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  • せーのでコケてごあいきょう

せーのでコケてごあいきょう

最終更新:2022年08月20日 13:51

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だれでも歓迎! 編集

せーのでコケてごあいきょう ◆LXe12sNRSs



 時計の短針が、きっちり西の数字を刺そうかという頃。
 読子の残した拡声器で思いの丈をぶつけたはやては、北にあるデパートを目指して一心不乱に走っていた。
 股下を通り抜けていく冷たい風が、はやての足を加速させる。
 走るスピードが上がると、風が余計に冷たく感じ、また速度が上がる。
 そうやって、はやての足はどんどんどんどん加速していく。
 周囲の警戒を怠らせるほど、まるで全力全開の徒競走でもしているかのように。
 なぜ、彼女はこんなにも焦り、スピードを出しているのか。

 だって、なんや気持ち悪いんやもん!

 と、彼女の今の気持ちを代弁するなら、これ以外にはないだろう。
 考えてもみて欲しい。花も恥じらう乙女が、寒空の下で下着未着用。
 ……降りかかる精神的圧力は、並大抵のものではない。
 吹き抜ける冷風の心許なさが羞恥心に上塗りされ、なおもスピードは上がる。
 股下が寒さを訴えているにも関わらず、額から汗が滲み出るほどに。

「ここもあと二時間くらいで禁止区域か……万が一っちゅーこともあるやろうし、ここは回り道するべきやろか」

 と、はやては地図でいうところのG-6とH-6の狭間辺りで葛藤していた。
 制服の下の惨状を思えば、一刻も早くデパートに赴き例のブツを入手したい。
 が、北への最短ルートであるG-6は、11時をもって禁止エリアに指定されてしまう。
 もし、G-6を通過中になんらかのトラブルに巻き込まれ、身動きが取れなくなりでもすれば、即ドカン。
 そんなお間抜けな最後を想定したくはないが、既に色々な出来事が起こっている現状、危険な藪からはできる限り遠ざかりたい。
 というわけで、はやてはG-6を迂回し、H-6の北部を東に向かって走り抜けていた。
 早く下着を入手したいという衝動はあるが、思考はちゃんと冷静に働いていたのである。
 さらに途中、どのルートを通るか迷ったため、多少右往左往したことも付け加えておこう。
 それで迷惑した人物が若干二名ほどいるが、柔肌の状況を第一に心配するはやてにとっては、知るよしもないことだ。

「そういや、パズーは今どの辺にいるんやろか……結構焦っとったからなぁ、禁止区域のこと忘れてへんやろか」
「なぁ、なにをそんなに急いでるんだ?」

 ふと、あの危なっかしくも勇ましい少年のことを思い出していると――何者かの声が、走るはやてを呼び止めた。

「な……なんや、今の声? 空耳、やないよな」
「こっちだこっち」

 足を止め、視線を右に左に。としているうちに、親切にも声はまた発され、はやてはその主が上にいるのだということに気付いた。
 そう、上。森林内の地面に立つはやての上と呼べる場所は、一つしかない。
 それは木の上だった。はやてのちょうど真上、一際大きく聳えるその大樹の枝に、声の主は悠然と立っていた。

「な――」

 顔を上げ、思わず絶句する。
 大樹というからには、当然その全長は人のそれよりもずっと高い。
 そんな高さの木に易々と登り、枝の上に立ってなおバランスを崩さない卓越した体捌きは、元サーカス団員である彼だからこその技だ。
 と、普通ならばその身体能力に目がいくところだろうが、はやてはなにもそんなつまらないことで驚いているわけではない。
 もっと、視覚的にインパクトがあった。
 もっと、脳髄に大打撃を与える映像だった。
 もっと、まともな出会いがしたかったと――後々思うのかもしれない。

 八神はやてに声をかけた木上の男、クレア・スタンフィールドは――腰にタオルを巻いただけの、『ほぼ全裸』だったのだ。

「なんやあんたぁー!?」

 あまりにも自由自適で無防備な姿に、はやては思わず腰を抜かしてしまう。
 脳裏に数時間前の強姦未遂事件の光景が過ぎり、背筋を怖気が駆け抜けた。
 異常な状況下であるがゆえに、犯罪に走ってしまったあの少年とは違う。
 本能で感じた。目の前の存在は、殺し合いなど関係なしに、生粋の変態だと。

「腰を抜かすな。さすがの俺も少し傷つく」

 言うような気配は微塵も感じさせない飄々とした顔で、クレアは地表目がけて飛び降りる。
 くるっと一回転しながら着地し、やはり身体能力が尋常ではないことをアピールするが、
 あいにく彼の腰を覆っている布が捲れそうになったので、はやては目を背けてしまった。

「ど、どどどどどどちら様でしょうか?」
「動揺するな。まぁ言わんとすることはわかるがな。服はまだ乾いていないんだ。風呂上がりで朝風を楽しみたい気分でもあったしな」

 なにやら弁明をしているクレアだが、はやてにとっては知ったこっちゃない。
 彼はどう足掻いても全裸であり、ここは室内ではなくお天道様の下であり、そして健全な婦女子の目の前だ。
 そんな状況で、いかなる理由があればうろたえずにいられるというのか。
 少なくとも、はやての繊細な乙女回路では許容しきれない問題だった。

「……声を聞いたんだ。この殺し合いという事態について、自らの見解を訴える女の声だ」
「えっ?」

 クレアが切り出した本題に反応し、はやては僅かに視線を戻すが、耐え切れずにまたすぐ逸らす。

「この状況に戸惑い怯えている者を救済するかのような言葉だった。それがまたずいぶんと感情入っていたみたいでな。
 それが悪意あるものには思えなかった。それで興味を抱いた俺は、こうして作業を中断し声の主を探していたんだが……」

 視線は合わせず、耳だけを傾けてはやては考える。
 つまり、この裸男ははやての拡声器による主張を聞き、ここまで全裸で馳せ参じてきたらしい。
 そういえば、あのラーメン屋の外周エリアには温泉があった。となると、この男は温泉からやってきたのだろうか。
 服が乾いていないだかなんだか知らないが、なにもそんな姿で来ることはないだろうに……と、はやては心中でぼやいた。

「そ、そですか。なら、こんなところで油売ってないで、早く声のしたほうへ向かったほうがいいんじゃないですか?」

 経緯はどうあれ、このような人とはあまりお近づきになりたくない。
 素直な感情でそう思ったはやては、他人のフリを決め込もうとしたが、

「なにを言ってるんだ。あの放送を行っていたのはおまえだろう?」

 時、既に遅し。

「おまえ、日本人か? よくは知らないが、そんな特徴的な口調の人間はそうそういないだろう」

 クレアがはやての盲点を突くとともに、一歩歩み寄り、一歩分退かれる。
 名簿を見る限り、日本人らしき人物は相当な数がいたが、その中で関西弁の女性が複数いるかといえば、確かに疑問だった。
 迂闊だった。あの放送はもとより人を集めるためのものではなかったため、本人特定の可能性など思慮の外だったのだ。
 どうせ、寄って来るのは殺し合いに乗った人間。だから早々に立ち去る気でいたのに、不幸にもこんな変質者と遭遇してしまうとは。
 回避しようがなかった偶然の不幸だが、禁止エリアを避け温泉に近寄ってしまったことが、はやての最大の不手際と言えた。

「た、確かにあの放送は私が流しましたけど……た、他意はないのでお構いなく」
「あの内容で他意がないわけがないだろう。それに、なにをそんなに怯えているんだ?
 俺の格好に動揺しているのはわかるが、これは考え方を変えれば武器を持っていないというアピールでもあるんだ。
 さっきも言ったが、俺はおまえの訴えに興味を持ち共感したからこそ、ここまでやって来た。
 この悲惨な状況に怯える女を、この俺が助けてやろう、ってな」

 クレアがまた一歩歩み寄り、はやては今度は退かなかった。

「私が……怯えてる?」
「ああ、そうだ。おまえがなにを見てなにを感じ、なにを思ってあんな真似をしたかは知らないが……
 あれは、よほど切羽詰まった人間じゃなきゃできることじゃない。なにせ、自分から殺し合いに乗った人間を煽っているんだからな。
 もちろん、おまえの声を聞いて勇気を出す参加者もいるだろう。だが、そんな奴が声の届く範囲に必ずいるという保障はない。
 そんなことは、誰でも考えつく。メリットとデメリットの比率に。それを理解してなお、おまえは訴えかけたかったんだ」

 気が付くと、はやてはいつの間にかクレアの不敵な笑みに目を奪われていた。

「おまえは哀れな迷い子だよ。与える影響は二の次。ただ叫びたかったんだ。堪え切れなくなったら泣く子供と同じさ。
 俺はそんなおまえに、少し同情したのかもしれない。なぁ、よければ俺に全部話してみないか? 
 なにがあったか全部。話せばスッキリするし、俺にもなにか協力できることが見つかるかもしれない。
 俺は車掌だが、だからといって乗客以外を切り捨てる気は毛頭ない。助けを求めている奴がいれば助ける。
 なぜなら、俺がそうしたいからだ。逆に、そうしたくなければしないがな。ムカツク奴は無視するし」

 呆然と聞き入るはやてを眼下に、クレアは淡々と語り続ける。
 クレアの考えを理解していくうちに、はやては次第に彼に対する印象を、『視覚的に変な奴』から『全体的に変な奴』に変えつつあった。
 裸身がどうという話ではない。その滅茶苦茶な言動からもわかるように、クレアという存在は、はやてが未だかつて相対したことのないタイプの人間だった。

「私は……」

 それでも、クレアの指摘が見透かしているかのように的を射ているのは事実。
 不思議な言霊に先導され、はやては真実を語りたい衝動に駆られる。
 自らが犯した過ちを、出会ったばかりのクレアに懺悔したくなったのだ。
 ふらふらと立ち上がり、はやてはパクパクと口を上下させる。
 なにもかも吐き出したかった。なおも心の中で渦巻く葛藤に、ケリをつけたくなった。
 そうやって、はやてが上下する口に音を乗せようとして、

「私…………ヴァ!?」

 不意に吹き込んできた風の悪戯が、クレアの腰のタオルを捲り上げた。
 ぺラッと。いや、むしろペロンと。
 そして、タオルに覆われていたアレがはやての目に飛び込んできた。
 チラッと。いや、むしろモロッと。

「ヴァ、ヴァ、ヴァ、ヴァ」

 もちろん、初めてである。
 なにがどう初めてなのかは、語るのも野暮と言うものだろう。
 その辺の事情については、絶賛赤面中のはやての顔を見て察してほしい。

「ヴァ――――ッ!?」

 たまらず、はやてはその場から逃走した。
 なにもかもがエキサイティングで、そのうえショッキングでもあり、チラリズムだった。
 とにかく、筆舌に尽くしがたい状況に陥ったはやての乙女回路は、本能的にクレアからの逃走という命令を下した。

 ……だが、ここは整地された街路ではない。木の葉や小石、木の根が大地を敷き詰める森の中だ。
 そんな場所で、我を忘れて走り出そうものなら……

「あべしっ!?」

 当然、思いっきりすっころぶ。

「…………たたた」

 柔らかな土に顔面から滑り込み、はやては鼻を押さえた。
 思い切り転んでしまった。こんな見事な転びっぷり、本場のお笑い芸人でも真似できない。
 鼻の穴がむずむずする。どうやら木の葉の欠片が入り込んでしまったらしい。
 手の平がひりひりする。どうやら手をついたとき、軽く擦り切れてしまったらしい。
 おしりがスースーする。木の間を吹ける風が、むき出しの臀部を刺激しているらしい。

(……ん? ちょい待ち。おしりがスースー……って!)

 得体の知れぬ危機感を察知したはやては、うつ伏せに倒れたまま、がばっと後ろを振り向いた。
 その視界の奥には、キョトンとした表情で立ち尽くすクレア。
 目と目が合い、互いに「あっ」と口を漏らす。
 視線の焦点は、二者の間、はやての天に突き上がった尻に向いた。

 機動六課女子制服の短めのスカートが、転んだ際の衝撃で捲れていた。
 ぺラッと。いや、むしろペロンと。
 そして、下着を身に付けていなかったがために、それはむき出しの状態で露出してしまった。
 チラッと。いや、むしろモロッと。

「…………あ、あ、あ」
「……さすがの俺も困惑している。だけど、たぶんここは謝っておいたほうがいいんだろうな。すまん」

 結果から言って、クレアの先立っての謝罪は、残念ながら受け入れてもらえなかった。
 その後のはやての阿鼻叫喚ぶりといったら、六課部隊長の体面もなにもあったものではなく、乙女としては当然の反応とも言えた。
 顔を真っ赤にしながら怒るはやてにクレアは笑顔を作り、それを見てはやてはさらに怒った。
 そんなやりとりが何回か続き、はやては結局クレアからの逃走を果たせないまま、主導権を彼に引き渡すこととなる。

 ――スバルやティアナ等、はやてを尊敬の眼差しで見る六課新人たちからしてみれば、意外な一面と捉えられていただろう。
 だが、この喜怒哀楽に溢れた活発な姿こそが八神はやてという少女の素であり、本質なのである。
 ヴィータやシグナムといった守護騎士たち、高町なのはやフェイト・T・ハラオウンといった親友たちに見せる、朗らかな笑顔。
 騎士カリムによる管理局内部崩壊の予言、闇の書事件の罪悪感などで、しばらく靄がかっていた本性。
 それは先の間桐慎二誤殺の件で再び失われつつあったが、今この瞬間だけは、本来の八神はやてとして存在していられた。
 方法はどうであれ、その変化を齎す要因となったのは他でもないクレアであり、このことは当人たちも気付いてはいないのだろう。
 今はただ、素の感情で言い争いを繰り返すばかりだ。
 ただ、それだけ。
 それだけのことが、はやてにとってなによりの清涼剤だった。


 ◇ ◇ ◇


「――で、そいつをここに連れてきたのか」
「ああ。言っておくが、人手として連れてきたわけじゃないぞ。温泉を利用する客として招いたんだ」

 喋るトラネコのマタタビと、服はやっぱりまだ乾いていなかったため全裸のままのクレアの会話。
 あのビックリドッキリハプニングの後、クレアはどうにかはやてを説得し、温泉まで連れてきた。
 ちなみに、そのときの口説き文句がこうだ。

『なにがあったかは知らないが、話すにしてもひとっ風呂浴びて、頭をスッキリさせてからのほうがいい。
 それに、これは俺みたいな奴じゃなきゃ気付けないだろうが……血の臭いっていうのは、しつこく染み付くんだ。
 簡単に落としきれるもんじゃない』

 葡萄酒(ヴィーノ)の名で知られる伝説の殺し屋、クレア・スタンフィールドは、職業柄鼻が利く。
 特に、血の臭いには敏感だ。本人はしっかり洗い流したつもりでいても、水洗だけでは肌に染み込んだ臭いまでは落とせない。
 そこで、クレアははやてに温泉で改めて体を清めることを勧めた。クレアの指摘を気にしたはやては、それに乗ったというわけだ。

「あの女も、この僅か数時間でかなり波乱万丈な道程を歩んできたらしい。
 それがまた酷いもので……いや、やめておこう。プライベートに関する話だしな。知りたきゃ本人に聞いてくれ」
「拙者には関わりのないことだ。あの女が客というのなら、おまえが勝手に持て成せ。興味ない」
「そうか」

 器用に握ったトンカチで、木材に釘を打つマタタビ。その横で、クレアは鉋を削りながら喋っていた。
 温泉に移動するまでの道中、はやてはクレアの口車に乗せられたのか、隠していた事情を全て暴露していた。
 少年に強姦されそうになったこと、その少年に抵抗した結果、相手を殺してしまったこと。その、懺悔を。
 事情を知ったクレアは、やはり同情した。ああ、そりゃ災難だったなと。純粋に可哀想だと思った。
 一部では怪物などと呼ばれ恐れられるクレアだが、その性格は決して冷酷ではない。
 自己中心的なのは否定できないが、他者に対する慈悲や哀れみの心は、ちゃんと持ち合わせている。
 むしろ、彼は戦場で泣き叫ぶ子供がいたら、率先して助けるタイプの人間だ。
 現実に甘いわけではない。そうするだけの余裕があるからこそ、彼はそうするだけなのだ。
 だから、この殺し合いの現場でも、悠々と全裸で行動できる。服を着ていなくても、支障がないから。

 ちなみに、クレアが客として招いた八神はやては、現在入浴中である。
 クレアとマタタビは仕事場をわざわざ湯船の見えぬ範囲に移し、はやてが上がってくるのを待っていた。

「ま、人手が欲しいのは否定しないが、おまえが一人で十人分の働きをしているからな。別に困りは……」
「ああ、そのことなんだがな。悪い。ひょっとしたら、もうすぐおまえを手伝うことができなくなってしまうかもしれない」

 手は休めず、不意にクレアがそんなことを漏らす。
 やや遅れて「ハァ!?」と反応したマタタビを無視し、クレアは鉋を置いて明後日の方向を向く。
 そこには、湯上がりでほんのり顔が上気した八神はやてが立っていた。


 ◇ ◇ ◇


 なんであんな迂闊なことをしてしまったのだろう、とはやては今さらながら不思議に思う。
 迂闊なこととは即ち、相手に疑心を与えかねない強姦と誤殺の話を、クレアにひょいっと話してしまったことだ。
 彼は車掌と言っていたが、本当は口の達者な弁護士か交渉人かなにかではないだろうか。
 でなければ、あんな風に口軽く事情を話してしまえるわけがない。
 それとも、単に自分の心がそれだけ磨耗していただけなのだろうか。
 と、はやては数分前のことを思い返しながら、ピンク色に染まった裸身に六課の制服を着込む。やはり下着はない。

「石鹸のいい香りだ。血の臭いは完全に落ちたようだな。俺が言うんだから間違いない」
「それはおおきに。クレアさん、でしたっけ? そろそろ服を着たらどうですか?」
「すまん、まだ服が乾いていないんだ。だが、もういいかげん慣れただろう?
 それに、タオルも短いものではなくバスタオルを巻いた。これでもう安心だ」

 確かに風に吹かれて捲れるような心配はないだろう。だが、そういう問題ではない。ツッコむのも馬鹿馬鹿しいが。
 湯から上がったはやては、その足で再びクレアの元に向かった。
 そっと出て行ってしまってもよかったのだが、温泉にやって来た際、大工仕事をするトラネコの姿が目に入り、無視できなくなってしまったのだ。
 思い出されるのは、喋る黒猫との邂逅。おそらくあのトラネコは、クロの言っていたマタタビに違いない。
 当の本人ははやてになど興味がないのか、クレアに出迎えの挨拶をするだけで、自らの仕事に没頭していた。
 声をかけようとも思ったが、まずは温泉に入り、落ち着いてから情報交換をすべきだと、そのときは判断したのだ。

「おいクレア! さっきの言葉はどういう意味だ!」
「すまないなマタタビ。俺はこの女と話さなきゃならないことがあるんで、少し席を外させてもらう」
「あ、待って。私もその猫さんに話したいことが――」
「そんなのは後だ」

 マタタビに声をかけようとしたはやてだったが、クレアに遮られ、無理矢理連れられて行ってしまう。
 なんとも自分勝手な男やなぁ、とは思いつつも、はやては流されるまま森の奥へと移動させられる。
 タオルで覆う面積が増えたとはいえ、上半身全裸の男に手を握られるのはやはりいい気がしない。
 顔が火照り、心臓の鼓動もどこかペースか速くなっているような気がする。

(本当に、変な人。こんな変な男の人に会うのは初めてや)

 はやてはクレアの引き締まった上半身に目を奪われつつ、そう思った。


 温泉敷地内の片隅で、クレアは足を止めた。どうやら、二人きりで話す空間が欲しかったらしい。
 誰もいない森の中、少女の相手が熊さんなら童謡みたいでファンタジックだが、裸の男とあってはムードも台無しだ。
 とりあえず、クレアは殺し合いに乗っているとかいないとか、そういう次元の人間ではないと思われるため、はやては命の心配だけはしていなかった。
 が、それゆえに彼がなにを切り出すかまったく予想が出来なかった。
 文句も言わず連れて来られたのは、クレアという人間に対して、微かに好奇心が働いた結果なのかもしれない。

「さて、まずはなにから話そうか……」

 顎に手を当て天を仰ぐクレアは、一、二秒考える仕草をしてから、棒立ちのはやてを見つめる。

「そうだな、やはり最初は謝罪といこう。すまん。俺が悪かった」

 にこやかな笑顔に反省の色を僅かに混ぜ、クレアははやてに頭を下げた。
 謝られたはやては、なにがなんだか意味がわからない。目の前の男は、いったいなにをそんなに申し訳なさそうにしているのか。

「なぜそんな不思議そうな顔をする? まさか、俺がデリカシーのない男だとでも思ったのか?
 だとしたら心外だ。こんな格好をしている俺が言っても説得力はないかもしれないが、
 俺はちゃんと女性の羞恥心というものを理解している。いくらあれが風の悪戯だったとはいえ、非は俺にある。
 それを認めているからこそ、こうやって改めて謝罪しているんだ。いや、本当に申し訳ない」

 ああ、なるほど。そういうことか。
 はやてはクレアが『アレ』を見てしまったことに対して謝罪しているのだと理解し、たまらず笑みを零した。
 確かにあの事故による精神的被害は乙女の一大事と言えたが、なにもクレアに悪意があったわけではない。
 その辺ははやて自身も理解しているから、今さらとやかく言うつもりもなかったのだが、クレアはそれを気にしてくれていたというわけだ。
 確かに裸という点を考えれば説得力はないが、はやてはクレアに対する認識を少しだけ改めた。

「あーあ、私、もうお嫁にいけへんかもしれんなぁー」

 そんなクレアがおかしくって、はやての悪戯心がついそんなことを口走らせてしまった。
 この、変だけど根はいい人そうな男は、どういった反応を見せるだろうか。そんな好奇心に駆られてしまったのだ。

「そうだろうな。だから、俺は考え決心した。俺は――おまえに対して責任を取ろうと思う。話の本題はそれだ」

 と、予想外にも真面目に切り返してきたクレアに、はやては脳内で疑問符を浮かべる。

「責任? 責任って、なんの責任です?」
「だから、俺が、おまえのアレを見てしまったことに対する責任さ」
「いや、それはなんとなくわかりますけど、責任を取るってどうやって?」

 クレアの真意が読めないはやては、純粋に首を傾げていた。
 幼少から仕事熱心だったせいだろうか。その方面には疎いはやてとしては、本気でクレアの意図がわからなかったのだ。
 そんなはやてに、クレアはさも当然という顔で言う。

「わからないか? ならストレートに言おう。俺と結婚してほしい」

 瞬間、はやての世界が止まった。
 目に映る光景が、凍りついたように動きを止める。
 色彩豊かな森の情景が、灰色の絵の具で塗りつぶされていくような感覚だった。

「おまえも俺のアレを見てるんだし、おあいこだとは思うんだが、やはり男と女では精神的損害が違うだろうしな。
 ただ償いをするだけじゃ男としてどうかとは思うし、このまま帰ったら、キースの兄貴に絶交されかねない」

 口を開いてぽかんとするはやてを尻目に、クレアはのうのうと言葉を続ける。

「あ、ひょっとして愛のない結婚は嫌だとか思ってるか? 大丈夫、愛するから。
 こんなことを面と向かって言うのは照れるが、俺はおまえに一目惚れしたんだ。
 境遇に哀れんだとか、単にアレを見たことに対する責任を果たすためじゃないぞ。
 もちろん軟派な態度で言っているわけでも冗談で言ってるわけでもなく、本気で言ってるんだから問題はないはずだ」

 クレアの言っている意味がさっぱり理解できないはやては、返事も返せぬまま、ゆっくりと顔を赤らめていく。

「返事は今すぐ返してくれなくてもいい。だが、当面はおまえに付いて行こうと思う。
 ここで待っていてもいいんだが、状況が状況だ。俺の知らぬところで、また誰かに襲われでもしたら大変だしな。
 だから、俺はおまえを守りつつともに行動する。返事はここから出るときまでに考えておいてくれ」

 上半身裸での告白。十九歳で初めて受けるプロポーズ。なにかもが、はやてにとって衝撃的だった。

「反応が薄いな。ひょっとして俺の言葉が信じられないか? 言っておくが、俺は無敵だ。
 どんな敵が相手だろうと、絶対に死なない自信がある。なぜなら、世界は俺を中心に回っているからだ。
 俺が殺される心配はないし、俺が守ると決めたものは、確実に守り通せる。
 だから心配は無用だ。そしておまえも信じろ。俺が、絶対に死なない男だと」

 人生で、これほど困惑したことはなかったかもしれない。
 はやては、クレアという今までに相対したことのないタイプの男性に魅せられ、その場に立ち尽くした。
 なにも考えることができない。股下の冷たい違和感も、今に限って言えば気にならない。
 ただ胸が高鳴り、その理由もわからないまま、全身が高揚していく快感に捉われる。
 はやての意識はクレアの真摯な瞳に奪われ、完全に我を忘れていた。


【H-6/温泉の外れ/一日目/昼】

【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康、上下下着無し(下はタイツのみ着用)、赤面、強い決意
[装備]:H&K MP7(40/40)+予備弾40発@現実
[道具]:支給品一式、トリモチ銃@サイボーグクロちゃん、レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク@機動武闘伝Gガンダム
    読子の支給品一式と拡声器、支給品一式(食料:缶詰)、テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
    血に染まったはやての下着(上下)
[思考]
基本思考:力の無いものを救い、最終的にロージェノムを逮捕する。
1:クレアの求婚に困惑。人生で一度も体感したことのないような変な気持ち。
2:マタタビと話す。
3:慎二の知り合いを探し出して、彼を殺した事を謝罪する。
4:戦う力のない人間を救う。
5:北上してデパートへ行って下着を入手。
6:東回りに観覧車へ。クロと合流する。
7:読子達にデイパックを返したい
[備考]
※ムスカを危険人物と認識しました
※シータ、ドーラの容姿を覚えました。
※モノレールに乗るのは危険だと考えています。
※言峰については、量りかねています。

【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:自分への絶対的な自信、全裸(下半身にバスタオルを巻いている)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、マタタビの目玉入り瓶@サイボーグクロちゃん、フライング・プッシーフットの制服(天日干し中)
[思考]
基本:脱出のために行動する、という俺の行動が脱出に繋がる。はやてと結婚する。
1:はやてを守りつつ彼女とともに行動。
2:マタタビには悪いが、はやてがここを離れるというなら温泉修繕の手伝いはやめる。
3:名簿に載っているのが乗客なら保護したい。
4:はやての返事を待つ。
[備考]
※クレアの参戦時期は『フライング・プッシーフット』の『車掌二人』の死亡後です。
※全身の血を洗い流しました。



 ここで裏話を一つ。
 言峰の言葉から狂い始め、慎二の横暴で加速し、自らの意志でどうにか軌道修正したはやての心は、クレアの思わぬ行動で急展開を見せる。
 その裏側、はやてとは比較的関係のないところで、彼女に接触を図ろうと暗躍する影があった。
 そう、スパイク・スピーゲルと読子・リードマンの二人である。

「もぉ~! スパイクさんがのろのろしてるから、八神さんを見失っちゃったじゃないですか!」
「俺のせいかよ」

 人気のない森の中。大胆なことに、そこはあと数時間で禁止エリアとなるG-6あたりだったろうか。
 この現状を殺し合いと認識していないスパイクと読子には無用な心配ではあったが、このままここに留まれば首輪が爆発してしまう。
 いくらなんでも、この実験のルールを認識もしないまま事故死したとあっては、笑い話にもならない。
 だが、現実は非情である。この間抜けな二人に現実を教授してやれる者はこの場には居らず、勘違いだらけの珍道中はまだまだ続く。

「なぁ、リードマン。やっぱなんかおかしくねぇか?」
「もう、まだウジウジ悩んでるんですか? そうこうしている間にも、八神さんは一人ロージェノムさんと戦ってるかもしれないんですよ!?」

 なにやら強い使命感のようなものを覚えている読子だったが、反対にスパイクのほうは、正体の掴めぬ違和感に捉われ続けていた。
 はやてが真に伝えたかったこととはいったいなんなのか。今思うと、やはり読子の見解はどこか外れているような気がする。
 スパイクは思考の海と森の大地を同時に進行し、今はそのせいで見失ってしまったはやてを探すため、彷徨い歩いてる最中だ。
 どちらにせよ、読子の荷物の件もある。はやてとの再会は必須だろう。
 スパイクは考え直し、はやての捜索に専念しようと顔を上げるが、

『なんやあんたぁー!?』

 突如として響いてきた奇声に反応し、後ろを振り向いた。

「聞いたか、リードマン?」
「ええ。今の、八神さんの声でした」
「ああ。しかもありゃ悲鳴だ。こりゃ、面倒なことになってるかもしれねぇぞ」
「急ぎましょう、スパイクさん!」

 スパイクと読子は声の響いてきたほうへ、一目散に駆け出した。
 あの奇声、恐らくはクーデターがバレ、ロージェノムの一派に粛清されようとしているに違いない。
 面倒事は御免だが、はやてには朝食を振舞ってもらった恩がある。それに、読子もやる気満々のようだ。
 スパイクは急ぎ、先頭に踊り出ると、程なくして二つの人影を発見する。

「――ィッ!?」

 と、その人影を発見するや否や、小さく喘いでなぜかユーターン。
 後方の読子を立ち止まらせ、力ずくで彼女の顔を横に向かせた。

「ふ、ふパイクさん!? な、なんでふか、どうひたっていうんでふか!?」
「見るな。おまえは見るな。とりあえず待て。あれを大勢の目に晒すのは――残酷すぎる」

 両手で読子の頬をサンドイッチにし、スパイクは彼女の視線を明後日の方向に誘導させようとする。
 が、読子もそれに抗い、唇の尖った不細工面を作りつつも、スパイクの奥にいるはやてを視認しようと試みる。
 おかしな攻防戦だったが、スパイクの表情は至って真剣な――哀れみの顔だった。

 ……スパイクが先駆けて視認したはやての姿は、よりにもよって天に向かって半ケツを晒している状態だったのだ。

 あれはある意味、血に濡れて透けた下着姿を見られるより恥ずかしい。なにせ、ポージングがあり得ない。
 読子がいくら理解ある同性であろうと、あの姿をより多くの人間に見せるのは酷すぎる。自分だったら死にたくなる。
 だから、衝動的に読子の視線を背けさせた。これ以上はやての傷を増やさないために。
 これは、はやての人権に対する配慮などではなく、人として彼女に憐憫の情を抱いたからこその行動である。
 ……つまり、あんな格好をしているはやてに、スパイクは心の底から同情したのだ。

「ん~……もう! いきなりなにするんですかぁ~!?」
「怒るな。あと騒ぐな。とりあえず様子を窺うんだ」

 拘束を解き、ぷりぷりと怒る読子を宥めると、スパイクは適当な茂みに彼女を連れ込んだ。
 木々の隙間から、数十メートル先にいるはやてを観察する。
 どうやら、地面に倒れ込み半ケツを天に突き上げるという珍妙すぎる姿勢からは脱出したようだ。
 ホッとするスパイクだったが、またすぐにギョッとすることとなる。
 よく見ると、はやての側にいるもう一つの人影が、また常識ではあり得ない格好をしていたのだ。

「……おい、ありゃいったいどういう状況だ? あいつの側にいる男、なんでタオル一丁の裸なんだ?」
「わ、私に聞かれても……あ、それになんか、八神さん泣いてるみたいです……と思ったら怒ってる」
「おいおい、まさか、人気のない森で裸の男に襲われそうになったってんじゃないだろうな?」
「いえ、でもあの男の人、なんだか八神さんを慰めてるみたいですよ。謝ってる風にも見えます。あ、付いて行っちゃった」
「……さっぱり状況がわからん」
「わかりませんねぇ」

 茂みの中でう~んと唸る二人は、はやてと裸の男が去っていくのも構わず、その場で考え込む。

「少なくとも、あの男は八神の敵じゃないよな? だとしたら、例の味方か? 裸だったけど」
「う~ん……そういえば、温泉ってこの近くじゃないですか? ひょっとしたら、温泉をベースにしているのかも」
「クーデターの前線基地がオンセン? いや、だとしてもフツー全裸で歩き回るか?」
「でも、あの人がロージェノムさん側の人間だとしたら、八神さんも簡単に付いて行ったりはしないでしょ?」
「ま、そりゃそうだが……」

 そのまま茂みの中で数分、あーだこーだと話し合う。
 その討論は一見真面目なように見えたが、話の本題は実際の事情には掠りもしていない。
 傍から見たら馬鹿丸出しの、当人たちにしてみればたぶん大真面目な、二人だけの世界が続く。

「ってか、本人に直接聞いたほうが早いなこれ」
「そうですねー。私たちも温泉に向かう予定でしたし……とりあえず、温泉で八神さんと合流しましょうか」

 勘違いは紆余曲折してさらに高速旋回しながらなおも加速していくが、やはり正す者はいない。


 ◇ ◇ ◇


「ここか? オンセンってのは」
「ですねー」

 森をまたしばらく彷徨い歩き、スパイクと読子は湯気の立ち上る施設へとやって来た。
 最初に目に映った建物は酷く廃れているようだったが、付近を回ってみると、湯はちゃんと存在しているようだった。
 はやてと出会った町と同じで、人気はない。とりあえずはやてを捜すことにした二人は、温泉の外周を探索していた。

「気をつけろよ。ここが本当に八神たちのアジトだとしたら、罠の一つや二つあるかもしれねぇからな」
「はい。でも、肝心の八神さんはいったいどこにいるんでしょう?」

 そもそも、二人ははやての後を追ってここに辿り着いたわけではなく、はやての味方らしき男が裸だったという判断材料から、ここに立ち寄ったにすぎない。
 本人は北に向かうと言っていただけに、イマイチここにはやてがいるという確証が得られなかった。

(ま、いなきゃいないでこいつを風呂に入れるだけだがな)

 と、スパイクは楽天的に考える。捜し人を見つけたのは、そんなときだった。

「あ、いました。はやてさんと、さっきの男の人です」

 先ほどとまったく同じ状況。森の中で、以前より若干長くなったタオルを腰に巻いただけの裸男と、はやてが対峙していた。
 そしてそれを覗き見するスパイクと読子も、反射的に茂みの中へと身を潜ませていた。
 数十分前とは違い、今度は十分に声が聞き取れる距離だ。二人ははやてと裸男の会話に聞き耳を立て、デバガメのように様子を窺う。
 聞こえてくるのは、なにやら異様に滑舌のいい男の演説のみ。聞き手に回っているのか、はやてはまったく喋っていない。
 そしてその演説の内容がまたおかしなもので、二人から零れた感想は、

「これってひょっとして……愛の告白、ですか?」
「だな。しかもプロポーズだ」

 と見事に合致した。
 結婚だの、愛するだの、一目惚れだの、本気だの、守るだの、やたらと情熱的なことを語っているように見える。
 しかしこれはどういうことか。読子の推測が正しければ今はクーデター真っ最中のはずの彼女らが、温泉で愛を語り合っているなんて。

「戦場で盛り上がる恋もあります。いわゆるつり橋効果ですね。はぁ……ロマンチックな恋愛小説みたい」

 と読子は分析しているが、スパイクは険しい表情で再度考え直す。
 この状況、やはりおかしい。おかしすぎる。自分たちは、なにか究極的にアホな勘違いをしているのではないだろうか……
 スパイクの疑念は、ここにきて再燃する。そもそもが遅すぎなのだが。
 とにかく、今度こそ当人であるはやてに真相を問い質すチャンスである。
 スパイクは腰を上げはやてたちの元に歩み寄ろうとするが、

「おい。おまえら、そんなところでなにをやっている?」

 寸前で、いつの間にか後ろに立っていたネコに、呼び止められた。
 ネコに、呼び止められた。
 ……ネコに。

「……ネコ?」
「……ネコ、ですね」

 振り返り、唖然とするスパイクと読子。
 彼らを呼び止めた声の主はどこからどう見てもネコであり、さらに詳しく説明するなら、二足で立つ隻眼のトラネコだった。
 そのトラネコが、流暢に人間の言葉を喋り、スパイクたちを見上げている。
 衝撃のあまり数瞬思考することを忘れてしまった二人だったが、やや遅れてそのあり得ない光景を受け止めると、

「ネコぉぉぉぉぉ~!?」

 大袈裟に驚いてみせたり。その声は、温泉全体に響き渡った。


【H-6/温泉の外れ/一日目/昼】

【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:健康
[装備]:大工道具一式@サイボーグクロちゃん、マタタビのマント@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式、メカブリ@金色のガッシュベル!!(バッテリー残り95%)
[思考]:
1:クレアからさっきの言葉の真意を問い質す。
2:クレアが駄目ならこの二人に手伝わせるか?
3:この建物を直す。建物に来た奴には作業を手伝わせる。
4:建物が完成したらリザを待つ。
5:出来ればキッド(クロ)とミーとの合流。
6:戦いは面倒だからパス。
7:暇があれば武装を作る。
[備考]
※大工道具は初期支給品の一つです。中身はノコギリ、カンナ、金槌、ノミ、釘
※建物の修理はあとおよそ10時間で完了しますが、妨害行為などで時間が延びることがあります。
※クレアが手伝うことによって、完成予定時間が短縮されました。
※修理に手を貸す人がいれば修理完了までの時間は短くなります。H-6の周囲に建物を修理する音が響いています。

【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:健康
[装備]:デザートイーグル(残弾8/8、予備マガジン×2)
[道具]:支給品一式
[思考]
1:ネコが喋ってやがるー!?
2:はやてに真相を問い質す。
3:とりあえず温泉に入る。
4:読子と一緒に行動してやる。

【読子・リードマン@R.O.D(シリーズ)】
[状態]:健康
[装備]:○極○彦の小説、飛行石@天空の城ラピュタ
[道具]:なし
[思考]
1:ネコが喋ってるー!?
2:はやてに協力したい。
3:スパイクと一緒に温泉に行ってから帰る。
※はやてがやろうとしていることを誤解しています。
※国会図書館で隠棲中の時期から参加。


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111:車掌と大工 マタタビ 135:Rubbish!
111:車掌と大工 クレア・スタンフィールド 135:Rubbish!
130:賽は投げられた・side b スパイク・スピーゲル 135:Rubbish!
130:賽は投げられた・side b 読子・リードマン 135:Rubbish!

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