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  • The Incarnation of Devil(前編)

The Incarnation of Devil(前編)

最終更新:2023年01月22日 14:42

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だれでも歓迎! 編集

The Incarnation of Devil(前編)◆wYjszMXgAo



遠く、遠く。
無慈悲ながら救いでもある声が聞こえてくる。
ある者には絶望を、ある者には希望をもたらす言葉の群れが。

「……半分死んだのか。それでも生きてくれているのはさすがだね。
 本当に嬉しいよ、兄さん……っ!」

くっくっと、漏れ出る笑いを抑えようともせずに、一つの影が戦場を悠然と闊歩する。
この殺し合いの場の中でも、最強に近い力を持つ存在が。


相羽シンヤは総合病院に向かっていた。
勿論、先刻の戦闘においての負傷――――左腕と口内の傷、ファウードの回復液を飲み干しても全快には程遠かったそれを治療する為ではある。
だが、それ以上に、自分の背中にいるゆたかの介抱をするためという理由が大きかった。
……未だ、気絶したままの彼女が起きる兆しはない。
眠り姫は、目覚めない。

(――――全く、厄介だな。だけど放っておく訳にもいかないからね)
見捨てる訳にはいかないし、死んだりさせるのは論外だ。
見たところ相当虚弱な体質であるようで、発育も足りていない。
足手まといではあるが、テッカマンエビルたる自分が守ってやる必要があるだろう。

そう考え、シンヤは自分を納得させる。
彼女は大事な人質なのだ。そうでもなければ虫ケラと同行することなどありえない。
何にせよ、目覚めを待つにはそれなりに落ち着いた設備のあるところがいいだろう。
その為にも病院に向かわなければならない。

……その後をどうするか、一応の指針はある。
首輪という制限の解除とテッククリスタルの入手。
機会さえあるならば、いつでもアクションを起こしてもいい状態だ。
道中で、いくつかの人影を見ることはあった。
ツンツン髪の情けない顔をした赤コート男、全身青タイツの変態、どこかの訛りで話す女の三人だ。

だが、どいつもこいつも――――特にコートの男は言動を聞くに、役立ちそうにないどころか足手まといになりそうだった。
その上戦闘の真っ最中だったため、ひとまずは見逃しておく事にしたのだ。
潰しあってくれるならこちらが接触する相手が少なくなってくれるだろう。
それに、ゆたかとの約束もある。
戦闘に介入して皆殺しにしても良かったのだが、首輪とクリスタルに関すること以外で人を襲う事はしないと言った以上、それを破ることには抵抗がある。
テッカマンに変身できる以上、戦闘をしても負傷などのリスクはほとんどないのだが、それでも何故かゆたかの事が意識されてシンヤは実行に移せなかった。

(……そうだ、兄さんとの橋渡しになってもらうのだから)
確かに彼女の言うとおり、交渉で済むならその方が体力の消費も少ない。
ブレードと戦うなら疲労などしていない万全の状態で、だ。
PSYボルテッカも無駄撃ちはしたくはない。
そう理由付けをして、相羽シンヤは足を進める。
……逆に言えば、理由付けをしなければ、彼はゆたかと行動することが出来なかったのだ。

現在、彼は人間の姿でゆたかを背負った状態である。
(ランスの馬鹿が思いっきり危険性をアピールしてくれたからな、仕方ない)
交渉するならテッカマンの姿ではまずいだろう。
臨戦態勢を取ってゆたかを変に刺激するのも望むところではない。
自分もひとまず休息しようと、そう思ったところで都合よく病院が見えてくる。

安堵の溜息がシンヤの口から漏れる。目的地はすぐそこだ。
一応、病院で待機するリスクはある。
自分と同様に負傷したり、休息を求めてくる人間が訪れる可能性もあるし、あるいは既にいる事も十分ありえるからだ。
だが、今の自分に敵うはずがない。
テッカマンエビルが虫ケラに倒されるなど、絶対にありえないのだ。敵うとしたらブレードのみ。
……故に、誰が潜んでいようが関係ない。

シンヤの口元が歪んだ。
そして一歩、彼は病院へと足を踏み入れる。

――――こうして、病院を舞台としたあまりにも一方的な殺戮劇は幕を開けた。

◇ ◇ ◇

「……シアン化ナトリウム、塩化水素、濃硫酸、ジホスゲン、チオジグリコール、その他諸々。
 螺旋王はこんなものまで使わせるつもりなのか……!?」

冷え切った薬品保管庫。
高嶺清麿は、そこで誰に聞かせるでもなく嘆息する。
勿論、ただ独り言をつぶやいているだけではない。
正確に言えば、病院各所で使えそうなものを収集していたのだ。


気絶から目覚めた直後、彼は自分が何をしていたのかを忘れてしまっていた。
ジンと別れ、この殺し合いの意味を考えていた所までは覚えている。
しかし、それ以後の記憶がないのだ。
何故そんな事になったのか、そして、自分は何を考えていたのか。
……ある程度の答えは、周囲を調べてみて見つけ出したメモと解体された首輪。
そして、無造作に落ちていた自分のネームシールによって把握できた。

まず、メモから判明すること。
螺旋王による監視の存在と、彼の目的に対する仮説。
このことについては、メモを読む事で鮮明に思い出すことが可能だった。
同時に、解体された首輪から、螺旋王のオーバーテクノロジーによる監視、およびネジによる首輪の解体の可能性にも思い当たることができた。
……そして、自分の首輪についていたはずのネームシールの存在。
このことから、自分が何故気絶したか、そして首輪の存在意義についても考察することができたのだ。
ネームシールがはがれているという事は、即ち自分がネジを回そうと試みたということ。
(――――我ながら無茶するな、俺……)
苦笑するも、記憶がないのだから仕方ない。
(……そして、ネジを回したのに俺は生きている。つまり……)

つまり、首輪を解体しようとしても死には至らない。
ペナルティはその程度だという事は、参加者の死が目的ではないということだ。
螺旋王による任意の遠隔爆破の可能性も低いだろう。
……あらためて自分の首輪のネジを触ってみれば、首輪本体から僅かに浮いているのが確認できる。
これから分かるのは、自分は何らかの手段を持ってして、僅かながらネジを動かすことができたのだ。
しかし、どれだけ強くいじってもそれ以上動く気配はない。

(これは要するに、条件さえ満たせば首輪を解除できるということか)
首輪の目的。それは、参加者の拘束、及び試験という二つの意味があるのだろう。
そして、殺し合いという状況の存在。
そこから導き出せる結論は一つ。
(――――極限状況下で、参加者が得られる“何か”がある、か)

では、“何か”とは何か?
「……螺旋王の言動を考えれば一つしかない。それが……螺旋力なんだろうな」
証拠はある。自分自身だ。
条件を満たさない……螺旋力を持たない状態での首輪解除によるペナルティ。
それが何かは分からないが、それによって自分は一瞬だけ螺旋力を得ることができたのだろう。
そうでなければ、首輪のネジが動いた理由が分からない。

「……試して、みるか」
ドライバーを手に、先端を首輪に持っていく。
もし今の自分にも螺旋力があるなら、首輪を解除できるはずだ。
ごくり、と喉が鳴る。
穴にドライバーを挿し込み、一気に回して――――

「ギャアアアァァアアアアアァァァァァァァァアアアアアアア!」

……電気ショックに見舞われた。



「……ら、螺旋力ってのはいつも目覚めている訳じゃないんだな……」
痙攣しながらも、どうにか意識を繋ぎとめる。
……自分の行動パターンを推測すれば、先刻はひたすらこれを続けたのだろう。
のたうちまわりながら首元でドライバーを回し続けていたというのはある意味馬鹿っぽいが、それは置いておくことにする。

判明したのは、少なくとも今の自分に螺旋力はないということだ。
先刻の自分は何を得たのか、それが思い出せないのが悔やまれる。
ネジを回し続ければ再度螺旋力を得られるかもしれないが、同様の結果になる可能性があるなら同じ事を繰り返しても意味がない。
むしろ、他の螺旋力を得た人間に接触すべきだろう。
放送で既に螺旋力に目覚めた人間がいるのは判明しているのだ。

そうして得た結論からは、ある疑問が必然的に浮かび上がってくる。
「螺旋力とは何か、それが問題になる」
覚醒条件は判明した。あとは、その正体と用途だ。
まさか、ネジを回す為だけの力ではないだろう。
……清麿の、思い出したくとも忘れられない記憶が告げている。
先刻、何か重要なことが理解できたのだ。
そしてそれは、螺旋王がこの殺し合いを始めた動機に繋がることだ。
だが、

「くそ……! 何で俺は思い出せないんだ!」
……現時点の清麿には、それは不可能なことだった。



そして、放送が始まった。
「……良かった。ガッシュ、まだ生きていてくれてるんだな」
ラッドやジンの名前も告げられていない。
安堵と共に、複雑な心中が鎌首をもたげる。
……自分は、すでに全体の半分以上の人間を見捨ててしまったのだ。
苦渋の選択とは言え、その重圧は大きい。
だが、だからこそ清麿は決意する。

――――かならず、この殺し合いを止めてみせると。

そうして彼は、すぐにそのための行動に移った。
これからの激戦を想定し、治療の為に薬を集めておくことにしたのだ。
螺旋力についての疑問はあるが、現時点ではこれ以上考察できることもないだろう。
万一自分がここを発ったと勘違いされないため、診察室にジンに病院内を回る旨を告げるメモと考察の簡易な複写を残して院内を回りはじめる。
自分への輸血などを済ませた後、行動を開始した。
こうした薬は、他者と接触する際においても取引材料として使える可能性が高い。
どういう構造かバッグにはいくらでも物が入るため、片っ端から中に入れていく。
止血剤、モルヒネ、ペニシリン、輸血用血液、血清、ブドウ糖液、エトセトラ。
こうした物は持っているに越したことはない。
点滴用の注射器なども必要だろう。

……そして、この行為にはもう一つ目的があった。
病院内の劇物毒物、各種危険物の回収である。
知識のあるものが使えばあまりにも危険なそれを、ゲームに乗っている人間に渡す訳にはいかないと判断しての事だ。
病院の薬物は学校の理科室などとは比べ物にならないほど危険な物質が存在するのは自明である。
……だが、この病院には、それさえも甘く感じられるほどの危険物が用意されていたのだ。
そう、殺人ゲームに使用されることを前提とした、兵器群が。

毒ガス。貧者の核兵器。
それを作り出すに十分な種類の薬品群は、さしもの清麿の背中をもぞっとさせた。
こんなものをどこか適当な施設にでも流し込めば、それだけで内部の人間を全滅させられるだろう。
自分の選択が正しかったことを確認する。

脅威はそれだけではない。
リンテレンの砂糖爆弾というものをご存知だろうか?
銅版で区切った容器内に硫酸、ある種の塩素酸化合物、そしてその名の通り砂糖を配置し、化学反応によって爆発する、世界最初の時限爆弾である。
混ぜ合わせない限り危険性はそこまで高くないが、破壊力は十分である。
こうした爆弾すらも作り出せるほどに、危険な薬品が存在していたのだ。
明らかに医療という行為には必要ない物質。
……螺旋王の用意したものに間違いはないだろう。

他にも、手術道具なども使い方次第で武器になりうる。
メスなども回収するに越した事はなかった。

そうして一通り、病院を回った上で診察室に戻った清麿は、ドアの擦りガラスの向こうに人影があるのを確認した。

「……ジンか?」

少し安堵する。
病院に一人でいるのは、やはり心もとなかった。
ガッシュと一緒に元の世界へ帰るためにも、死ぬ訳にはいかない。
だからこそ、協力者はいるに越したことはないのだ。

そして彼が診察室に入り、その人物と邂逅する事が惨劇の発端となる。

◇ ◇ ◇

蛍光灯の人工的な光の照らす部屋の中、相羽シンヤは待っていた。
病室の一室にゆたかを寝かせ、この施設を調べようといくつかの部屋をのぞいた先に、それはあった。
解体された首輪と、考察メモ。仲間へのメッセージ。
それに記された文章を読んだ時、渡りに船だと踊りだしたいくらい気分が高揚したものだ。
まさか、まさかまさか、こんなに早く首輪の解除への手がかりを得られるとは!
しばらくすればこの文章の主は勝手にこっちへ来てくれるのだ。
虫ケラどもにこれほどの期待を抱いたのは初めてかもしれない。
人間だった頃を考えても、ここまで待ち遠しい気分になるのは何年ぶりなのだろうか。

「ああ、とても楽しみだよ兄さん……!
 何にせよ、いつまでも待たせないで欲しいものだね、どこかの誰かさん……」

手の中のテッククリスタルを弄び、幾度となくそんな事を呟く。
そして、放送からはおよそ数十分。扉の外から声が響いてきた。

「……ジンか?」

がちゃり、と音がしてノブが回る。
開いた隙間から入ってきたのは、以前一度見たことのある顔だった。
その表情は一瞬驚愕に包まれたのち、即座に警戒へと切り替わる。
中々修羅場をくぐってきているようだ。

「……お前は……」
「フフ……久々、といった所か。前の時は挨拶もしなかったけどね」

右耳のない若い男。
ブーメランの男の仲間だったと記憶している。
白服との交戦ですぐにあの場所を離れることになった為、どのような人物かは分からないが。
あらためて、相手を観察する。

警戒態勢をとり、即座にバッグの中身を取り出せるようにする為に姿勢を変えたところから見るに、機転は多少は効くようだ。
ただ、その速度や体捌きからみるに、戦闘能力は低いだろう。
体つきもまだ発達途上といったところだ。
マスターアジアと名乗ったあの老人どころか、白服の男よりもはるかに劣る。
紙の女のような特殊能力もまず持っていない。仮に持っているのなら、既に使っていてもおかしくはないのだから。
唯一警戒すべき対象があるとすれば、それはバッグの中身だ。
だが、それには確実にタイムロスが生じる。
その僅かな時間さえあれば、自分には十二分に対処が可能だ。
結論。
このテッカマンエビルにとっては、眼前の男はまったく脅威とはなりえない。

そうとなれば、後は首輪についての情報を無理にでも聞き出し、必要とあれば首輪を解除するまで連れまわすだけだ。
ゆたかという少女には確かに必要以上に他者を襲わないと言ったが、それはあくまでも自分と兄に全く関係しない場合だ。
首輪の解除はそもそもの目的であり、テッククリスタルの入手と同程度に重要だった。
ならば、どんな手段を使おうとも問題はない。
彼女が起きていればそうした行動を止めたのだろうが、都合よく彼女は気絶中だ。
……事を起こすなら、手っ取り早い方が楽になる。

「……早速だけど聞かせてもらう。首輪の解除方法を知っているか?」
「…………く、」


高嶺清麿は、焦りを抑え込み、沈黙する。
完全に誤算だった。
考えてみれば当然なのだが、病院を目指す人間が自分達だけとは限らない。
当初の通り、ひとところにじっとしていれば誰かが来てもやり過ごせたかもしれないが――――
しかし、院内を回ったことで完全に外に向ける注意を失っていた。
放送による死者の多さの重み。それによって、冷静さを失っていたのかもしれない。
ジン宛のメモも完全に裏目に出た。
目の前の男は、首輪についてこちらがある程度情報を持っていることを知ってしまっている。

「…………」
沈黙で返す。
念のためメモに詳細を記すことをしなかった分、助かったかもしれない。
相手はまだ、こちらが相手の知らない首輪についての情報を握っている可能性を考慮している。
だからこちらに攻撃してこないのだ……黙っている限りは。
そして、それは正解だ。
バラバラの首輪と考察メモから分かるのは、せいぜい首輪のネジの存在と、それを回すことで解除できることくらいだ。
なのに、こちらは首輪を解除していない。
相手がそこから分かるのは、解除には何らかの条件が必要だということ。
――――螺旋力。
その存在を、目の前の男は知らない。

……そのことを喋るべきか、否か。
相手の性格を考える。
目の前の男は、ゲームに乗っている。
少なくとも、数時間前まではゲームに乗っていたことは確かだ。
首輪の解除が目的ならば、解除条件を教えさえすれば殺戮をやめるか?

その可能性は低くはない。だが、高い訳でもないのだ。
例えば、目の前の男が殺人鬼だとしたらどうだろう。
そう、ラッドとは似てはいるが異なるタイプの、無差別に殺すのが好きな人間だとしたら。
その場合、首輪の解除はライオンの檻を開けるのと同義だ。
螺旋王による遠隔爆破(自分にはその可能性が低いことは分かっているが)を恐れる必要もなく、手当たり次第殺してまわることだろう。
こんな事を考えたくはないが、この状況下ではある程度白に近くない限り、灰色は黒とみてもいい。

そもそも話したところで自分が助かる保証もない。
むしろ、用済みになれば即座に消される可能性が高いだろう。
……それでも、相手の目的次第でどうにかできる可能性はある。
ならば、それに賭けるべきか。
いずれにせよ動機を知らなければ対処の仕様がない。

「……一つ聞かせてくれ。お前の目的は何だ?」
深呼吸をし、問う。
嘘をつかれる可能性はある。
しかし、返答次第では共闘は無理でも敵対はしない可能性があるのだ。
だが。

「……質問をしたのはこっちだ。お前に選択の余地はないよ」
「く……」

ラダムのテッカマンとしての誇り。
そして何より、兄への自分の感情。
それらに踏み入る質問に、相羽シンヤがたかが虫ケラごときへ返答する事などありえない。
それは即ち――――話し合いという形を、破棄するということだった。

双方にとって不幸だったのは、小早川ゆたかがこの場にいないことだった。
十数部屋離れた場所で眠りにつく彼女さえいれば、話し合いの余地があったかもしれない。
高嶺清麿は相羽シンヤが無差別に殺戮をしている訳ではないことを知り、脱出の為の同盟を組めたかもしれない。
相羽シンヤは高嶺清麿を警戒させることなく、首輪解除に協力さえできたかもしれない。

だが、現実に彼女はここにおらず、両者の間には警戒しか生まれる事はなかった。
そして、事態は動き出す。最悪の方向へ。


清麿はバッグの中に意識を移す。
内部にはイングラムに加え、先刻手に入れた各種薬物劇物が存在する。
だが、この間合いではそれらを使うのは難しいだろう。
せいぜいが強酸を相手にぶちまけるくらいだ。
そもそもが、ジンの車に生身で攻撃を仕掛け、ラッドの銃撃をかわすような相手。
……まともにやりあっても勝てるとは思えない。
頼りになりそうなのは、先ほど手に入れた手術用のメス十数本。
切れ味に関しては抜群だが、使い捨てな上に打ち合うこともできない。
投擲と、懐にもぐりこんでの攻撃が考えられるが、今の状況では前者の用途が望ましいか。
投げたのちに、怯んだ隙に強酸を浴びせ、逃走する。
ここは病院だ、一度逃げ出せさえすれば隠れる場所はいくらでもある。
分が悪い事は承知している。あくまで、これは最後の手段だ。
相手の出方次第では、言いなりになるのも一つの方法である。

……だが。
結果的にでも、殺人への関与を強制されることだけは避けねばならない。
いざとなれば……それこそ、最悪の結末を覚悟してでも。

清麿は生唾を飲み込む。
その雰囲気を感じ取ったのか、シンヤは自分の右手にあるものを清麿に見せ付けるように肩の高さまで掲げて見せた。

「……いい事を教えてやろう。俺は相羽シンヤ。またの名を……テッカマンエビル。
 そして、ここにあるのはテッククリスタルというんだ。
 あの会場にいたならどういう意味か、分かるだろう?」

僅かながら、兄を想起させる質問に対して感情が昂った為か。
シンヤは語調に殺意を込めて清麿を睨みつける。

――――清麿は即座にシンヤの言動を理解する。
忘れるはずもない。螺旋王に挑みかかり、無残に散っていった異形のことを。
いまここにある、全ての始まりの事を。
たとえ螺旋王に通じなかったとしても、ガッシュのバオウと比べても遜色ない威力の技を持っていた“異星生命体に改造されし螺旋生命体”。
彼が変身する時に用いたのはまさしく今シンヤの右手にあるものとそっくりな結晶であり、また、変身の際のパスワードであろう言葉は“テックセッター”だった。
あの姿がテッカマンという名称なのであれば、パスワードは十分名称に合致している。

つまり。
目の前の男は、あの異形と同等の存在だということだ。
もしそうならば、抵抗に意味はない。あまりにも力の差がありすぎる。
……ハッタリだ。
そう思い込もうとして、しかし清麿は自分の肩が僅かに震えているのに気付いた。
理解はしている。ただ、それを認めたくないだけなのだ。
血が滲むほどに拳を握り締め、ようやく清麿は現実と向かい合う。
――――どう足掻いても、この男からは逃げられない。


――――どう足掻こうが、自分の負ける要素はない。
シンヤは思う。
目の前の男が、ここまで強情とは思わなかった。
考察のメモを見る限り、相当頭の回転は速いようなので使い道があるかと思ったのだが。
……モロトフという前例のおかげで、自分の言ったことの意味も分かっているようだ。
そして間違いなく、自分に怯えている。
なのに膝を屈さないのは何故か。
未だに沈黙を保ち、自分に牙を剥き続けるのは何故なのか。

……シンヤの感情がざわめきだす。どうしようもない苛立ちが込み上げる。
ある程度の理由は分かる。おそらく、自分が殺し合いを求めていると思っているのだろう。
それはある意味間違いではない。事実、前回会った時は邪魔者は全て殺すつもりでいた。
だが、本当の目的は兄だけだ。
その他の有象無象など知ったことではない。
さっさと首輪についてを吐いていればいいものを。
そうすればお前などには興味はない、好きに生きて好きに死ね。
なのに何故そうまでして邪魔をするんだ。お前はどうでもいいと言ってるだろう。
そんなちっぽけな虫ケラごときが俺と兄さんの邪魔をするんじゃあない……!

負の思考がループし続け、どんどん加速していく。
黒い感情が煮詰まり行く中、シンヤは殺意のこもる視線には不釣合いな、一見楽しそうな声で言葉を紡ぐ。
「……そうか。頭では分かっていても、実際俺がどういう存在なのかは実感できてないのか」

くく、と歪んだ笑みを湛え、シンヤは右手のテッククリスタルを握り締める。

「ああ、じゃあ、身をもって思い知らせてやるとも!! 
 このテッカマンエビルの力に泣いて怯えて喚いてみせろぉっ!!」

そして、インサニティプレリュード――――狂気の前奏曲は奏でられ始める。
最早誰にも止めることは敵/適/叶わない。

「テェェェェエーック・セッ――――――――!!」






…………

何も、起こらない。
シンヤは気付く。自分の体が全く変化していないことを。
どういうことだろうか。
普段通りならば、キーワードと共に外骨格が装着されるはずだ。
……なにか、おかしい。
そういえば、何故かキーワードを言い切ることができなかったような気もする。
クリスタルに異常でもあったのかもしれない。
確かめようとして……そこで、相羽シンヤはようやく気付いた。


右肩の付け根から、肺の一部ごと自分の腕が消失していることに。


「こ、ふ…………」

同時、口と肩口から同時に血が吹き出てくる。
喉の奥から何か小さな塊がせり上がってくる。砕けた肺の小片だ。
右手のあった方を見る。
臓器の一部と骨が露出し、足下から数歩のところにテッククリスタルを握ったままの自分の右肘から先が落っこちている。

「あ……」

拾わなければいけない。
ぼやける頭でそんな悠長なことを思った瞬間、背後から耳に聞き覚えのある声が届いてきた。

「……今お前、こう思ったよなあ?
 俺は最強の力を持っている! 俺がコイツに負けるはずがない!!
 俺が首輪の情報を手に入れられるのは当然だ!! ……ってなあ、相羽シンヤくんよおー」

声につられるまま、背後……窓の外を向く。
……そこに居たのは、かつて交戦した相手。
生身でガンメンとも渡り合える銃――――超電導ライフルを発射した体勢のままの、ラッド・ルッソだった。



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Back:第三回放送、あるいは Next:The Incarnation of Devil(後編)


209:情報と異変 ラッド・ルッソ 211:The Incarnation of Devil(後編)
206:聖なる侵入(後編) 高嶺清麿 211:The Incarnation of Devil(後編)
190:ボクのセカイをまもるヒト(後編) 相羽シンヤ 211:The Incarnation of Devil(後編)
190:ボクのセカイをまもるヒト(後編) 小早川ゆたか 211:The Incarnation of Devil(後編)

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