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  • Rising Moon the Samurai & the Gunman(前編)

Rising Moon the Samurai & the Gunman(前編)

最終更新:2023年04月29日 18:27

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だれでも歓迎! 編集

Rising Moon the Samurai & the Gunman(前編)◆wYjszMXgAo


脂の焦げる匂いがする。
じゅうじゅうと肉汁が炭に滴る音がする。
並べた端から肉が消えていく光景がある。

焼肉、それは日本人なら誰もが知っている韓国料理。
一晩以上コクのあるタレに漬けておき、あっさりとした付けダレでいただくのが乙というものだが贅沢は言っていられない。
二重の意味でここはまさしく戦場だ、今の状態でさえ贅沢というものである。
一心不乱で焼き、ひっくり返し、タレに付け、食らう。
ばくばくムシャムシャと、食い続ける。

「……こんな贅沢覚えちまって。明日から肉抜きチンジャオロースなんざ食えるのかね、俺」
「あ、スパイク・スピーゲル! それは私の肉よ、勝手に持っていかないで」
「確かにこれもファイトではある、か……ジン、次は何だ?
 何であろうと俺は挑戦を受け付けよう!」
「お待ちどう。今度の獲物は白銀の蜜(あぶら)の詰まった桃(モモ)肉さ。
 まだまだ他の肉もある、戦闘(ディナーコース)は始まったばかりだしね、気楽に行こう」

焼く。
骨の付いたままのカルビを焼く。
ぼたぼた、ぼたぼたと大量の脂が網の下に落ちていく。
それは備長炭にまんべんなくまぶされることで、赤と白に染まった炭を芯とした蝋燭に早変わりするのだ。
蝋の成分は脂そのもの。
従って、そこから出てくる煙の中身には焦げた脂の香ばしさが詰まっている事になる。
煙は上に立ち上る。再度肉の在り処に辿り着き、燻す事で肉に香りを付けるのである。

下半分が白く染まった所で、ひっくり返す。
そこに覗くのは熱される事で肉表面に生じたいくつもの沸き立つ脂と、
こんがりといい具合に色をつけた焦げの混ざり合う光景だ。
数回それを繰り返すだけで十分食べられるようになるのに、一回ひっくり返しただけですぐ口に運びたくなるのは人間という種に定められた業なのか。
口の中に広がる肉の甘みとタレのコクを想像しながらそれに耐えつつ、程よい加減の所でようやく自身に口に運ぶ事を許す。

そろそろ網を変えなければならない事を意識の隅において、肉を掠め取ろうとする他の連中の手を払いのけながらハシを伸ばす。
網に張り付いてしまったそれを、間違えてちぎってしまわない様に気をつけながら丁寧に、手早く剥がしとって手元に運び、素手に持ち替える。
骨の部分を掴んで、熱いのにも汚れるのにも構わずタレにつけるのだ。

あまりつけすぎればクドくなって肉の味が分からないし、タレの温度で肉が冷める。
つけるのは一部分だけ。
サンチュやコチュジャンが欲しい所だがあいにくと見つからなかったので我慢する。
肉の塊を一気に放り込めば、口の中はもう幸福の極地だ。
美味い。旨い。甘(うま)い。
……ウマい。
トロける脂。滲み出る赤身本来の味。香ばしい焦げ。コクのあるタレ。
骨の周りの肉は、アミノ酸が多い。
よく使う部分だからこそ、鍛えられて味の成分も溜まるのだ。
それを丁寧に丁寧に、餓鬼のようにこそげとる。
一片たりとも残しては天に顔向けなど出来はしない。

噛む。何度も何度も咀嚼する。
その度に口内の味の密度は濃くなっていく。
噛み応えそのものもまさしく上々。
適度な弾力がありながら、しかしスジが引っかかる事は決してないのだ。
確実に噛み切れる。だから、不快感はない。
何度も何度も噛み締めたくなる。

……そして、口の中に残るのは肉の味だけ。
これ以上何を食べても味気ないだろう、そんな風に思ったその時にビールを一息!
ゴクゴク、ゴクゴク。
程よい炭酸の喉越しが、全てを綺麗サッパリ洗い流す。
もちろん原料は麦芽ホップ100%。いわゆるプレミアムビール。
広がるのは苦味だけではない、大麦の味も嫌味のない程度に、しかし鮮やかに舌の上で自身を表現する。
グラスを離して思うのは、ガキどもは可哀相だということだ。
こんな幸せを味わえるのは大人だけ。
そんな優越感を味わいながら、同時になんとなく罪悪感を抱いてしまうのは何故だろう。

しかしそんな感傷も肉の匂いを嗅げば即座に消える。
見れば、タンもロースも既にない。
カルビは残りわずか、次に投入されるはハラミとホルモン。
逃す訳にはいかない。
既に舌はリセットされている。肉を味わう態勢は十分だ。

かくして、スパイク・スピーゲルは新たな肉に手を伸ばす。
戦いを生き延びる為に、目先の戦いを制する事を目的として。


◇ ◇ ◇


「……ジン、何か見つかったか?」
「首尾は上々、収穫祭は盛大に。見積もりましてはひと財産ってところだね。
 そっちはどうだい?」
「ああ……見てもらいたいものがある、ちょっくらこっちに来てくれ」

就寝中のカレンを消防車に残し、スパイクとジンは、崩壊したデパートの探索を行っていた。
何らかのアクシデントに対応できるよう約十分おきに顔を合わせることにして、二手に分かれて最初の集合。
それだけわずかな時間だけの探索で、スパイクとジンは奇妙な事に気づいた。
デパートが丸々消滅していたにもかかわらず、瓦礫ひとつひとつの大きさは実に小さいものだったのだ。
つまり、この場で起きた現象は、爆発などではないということである。
まるで満遍なく分解されたような異様さには空恐ろしいものを感じたが、しかし現状それ以上分かる事はない。
とりあえずは保留にして、まずはジンの見つけたものを見繕ってみる事にする。

「俺の眼からしても天恵ものだね、これは。
 工芸品としては一級品、ぶつけ合うならそれ以上。蒐集家垂涎のお宝さ」

そうしてジンの突き出した最初のものは、スパイクには一見何か分からなかった。
……だが。

「……剣、か? どうにも妙な形だが」

じっと見つめているうちに、それが何か一応は把握することができた。
螺旋の形状をした奇妙な剣。
それは異常な妖しさを湛えながら、息の詰まるほどの存在感を醸し出していた。

「ご名答。コイツ以外にもいろいろ暴れ馬が揃っていてね。
 とりあえず、しかるべき持ち主さえいるなら値千金の大サーカスを見せてくれるものばかりさ」

 次いで突き出されたのは黄金の剣と紅い槍の2つと、そして短剣。
 最後の短剣は大したものではないが、その前の3つは別格だとスパイクにも分かる。
 滲み出るオーラといえばいいのか、威圧感が尋常ではない。
 武器としてどうなのかはよく分からないが、美術品として売りさばくなら相当な値になるだろう。 
「……まあ、それはお前さんに任せる。で、俺の方だが」

スパイクは手にぶら下げていたデイパックを掲げながら告げる。

「……仏さんの握ってたモンだ。原形殆ど留めちゃいなかったがな。
 とりあえず、冥福を祈ってから使わせて貰う事にした」

デイパックの持ち主と思われる人間。その遺体は、殆どの部分が消失していた。
部分部分が点在するしか残っていなかったといった方が正しいかもしれない。
瓦礫の中に埋もれるようにデイパックが綺麗に残っていたのは奇跡とすら言えるだろう。
わずかな服の切れ端などから察するに、彼ないし彼女はおそらくは古代の中国人のような服を着ていたと思われる。
おそらくデパートの消失に深く関わっていた人間だったのだろうが、物言わぬ骸となっては何があったのかを聞きだす事はできはしない。
まだ中を検めてはいないが、おそらく何かしら使えるものはあるだろう。

「……成程ね。パーティの彩りにまたしても真っ赤なワインの栓が開けられたのか。
 やっぱり主催者サマには早いところご退場願いたいね」

相変わらずのジンの口調ではあるが、その表情に茶化した色はない。
顎に手を当てた後、ジンは親指で背後を指差してスパイクに向き直る。

「それでスパイク。収穫祭はまだ終わっていなくてね。 
 こっちはちょっとばかり手間がかかりそうだし、少しばかり自分の目で確かめて欲しいかな」

ジンの指差す方には瓦礫の山しか見えないが、どうやらそちらの方に持ち運びできない何らかがあるらしいというのは分かる。
別に反対する理由もなく、くるりと優雅に半回転したジンの背中をとりあえず追う事にしてスパイクも歩き出す。
足場に気をつけながら追いすがり、肩を並べて進む。

スパイクは考える。
……今、自分はジンと二人きりだ。
カレンは消防車の中であり、そこから出た様子は全くない。
この場でジンと何を話そうと、彼女には何も伝わらないだろう。
では、どうすべきか。

もちろん、ルルーシュとマタタビ殺害に関する自説についてである。
カレンの目の前では話せないことを伝えるのには今はまさしく絶好の機会だろう。
そこで問題となるのがジンがそれを話して信用するか、否か。
そしてまた、それだけ信頼するに足るか、だ。
……前者に関しては限りなく否の方だろう。
あるのは状況証拠だけ。
それも、ゼロの素性など、当事者でない彼に話すべきか分からないような事象まで存在するのだ。
そもそも自身すら信用しきれない仮説などはまずまともに受け取ってはもらえまい。

だが。
後者という点に関してならば、ジンは十分条件を満たす相手だとスパイクは判断した。
ここでジンに自説を開陳しても、彼ならば信じまではせずとも頭ごなしの否定もしないだろう。
不用意に口を開く事もしないはずだ。  
まともに受け取ってもらえないのなら、それを逆手に取ればいい。
戯言である事を前提に情報を渡しておけば、多少なりともそれを意識してくれるはずである。
後はこれからの事実でそれを肯定する何某かの証拠を得られれば御の字といった所だろう。

「……ジン。今からの俺の『独り言』は全部妄言だ。聞き流してくれて構わん。
 ああ、絶対に『他言はするな』よ。こんな馬鹿げた事を考えていたと知られたら一生の恥だからな」
「……オーケイ、とりあえずは頭の検問をスルーさせることにするよ。
 俺の口を動かすには結構体力が必要でね、アタマの中だけで収まる程度の事ならいくらなんでもパワー不足さ」

つまり、それは誰にも話さないということだろう。
『頭の中で収まらない事態』が発生するまでは、だ。
その返答に満足し、スパイクは語り始める。

温泉での出来事。ルルーシュの言葉を受けて妙な行動をした3人。
そこから導き出された読子・リードマンの仮説。
催眠術のような技能をルルーシュが持つ可能性。
自身の催眠術に関する体験談。
マタタビ殺害の経緯にそれが使用された疑い。
催眠術の弱点。マタタビを消す事でそれが漏れるのを防いだという動機。

それらの『妄言』を、万一カレンが追ってきた時に聞こえないよう念を入れて注意しながら事細かに伝えていく。
……そして。

「これだけは、誰にも明かすな。万一が起こった時でも俺が呟いたと悟られないようにしろ」

言葉を切り、ジンを見る。
目線の先の彼はこれまで話を聞いても軽口を一切叩かず、聞き役に徹していた。
そして、表情を一切変えずにジンは頷く。
その様子を確認したスパイクは、とうとう告げる。
これからのルルーシュ・ランペルージの動向を知る鍵に十分なり得る、その事実を。


「……ルルーシュ・ランペルージは『ゼロ』だ。
 それを知っているヤツは俺とカレンだけしかいない。
 この意味は分かるな?」

「カレンおねーさんが消しに来る可能性、か。
 それをスパイクは待ち受けているという訳だね」

ゼロ、という名詞の意味しているものが何か。
それを知らずとも、スパイクの口調は今後起こり得る可能性を示唆するのに十分だった。
ジンの飲み込みに安堵しながら、彼の知る限りのゼロの意味する事項、カレンのゼロへの執着を語っていく。

そして、全てを語り終え、スパイクはようやく一息ついた。

「……すまんな。しょせん状況証拠しかないもんだ、疑心暗鬼を振り撒いたのと同じだな。
 そもそもこんなトンデモ理論が信頼に足りるかどうかすら……」

煙草を探す動作をするスパイクだが、今は持っていない事をすぐに思い出し、頭をかく。
だが、それを見たジンは、スパイクに対する不信は微塵もないという表情で返答した。

「いやいや、なかなか有意義だったよ。
 ダークヒーローは素性を隠すもの。ルルーシュがあんな雰囲気を湛えていたのも納得だね。
 そして選定の剣は王を選んだ後に力を授けるもの。どんなチカラを彼が持っていても別段不思議ではないんじゃないかな」

表情を崩したジンの手にあるのはカリバーン。
スパイクは知る由もないが、それはまさしくアーサー王伝説に出てくる王を選ぶ為の岩に刺さった剣である。 
どうやら、ジンはスパイクの仮説を少なくとも可能性のレベルでは認めたようにスパイクには思えた。
だとするならば非常にありがたい。
議論する相手がいるならば、自分だけでは見えない視点からの考察もできるのだ。

そうしてスパイクが、ジンの今の仮説についての意見を聞こうとした瞬間、その男は現れた。


「――――俺はネオジャパン所属のドモン・カッシュ!!
 お前達にファイトを申し込む! いざ、正々堂々と――――」


現在考察中という空気を全く読まずに拳を振りかざす、実に暑苦しいハチマキ男が。


◇ ◇ ◇


「ふう、満腹満腹。一切れのパンは時として100万の宝石よりもなお尊いね。
 それが血湧き肉踊る謝肉祭(カーニバル)とあればなおさらさ」

先刻までの焼肉。
とりあえずそれに満足しながらも、ジンには一つ引っかかる事があった。
殺し合いという状況下にそぐわない御馳走を調達する事を可能とした、この場の状態だ。
現在自分たちがいる場所は、日の光や星の瞬きを望む事のできない場所である。
即ち、地下。
現代日本の住人ならば、『デパ地下』という言葉で大体思い浮かべるであろう空間の中を進んでいるのである。
その中の一角の精肉店からグラム1,000円を越えるようなお肉ばかりをドロボウとして頂戴した後、やはり地下のレストラン街にあった鉄板焼きの店で美味しく頂いたという次第だ。
ジンがスパイクに見せようとしていたものとは、まさしくこの地下空間の存在だった。
デパートの地上部は丸々消滅していたが、しかし地下の部分には全く影響はみられない。
何らかの現象が、地上からデパートの建築物部分に向かって発生したのだとすれば筋は通る。

だが、それにしても。

「……さすがに影響がなさすぎるね、これは」

――――そう。あまりに綺麗すぎるのだ。
まるで何か不可思議な力がここを守っているかのように。

……普通、デパートを見てそこに何があるかを調べようとした時、まず意識するのは高々とそびえる建造物の方だろう。
逆に言えば。

(……本命は地下に。大きな建物は立派な孔雀の尾羽ってところかな。ドロボウを相手するには基本だね)

現在自分たちがいるのは地下一階。
その下に何階層あるのかは分からないが、そこに何かが隠されている可能性は十分あるだろう。
それこそ『地上では目立ちすぎる巨大な何か』や『どこかに抜ける通路やゲート』があっても、地下に隠されている限りは空間的な不都合さを気にする必要はないのだから。

「……とはいえ、今は調べている暇はなさそうだ」

一人呟きながら、ジンは先方を行く3つの人影をそれぞれ順繰りに見渡す。

まず目に留めたのは左端にいるスパイク・スピーゲル。
ルルーシュに関する興味深い仮説を自分だけに告げた男だ。
仮説そのものはどこまで信用できるかは分からないが、彼という男本人は信頼に足るとジンは判断した。
森の中や山小屋での立ち振る舞いを考えれば、彼がゲームに乗っていないのは明白だ。
疑心暗鬼を振り撒くような行動もしていない以上、影で暗躍しているとも思いがたい。
とりあえず、温泉で起こった事象や、ルルーシュにはマタタビを殺す動機があったという点は留意しておくべきだろう。


そして、真ん中にいるのが現状最優先でどう扱うか考える必要のある男――――ドモン・カッシュ。
いきなり殴りかかってきたのは人としてどうかと思ったが、食事に誘ったらホイホイついてきたので当面害はないだろう。
ここがハッテン場でなかったことに彼は感謝すべきだ。
彼がそういう趣味の持ち主だとしたら全く問題がないことではあるが。
とりあえずは彼の今までの経緯を聞いてみて、いくつか考慮すべき事が判明した。

まず、カミナという男を捜す必要がある。それが現状の彼の行動指針らしい。
18:30に駅で合流する予定だったとの事だが、彼がそこに着いた時には既にその姿はなかった。
そこで、とりあえずカミナの向かいそうな所としてドモンが絞った候補は二つ。
炎上する何らかの施設と、暗闇がぽっかりと空いた空白地帯――――つまりこの場所だ。
あいにくとカミナはここにおらず、おそらくは行き違いになったか、炎上した施設――――地図から確認するに豪華客船の方向に向かったかのいずれかだろう。
人員を集める事が目的の自分達としては、カミナを探すのに異論はない。
だが、豪華客船の方向に向かえば清麿のいる病院からはどんどん離れていく事になってしまう。
そこで今後の方針をどうすべきかが問題となる。
デパートの地下を調べる暇がないというのは、彼が急いでカミナを探しに行きたがっているからだ。
だったら焼肉食ってる場合じゃないだろというツッコミは、しかし彼自身が空腹だった為却下された。

何にせよ、他にも参加者に関する有力な情報を幾つも手に入れることができたのは僥倖だ。
会場のループの情報も非常に有用だろう。
彼はケダモノのように誰彼構わず襲い掛かっていたらしい。
その事に対し言いたい事はあるものの、そのおかげで自分達の知りえない人員についての情報を得られたのだからとりあえず保留にしておく事にする。

東方不敗という彼の師匠の事。
ゲームに乗った上に強大な戦闘力を有する彼は最も警戒すべき人物だ。
ドモンはどうにか彼を説得したいようだが、状況次第ではそんな悠長な事を言っていられないだろう。

額に傷のある男の事。
説得の余地はあるが、それには入念な注意をする必要がある。
とにかく意識しておくに越したことはない。

言峰という神父の事。
ゲームに乗ったわけではないようだが、掴みどころのない人物だ。
彼に関しては協力できるに越したことはないか。

双剣使いの少年と銃使いの少女たち。
話を聞くに、彼らがゲームに乗るとは思えない。
探し出して合流したい所ではある。

こうした情報を得て、ドモンに下す評価は一つだ。
信用できる男である。
彼自身の戦闘能力はおそらく相当高い。
自分たちの味方になってもらえるなら心強いだろう。
彼もそれを快く了承してくれた。
ドモンに出会えただけでもパーティを二分した甲斐は十分あったと言える。

そこでジンは、全員が落ち着いて揃っているというタイミングの良さもあり、ルルーシュにしか明かさなかった清麿から預かった考察メモを開示することにした。
有用な意見こそ出てこなかったものの、とりあえずは清麿は信頼できるということと、考察内容の把握はできたはずだ。
これからどうなるとしても後々役に立つこともあるかもしれない。


最後にジンが目を留めたのは、右端にいるカレンだ。
ドモンがネオジャパン、日本出身だと聞いた為か、初対面からかなりの信頼を置いているようである。
スパイクからの視線への楯にするように、間にドモンを挟んで黙々と歩き続けている。
それだけ彼女が不安定だということでもあり、好ましい傾向だとは言いがたい。
スパイクの言によれば、彼女が彼を消しに来る可能性もあるのだ。
それだけに注意をしておくに越したことはない。
彼女がこんな事を言った後なら尚更だ。

「――――ジン。あなたがドモンを消防車に乗せて、豪華客船の方を廻ってくるというのはどう?
 私とスパイク・スピーゲルは病院に寄って、清麿という人を回収。
 もちろんカミナって人と会ったら連れて行く。
 その後で映画館か卸売り市場で全員合流すれば問題はないんじゃない?」

カレンがそう発言したのは、食事の直後の事だ。
食事中不意に考え込むような仕草を見せていたのは、おそらくその事について考えていたからだろう。
確かに消防車を運転できるのは自分だけであり、豪華客船側に向かうルートは遠回りであるため、
カミナと合流するには理に適ってはいる。

しかし、嫌っているスパイクと同行するという時点で何かおかしいと勘繰るのは果たして考えすぎなのだろうか?
仮にカレンがスパイクを消そうとしているのなら、二人きりにしたとすればそれこそ殺してくださいと言っているようなものだ。
……だが、スパイク自身はこちらを向いて軽く頷いたきり、特に肯定も否定もしなかった。
つまり、それはカレンを止めるという意志の表れだ。
現状他に有効な手を思いつかない以上、彼に任せる他はないだろう。

気が付けばもう階段だ。
これを昇れば、そこに見えるのは満天の星空。
一時の別れは近い。
とりあえず、合流地点を映画館に指定して二手に分かれることにする。
何らかの理由で映画館が危険と判断したなら卸売り市場に集合と決め、ジンとドモンは消防車に乗り込む。

「それじゃ、スパイクとカレンおねーさん、良い旅を。
 次会うときにはもっとフレンドリーに笑い合えてるなら嬉しいね」
「スパイク! カレン! カミナと会ったら頼んだぞ!
 ……それと、師匠に会ったら伝えてくれ、人間も自然の一部なのだ、と……!」

窓からそれだけを告げて、消防車は闇の中へ消えていく。
もう一度スパイクとカレンに会えるかどうかも分からないまま。
その先の出会いに希望があると信じながら。

◇ ◇ ◇

――――月の綺麗な夜だった。

瓦礫の中、邪魔な建物が消失して一気に広がった黒い空にぽっかりと浮かぶ円月。
それがやけに印象的だった。
空気は肌寒く、視界は遠くからの電光頼りにぼんやりとしか得られない。
だからこそ、空の綺麗さがくっきりと映し出されたのかもしれない。
街中のはずなのに、天の星々が良く見えた。

いい夜だ。
とても静かで心地いいと、彼女は思う。
なんで静かなのか。
それは人気がないからだということに思いを馳せ、月を仰ぐ。

いい夜だ。
人間がどれだけ夜毎に騒音を奏でているのか、どれだけ人工の光が明るいのかが良く分かる。
すぐ近くの海からは、潮騒の音さえ響いてくる。
夜の海はどれだけ綺麗なのだろう。
ちょっとだけ見てみたいと思うも、そうするには少し手間をかけねばならない。

今ここにいる人間は数少ない。
自分ともう一人の男。彼女はそれを強く意識する。
実に都合がいい。
というよりも、その為に慣れない口八丁でこの状況を作り出したのだ。
もちろんロマンチックな理由などではない。
そんなのは願い下げだ。
では、何の為にこんな状況を作り出したのか。

いい夜だ。
昔から語り継がれる常套句がある。


こんな月の綺麗な晩には、何が起こってもおかしくない。


通り魔が出るにしても怪物が出るにしてもうってつけ。
まさしく人が死んでもおかしくないとばかりの出来過ぎたシチュエーション。
月には魔力がある。
人を惑わせ、有り得ない出来事を導く魔力が。

ゼロは言った。
あの男を排除せよ、と。
何という好機だろう。
今の彼女には、夜の月さえ自分の味方をしていると思える状況だ。
前の男は先刻、気楽そうな顔で病院に向かう旨を告げ、さっさとこちらを振り向きもせずに歩き始めた。
無防備な背中を曝しながら。

いい夜だ。
何かと癇に障ることばかり言う男だった。
あの男の背中に鉛のお守りを真心込めてプレゼントしてあげる。
そうすれば、いい夜はきっと更にいい夜になるだろう。
自身の気の持ち様次第でしかないと分かっていても、それだけで十分価値はある。

紅月カレンは。
カレン・シュタットフェルトは懐のワルサーを握り締め、ゆっくりと、ゆうらりと腕を突き出し狙いを定める。
冴えない男だ、と彼女は思う。
自身が指にかけた引き金をほんの少し動かすだけで死ぬというのに。
あまりにも彼は、自然体でいつもと変わらなかったのだから。

そしてその時は訪れる。
彼女は指先に力を込めながら、思う。

――――ああ、本当にいい夜だ。




そして、銃声と共に夜空の月は紅く染まる。
真っ赤な真っ赤な花を咲かせながら、

紅の月は、輝きを増す。




「え…………あ、れ?」




――――ただし。
その銃声はワルサーとは似ても似つかないものだったのだが。


ほんの少しだけ違和感を感じたので、下を見る。
ごっそりと、お腹の殆どががらんどうになっていた。

そこから辺り一面に血がブチ撒けられる。
地面にも、手に持つワルサーにも、彼女の顔にも飛び散った。
ずるずると、下の支えのなくなった臓器も重力に引きずられて定位置から外れ落っこちてくる。

ゆっくりと顔を上げる。
冴えないと思った男の顔は、それまでの所作から信じられないほどの驚愕と、憤怒に満ち満ちていた。
どうやら彼の仕業ではないらしい。
その視線の先は彼女を通り越して背後まで向かっている。

良かった、と彼女は思う。
あんな怒りを自分に向けられたら、怖くてみっともない姿を見せてしまいそうだ。

そんな、自身の状態に全く無頓着なことを思いながら、ゆっくりとカレンは崩れ落ちた。
うつ伏せに倒れつつ、ぴくぴくと体を震わせながら。
流れ出る血はいつの間にか池と化し。
血溜りに映り込む星空には、紅い月が輝きを放っていた。

煌々と。煌々と。


いい夜だ。

こんな月の綺麗な晩には、何が起こってもおかしくない。




◇ ◇ ◇


いい夜だ。

そこにたどり着いた時には、消防車が闇の彼方へ消え去る所だった。
追っても人間の足では追いつけないだろう。追う価値はない。
それに、なによりも自身の追い求めた宿敵がすぐ側にいる。
あの男に出会えるならば、どんな曇天でもいい夜に違いない。

だが、仕掛けるタイミングが重要だ。
ロケットランチャーを撃ち込んでやるような形で葬っても、自身がそれを許さない。
故に、少し観察をすることにした。
背後から幽鬼の様にゆっくりと追いながら。

あの男は、背後の小娘に随分警戒しているようだった。
下らない話だ。
邪魔になるならば早々に排除してしまえばいいものだろうに。
更に愚かなことに、小娘はそれにさえ気付かない。
消防車が消え去ってからしばらくして、宿敵に対して銃口を向けた。
気付かれていないなどと思い込みながら、あの男を殺そうとして。

だからこそ、だ。
目障りだから、片付ける。
機を窺うまでもない。
あそこまで愚かならば、先刻まで持っていたレーダーに頼るまでもない。
宿敵との戦いを幕開けるための、始まりのベルになってもらうまでだ。

十字架を構え、重機関銃の銃口を小娘に向ける。
この武装は便利だが、あの男との戦いで悠長に振り回すには重過ぎる。
邪魔な塵芥を排除することにしか使えないだろう。
頼りにするのは、やはり愛着ある自身の武装だ。


いい夜だ。
因縁を清算するには、これ以上ない程に――――いい夜だ。



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227:光るものの全てが黄金とは限らない カレン・シュタットフェルト 230:Rising Moon the Samurai & the Gunman(後編)
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