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  • 賽は投げられた

賽は投げられた

最終更新:2022年08月16日 22:40

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賽は投げられた ◆tu4bghlMIw



女が、いる。

白い裸体にブラジャーとパンティーだけという、一歩間違えれば痴女扱いされて人を呼ばれても仕方のない格好の女だ。
場所は倉田屋というラーメン屋。
いかにも『場末』という雰囲気を醸し出す、下着姿の女とはこれっぽちの関係性も持ち合わせていない建物だ。

つまり、結論を述べるとすれば動機を場所ではなく、自分自身に。
生来の特殊な性癖を持った女がふらりとそこに立ち寄った、と考えるのが最も妥当だろう。
変質者か露出狂。いや、やはりストレートに痴女と表現してしまった方が歯切れが良い。

だが、しかし。
いくつかの状況を説明する要素を付加するとしよう。すると、この状況は全く別の様相を見せてくる。

一つ。彼女の目の前に一人の少年が在る事。
一つ。少年の首筋に包丁が突き刺さっている事。
一つ。その少年は既に命を持たない器に過ぎず、概念的な意味を取捨すればただの肉塊となっている事。
一つ。彼を殺したのがすぐ側で立ち尽くす、女――八神はやてである事。



肉体的にはおそらく彼女は"少女"と"女"の丁度、境界線辺りに位置するだろう。
年齢的にも十九歳と極めて微妙なラインだ。
加えて幼い頃から様々な数奇な運命と戦ってきた彼女は、精神的にも非常に達観している部分がある。

しかし彼女はある意味、恵まれた環境に身を置いていたと言えるのかもしれない。
彼女は知らなかったのだから。
つまり劣情や情欲、人間の脳の最奥である"本能"に身を任せる卑俗なニンゲンなんてものは、これっぽちも頭の中に存在しなかった。


自らに興奮を抱き、明確な暴力でもって性的干渉に及ぼうとする者。
少年の妙に焦ったような手つき。血走った眼。荒い息。
だけど、それ以外の何か感覚的な要素から少年がこの行為、つまり『レイプに慣れている』と察知した。
瞬間、背筋に走った身の毛も弥立つような嫌悪感を覚えた。

何もかもが彼女を攻め立てた。何も分からなかった。頭が壊れてしまいそうだった。
そして、在り得ない自らの境遇に泣き喚く彼女は、確かに"少女"だった。




少女が、いる。

首筋、見事なまでに頚動脈を突き破り、血管を破裂させた鋭利な刃物を紅の液体が伝う。
血の海で溺れるように逝っている少年、呆然の表情で立ち尽くす少女。
この場面を切り取って一つの写真として見た場合、おそらく誰もが情事のもつれであると認識する筈だ。
事実、その推察は外れてはいない。
確かに少年、間桐慎二は八神はやてを暴行しようとしたのだ。それは紛れもない真実。

ただしもう一つ、世界の真実へと繋がる扉を開けば、両者の間に『愛』を例とした清らかな要素がまるで存在しなかった、芽生える余地さえなかった事も容易く明らかになる。

なにも、間桐慎二という少年が女と見れば襲い掛かる無差別的な強姦魔であると言いたい訳ではない。
彼はそう、一言で表すならば小さかった。
限りなく矮小で、俗物的で、小物という表現がこれ以上ピッタリくる人材も珍しいと感嘆する程に、だ。
そして彼にとって、自らの中に眠る出来損ないの魔術回路に関するコンプレックスは並大抵のものではなかった。
故に彼は魔法を憎んだ。魔法使いを憎んだ。
そして心の奥底では妬ましさと同じくらい、舞踏会での綺麗なドレスに憧れるシンデレラにも似た羨望の心を持っていた。

故に彼は八神はやてを襲った。
『魔術師』という部類の人間に醜悪なまでの劣等感を抱きつつも、彼らを掌握し、支配する事に悦楽を感じる彼らしい行動だった。
そして脅える少女に対して、下卑た笑いと湧き上がる性欲を抑える事が出来なかった少年は、非常に彼に相応しい呆気ない最期を迎えたのだ。
そう、少女の心に狂おしいまでの絶望を残して。



 ■



多分少しだけ落ち着いたのだと思う。
はやては頭の中に残る、重いものを引き摺るような感覚を振り払い、時間を確認するため時計を探した。
そう、腕に、時計はないのだ。つい先刻、服と一緒に取り外してしまった。
それでも普段の習慣だろうか。思わず身体に目が行く。ああ、改めて自分の身体を見ると、本当に酷い格好だ。

水が上手く排水溝に集まるように、若干傾斜が掛かっている厨房の床を血が流れ、そして爪先に触れた。
靴とタイツを脱いでしまい、裸足だった故の出来事だ。
足の指の隙間に進入して来る生暖かくて、少し粘つく液体の感触はこれ以上ないくらい最悪だった。


――気持ち……悪い。


そんな無言の叫びは一体、何に向けられたものだったのだろう。
少なくとも肌と少年の血液が触れる面積が増加した事に対する嫌悪感、ではないように思える。

はやては考える。
その原因は今も目の前でダラダラと血を流し赤いプールの形成に一役買っている、
名前も知らない少年の死体そのものについて、だろうか。

これも、違う。
この手に感触こそないが、自分が目の前の少年を殺したのは紛れもない事実だ。
だけど、その亡骸を、私は訳が分からなくなるくらいの時間見つめていた。
生理的な不快感なんて領域はとっくに飛び越えてる。
赤とピンクと肌色が描く色彩の乱舞は眩し過ぎて、目に焼きついて離れない。脳に嫌、と言うほど刷り込まれている。
私を追い詰めているのは、彼の"死体"ではなくて、もっと別の何かだ。


それでは自分自身、飛び散った紅の液体で肌をまだらに染めている、この身体に対してだろうか。
乱暴に掴まれた二の腕の辺りが赤く腫れ上がっていた。
そっと、何を確かめるようにもう片方の手で触れてみる。

痛、い。
ビリッと皮膚の下、神経を通して電撃が走った。
白と赤のコントラスト。肌の白と鬱血した皮膚の赤。
とはいえ、毎日生活していく上でこの程度の怪我は何度も経験している。
問題は身体の痛みじゃない。心、だ。
ホラー映画やサスペンス映画のような作り物の恐怖ではない。
昆虫や気味の悪い物体を見た時に感じる生理的嫌悪とは若干、似てはいるがまた違う。

人が怖いという感覚。掌はまだ震えている。
今まで私の周りにあんな行動に出るような人間は誰一人として存在しなかった。
明確な悪意と狂気とそして、自分自身が性欲の対象として見られている事を痛いほど実感するような目付き。
ギラギラと欲望に燃える獣のような――


「ッ!! 濡れ鼠やね……服……着な、あかんか」


少年の瞳の怪しい煌きを思い出して、もう一度背筋にミミズが這ったような悪寒が走った。
はやては頭の中にこびり付いた垢を振り払うように、思考を必死で切り替える。
ガチガチと奥歯が勝手に噛み合わせを確かめている、そんな現実を無視するように。

でも、分かっていた。
その判断は至極当然の結論のように見えるが、その実明確な"逃避"であるという事を。
自らの罪から逃げて、当たり前に在る風景に溶け込みたいのだ、私は。


……どないしたらええんやろ。
ひとまず言える事。とりあえず、自分は――正常だ。
大きく息を吸って深呼吸。ちゃんと、心と身体が繋がっている。狂ったりはしていない。
まだ手は震えるし、頭の中はグルグル回っている。
犯してしまった罪の重さも、その結果負わなければならない責任も十分理解している。

そして先程出会った、あの神父さんの言葉の数々。これも心にグサリと突き刺さっている。


『自分の願いを叶えるということは、誰かの願いを妨げるということだろう?』

『誰かを否定することでしか肯定できぬ願望があるのなら、何を躊躇うこともない。
 自らの意思で他者を蹴落とし、その先へと進みたまえ』

『―――気をつけたまえ。これより君の世界は一変する。
 どのような変化かは分からぬが、自らの淵を覗いた人間は、決してそのままではいられない。
 ならば、自身を自身足らしめる一片だけは、全てを賭して護り抜け。それだけが、今の君に残された矜持だ』


私が私である理由。八神はやてを八神はやてとして決定付けるもの。
それに順ずる要素は色々あるように思える。
だけど、神父さんが言いたかった事は多分、私のあの台詞に向けられていたものなのだと思う。


「……誰かの命を奪って叶える願いなんて、絶対に間違っとると思います」


再度口に出してみる。一字一句間違ってはいない。
それだけこの言葉は私にとっても重い意味を持っているのだから。
そして、神父さんに出会った数時間後、皮肉にもその言葉を自らの手で否定する事になってしまったけれど。
――なんて、無様なんや。


大切な人の命を守りたい。
皆で笑いあえる世界に帰りたい。
力のない人を救いたい。

誰も殺したりするつもりはなかったのだ。
だけど、そんな自分なりの流儀を貫き通す願いは叶わなかった。
ううん、違う。叶わなかったなんて、嘘。どうする事も出来なかったのだ。
ただ怖かった。私は、どうしようもなく無力だった。


だからと言ってあそこで平静を保ったまま、あの男の子に犯されれば良かったのかと聞かれればさすがに……ノーだ。
いくら何でも彼の衝動を受け入れるだけの度量はない。
加えて、大人しくレイプされてもおそらく最後には……殺されていただろう。


整然とした論理で彼を殺した事実を正当化しようとする"鬼"が私の中に潜んでいる。
確かに現実の世界でも正当防衛として十分に認められるケースなのだ。
だけど、私が人を殺したという事実は変わらない。

私の願い。
皆で揃って、出来るだけ多くの人と一緒にこの空間から脱出したい。
そんな希望を込めた花を私は摘んでしまった。
矛盾、している。



 ■


もう……訳が分からんわ。
面倒や。全部全部ただの夢だった、そう断言出来ればどれだけ幸せな事なんかなぁ。
いっそ何もかも捨てて殺し合いに乗ってしまおうか。
神父さんも言ってたやん。
「殺してしまえばそれまでだ。二人を殺し三人を殺し、五人目を殺す頃には、殺すべき相手を悪と考えるように歪んでいることだろう」ってな。
きっと楽になれる。頭の中をグチャグチャにしているノイズも映像も全部消えてなくなる。
狂気に身を任せ、血を啜り、颯爽と戦場を駆ける女殺し屋みたいな感じでなー。カッコいいやん。


「……って、アホか」


はやてはペシと自分の頭を軽く叩いた。
乾いた小気味の良い音が寂れた店内に木霊する。
……無いわ、正直。
神父さんの台詞で胸はズキズキと痛いし、どんな理由があれ、自分がとんでもない事を仕出かしたのは十分に理解出来る。
でも、そんな殺意の連鎖なんて悲しすぎる。耐えられへんよ、先に私が潰れてまう。


そして、はやては決心した。
ギュッと拳を握る。素肌に当たる朝方の空気は少しだけ冷たい。

……そう、私は皆を守りたいんや。
六課の皆を、力のない今もどこかで震えている人達を。
この気持ちは何も間違っていない。私のこれ以上ないくらいの本音やもん。


『他者を殺してまで叶えたい願いは悪であるから、そんな願いは消してしまっても構わぬとな』


ここで見事な逆説。この言葉凄く、痛いなぁ。

――正義の為に悪を廃し、自らの手を血で染める覚悟がないのならば、最後までその意地を貫き通せ。

神父さんが言いたかったのって、きっとこういう意味なんやと思う。
うん、駄目やった。いきなりあなたの言葉、反故にしてしまったわ。
だけどな――


「神父さん……ゴメンな。私、馬鹿やし、臆病や。だから、あなたの言う通り他人を蹴落とすなんて出来へんよ。
 でもな――同じくらい私は欲張りなんや。ふふ、意地汚いやろ?
 だから何もかも守ってみせるし、もう……あんな悲しい出来事二度と起こしたりせえへん。
 矛盾してるって説教くらっても今度こそ絶対絶対、曲げへん。何とかしてみせる、命だって賭けたる! それが私の……意地や」


もう何処にいるのかも分からない黒衣の神父に向けて、そして自分自身に言い聞かせるように一言で言い切る。
結局、私はこんな不器用な答えしか出せなかった。


あの男の子は最後に誰かの名前を呼んでいた。
つう事は多分、誰かこの空間内に知り合いがおるって事。
当面の目的としては、まずその顔見知りを見つけて彼を殺してしまった事を謝罪する。その為に動こうと思う。
もちろん、簡単に許して貰えるなんて思ってない。
ボコボコに殴られたり、銃で撃たれても……我慢する、いやしてみせる。殺されても――文句は言えない。

そして平行して戦う力のない子を保護する。出来れば六課のメンバーとも合流したいな。正直……今は会うのが少し辛いけど。
私に、そんな事をする権利があるのかは分からない。
けど男の子の命を奪ってしまった私がここで罪に押し潰されて自殺したり、他の人間を殺めたりするのが絶対間違っているのは分かる。
だってそれじゃあ、まるであの子の死が無駄死にみたいやないか。

多分、彼にも何か願いがあったんだと思う。
最初に出会った時、アレだけ脅えていたんやもん。
だから、私に出来るのはそういう困っている人達を守ってみせることなんや。
さっきの――私が出来なかった事を今度こそ、な。



 ■


名前も知らない男の子の死体をラーメン屋のすぐ近くの土の中に埋葬した。
店内の血痕は拭っても拭っても消えなかった。心苦しいが放置するしかないようだった。
だが、しかし。
問題はそれだけではなかったりする訳で……

「……どないすればええねん」

神父さんの言葉を噛み砕き、何とか自分の中で整理を付け終わった後、はやては自分の在り得ない格好を見て、少しそわそわしながらもう一度溜息をついた。


 ■ 


簡単な論理だ。
ひとまず、私はあの後、少年を埋葬する事から着手した。
そして、その時私はブラとパンティーしか身に着けていなかった。
彼は全身血塗れだった。
私は迷った――つまり、服を着たほうが良いのかどうか、と。


もちろんご存知の通り、八神はやては花も恥じらう十九歳の乙女である。
素っ裸に近い格好で、道の往来へと繰り出し、穴を掘って人一人を埋める作業を行う事など出来るはずもない。
それにどちらかと言えば奥手な方だ。
というか、下着だけで太陽の下に出るなど変態以外の何者でもない。

しかし……少年の身体を見るとそんな意識も若干緩んでしまう。
彼は全身を頚動脈から吹き出した血液でコレ以上無いほど赤く染めている。
死者を冒涜するつもりは無いが、さすがに六課の制服を濃い赤へとカラーチェンジさせるのには勇気がいる。
だが、死体を埋葬をしない訳にはいかない。コレはせめてもの謝罪と償いなのだ。疎かになんて出来ない。

どうすれば……と考えながらふと、ガラス張りの店内から外へとはやては視線をやった。
そして――すぐ近くに、とても土の柔らかそうな雑草やら花やら沢山生えている地面を見つけてしまった。
周りに、私のゴクリという唾を飲み込む音が響いたような気がした。




「私、もうお嫁に行かれへん……」

ちょっとだけ涙を目尻に溜めながら、自分の更に赤く染まった下着と肌を見ながらはやては呟く。
結局……やってもうた。
下着一丁に靴だけ履いて、地面に穴を掘る女……マジありえへんわ。
というか私が穴に入ってしまいたいくらい……

「――って、何微妙に上手い事言ってんねん!? …………はぁ」


自分を元気づけるためにツッコミを入れてみるもやはり不発。
効率を考えた行動は、実に理知的なレディに相応しいものだったと思う。
だがその裏側で繊細な乙女ハートが傷つけられた事は紛れもない事実。

地面はまるでプリンかゼリーのように奥の方にあったスコップを使って簡単に掘り返す事が出来た。
土と一緒に何故か様々な動物の骨が出てきた……おそらく、元々墓の一種だったのだろう。

私の睨んだ通り、普通なら数時間は掛かるだろう穴掘り作業がなんと二十分も掛からずに終了したのだ。
こんな短時間とはいえ、下着姿で労働に勤しむなん――はッ!?
瞬間、私の中に稲妻が走った。
そして思い出す。自分がとんでもない思い違いをしていた事を。


そうだ。そもそも『服を着て、穴を掘ってから、死体を運ぶ時にもう一度服を脱いだら良かった』のではないだろうか。
というか『死体を血だらけのまま埋めるのではなく、布か何かで血液を拭き取ってから運べば良かった』のではないか。


いやいやいやいや、待て。
一応、両方ともいくつか否定材料があるにはある。
例えば彼が息絶えた時点で、切断された頚動脈から凄まじい量の血液が噴射され、私の身体は赤く染まっていた事。
覚悟を完了したとはいえ、自分で殺した相手の身体を綺麗にする、というのは少し戸惑いを覚えてしまうという事。
血液に濡れた下着のまま、制服に袖を通すのはまるで六課を汚すような気がして、思わず考えから避けてしまったという……


――ッッ!?

ラーメン屋の店内で外からの視線に脅えるように突っ立っていた、はやての表情が凍った。
もう一つ、忘れていた事があったのだ。

「……下着……真っ赤やん」

ポタポタと太股からふくらはぎ、足の甲と血液が流れ落ちる。
純白のブラジャー&パンティー(過去形)は、いつの間にかドギツイ色の勝負下着に成り果てていた。
白い部分の方が少ない、いやもはや白は存在しないと言ってしまっても良いかもしれない。
赤い。スペインの闘牛でさえ、少し躊躇してしまうのではないかと言うぐらいの純赤である。
というか股座の部分が若干透け――


「くぁwせdrftgyふじこlp;@!!!!!!!」


はやては顔を真っ赤にして厨房の奥へと飛び込んだ。
そして衣擦れの音と蛇口を全開にする音、激しい水音が間髪入れずに響く。
声にならない悲鳴が倉田屋の中で木霊した。



 ■


落ち着かんわ……スースーする。いや……ありえへんって。
なんで替えのアレぐらい置いてないんよ?
タイツがあるから大丈夫、なんて思えるかアホ。
数十分後、はやては"何故か"豊満な胸とスカートの端を押さえ、デイパックを"二つ"背負って倉田屋を妙に内股になりながら後にした。


結局、ソレらを再度身に着ける事は出来なかった。
とりあえず、身体に付いた血だけは全て洗い流した。
とはいえ一度脱いだ下着を再度着ける、という行為は脱いだ靴下をもう一度履く事と酷似している。
妙に落ちつかない、不自然なくらいにソレらが汚らしいものに思えてしまうのだ。
ちなみにコレは日本人特有の穢れの意識に起因しているのだが、そんな事は今は大して関係ない。
一度乾かしてみようかとも思ったが、どちらにしろパリパリになって、もはや下着ですらなくなってしまいそうだったので却下した。

うん……それにな。
何だかんだで自分が殺してしまった相手の血液が自分の身体に付着している、という感覚が怖かったんや。
そもそも、あんな事があった後やしな。よりによって下着が……という感じ。
死体運びの際にヘマをやらかさなくても、初めっからこうなる事は目に見えて明らかだったかもしらん。

「えと……とりあえず……デパート、やね」

幸い、東回りのルートを取るならば、そこにはデパートがある。
おそらくランジェリーショップも店内にあるはずだ。いや、というかないと様々な意味で困る。
確か十一時からG-6が禁止エリアになる筈なので、ある程度早めに移動しなければ行き先を塞がれてしまう。


ある程度の今後の計画を立て終わり、はやては安堵の息を吐いた。
そして、思い出した。自分の手元には未だに先程出会った読子・リードマンのデイパックが存在する事を。
別れたのは放送前の筈なので、もうそろそろ二時間になる。
しかし、一向に二人が帰ってくる様子はない。……どうなってるんや?

「ちょっと……だけ」

左右に首をキョロキョロと振り、はやてはそのデイパックの中身を覗き込んだ。
ここまで来るとひとまず中身だけでも確認しておいた方が良いと判断した故の行動である。
もしかしたら、中に自らにとって有益な道具――つまり、デバイスが入っている可能性もある。
ソレならば話は早い。二人と再会した時になんとか譲って貰えるよう交渉に持って行きやすい。

が、それ程容易く事が運ぶ訳もなかった。
入っていたのは全参加者に須らく支給される各種支給品と白いハンディのようなものが付属したスピーカーだけ。
この状況で拡声器を使用するなどただの自殺行為。完全なるハズレ……

「待った……コレ使えるんちゃう? いや、でもな……」

はやてはその白い機械を見つめながら、しばらく何かを考え込んでいた。
そして、数分後、震える手でソレのスイッチを入れた。


 ■


『あーあー、あーあー……ちゃんと電源入っとるんかなぁ、コレ?
 ……ええかな?
 えーと、いきなりこんな声が聞こえてきて、ビックリしている人もいると思います。
 私は――ううん、私だけやない、同じような考えを持っとる人の言葉、全部を代弁して言わせて貰います』

ここで一息。
喋っている最中に誰かに攻撃を受ける事を考えて、ラーメン屋の中から拡声器だけを出して使用している。
さあ、しっかりせえ、八神はやて。
もう、後には引けん。賽は投げられた、ルビコンを渡る気持ちでってな。勇気を……勇気を出すんや。


『――皆、迷っとるやろ?
 おっかない、他人が信用出来ない、死にたくない……何もしないでいても、そんな気持ちばかり湧いてくる。
 いっそ、殺し合いに乗ってしまおうか。そうすれば楽になれるんじゃないか。
 分かるで……私もほんの今の今までそーんな、グチャグチャした考えで頭の中が一杯やった』


はっきりとした言葉へと自らの思考を変換しながら一言一言、自らに言い聞かせるように。
少し前の自分を、罪の意識に潰れ掛けた自らに宛てた言葉でもある。


『せやけど、ちゃうで。
 これは夢なんかやない。全部、全部現実なんや。
 今、銃や刃物を持って目の前の誰かを手に掛けようとしている人がいたとしたら、もう一度考えてみて下さい。
 あなたの目の前に居るのはちゃんとした人間。
 私達と同じように息をして、笑って涙も流すし、ご飯だって食べる、血の通った人間なんや!
 人形なんかやない。本物の……人なんや』


自分は卑怯だ。
もしもこの場であの少年を殺してしまった事を懺悔出来たら、どれだけ楽になれるだろう。
だけど、同じくらいソレは怖い。もしも、その事実が六課の皆に知られてしまったとしたら?
今まで築き上げてきたものが一瞬で崩れ落ちてしまいそうで、考えただけでも胃の中がキリキリする。

それに人殺しの言葉なんて多分信じて貰えない。
でも、駄目だ。そんなんじゃ、今私がこんな事をやっている意味がない。
これは激励。迷っている人達に向けたメッセージなんだ。
だから、出来るだけ余分な情報を交えるべきじゃない。


『そして……な。今、一人で脅えてる子がいたら聞いて欲しいんよ。
 私が、そして同じような気持ちの人が絶対他にもおる! だから心配する必要なんてないんや!
 必ず助けたる、そんで皆一緒にココから脱出して、ロージェノムを捕まえるんや!』


護ると殺すは一蓮托生。
他の人間を護るという事は、襲い掛かってくる"悪"人の願いを廃するという事。
でも本当にそうなん? 何とかする方法ってないん?
分からん、全然さっぱりや。やから、今は全部や。全部やったる。私がやれる事、一切合切。




『それと……そや、制服! 茶色い布地で胸の部分に黄色のプレートが付いてる制服を着ている人間を探してください。
 その人達は皆、私の仲間――五人……今は四人に減ってしもうたけど……四人とも、本当に信用出来る仲間です。
 名前は……すいません。今は……言えません。
 だけど、私はコレから北に向かうつもりです。
 例の制服を見かけたら声を掛けて下さい。多分、後は声で分かって貰えると思います。
 最後に……皆、絶対に諦めたりしたらあかんで!!』




言いたい事を全部ぶちまけて、拡声器の電源を落とす。
壁に凭れ掛かって、床にペタンと座り込む。左胸に恐る恐る手を当てる。

心臓は予想通り、物凄い勢いでドクドクと脈を打っていた。
顔も多分真っ赤。改めて、自分はとんでもない事をしてしまったのではないかと思えてくる。

「……あかん――ここを早く、離れんと」

おそらく、今の声を聞いて誰かがこのラーメン屋に飛んで来る筈。
そして、このタイミングで現れるのはおそらく"ゲームに乗った"人間。
しかも全く迷いを持たない部類の、だ。

そして、今そんな人間と出くわしてしまったら、正直どうすればいいのか分からない。
身を護る為に相手に銃を向ける――のには、やはり若干の躊躇いがある。
それが、あの男の子のような悲しみに心を支配された人間ではなくても、だ。


拡声器をデイパックに放り込むとはやては倉田屋を飛び出した。
しかし本当にあの二人は全然帰ってこないな、と頭を捻り、そしてスカートの下から吹き込んでくる慣れない風に頬を赤らめながら。



【G-5/道/一日目 午前】

【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、上下下着無し(下はタイツのみ着用)、赤面、強い決意
[装備]:H&K MP7(40/40)+予備弾40発@現実
[道具]:支給品一式、トリモチ銃@サイボーグクロちゃん、レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク@機動武闘伝Gガンダム
    読子の支給品一式と拡声器、支給品一式(食料:缶詰)、テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、血に染まったはやての下着(上下)
[思考]
基本思考:力の無いものを救い、最終的にロージェノムを逮捕する。
1:慎二の知り合いを探し出して、彼を殺した事を謝罪する。
2:戦う力のない人間を救う
3:北上してデパートへ行って下着を入手
4:東回りに観覧車へ。クロと合流する。
5:読子達にデイパックを返したい

※ムスカを危険人物と認識しました
※シータ、ドーラの容姿を覚えました。
※モノレールに乗るのは危険だと考えています。
※言峰については、量りかねています。
※G-4を中心とした3x3マスにはやての声が響き渡りました。


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112:悪意の花 八神はやて 131:せーのでコケてごあいきょう

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