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ナイトメア・チルドレン(後編) - (2008/02/23 (土) 19:35:23) の1つ前との変更点
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**ナイトメア・チルドレン(後編) ◆tu4bghlMIw
絶対遵守という概念を念頭に置き、人の精神に干渉をする場合、その精神に最も手を加えずに済む条件付けとは何だろうか。
……いや、質問を変えよう。
『最も優しい、イージーな精神干渉とはなんだろうか?』
例えば博愛主義者に殺人を命じるのはどうか。
これはその人物の意志、信念、存在全てを否定して掛かる指令だろう。
考えたくもない話だが、ギアスの効力が弱っている今、感情の爆発によって抗われても不思議ではない。
同時に今すぐに自殺しろ、と命じるのもハードルは高い。
人の生存本能という奴は意外なくらい厄介だ。
生命活動に支障を来たす命令は躯が、心が全力で否定しかかる筈だ。
……もっとも、俺が初めて使用したギアスは『複数の人間に自殺を命じる』ものだった訳だが。
「きゃぁぁあああああああああああっ!!!」
最高のタイミングで、奥の部屋からニアの凄まじい絶叫が響いた。
「……ッ…………ニアっ!?」
「お姫様の悲鳴、ナイトの出番ってことかな!」
「むぅぅぅぅうううっ!? こ、小娘!? どうした、何が起こったのだ!?」
応接間で休息していた俺を含む三人が、その声を聞いて一斉に走り出す。
ビクトリームなぞ、わざわざラジカセのスイッチを切る気の利かせようである。
……普段から、それくらい気を遣ってくれると嬉しいのだが。
当然、俺もわざとらしいくらいに『驚いた振り』をする。
ここまで全てが予想と同じ展開だとしても、だ。
脳内を揺さぶるような凄まじい痛みに耐えながら狭い通路を駆け抜ける。
だが、この程度ならば昏倒するレベルには達していない。
大丈夫だ……少なくともマトモに頭は回る。
「ベルゥィィィィィィシィィッット!! 小娘ぇぇぇぇぇっ!!」
「……ジン! どうなって……いるんだ!?」
「辛そうだね、ルルーシュ」
「……持病の偏頭痛がな」
「ソレはお気の毒に。とりあえず、ランチのお盆を引っ繰り返したって訳じゃないのは確かだね」
一気に奥の部屋へ。
マタタビが眠っていた部屋、いや今ニアが『薬』を持って行った部屋へと向かう。
さて。そろそろ、先ほどの質問の解答編へと進もうか。
確かに精神干渉にも色々なケースがあるだろう。
だが、少なくとも主義、主張、信念、本能などの人間の奥底に眠る問題に対しての接触はタブーだ。
これらは若干ハードルの高い課題である。追々実験していかなければならないことでもあるが。
ならば記憶の操作か?
だがコレも感情に絡む場合が多い。
一人の人間に関する記憶を全て抹消する――などと命じた場合、
消し去った相手への感情如何によっては、ある種の抵抗などが生まれるかもしれない。
ならば最も簡単な命令とは『どうでもいいことを忘れさせる』ではないだろうか。
俺がニアに掛けたギアスは非常に単純なモノだ。
ほんの小さな記憶の転換。小さな綻び。
実際、ギアスを使わなくても「~ってなんですか?」としばしば尋ねる彼女ならば、言葉だけでも騙せたかもしれない。
ただ俺は彼女の瞳を見つめながら、囁いただけだ。
『毒についての記憶を全て忘れろ』と。
後は全てニアが『自主的』にやってくれる。
俺がやったのはカプセルの説明書きを握り潰し、新たに『薬入りカプセル。凄く良く効く薬』と書いた紙を忍ばせたこと。
そして「薬なんて面白い支給品を持っているね。怪我人が沢山出そうなこの状況じゃきっと役立つだろうね」と助言をしたこと。
たったのこれだけである。
優しい心とそして人を疑うことを知らないニアのことだ。
そのまま、マタタビに毒入りカプセルを飲ませたに違いない。いや『ほぼ確実に飲ませる』と思っていた。
そして奴が死んだ後で悲鳴を上げた、と。
当然、このような間接的なギアスを掛けたのには様々な理由がある。
その相手にニアを選んだことにも、だ。
まず少なくともこの先ギアスを《切り札》として使って行くためには、早い段階で誰かに実験台になって貰う必要があった。
使用者への強烈な負担、有効期間の減少などルールに反故が発生している。
幾つか情報を集めなければ、肝心な時に武器にならない訳だ。
『マタタビを殺せ』と命じることは簡単だ。だが、これには様々な問題が浮上する。
しかも、ギアスのルールの一つ『命令された人間は、ギアスがかけられる前後の記憶に対しての欠損が起こる』さえ消滅しているかもしれなかった。
故に攻撃的な命令は極力控えた方がいいと判断した。
が、どうやらこのルールに関しては元のままであったようだ。これは貴重な収穫だろう。
そして更に俺自身への負担の問題もある。
何故、あの時俺はギアスを掛けた後に気絶してしまったのだろうか。
掛けた内容?
掛けた人数?
それとも条件が複雑過ぎたのか?
奴らの中にギアスの内容と激しく信念を別にする人間がいたのだろうか?
疑問は尽きない。
故に今回は最も単純な条件に限定して実験を行った。
つまり『一人に』『ギアスの副作用の延長である最も単純な記憶の消去を』『イデオロギーの絡まない条項へと』使用した訳だ。
結果として俺は強烈な頭痛と疲労感に襲われこそはしたが、気絶はしなかった。
少なくとも単純な記憶消去ならば、十分に実用に値することが証明出来たのだ。
そもそも、マタタビはゼロに関する情報を持った数少ない参加者の一人だ。
つまり追々死んで貰わなければならない。しかも重傷を負って動けない。
戦力的価値もなく、生きているに値しない。
最後に何故、ニアにギアスを使ったのかについて。
これは最も肝心な『仕上げ』に必要なことだから、の一言で済む。
絶対に必要な駒であるニアにマインドコントロールを目的としたギアスは使用出来ない。有効期間の問題があるからだ。
つまり《信頼》を勝ち取ることが何よりも大切なのである。
「ブルゥァァァァァァァアアアアッ!!! 小娘、無事かぁぁああああ!! ………………って……アレ?」
「……コイツは。本当に特大の爆弾だった、って訳かな」
先頭のビクトリームがドアを蹴破り、部屋へと突入する。
続いてジン。最後に頭を抑え、足を引き摺りながら俺は躯を滑り込ませる。
広がる光景は何もかもが、想像していたものと同じだった。
純白のベッドを口から吐き出した血液で染め絶命しているマタタビ。
その隣で呆然とした表情のまま、腰が抜けたようにへたり込むニア。
どんな言葉を掛ければいいのか、戸惑いの表情を隠せないジンとビクトリーム。
そして一人、誰にも気付かれずに笑いを噛み殺す俺。
そう、全ては――計画通りだ。
&color(red){【マタタビ@サイボーグクロちゃん 死亡】}
□
「あの、ごめんなさい。毒って……なんですか?」
と、ニアが言い出した時の他の連中の表情は、怒りを通り越して呆れていたようにさえ思える。
それは、あまりにも罪深い一言だった。
『無知とは罪である』と語ったのは、どこの哲学者だっただろうか。
まさか、ここまでその言葉を体感出来ようとは思いもしなかった。
「ば、馬鹿にしてるのっ!!! アンタ、内容の分からない薬を飲ませたって言うのか!?」
「……ごめんなさい。確かに『凄い良く効く薬』だと書いてあったんです」
「御免で済む訳がないだろ! 死人が……出ているんだから」
凄まじい勢いで悲鳴を聞き付けて帰って来たカレンがニアに噛み付く。
今回は以前行われた『螺旋王と繋がっているのではないか』という種の詰問を越え、明らかな尋問へと変化している。
少なくとも今回、マタタビを殺害したのが毒薬であり、それを飲ませたのがニアであるという事実に変わりはないのだから。
「まぁまぁカレンおねーさん。ここは落ち着いて。あんまり怒ると可愛い顔に皺が寄るよ?」
「ジン! 何を言って……ふざける場面じゃないだろ!?」
「……ジンが言いたいのは、お前は頭に血が昇り過ぎってことだよ。質問する奴が顔真っ赤にしてどうする」
カレンはスパイクに言い返そうとするが、さすがに自らの態度が不味かったと悟ったのか握り締めた拳を降ろした。
キッと口唇を真一文字に結び、ニアを射殺さんばかりの視線で睨む。
カレンはジンがおそらく日本人である、と考えているのだろう。彼に向かって話す時は、若干言葉尻が軽くなっている。
「ここは俺が仕切らせて貰う。まず……簡単に纏めると、ニアお嬢ちゃんは支給品に良く効く薬があることを思い出した。
そして、それをマタタビに飲ませた。が、その後にマタタビは血を吐いて死んじまった――これで合ってるかい?」
「……はい。間違いありません」
「OK。じゃあ、落ち着いて答えてくれ。飲ませたのは確かに薬だったんだな? まだ残ってるかい?」
「いいえ。袋は残っているんですが……薬はもう……」
ニアが項垂れたまま、スパイクの質問に答える。
そう、ニアはもう薬を持っていない。
これは『命令された人間は、ギアスがかけられる前後の記憶に対しての欠損が起こる』ことの実験だった。
ギアスを掛けた際にカプセルを一つだけ彼女に渡し、残りは俺が回収しておいた訳だ。
故にルール通り、記憶を失ったニアから手に入れた毒入りカプセルは厳重に梱包して俺が持っている。
「……そうか。じゃあ次の質問だ。単刀直入に聞こう、マタタビを殺すつもりはあったのかい?」
「そんなまさかっ!! マタタビさんを殺したいなんて私が思う訳がありません!!」
「ニア!! アンタまだそんなことっ!!」
「カレンおねーさん、ここは抑えて抑えて。ね?」
……じっとしていられないのか、コイツは。
とはいえ、カレンの日本人以外の人間に対する露骨な感情はどうしようもないのかもしれない。
特にニアはブリタニア人の見た目とそっくりだ。
チャイニーズ系らしいスパイクにすら、あれだけの態度で応じるカレンがニアに不快感を覚えるのも無理はないのか。
なにしろ、最愛の兄――紅月ナオトを殺されているからな。
カレンがレジスタンス運動をしているのも、全て兄への想いを継ぐためだ。
が、そろそろ俺も動かなければならないだろう。
ここまでは予想の範疇だ。そしてこの先が勝負の分かれ道でもある。
「皆――聞いて欲しいことがある。実は、マタタビが死んだのは……俺の責任でもあるんだ」
「え……ど、どういうことなのっ、ルルーシュ!?」
「落ち着いて、カレン。実はニアが『薬』を持っていることを俺も知っていたんだ」
「ル、ルルーシュさん! 悪いのは私ですっ! ルルーシュさんは何も……」
ニアがガバッと頭を上げ、必死で『俺は無実だ』と弁明してくれる。
思わず浮かび上がって来る愉悦に浸りそうになる。いや……まだ早い。
これこそが俺が望んでいた展開だ。そして、
「皆、すまない。皆の怒りはニアの代わりに俺が全て引き受ける。だから、ニアを……許してやってくれないか」
俺は深々と頭を下げた。
ニアが息を呑む声が聞こえた。カレンが何かを呟いているがボリュームが微量過ぎて聞こえない。
ジンが茶化すように小さく口笛を吹いた。スパイクは肩を大きく溜息を付いた。
ビクトリームはどうもニアがマタタビを殺した事実があまりにもショックだったらしい。
石になったように隅で固まっている。
くだらないプライドなどいくらでも捨てても構わない。
いっそ土下座ぐらいしてやっても良かったが、さすがにそこまでやると演技が過剰だろう。
必要なのは――このゲームを生き残るための力だ。
確信する。
今、この瞬間。
俺はギアスでは決して手に入れることの出来ない力――『信頼』を勝ち取ったということを。
□
「ルルーシュ、本当に……あの子と行くの?」
「ああ。俺はともかく、カレン達は普段通りに付き合うのは難しいだろう。……ニアのこともあるしな。
でも、心配することはないさ。短い別れだよ」
「……うん」
そう、俺とニア――そしてビクトリームはカレン達と別れて別ルートで行動することになった。
人が死んだ場所にいつまでも留まっているのは流石に気が引ける。
カレン達はマタタビを埋葬してから、移動を始めるようだった。
目的地はひとまずB-4の図書館に設定した。
俺たちが右回り、そしてジン達が左回り。
ルートはその時の状況を考えながら臨機応変に、とまで決定した。
清麿というジンの有力な仲間の情報も手に入れ、明確な脱出に向けたプランが出来上がりつつあると言えるだろう。
またビクトリームの支給品だったという銃も入手出来たため、ある程度の武力も入手した。
特にジンの能力は有望だ。
行動力があり、知識も豊富で、加えて場慣れしている。
頭が固くなく、柔軟な思考が出来る点も大きい。出来れば奴とは再会したい所だ。
さて――それでは、最後の詰めに入るとするか。
「カレン」
「……え?」
「《ゼロ》として命じる――スパイクを殺せ」
完全に意気消沈していていたカレンの耳元で、俺は最後の目的を告げた。
ルルーシュ・ランペルージではなく、ゼロとして。
「マタタビを殺したのは奴だ」
「え……でも、私達は外に……!! それに毒だって……」
「おそらく隙を見て取り替えたのだろう。ニアは抜けている所があるから、十分に可能な筈だ」
「でも……」
我ながらなんとムチャクチャな理論だろうか。
そもそも、ニアは毒薬を肌身離さず持っていたのでどう考えても摩り替えるのは不可能。
そしてマタタビ殺害の実行犯はニア、黒幕は俺――これは揺るぎない事実だ。
とはいえ、
「カレンッ!! 何故分からない!?」
「ルル――」
「奴は《ゼロ》の正体を知ってしまった。それだけで殺されるには十分だということを!」
「――ッ!!!」
こう言ってやれば、カレンは"絶対"に断ることは出来ない。
奴は黒の騎士団の団員。ゼロの命令は絶対なのだから。
そして同時にカレンはこの瞬間、理解した筈だ。
俺が本当はゼロを捨てたのではなく、三代目ゼロとしての自覚を持っているという事実に。
「――分かりました、ゼロ」
「ああ。死ぬなよ、カレン」
「ブリタニアから日本を解放するまでは死んでも死に切れません」
「…………ゼロも、いい部下を持ったものだ」
カレンがキッ、と眉を上げこちらを真剣な眼差しで見つめた。
俺もソレに応えるように小さく頷く。そして背中を向けた。
本当に、心の底からそう思うよ……カレン。
しかし、お前の力では奴を仕留めることはおそらく不可能だろう。
そんなことは十分過ぎる程分かっている。
でもさ……せめて深手を負わせる、くらいは期待してもいいだろう?
なにしろ《ゼロ》の正体を知ってしまったのはお前達二人なんだからさ。
「うぉぉぉいいいいいい!! ルルゥゥゥーシュゥウ!!! 早く来んかぁぁああ!」
山道の方角からビクトリームの野太い声が響いた。
ニアの姿も見える。未だ顔色が優れない。
無理もないか。凶器は毒だったとはいえ、人を一人殺したのだから。
彼女の悪夢が過ぎ去る夜はおそらく来ないだろう。そう、永遠にだ。
ビクトリームは何だかんだ言って、ニアのことが心配らしい。
表面的には「お前がメロンを持っているから」などと言っていたが。
とはいえ、彼女が進んで殺人など犯す筈がないと一番強く思っているのも彼だろう。
意外に仲間思いな奴なのかもしれないな。少なくとも俺以上なのは確実だ。
「ルルーシュ? どうしたんですか、とても……嬉しそうですよ?」
「え、あ……気付かなかったな」
俺は、気が付けば笑っていた。
それが手を振るニア達に向けたものだったのか、それとも別の理由だったのかは分からない。
だけど、
とにかく、
どうしようもない位に、
俺は愉快で愉快で堪らなかった。
【D-7/山道/一日目/夜中】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:肉体的疲労(大)、中度の頭痛
[装備]:ベレッタM92(残弾15/15)@カウボーイビバップ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)、メロン×11個 、ノートパソコン(バッテリー残り三時間)@現実、ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ 、予備マガジン(9mmパラベラム弾)x1、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
[思考]
基本:何を代償にしても生き残る。
1:清麿との接触を含む、脱出に向けた行動を取る。
2:適当な相手に対してギアスの実験を試みる。
3:以下の実行。
「情報を収集し、掌握」「戦力の拡充」「敵戦力の削減、削除」「参加者自体の間引き」
4:余裕があればモノレールを調べる。
[備考]
※首輪は電波を遮断すれば機能しないと考えています。
※ギアスを使った影響は若干収まってきましたが、いまだ頭痛があります。
※清麿メモの内容を把握しました。
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神的疲労(大)、ギアス
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式
[思考]:
1:ルルーシュとビクトリームと一緒に脱出に向けて動く。
2:ビクトリームに頼んでグラサン・ジャックさんに会わせてもらう。
3:シータを探す
4:お父様(ロージェノム)を止める
5:マタタビを殺してしまった事に対する強烈な自己嫌悪
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。
※ギアス『毒についての記憶を全て忘れろ』のせいで、ありとあらゆる毒物に対する知識・概念が欠損しています。有効期間は未定。
※ルルーシュは完全に信頼。スパイク、ジンにもそこそこ。カレンには若干苦手な感情。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:静留による大ダメージ、鼻を骨折、歯二本欠損、股間の紳士がボロボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム不明支給品x1、魔本
[思考・状況]
1:……小娘が人殺し?どうなっておるのだ?
2:奴らには付いていくのはメロンが欲しいからで、別に心配なぞしておらんぞ!?
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースはあきらめかけており、カミナに希望を見出しはじめています。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。
※ニアとジンにはマタタビの危険性について話していません。
※持っていたベリーなメロンはジンを待っている間に完食しました。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:疲労(小)精神疲労(中)若干不安定
[装備]:ワルサーP99(残弾15/16)@カウボーイビバップ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿
[思考]:
基本:黒の騎士団の一員として行動。ゼロの命令を実行する。
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:スパイクを出来るだけ密かに始末する。
2:ゼロ(ルルーシュ)に指示を仰ぐ
3:先代ゼロ(糸色望)の仇を取る
[備考]
※マタタビを殺したのはニアだと思っています。
※ジンは日本人ではないかと思っています。
□
(どうしたもんかね……。清麿、こっちは最高にグチャグチャな状況だよ? そっちはどうなっている?)
山荘に残されたジンは一人応接間で考え込んでいた。
マタタビを殺したのは本当にニアなのか。
それも彼女自身の意思によるものなのか。
支給されていた薬が実は毒だった……などという事実がありえるのだろうか。
(綺麗な色してるよ……これで人が死ぬなんて思えないくらいにさ)
ジンはポケットからカプセルを取り出した。
赤と白――ニアに支給された毒入りカプセルである。
ちなみにこれはルルーシュが厳重に梱包したつもりで、うっかり落としてしまったものである。
三人が去った後に、部屋の隅に落ちているのをジンが発見したのだ。
(ルルーシュは信用出来ると思うけど……お姫様は……難しいな)
あの状況でニアを庇うことが出来るなんて、ルルーシュは中々大した男だと思う。
さすがにあの時、自分さえ彼女を擁護しようという気持ちを持てなかったのに。
(キール……お前なら、あの子にも最高のエスコートをしてやれたのかね。女の子の扱いはお前の専門だった筈なのにな)
命を落とした――らしい、相棒の姿を思い浮かべる。
そして漏れる落胆の声。完全に忘れ去るのは中々に酷という奴だ。
スパイクも顔には出していなかったが、相当に堪えている筈だ。
確か読子とエドという知り合いが二人死んだらしい。
(ま。実際、問題は山積みだけどね)
夜は深く、少年の心は未だ晴れない。
芽生えた疑惑の種はゆらゆらと蔦を伸ばし、空を駆ける大ドロボウへと絡みつく。
悪夢の中で彼が何を思うのか。それはまた別のお話。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:ラッド、ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
2:ニアに疑心暗鬼。
3:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
4:この事件の真相について考える
※消防車は山荘の隣に止めてあります。
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
□
(ったく……どうなってやがるんだ)
完全に後手に回った――そう言わざるを得ないだろう。
まさか自分が見回りに出ている間に、死者が出るなんて思いもしなかった展開だ。
読子とエドの死について、少しじっくり考えたかったのだがそうも行かないらしい。
(八神もリードマンもエドも皆死んだ……ってか。おいおい、マジかよ? これ)
マタタビを殺したのは……まぁおそらくニアだとは思う。
うっかり、という奴なのか。――実際、うっかりで人が死ぬのは困るのだが。
ルルーシュには迷惑を掛けるが、こうするしかなかったようにも思える。
(さてと……螺旋のお姫様の相手は終わって、次はも駄々っ子嬢ちゃんの相手か。……めんどくせぇ)
メンバーの中で唯一の大人である自分が、もう少ししっかりしなければならないのかもしれない。
ただでさえ、ガキやガキに近い精神状態の人間が多いのだから。
「それにしても……」
スパイクは辺りを見回しながら、何となく呟いた。
「お姫様の飯を食いそびれたのだけは、幸福だったのかもな」
凄まじい異臭を放つキッチンの奥の料理を見つめながら、スパイクは苦笑いを浮かべた。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:満腹、疲労(小)、全身打撲、胸部打撲、右手打撲(一応全て治療済みだが、右手は痛みと痺れが残ってる)
[装備]:デザートイーグル(残弾7/8、予備マガジン×2)
[道具]:デイバック、支給品一式(-メモ) ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
[思考]
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:とりあえずもう一度さっきの出来事について考えてみる
2:カレンをそれとなく守る。もちろん監視も
3:ジェットは大丈夫なのか?
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|カレン・シュタットフェルト||
|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|スパイク・スピーゲル||
|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|ジン||
|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|ニア||
|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|ビクトリーム||
|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|&color(red){マタタビ}||
**ナイトメア・チルドレン(後編) ◆tu4bghlMIw
絶対遵守という概念を念頭に置き、人の精神に干渉をする場合、その精神に最も手を加えずに済む条件付けとは何だろうか。
……いや、質問を変えよう。
『最も優しい、イージーな精神干渉とはなんだろうか?』
例えば博愛主義者に殺人を命じるのはどうか。
これはその人物の意志、信念、存在全てを否定して掛かる指令だろう。
考えたくもない話だが、ギアスの効力が弱っている今、感情の爆発によって抗われても不思議ではない。
同時に今すぐに自殺しろ、と命じるのもハードルは高い。
人の生存本能という奴は意外なくらい厄介だ。
生命活動に支障を来たす命令は躯が、心が全力で否定しかかる筈だ。
……もっとも、俺が初めて使用したギアスは『複数の人間に自殺を命じる』ものだった訳だが。
「きゃぁぁあああああああああああっ!!!」
最高のタイミングで、奥の部屋からニアの凄まじい絶叫が響いた。
「……ッ…………ニアっ!?」
「お姫様の悲鳴、ナイトの出番ってことかな!」
「むぅぅぅぅうううっ!? こ、小娘!? どうした、何が起こったのだ!?」
応接間で休息していた俺を含む三人が、その声を聞いて一斉に走り出す。
ビクトリームなぞ、わざわざラジカセのスイッチを切る気の利かせようである。
……普段から、それくらい気を遣ってくれると嬉しいのだが。
当然、俺もわざとらしいくらいに『驚いた振り』をする。
ここまで全てが予想と同じ展開だとしても、だ。
脳内を揺さぶるような凄まじい痛みに耐えながら狭い通路を駆け抜ける。
だが、この程度ならば昏倒するレベルには達していない。
大丈夫だ……少なくともマトモに頭は回る。
「ベルゥィィィィィィシィィッット!! 小娘ぇぇぇぇぇっ!!」
「……ジン! どうなって……いるんだ!?」
「辛そうだね、ルルーシュ」
「……持病の偏頭痛がな」
「ソレはお気の毒に。とりあえず、ランチのお盆を引っ繰り返したって訳じゃないのは確かだね」
一気に奥の部屋へ。
マタタビが眠っていた部屋、いや今ニアが『薬』を持って行った部屋へと向かう。
さて。そろそろ、先ほどの質問の解答編へと進もうか。
確かに精神干渉にも色々なケースがあるだろう。
だが、少なくとも主義、主張、信念、本能などの人間の奥底に眠る問題に対しての接触はタブーだ。
これらは若干ハードルの高い課題である。追々実験していかなければならないことでもあるが。
ならば記憶の操作か?
だがコレも感情に絡む場合が多い。
一人の人間に関する記憶を全て抹消する――などと命じた場合、
消し去った相手への感情如何によっては、ある種の抵抗などが生まれるかもしれない。
ならば最も簡単な命令とは『どうでもいいことを忘れさせる』ではないだろうか。
俺がニアに掛けたギアスは非常に単純なモノだ。
ほんの小さな記憶の転換。小さな綻び。
実際、ギアスを使わなくても「~ってなんですか?」としばしば尋ねる彼女ならば、言葉だけでも騙せたかもしれない。
ただ俺は彼女の瞳を見つめながら、囁いただけだ。
『毒についての記憶を全て忘れろ』と。
後は全てニアが『自主的』にやってくれる。
俺がやったのはカプセルの説明書きを握り潰し、新たに『薬入りカプセル。凄く良く効く薬』と書いた紙を忍ばせたこと。
そして「薬なんて面白い支給品を持っているね。怪我人が沢山出そうなこの状況じゃきっと役立つだろうね」と助言をしたこと。
たったのこれだけである。
優しい心とそして人を疑うことを知らないニアのことだ。
そのまま、マタタビに毒入りカプセルを飲ませたに違いない。いや『ほぼ確実に飲ませる』と思っていた。
そして奴が死んだ後で悲鳴を上げた、と。
当然、このような間接的なギアスを掛けたのには様々な理由がある。
その相手にニアを選んだことにも、だ。
まず少なくともこの先ギアスを《切り札》として使って行くためには、早い段階で誰かに実験台になって貰う必要があった。
使用者への強烈な負担、有効期間の減少などルールに反故が発生している。
幾つか情報を集めなければ、肝心な時に武器にならない訳だ。
『マタタビを殺せ』と命じることは簡単だ。だが、これには様々な問題が浮上する。
しかも、ギアスのルールの一つ『命令された人間は、ギアスがかけられる前後の記憶に対しての欠損が起こる』さえ消滅しているかもしれなかった。
故に攻撃的な命令は極力控えた方がいいと判断した。
が、どうやらこのルールに関しては元のままであったようだ。これは貴重な収穫だろう。
そして更に俺自身への負担の問題もある。
何故、あの時俺はギアスを掛けた後に気絶してしまったのだろうか。
掛けた内容?
掛けた人数?
それとも条件が複雑過ぎたのか?
奴らの中にギアスの内容と激しく信念を別にする人間がいたのだろうか?
疑問は尽きない。
故に今回は最も単純な条件に限定して実験を行った。
つまり『一人に』『ギアスの副作用の延長である最も単純な記憶の消去を』『イデオロギーの絡まない条項へと』使用した訳だ。
結果として俺は強烈な頭痛と疲労感に襲われこそはしたが、気絶はしなかった。
少なくとも単純な記憶消去ならば、十分に実用に値することが証明出来たのだ。
そもそも、マタタビはゼロに関する情報を持った数少ない参加者の一人だ。
つまり追々死んで貰わなければならない。しかも重傷を負って動けない。
戦力的価値もなく、生きているに値しない。
最後に何故、ニアにギアスを使ったのかについて。
これは最も肝心な『仕上げ』に必要なことだから、の一言で済む。
絶対に必要な駒であるニアにマインドコントロールを目的としたギアスは使用出来ない。有効期間の問題があるからだ。
つまり《信頼》を勝ち取ることが何よりも大切なのである。
「ブルゥァァァァァァァアアアアッ!!! 小娘、無事かぁぁああああ!! ………………って……アレ?」
「……コイツは。本当に特大の爆弾だった、って訳かな」
先頭のビクトリームがドアを蹴破り、部屋へと突入する。
続いてジン。最後に頭を抑え、足を引き摺りながら俺は躯を滑り込ませる。
広がる光景は何もかもが、想像していたものと同じだった。
純白のベッドを口から吐き出した血液で染め絶命しているマタタビ。
その隣で呆然とした表情のまま、腰が抜けたようにへたり込むニア。
どんな言葉を掛ければいいのか、戸惑いの表情を隠せないジンとビクトリーム。
そして一人、誰にも気付かれずに笑いを噛み殺す俺。
そう、全ては――計画通りだ。
&color(red){【マタタビ@サイボーグクロちゃん 死亡】}
□
「あの、ごめんなさい。毒って……なんですか?」
と、ニアが言い出した時の他の連中の表情は、怒りを通り越して呆れていたようにさえ思える。
それは、あまりにも罪深い一言だった。
『無知とは罪である』と語ったのは、どこの哲学者だっただろうか。
まさか、ここまでその言葉を体感出来ようとは思いもしなかった。
「ば、馬鹿にしてるのっ!!! アンタ、内容の分からない薬を飲ませたって言うのか!?」
「……ごめんなさい。確かに『凄い良く効く薬』だと書いてあったんです」
「御免で済む訳がないだろ! 死人が……出ているんだから」
凄まじい勢いで悲鳴を聞き付けて帰って来たカレンがニアに噛み付く。
今回は以前行われた『螺旋王と繋がっているのではないか』という種の詰問を越え、明らかな尋問へと変化している。
少なくとも今回、マタタビを殺害したのが毒薬であり、それを飲ませたのがニアであるという事実に変わりはないのだから。
「まぁまぁカレンおねーさん。ここは落ち着いて。あんまり怒ると可愛い顔に皺が寄るよ?」
「ジン! 何を言って……ふざける場面じゃないだろ!?」
「……ジンが言いたいのは、お前は頭に血が昇り過ぎってことだよ。質問する奴が顔真っ赤にしてどうする」
カレンはスパイクに言い返そうとするが、さすがに自らの態度が不味かったと悟ったのか握り締めた拳を降ろした。
キッと口唇を真一文字に結び、ニアを射殺さんばかりの視線で睨む。
カレンはジンがおそらく日本人である、と考えているのだろう。彼に向かって話す時は、若干言葉尻が軽くなっている。
「ここは俺が仕切らせて貰う。まず……簡単に纏めると、ニアお嬢ちゃんは支給品に良く効く薬があることを思い出した。
そして、それをマタタビに飲ませた。が、その後にマタタビは血を吐いて死んじまった――これで合ってるかい?」
「……はい。間違いありません」
「OK。じゃあ、落ち着いて答えてくれ。飲ませたのは確かに薬だったんだな? まだ残ってるかい?」
「いいえ。袋は残っているんですが……薬はもう……」
ニアが項垂れたまま、スパイクの質問に答える。
そう、ニアはもう薬を持っていない。
これは『命令された人間は、ギアスがかけられる前後の記憶に対しての欠損が起こる』ことの実験だった。
ギアスを掛けた際にカプセルを一つだけ彼女に渡し、残りは俺が回収しておいた訳だ。
故にルール通り、記憶を失ったニアから手に入れた毒入りカプセルは厳重に梱包して俺が持っている。
「……そうか。じゃあ次の質問だ。単刀直入に聞こう、マタタビを殺すつもりはあったのかい?」
「そんなまさかっ!! マタタビさんを殺したいなんて私が思う訳がありません!!」
「ニア!! アンタまだそんなことっ!!」
「カレンおねーさん、ここは抑えて抑えて。ね?」
……じっとしていられないのか、コイツは。
とはいえ、カレンの日本人以外の人間に対する露骨な感情はどうしようもないのかもしれない。
特にニアはブリタニア人の見た目とそっくりだ。
チャイニーズ系らしいスパイクにすら、あれだけの態度で応じるカレンがニアに不快感を覚えるのも無理はないのか。
なにしろ、最愛の兄――紅月ナオトを殺されているからな。
カレンがレジスタンス運動をしているのも、全て兄への想いを継ぐためだ。
が、そろそろ俺も動かなければならないだろう。
ここまでは予想の範疇だ。そしてこの先が勝負の分かれ道でもある。
「皆――聞いて欲しいことがある。実は、マタタビが死んだのは……俺の責任でもあるんだ」
「え……ど、どういうことなのっ、ルルーシュ!?」
「落ち着いて、カレン。実はニアが『薬』を持っていることを俺も知っていたんだ」
「ル、ルルーシュさん! 悪いのは私ですっ! ルルーシュさんは何も……」
ニアがガバッと頭を上げ、必死で『俺は無実だ』と弁明してくれる。
思わず浮かび上がって来る愉悦に浸りそうになる。いや……まだ早い。
これこそが俺が望んでいた展開だ。そして、
「皆、すまない。皆の怒りはニアの代わりに俺が全て引き受ける。だから、ニアを……許してやってくれないか」
俺は深々と頭を下げた。
ニアが息を呑む声が聞こえた。カレンが何かを呟いているがボリュームが微量過ぎて聞こえない。
ジンが茶化すように小さく口笛を吹いた。スパイクは肩を大きく溜息を付いた。
ビクトリームはどうもニアがマタタビを殺した事実があまりにもショックだったらしい。
石になったように隅で固まっている。
くだらないプライドなどいくらでも捨てても構わない。
いっそ土下座ぐらいしてやっても良かったが、さすがにそこまでやると演技が過剰だろう。
必要なのは――このゲームを生き残るための力だ。
確信する。
今、この瞬間。
俺はギアスでは決して手に入れることの出来ない力――『信頼』を勝ち取ったということを。
□
「ルルーシュ、本当に……あの子と行くの?」
「ああ。俺はともかく、カレン達は普段通りに付き合うのは難しいだろう。……ニアのこともあるしな。
でも、心配することはないさ。短い別れだよ」
「……うん」
そう、俺とニア――そしてビクトリームはカレン達と別れて別ルートで行動することになった。
人が死んだ場所にいつまでも留まっているのは流石に気が引ける。
カレン達はマタタビを埋葬してから、移動を始めるようだった。
目的地はひとまずB-4の図書館に設定した。
俺たちが右回り、そしてジン達が左回り。
ルートはその時の状況を考えながら臨機応変に、とまで決定した。
清麿というジンの有力な仲間の情報も手に入れ、明確な脱出に向けたプランが出来上がりつつあると言えるだろう。
またビクトリームの支給品だったという銃も入手出来たため、ある程度の武力も入手した。
特にジンの能力は有望だ。
行動力があり、知識も豊富で、加えて場慣れしている。
頭が固くなく、柔軟な思考が出来る点も大きい。出来れば奴とは再会したい所だ。
さて――それでは、最後の詰めに入るとするか。
「カレン」
「……え?」
「《ゼロ》として命じる――スパイクを殺せ」
完全に意気消沈していていたカレンの耳元で、俺は最後の目的を告げた。
ルルーシュ・ランペルージではなく、ゼロとして。
「マタタビを殺したのは奴だ」
「え……でも、私達は外に……!! それに毒だって……」
「おそらく隙を見て取り替えたのだろう。ニアは抜けている所があるから、十分に可能な筈だ」
「でも……」
我ながらなんとムチャクチャな理論だろうか。
そもそも、ニアは毒薬を肌身離さず持っていたのでどう考えても摩り替えるのは不可能。
そしてマタタビ殺害の実行犯はニア、黒幕は俺――これは揺るぎない事実だ。
とはいえ、
「カレンッ!! 何故分からない!?」
「ルル――」
「奴は《ゼロ》の正体を知ってしまった。それだけで殺されるには十分だということを!」
「――ッ!!!」
こう言ってやれば、カレンは"絶対"に断ることは出来ない。
奴は黒の騎士団の団員。ゼロの命令は絶対なのだから。
そして同時にカレンはこの瞬間、理解した筈だ。
俺が本当はゼロを捨てたのではなく、三代目ゼロとしての自覚を持っているという事実に。
「――分かりました、ゼロ」
「ああ。死ぬなよ、カレン」
「ブリタニアから日本を解放するまでは死んでも死に切れません」
「…………ゼロも、いい部下を持ったものだ」
カレンがキッ、と眉を上げこちらを真剣な眼差しで見つめた。
俺もソレに応えるように小さく頷く。そして背中を向けた。
本当に、心の底からそう思うよ……カレン。
しかし、お前の力では奴を仕留めることはおそらく不可能だろう。
そんなことは十分過ぎる程分かっている。
でもさ……せめて深手を負わせる、くらいは期待してもいいだろう?
なにしろ《ゼロ》の正体を知ってしまったのはお前達二人なんだからさ。
「うぉぉぉいいいいいい!! ルルゥゥゥーシュゥウ!!! 早く来んかぁぁああ!」
山道の方角からビクトリームの野太い声が響いた。
ニアの姿も見える。未だ顔色が優れない。
無理もないか。凶器は毒だったとはいえ、人を一人殺したのだから。
彼女の悪夢が過ぎ去る夜はおそらく来ないだろう。そう、永遠にだ。
ビクトリームは何だかんだ言って、ニアのことが心配らしい。
表面的には「お前がメロンを持っているから」などと言っていたが。
とはいえ、彼女が進んで殺人など犯す筈がないと一番強く思っているのも彼だろう。
意外に仲間思いな奴なのかもしれないな。少なくとも俺以上なのは確実だ。
「ルルーシュ? どうしたんですか、とても……嬉しそうですよ?」
「え、あ……気付かなかったな」
俺は、気が付けば笑っていた。
それが手を振るニア達に向けたものだったのか、それとも別の理由だったのかは分からない。
だけど、
とにかく、
どうしようもない位に、
俺は愉快で愉快で堪らなかった。
【D-7/山道/一日目/夜中】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:肉体的疲労(大)、中度の頭痛
[装備]:ベレッタM92(残弾15/15)@カウボーイビバップ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)、メロン×11個 、ノートパソコン(バッテリー残り三時間)@現実、ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ 、予備マガジン(9mmパラベラム弾)x1、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
[思考]
基本:何を代償にしても生き残る。
1:清麿との接触を含む、脱出に向けた行動を取る。
2:適当な相手に対してギアスの実験を試みる。
3:以下の実行。
「情報を収集し、掌握」「戦力の拡充」「敵戦力の削減、削除」「参加者自体の間引き」
4:余裕があればモノレールを調べる。
[備考]
※首輪は電波を遮断すれば機能しないと考えています。
※ギアスを使った影響は若干収まってきましたが、いまだ頭痛があります。
※清麿メモの内容を把握しました。
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神的疲労(大)、ギアス
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式
[思考]:
1:ルルーシュとビクトリームと一緒に脱出に向けて動く。
2:ビクトリームに頼んでグラサン・ジャックさんに会わせてもらう。
3:シータを探す
4:お父様(ロージェノム)を止める
5:マタタビを殺してしまった事に対する強烈な自己嫌悪
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。
※ギアス『毒についての記憶を全て忘れろ』のせいで、ありとあらゆる毒物に対する知識・概念が欠損しています。有効期間は未定。
※ルルーシュは完全に信頼。スパイク、ジンにもそこそこ。カレンには若干苦手な感情。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:静留による大ダメージ、鼻を骨折、歯二本欠損、股間の紳士がボロボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム不明支給品x1、魔本
[思考・状況]
1:……小娘が人殺し?どうなっておるのだ?
2:奴らには付いていくのはメロンが欲しいからで、別に心配なぞしておらんぞ!?
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースはあきらめかけており、カミナに希望を見出しはじめています。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。
※ニアとジンにはマタタビの危険性について話していません。
※持っていたベリーなメロンはジンを待っている間に完食しました。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:疲労(小)精神疲労(中)若干不安定
[装備]:ワルサーP99(残弾15/16)@カウボーイビバップ
[道具]:デイパック、支給品一式(-メモ)、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿
[思考]:
基本:黒の騎士団の一員として行動。ゼロの命令を実行する。
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:スパイクを出来るだけ密かに始末する。
2:ゼロ(ルルーシュ)に指示を仰ぐ
3:先代ゼロ(糸色望)の仇を取る
[備考]
※マタタビを殺したのはニアだと思っています。
※ジンは日本人ではないかと思っています。
□
(どうしたもんかね……。清麿、こっちは最高にグチャグチャな状況だよ? そっちはどうなっている?)
山荘に残されたジンは一人応接間で考え込んでいた。
マタタビを殺したのは本当にニアなのか。
それも彼女自身の意思によるものなのか。
支給されていた薬が実は毒だった……などという事実がありえるのだろうか。
(綺麗な色してるよ……これで人が死ぬなんて思えないくらいにさ)
ジンはポケットからカプセルを取り出した。
赤と白――ニアに支給された毒入りカプセルである。
ちなみにこれはルルーシュが厳重に梱包したつもりで、うっかり落としてしまったものである。
三人が去った後に、部屋の隅に落ちているのをジンが発見したのだ。
(ルルーシュは信用出来ると思うけど……お姫様は……難しいな)
あの状況でニアを庇うことが出来るなんて、ルルーシュは中々大した男だと思う。
さすがにあの時、自分さえ彼女を擁護しようという気持ちを持てなかったのに。
(キール……お前なら、あの子にも最高のエスコートをしてやれたのかね。女の子の扱いはお前の専門だった筈なのにな)
命を落とした――らしい、相棒の姿を思い浮かべる。
そして漏れる落胆の声。完全に忘れ去るのは中々に酷という奴だ。
スパイクも顔には出していなかったが、相当に堪えている筈だ。
確か読子とエドという知り合いが二人死んだらしい。
(ま。実際、問題は山積みだけどね)
夜は深く、少年の心は未だ晴れない。
芽生えた疑惑の種はゆらゆらと蔦を伸ばし、空を駆ける大ドロボウへと絡みつく。
悪夢の中で彼が何を思うのか。それはまた別のお話。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:ラッド、ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
2:ニアに疑心暗鬼。
3:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
4:この事件の真相について考える
※消防車は山荘の隣に止めてあります。
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
□
(ったく……どうなってやがるんだ)
完全に後手に回った――そう言わざるを得ないだろう。
まさか自分が見回りに出ている間に、死者が出るなんて思いもしなかった展開だ。
読子とエドの死について、少しじっくり考えたかったのだがそうも行かないらしい。
(八神もリードマンもエドも皆死んだ……ってか。おいおい、マジかよ? これ)
マタタビを殺したのは……まぁおそらくニアだとは思う。
うっかり、という奴なのか。――実際、うっかりで人が死ぬのは困るのだが。
ルルーシュには迷惑を掛けるが、こうするしかなかったようにも思える。
(さてと……螺旋のお姫様の相手は終わって、次はも駄々っ子嬢ちゃんの相手か。……めんどくせぇ)
メンバーの中で唯一の大人である自分が、もう少ししっかりしなければならないのかもしれない。
ただでさえ、ガキやガキに近い精神状態の人間が多いのだから。
「それにしても……」
スパイクは辺りを見回しながら、何となく呟いた。
「お姫様の飯を食いそびれたのだけは、幸福だったのかもな」
凄まじい異臭を放つキッチンの奥の料理を見つめながら、スパイクは苦笑いを浮かべた。
【D-8/山荘/一日目/夜中】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:満腹、疲労(小)、全身打撲、胸部打撲、右手打撲(一応全て治療済みだが、右手は痛みと痺れが残ってる)
[装備]:デザートイーグル(残弾7/8、予備マガジン×2)
[道具]:デイバック、支給品一式(-メモ) ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
[思考]
0:マタタビを埋葬した後、仲間を集めつつ左回りで図書館を目指す。
1:とりあえずもう一度さっきの出来事について考えてみる
2:カレンをそれとなく守る。もちろん監視も
3:ジェットは大丈夫なのか?
*時系列順で読む
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*投下順で読む
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|214:[[ナイトメア・チルドレン(中編)]]|ニア||
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