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  • 虐殺天使きっちりちゃん(前編)

虐殺天使きっちりちゃん(前編)

最終更新:2022年08月18日 21:42

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

虐殺天使きっちりちゃん(前編) ◆h8c9tcxOcc



 真一文字に寝そべり、波に揺られるまま、かがみは水面を漂っていた。
 貝を抱えるラッコのように、腹の上でひたすら大切に、妹の生首だけを抱き締めて。
 やや流れの速い川をくだり、大きな橋の下をくぐって、いつしかかがみは海に流れ出ていた。
「潮風が気持ちいい……」
 さざ波の音や海鳥の鳴く声が、途切れること無く鼓膜を優しく撫でる。
 陸を離れるまで昂り続けていた感情も、今となっては嘘のように思えるほど穏やかだった。
 かがみはつかさの首を手に取り、自分の顔と向き合うように掲げる。
 水に浸しつづけたそれはくしゃくしゃにふやけ、もはや原型を留めないほどに歪んでしまっていた。
 それでも、つかさと居られると思えば、そんなものは些細なことでしかなかった。
 二人で過ごせるということが、何より大切だったのだから。
「これで、よかったんだよね。これからはずっと、つかさと……」
『ビィ――――――――――――――――――――』
 しかし、永遠に続くと思っていた二人の時間は、あっさりと終焉を迎えることとなる。
 センチメンタルな独り言を掻き消し、けたたましいブザー音が鳴り響いた。
「な、なに、なんなの!?」
 耳障りな音響はかがみの体内に共鳴するように振動を伝え、緊迫感は鼓動を高鳴らせた。
 戸惑うかがみを嘲笑うように、やがてブザー音はフェードアウトする。
 そして一定の音量で安定すると、それに被さってまた別の音声が響いた。
『この界隈は現在、進入禁止エリアと定められている。速やかに移動を開始し、当該エリア外へと退避せよ』
 聞こえたのは、主催ロージェノムの声だった。二度と耳にしたくはなかったが、そんなことを考える場合ではない。
 禁止エリア。聞き覚えの無い単語だったが、意味するところの見当はつく。警告に従わなければ、首輪の爆弾が作動するに違いない。
 背筋に悪寒が走る。既に一度、実際にそれが破裂するのを見ているのだ。これが脅しでないことは理解済みである。
 作動したとて、不死身であるかがみの首はすぐに元通りになるだろう。
 それでも、首を刎ねられるという未知数の痛みを味わうことには変わりない。そんな体験は、御免被る。
「でも、でもっ。ああっ、もぅ、どこへ逃げろっていうのよぉ!!」
 されど、周囲は見渡す限りの水溜り。どちらへ泳げば禁止エリアを脱することができるのかはわからない。
 たった今警告が始まったということは、エリアの端に触れてしまったに違いない。
 そう考え、パニックを起こしながらも海面を右往左往してみる。だが、警告音は一向に止まなかった。
 追い討ちをかけるように、螺旋王はかがみに冷徹な最後通告を突きつける。
『――残り十秒だ。急げ』
「急げったって……んあっ!」
 緊張に身を強張らせるあまり、脚が、それもあろうことが両脚が、一度に攣ってしまった。
 突然の痛みに動揺し、海水を大量に飲んでしまう。下半身に力が入らず、身体が少しずつ水中へと引きずり込まれていく。
 抱えていたものを無意識に手放し、腕を振り回して必死に浮き上がろうとするが、もがけばもがくほど身体は水に沈む。
「ひゃ、ごほ、げほっ」
 鼻腔の粘膜に触れた潮水が、激痛を伴い体内へ次々と侵入する。
『8、7、6』
 かがみの余命を告げるカウントダウンが開始された。しかしそれを聴く余裕すら、今のかがみには存在しない。
『5、4』
「ばっ、あぼぼぶぼ」
 いよいよ頭頂部まで水に浸り、天に翳した手先だけがじたばたと海面で飛沫をあげる。
『3、2』
「がぼがぼごぼ」
 視界が暗くなり、朦朧としてくる。
『1』
「ごぽ……」
 頭の中が真っ白になった。

◆

 千里の苛立ちは頂点に達していた。螺旋王に対するやり場のない怒りに、小さな胸は強く締め付けられた。
 腐葉土を踏み締める足取りは重く、肩は小刻みに震え、吐く息は荒い。
 ふと、握り締めたコンパスに視線を落とす。ひと呼吸を置いてから、力任せにそれを足元へ叩きつける。
 コンパスは手応えの無い音とともに、湿った地面にへばり付いた。
 がたがたと雑音を発しながら、コンパスの針はひたすら踊り狂っている。この森へ迷い込んでからというもの、ずっとこの調子なのだ。
 つい先ほど、市街地の外れに辿り着くまでは、何ら異常は無かったというのに。
 おかげで現在自分がどこに居るのか、どちらへ向かって歩いているのか、皆目見当がつかない。
 されど、苛立ちの原因は、ただそれだけではなかった。

 午前六時。千里の起床予定時刻に、螺旋王の放送は始まった。
 きちんと整頓された荷物の、一番上に詰めておいた筆記具は既に手の中にあり、万端の備えで放送に臨む。
『殺し合いは――あまり、はかどって……』
 冗長な駄弁を聞き流し、いよいよ脱落者の発表が近付くと、千里の心は大いに昂った。
 “実験”の進行度合いを知ることのできるそれは、千里にとってなにより重要な情報である。決して聞き逃すわけにいかない。
 だが、その瞬間は唐突に訪れた。
『さて、禁止エリアについて説明しようではないか。
 死亡者から話しては、自我を喪失し、放送を聞き取れなくなる者もいるやもしれんからな』
「……へ?」
 千里は目を丸くする。放送で流されるのは、脱落者の情報だけではなかったのか。
「禁止、エリア、て……」
『B-1、D-5、G-6、以上を禁止エリアと定める』
 螺旋王は坦々と英数字の羅列を述べる。千里はほぼ反射的に、人名が並ぶはずであったメモ用紙に、それらをきっちりと書き連ねた。
 B-1、D-5、そしてG-6。記入した内容に間違いは無い。脳を小突く重たい声が、耳鳴りでもない限りは。
『最初に言った通り、ここに足を踏み入れれば、首輪が爆発する事になる。
 そう、始めに我に歯向かってきた、あの男のように血肉の塊と化すだろう』
 禁止エリア。その名の通り、進入することを禁じられた区域。何人も寄り付くことのない、デッドスペースである。
 ……デッドスペース。口にするのもおぞましい。その邪悪な響きに、千里の精神は急速に蝕まれていく。
『もっとも、この場には字が読めぬ者がいるのでな。警告後一分以内に離れれば、首輪は爆発しない』
 会場を虱潰しに踏破すること。それが千里の目的であり、また至福でもある。
 だが補足説明によると、当該エリア内で行動可能な時間は一分。たった一分で、中を調べ上げることなどできるはずがない。
 入れない。調べられない。きっちりできない。無情な現実に打ちひしがれ、千里は枯葉の絨毯に膝を衝いた。
『戦わずして吹き飛ぶ事ほどつまらぬモノはないのだからな。十分に、気をつける事だ』
「きっちり……したい……のに……」
『さて、最後の一人を目指す者、このゲームを破壊しようと目論む者』
「……うっ、うう……う」
『どちらにとっても感心があるだろう、死亡者の発表に』
「うな――――――――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
 千里の理性はいよいよ崩壊した。傍らに広げた地図を乱暴に拾い上げ、そして絶叫する。
 地図の両端を握り締め、外側へと力一杯引っ張る。地図は中央を縦方向に走る折り目に沿って、綺麗に真二つになった。
 ……そこからは、一切の記憶が無かった。完全に自我を喪失していたらしい。

「もう、どうしてくれるのよ。折角立てた予定が、全部台無しじゃない!」
 落とした顔を両手で覆い隠し、首を左右に振るいながら千里は嘆く。
 唐突な場面転換のおかげで自分の居場所すらわからず。禁止エリアが存在するせいで、会場を隅々まで調べて歩くこともできず。
 死亡者数を聞けなかったために、今後のペース配分を考えることもできない。すべてが曖昧模糊とした、まさに最悪の状況。
「禁止エリアなんて設けるくらいなら、はじめから小さな会場にすればいいでしょう。どうしてわざわざ無駄な土地を用意するのよ。
 いま先進国の人口密度は飽和状態なの。こんな少人数のために割く土地なんか、これっぽっちも余ってなんかいないの。
 科学者なら、そのくらい分かっているでしょ? 現代人としての身の丈くらい、きっちり弁えなさいよっ!」
 実験という語に固執するあまり、螺旋王イコール科学者という誤解が生じていたが、千里にそれを気に留める余裕はない。
 ある意味では、千里は螺旋王の考えにいたく共感していた。
 安定した現代社会の恩恵に感け緩み切った人類を、互いに競わせ、篩いにかけることで、有能な人間のみを選び出す。
 その一点に措いては、千里はこのゲームが開催されたことに感謝の念すら覚えている。
 しかしながら、過程についてはその限りではない。螺旋王という人間のやり方には、疑問視すべき点が多すぎた。
 この度知らされた、禁止エリアの概念もそのひとつである。
 デッドスペースを生じさせるばかりか、主目的である競争行為以外での脱落者を生み出す可能性をもつそれ。
 まさに百害あって一理なしの、大失策に他ならない。
 千里は考える。螺旋王が有能な科学者だというのであれば、実験そのものの無駄も最小限に留めるべきであると。
「ああ、もう。考えただけでイライラするっ!!」
 頭を掻き毟りたい衝動を呑み込みながら、千里は足元のコンパスを思い切り蹴飛ばした。
 コンパスは小気味好い音を立てながら短い間隔で三回ほどバウンドした後、真っ直ぐに地面を転がる。
 やがてコンパスは大きな倒木にぶつかると、その場で仰向けに倒れた。
 その様子を目で追ってから、千里は溜息を吐きながらコンパスを回収に向かう。
 使い物にならない道具を所持し続けることも苦痛だったが、屑籠以外にゴミを棄てるという行為はさらに許し難いからだ。
 土まみれに汚れたであろうコンパスの元へ辿り着き、気だるげに上体を落として手を差し伸べる。
「え……っ?」
 コンパスを握り締めたそのとき、視界がおぼろげな白い光に包まれた。
 慌てて後ずさり、謎の光源から充分に距離を取る。しかし光はすぐに弱まり、間もなくして消えた。
 それだけでも驚くに値する出来事ではあったが、事態はさらなる展開を見せる。
 千里は眼を擦り、唖然とした。大口を開いたまま、光の現れ消えたただ一点を見つめる。
 視線の先には、ほんの数秒前までは無かったはずの、全身ずぶ濡れで横たわる少女の姿があった。

◆

「かはっ!」
 喉を逆流する異物感に苛まれ、かがみは堰きたてられるように身を起こした。
 口の中は粟立った塩の味で満ちており、不快感などという言葉では表しきれない。
「がほ、げほげほ、おぇっ」
 さらに込み上げるものを感じ、咳き込みながら海水を勢い良く吐き出す。
 見てくれに構ってなどいられない。とにかく早く異物を排出することを、体内の自浄作用が訴えた。
「よかった。やっと意識が戻ったのね」
 背中を撫でる感触にはっとして、涙をぼろぼろ溢しながら声の主を見遣る。
 すぐ隣に、かがみの背中へと手を伸ばす、髪を真ん中分けにした少女の姿があった。その腰には、二本の刀が提げられている。
「……いやっ」
 半ば恐慌し、少女を反射的に突き飛ばした。少女は小さく呻きながら、べったりと尻餅をつく。
 少女の怯んだ様子を確認し、かがみはすぐさま逆方向へと駆け出そうとする。
「あぐぅっ!!」
 ところが、踏み出した右脚に激痛が走り、再び地面に突っ伏してしまった。
 すぐさま上体を捻って少女へ向き直り、上目遣いで様子を窺う。
 相手を不用意に刺激した上、逃げることもできない。絶体絶命の状況に、かがみの心臓は破裂しそうなほどに早鐘を打った。
 しかし少女は得物を抜きもしなければ、殺意に顔を歪めてもいなかった。
「まったく、不躾な人ね。あなたは学校で、人工呼吸をしてもらった相手には仇で返せとでも教わったの?」
 突き飛ばされた少女は不機嫌に眉を顰め、スカートの泥を入念にはたきながらゆっくり立ち上がった。
 人工呼吸という語を聞き、頭に疑問符が浮かぶ。そういえば、自分は海で溺れていたはずだ。
 いまだ脚がいうことを聞かないことからして、あれからそう時間は経っていない。
 それなのに、どういう訳か海岸も見えない森の只中に居て、さらにこの少女が自分の面倒を看ていたのだという。
「怯える必要はないわ。少なくとも、今あなたに危害を加えるつもりはないもの。
 それに考えてもごらんなさいな。あなたを襲おうと思うなら、普通は目を覚ます前にやっているはずでしょう?」
「…………」
 まるでこうなることが想定済みであるような口振りにやや疑念は残るものの、彼女の言い分はもっともである。
 まだ安心はできないが、ひとまず敵意はないと判断しておくべきだろうか。
 それに、咄嗟に逃げることの叶わぬ今、彼女にこれ以上の不信感を与えるのは危険極まる。
 体格はほぼ互角。丸腰、それも動かない脚を引いて喧嘩を吹っ掛けたところで、まず勝ち目は無い。
「まあいいわ。無事だっただけでも、運が良かったんだから」
 どこか意味深な言葉を吐き棄て、少女はかがみへ歩み寄る。そして右の手を、かがみの眼前へ差し出した。
 一瞬びくりと身を縮こまらせるが、右手を掴んでしまえば逆に危険は少ないと思い至り、すぐに平静を取り戻す。
 かがみは厚意の手を素直に受け取ると、自重の殆どを少女に支えられながら、恐る恐る傍らの倒木に腰掛ける。
 肌に貼り付く湿った衣服に不快感を覚えつつ、かがみは少女へ向けてぎこちない笑顔を見せた。
「あ……ありがと」
「どういたしまして」
 搾り出すように吐いた謝意に、少女の眉間に寄った皺はたちどころに消え去った。代わりに、人受けの良さそうな笑みが浮かぶ。
 その屈託の無い立ち振る舞いを見ていると、かがみは彼女に抱いた疑念を申し訳無くすら感じ始めた。
「その、さっきは……ごめん」
「気にしないで。きちんと反省のできる人は、嫌いじゃないから」
 さっぱりとした口調で、少女は応えた。どこかしら上から目線を感じるが、その気性が逆に安心感を与える。
 かがみもまた、仲間内では保護者的な役回りにあることが多かったが、それとはまた違った印象である。
 言うなれば、彼女のそれはリーダー的な気質で人を惹きつけるのを得意とするような感覚だった。
 その安堵に包まれたためだろうか。かがみは、忘れかけていた重要なことをようやく思い出した。
 つかさが、どこにもいない。

「そうだ、つかさ! つかさは!?
 ねぇ、つかさのく……い、いや、私の他に、何か流れて来なかった?」
 焦燥しながらも機転をはたらかせ、軌道を修正しつつ質問を投げかける。
 妹の生首を抱えていたなどと告白しては、異常者扱いされるのが関の山である。尤も、既に正常でないことは自覚しているが。
「そうね、あなたが倒れている他には何も無かったけど……」
 軽く腕組みをしながら、少女は応える。
「それにしても、おかしな人ね。全身塩水まみれだったり、流れるなんて言い回しをしたり。
 まるで今し方まで、海の中にでも居たみたいじゃない」
 さらに首を傾げて、怪訝そうに眉間に皺を寄せた。彼女の言動に、かがみもまた顔を顰めた。
 おかしなことを言うのはどちらか。かがみにとっては、水のないことのほうが余程奇怪なのだ。
 海から遠く離れたこの場所に、身動きの取れないはずの自分が居ることが。
「それはこっちの台詞よ。なんで海に居たのにいきなりこんな森の中に倒れてたのか、わけわかんないわ」
「……え?」
 少女は目を見開き、身を乗り出してかがみへ強い好奇の視線を寄せる。
「ねぇ。その話、少し詳しく聞かせてくださる?」
 愚痴まがいな言い回しで吐き捨てるように言ったつもりの言葉。その何気ない一言に、少女は異様なほどに関心を示していた。

◆

「……わかった!」
 首を左右に傾けてばかりいるかがみを尻目に、広げた地図と睨み合いながら、少女はひとり満足げに頷いた。
 そのはしゃぎ様は、さながら積年の研究が実を結んだ科学者のようである。
「この会場は、東西南北の端同士が繋がっているんじゃないかしら」
 それというと、RPGの世界地図なんかによくあるあれだろうか。それと現在の状況が、どう関係するというのか。
 百歩譲ったとて、この悪夢と楽しいテレビゲームとの接点は、これっぽっちも見当たらないが。
「まず、あなたが流されていたのがB-1。出発点がここで、川の途中で見た大きな橋と、鳴り出した首輪の警告音がその証拠。
 警告が鳴り始めてから六十秒以内にここへ来たということは、七時零分には西の端ぎりぎりに居たことになるわね」
 半分ずつに分かれた地図の上でペンの頭を行ったり来たりさせながら、少女は爛々と目を輝かせている。
「私はA-1の西端に辿り着き、やはりこの森の中に居た。そして真っ直ぐ数百メートル程歩いてきて、ここであなたと会う。
 私が移動してきた方角がほぼ真北だとすれば、全部辻褄が合うのよ」
 なるほどたしかに、その理屈ならば点と点とが綺麗に線で結ばれる。その理屈が、現実に通用する概念ならば。
 どう頭を捻ったところで、到底納得はできない。非現実的にも程がある、突飛な妄想である。
「でも、そんなことができるわけ……」
「できるわけがない。でも、この際そうでも考えなければ、一から百まで全部が有耶無耶になってしまうだけ。
 街や海から森の中への唐突な場面転換は、既に起きてしまった事実。私達の常識からは、どのみち逸脱しているわ。
 ならいっそ、この現象の法則性だけでも突き止めておきたいと思わない?」
「はぁ……そういうもんですか」
 かがみは同調とも異議ともつかない、中性的な反応を返した。
 なんだか問題点を擦りかえられた感はあるが、一理ある意見な気もするからタチが悪い。
 常識外れの出来事が幾度となく起こっているのは紛れもない事実であり、今更概念がどうこうと考える次元にはないのだろう。
 それでも、首を縦に振る気にはなれなかった。ほんの少しでも、数奇な現実から乖離していたかったのかもしれない。
 とうに実証済みであるこの不死の体を現実のものと認めることを、未だ心のどこかでは拒んでいるのと同じように。

「でも、どうやって確かめるのよ。仮に、ここから西の端に出られたって、向こうは禁止エリアで首刎ねられるわよ」
 屁理屈は承知の上での反抗だった。言い切ってから、今居るエリアから逸れれば解決する話であることに思い当たるが、まぁいい。
 できれば、そんな証明をしたくないというのが、一番の本音であるのだから。
「そうね。実際に試してみれば、一番手っ取り早く真相が分かる。
 あなた、なかなか飲み込みが早いわね。じゃあ、早速実験してみましょうか」
 しかし反意のつもりの一言は、流れに竿をさす結果を招いてしまった様子だった。
 二枚の地図へ向ける好奇心に満ちた目をそのままこちらへ向け、少女はかがみへじわじわとにじり寄った。
「え、ちょっと……まさか」
 嫌な汗が頬を伝う。思わず逃げ出したい衝動に駆られたが、この倒木の椅子から離れるのは容易ではない。
 逃げなければ。でも、どうやって。堂々巡りをしているうちに、少女はかがみの胸に手を着き、思い切り突き飛ばしていた。
「げぇっ!?」
 掴まるべき支えなど無く、かがみの体はあっさりと後方へ投げ出される。
 一瞬の浮遊感の後、かがみの視界は明転した。

 光の幕が晴れたとき、そこに緑の木立は存在しなかった。
 さらに地面までもが消え去り、体は冷たい水溜りに放り込まれる。
 波の音。潮の香り。海鳥の声。問答無用で、そこは海だった。
『この界隈は現在、進入禁止エリアと』
「やかましい!」
 二度目となる警告を一蹴し、海面で必死にもがくかがみ。一分間の猶予を認識しているので、先刻ほどの焦りはない。
「ぶは、がほげほ」
 とはいえ、攣ったままの脚を引きずる状態に変わりはなく、かがみの体はぐんぐん水に沈んだ。
「ぺっぺっ。ええと、木の後ろのところで、背中からワープしたから……」
 脚の痛みに四苦八苦しながらも、冷静かつ迅速に思考を廻らせ。
「こっち!」
 正面へ向かって水を数回掻き分けると、かがみは三度、淡い光に包まれた。

◆

「おんどりゃあ、いきなり何さらすんじゃ!!」
 森の中へ実体化した瞬間、かがみは目と鼻の先で待ち構えていた少女に食って掛かる。
 少女は動じることも無く、ロケットの打ち上げに成功したNASA研究員のような面持ちでかがみを見詰めた。
「ああ、やっぱり思ったとおりだったわ。これでひとつ、曖昧だった事象がきっちりと証明されたのね」
「はいはい、そいつはようござんしたね。お陰で私ゃ、危うくまた溺れかけたわよ」
 下目遣いで厭味たらたらに突っ掛かるかがみ。しかし少女は反省の色を示すどころか、呆れ半分に手の平を振るった。
「まぁ落ち着きなさいな。そんなに鼻息を荒げて、あなたったらサルみたいよ。
 人っていうのは、常に知的好奇心を満たし続け、それにより進化をしてきた生き物なの。
 物事をきっちり明確にするということは、身を張ってでも尊ぶべきものなのよ」
「言わせておけばいけしゃあしゃあと……そんなら、自分の身張ればいいでしょうが!」
「あら、だって向こうは海なんでしょう? 初めから濡れねずみのあなたが行くほうが、負うべきリスクが軽く済むじゃない」
「ふざけんな!!」
 いよいよ殴り掛かりたい衝動に駆られる。だが同時に、手応えのないやりとりに空しさを覚え、かがみは少女から顔を背けた。
 こうしてそっぽを向き、ひとまず曲者を視界の外へ追い出すことで、場の空気を切り替える。
 日常の中で身に付けた、勝ち目の無い言い争いを終結させる最善の策であった。
 尤も、それが泣き寝入りの一種であるということも理解はしていたが。
「それにしても……」
「……なによ」
 不機嫌に鼻息を吐きながら、かがみは横目で少女の方を見遣る。
 何度目ともつかぬ疑問の表情を浮かべ、少女はかがみの足元を見つめていた。
「靴だけを脱いで海に、って……もしかして、あなた自殺志願者?」
「あ…………」
 かがみは、しばし沈黙した。そういえば、あのケースは何と表現すべきなのだろうか。
 自殺がしたい訳ではなかったものの、当たらずとも遠からずのシチュエーションである。
 世捨て人を気取ったという意味では、やはり自殺にあたるのだろうか。
 やや思案し、溜息。考えるだけ馬鹿馬鹿しくなって、単純に否定しておくことにした。
「そう。なら、いいのよ」
「いや、何がどういいのか意味が分からんのだが」
 自己完結する少女に呆れて溜息を吐く。少女の顔にはどこか安堵の色が浮かんでいたが、特に追及する気にはなれなかった。


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