪で、気色悪いその光景に一種の恐怖感を覚えるエドワードと杏子。

 何度か交戦しているため、男のことを知っているつもりだ。
 だが、以前以上に――DIOの身体から発せられる邪悪の波動は深くなっていた。


「まずは佐倉杏子。お前を逃がしたジョセフはこのDIOの糧となった。証拠にこの腕はあの男のものだ」


「テメェ……絶対に許さねえ」


 笑みを浮かべ、まるで裕福な子供が貧富たる下民の大人を嘲笑うかのように。
 遥か高い目線から杏子へ腕を見せ付けるDIOに対し、彼女の怒りは爆発してしまう。


「そして奇妙な小僧か。まだ生きているのか。貴様では役者不足だ、勿論佐倉杏子もだが……消えろ」


「消えるのはどっちか教えてやる……俺もテメェを絶対に許さねえからな」


 鼻で嗤い、まるで虫けらを見下すかのような冷たい視線で。
 帝王の前に立つ人間は全て虫けら同然よ。などと謂わんばかりの態度である。


「そこの……貴様、人間では無いな。大方このDIOには到底及ばない不完全な生命体だろうが……邪魔だ」


「突然現れて何を言い出すかと思えば全く……貴方が消えれば全てが解決しますよ」


 興味を示すもその視線はやはり冷たい。
 ジョースター家の血を己の糧にした今、DIOからしてみれば他の生命体など興味の対象にもならないようだ。


「誰ですか」

「DIO、正真正銘のクソ野郎だ」

 セリムの問に杏子が荒げた言葉を投げ捨てる。
 間違ったことは言っていない。目の前の男は敵だ。どうしようもない悪だ。
 ホムンクルスに言う台詞では無いのかもしれない。だが、参加者の敵であることは確かである。

「なら殺して構いませんね」

 何に対しての「なら」かはいざ知らず、鋭く研ぎ澄まされた影がDIOに迫る。
 すると彼の前に『世界」が発現し、拳を叩き込むことによって影を粉砕した。

「影を操るスタンド能力か……だがこのDIOの前では無意味だ。そうだろう、佐倉杏子」

「知るかよそんなの――誰も無意味なんかじゃ無えんだよ」

 それを認めれば。死んだ人間の生命が無駄だと云うことと、変わりが無い。
 そんなことは絶対に無い。認めるものか。誰も無駄死などしていない。

 杏子が、エドワードが。彼らの仲間が無意味に死んでいったことなどあり得ない。

「吠えるな下等生物め……まあいい。
 貴様らの相手をするのはこのDIOでは無いからな」


 顎でとある方角を指すDIO。
 その先には立ち上がる一人の少女の姿。そして哀しみの色を浮かべるルビー。

 額に眠る悍ましき物体に佐倉杏子とエドワード・エルリックは見覚えがあった。
 心をどす黒い邪悪に染め上げる禁断の種が、イリヤに芽生えていたのだ。



「私が彼らの相手をします……DIO様」



 光の潤いを感じられない瞳で。
 一人の少女が口を開き、主のために己の身を投げ打つ。


「DIO様のために貴方達を殺すね」


 一度始まった悲しみは止まらない。


 止まるとすれば、加速の果てに壁と激突し、消滅する時だけだろう。


【B-4/一日目/夜】



【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(極大)精神的疲労(大)流血(中)骨が数本折れている、顔面打撲
[装備]:自前の槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、医療品@現実、大量のりんご@現実、グリーフシード×4@魔法少女まどか☆マギカ、クラスカード・ライダー&アサシン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、不明支給品0~1
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを壊す。
0:仲間を集める
1:イリヤを何とかしてDIOをぶっ潰す。
2:御坂美琴は―――
3:DIOのスタンドを広める。
4:ジョセフ……。
5:もしさやかが殺し合いに乗っていれば説得する。最悪、ケリはこの手でつける。
[備考]
※参戦時期は第7話終了直後からです。
※DARKER THAN BLACKの世界ついてある程度知りました。
※首輪に何かしらの仕掛けがあると睨んでいます。
※封印状態だった幻惑魔法(ロッソ・ファンタズマ)等が再び使用可能になりましたが、本人は気付いていません。
狡噛慎也タスクと軽く情報交換しました。
※サファイアと契約を結びました。
DIOのスタンド能力を知りました。





「とんでもないことになったな……」

 エドワードのバッグから顔を出したマオが呟く。
 今回の戦闘に置いて唯一の観客と云っても過言では無いだろう。

 彼の言うとおり、イリヤが暴れ、DIOが現れ戦場は混沌と化した。

 終わりを告げる鐘がなっているかすらも解らない。





【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、精神的疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:デイパック×2、基本支給品×2、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、不明支給品0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、パイプ爆弾×4(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ
[思考]
基本:主催の広川をぶっ飛ばす。
0:セリムは保留で、イリヤを止めて、DIOを倒して、御坂を止める――やることが多いなおい。
1:大佐を元の世界に連れ戻して中尉にブン殴らせる。
2:大佐やアンジュ、前川みくの知り合いを探したい。
3:エンブリヲ、DIO、御坂、エスデス、槙島聖護、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。
4:一段落ついたらみくを埋葬する。
5:首輪交換制度は後回し。
[備考]
※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。
※前川みくの知り合いについての知識を得ました。
※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。関与していない可能性も考えています。
※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。
※狡噛慎也、タスクと軽く情報交換しました。
※エスデスに嫌悪感を抱いていますが、彼女の言葉は認めつつあります。



【セリム・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:疲労(中)、精神不安定(ごく軽度)、迷い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2 、星空凛と蘇芳・パブリチェンコの首輪
[思考]
基本:今は乗らない。
1:この状況を終わらせる。それまで鋼の錬金術師とは共闘する。
2:無力なふりをする。
3:使えそうな人間は利用。
4:正体を知っている人間の排除。
5:ラースが…?
[備考]
※参戦時期はキンブリーを取り込む以前。
※会場がセントラルにあるのではないかと考えています。
※賢者の石の残量に関わらず、首輪の爆発によって死亡します。
※DARKER THAN BLACK、ラブライブ!、アイドルマスターシンデレラガールズ、とある科学の超電磁砲の世界観を知りました
※殺し合いにお父様が関係していないと考えています
※新一、タスク、アカメ達と情報交換しました。
※マスタングが人体錬成を行っていることを知りました。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:魔力消費(残り5割)、疲労(大)、両肩に風穴(修復済み)、額に肉の芽
[装備]:カレイドステッキ・マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード・アーチャー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:デイパック×3、基本支給品×3、DIOのエキスが染みこんだイリヤのハンカチ、DIOのサークレット、キンブリーの錬成した爆弾×2、死者行軍八房@アカメが斬る!、美少女聖騎士プリティ・サリアンセット@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞
クロエの首輪、イギーの首輪、クロメの首輪、空条承太郎の首輪、花京院の首輪、キンブリーの首輪、セリューの首輪、不明支給品0~1
[思考]
基本:美遊とクロの味方として殺し合いに乗って二人を蘇らせる。
0:DIOの命令に従う
1:エドワード達を殺す。
[備考]
※参戦時期は2wei!の調理実習終了後。
※『カレイドルビー』の制限は、自立行動禁止、引き出せる魔力の絶対量低下。
※『カレイドルビー』には、誰でも使える改造が施されており、さらに吸血鬼の血を吸った事で何がしかの不具合が起きているようです。
※アカメ達と参加者の情報を交換しました。
※黒達と情報交換しました。
※「心裡掌握」による洗脳は効果時間が終了したため解除されました。
※クロエに分かれた魔力を回収したため、イリヤ本来の魔力が復活しました。



【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ】
[状態]:最高にハイ、ジョセフの右腕
[装備]:悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!
[道具]:ディパック×1 基本支給品×1 ドミネーター@PSYCHO PASS-サイコパス-(電池切れ) 食蜂操祈の首輪ジョセフの首輪
[思考]
基本:生き残り勝利する。 最早この帝王に油断はない。
0:エスデスは必ず殺す。
1:エスデス、御坂美琴、寄生生物を探し殺す。
[備考]
※禁書世界の超能力、プリヤ世界の魔術、DTB世界の契約者についての知識を得ました。
※参戦時期は花京院が敗北する以前。
※『世界』の制限は、開始時は時止め不可、僅かにジョースターの血を吸った現状で1秒程度の時間停止が可能。
※『肉の芽』の制限はDIOに対する憧れの感情の揺れ幅が大きくなり、植えつけられた者の性格や意志の強さによって忠実性が大幅に損なわれる。
※『隠者の紫』は使用不可。
※悪鬼纏身インクルシオは進化に至らなければノインテーターと奥の手(透明化)が使用できません。
※暁美ほむらが時間停止の能力を持っていることを認識しました。また、承太郎他自分の知らない参加者も時間停止の能力を持っている可能性を考えています。
※魔法少女についての基礎知識を得ました。
1.魔法少女とは奇跡と引き換えにキュゥべえと契約してなるものである。
2.ソウルジェムは魔法を使う度に濁り、濁りきると魔法が使えなくなる。穢れを浄化するにはグリーフシードが必要である。
※エスデスが時間停止の能力を持っている、或いは世界の領域に侵入出来ることを知りました。


※武器庫の首輪交換システムは世界によって奈落へ落とされました。
※DIOはエドワード達と交戦する気は一切ありません。


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147:とんとん拍子 セリム・ブラッドレイ 174:絶望を斬る
160:その血の運命 佐倉杏子
155:誰が猫の首に鈴を付けるのか? エドワード・エルリック
145:かわいい破滅 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
160:その血の運命 DIO
153:堕ちた偶像 ウェイブ
最終更新:2016年03月17日 11:16