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  • やろうぜ、バトルロワイアル!(後編)

やろうぜ、バトルロワイアル!(後編)

最終更新:2023年05月10日 22:45

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やろうぜ、バトルロワイアル!(後編)  ◆tu4bghlMIw



《Section-7:柊かがみ――不死者 ①》

戦いが始まってから相当な時間が経過した。
相手はチンピラ牧師、ニコラス・D・ウルフウッド。
戦闘開始当初は聖剣を持った戦う番長――って感じだったんだけど。

「うぉおらあああああっ、嘗め腐りおってからに!! 小娘がぁっ!!」
「ッ――――!!」

ドン、というかボゴォッ、という感じの鈍い音と共に私の身体が瓦礫に叩き付けられた。
コレでいったい何回目だろうか。
自問自答してみても、答えてくれる誰かが私の中にいる訳でもない。
身体に負わされた傷は時間と共に消えていく。
損傷した器官はすぐさま再生し、私を健康な状態である『柊かがみ』……いや『不死身の柊かがみ』へと戻してくれる。

いや、それはきっと言葉の問題だ。
正確には――私を"死なせてくれない"とでも言った方がいい。


「っとに……タフなやっちゃ。これだけ痛めつけても何度だって立ち上がる。おどれはゾンビかい」
「伊達に……グッ……『不死身の柊かがみ』は名乗ってないもの」


ゆらり、と私は立ち上がった。胃袋の中身が飛び出してしまいそうな感覚を抑えながら。
目の前で両手をポケットに突っ込み、大阪出身のチンピラのような言動で私を恫喝する男――ニコラス・ウルフウッド。

戦うのが二回目だけあって彼は私に対して相当に効果的な戦法を取ってきた。

まず、彼は私に対して一切銃器を使おうとしなかった。
死んでも生き返る人間に対して銃を使うのは弾丸が勿体ないと考えたのだろう。
当初は二本の刀を用いていたのだが、二度ほど私の腕を切り落として以降、一度もソレを抜く気配はない。
おそらく血、だろう。刀は消耗品である。
血を吸えば吸うほど切れ味が悪くなる。当然の選択だ。

腕がなくなる感覚は本当になんとも言えないほど、辛かった。
痛かった。苦しかった。死んでしまいたくなった。
だが不思議なことに腕が落ちてから数秒でその苦痛は収まり、一瞬で元通りになったのだ――そして、慣れていく。

例えば現在の私だったならば、腕にナイフを突き刺したとしても少し眉を顰めるだけで事も無げにソレを引き抜くだろう。
でも今までの私にはそんな対応は不可能だ。痛みに涙を流し、激しく咽び泣いた筈だ。
耐性が出来ている、ということだろう。
結城奈緒に散々切り刻まれたおかげで、特に斬撃に対する耐久は飛躍的に上昇している。

戦闘――と言えば体裁はいいが、こちらの攻撃など命中する訳もなかった。
いかに不死者になろうとも、筋力などは今までとまるで変わらない。
『シルバーケープ』も明らかに状況が悪い。
一対一で既に相手の姿をこちらに確認させた後で使う道具ではないのだ。
そもそも私は自分の気配を消すことなど出来ないので、身体を消した所で一瞬でどこにいるかバレてしまう。

『エクスカリバー』というライトノベルに引っ張りダコな聖剣も満足に振るうことなど出来る筈もなくて、とっくの昔に取り落としてしまった。
しかし、あの武器がウルフウッドに奪われてたいた場合、私は更に微塵切りにされていたことだろうし、逆に幸いだったのかもしれない。

「ったく敵わんわ。何発鉛弾食らわせても起き上がるから撃つに撃てん。刀で輪切りにしてもあっという間にくっ付きよる。
 散々甚振ってやったのに、まだそんな口利けるんかい」
「痛みには……慣れて……きたわ。それに、そりゃあ『不死身』ですもの。そう、いう……身体なのよ」
「わーっとる! 嬢ちゃんの『身体』を殺すのがしんどいっちゅーのは理解した。やから、さっきからやっとるんやないけ」
「…………う」

ウルフウッドがザッ、という足音を立てながらフラフラの私に肉薄する。
――来る。また、"アレ"が。

「わいは嬢ちゃんの『心』を壊すんや」
「あごっ……!!」

また、始まる。

鼻。
ウルフウッドは私の顔面に思いっきり正拳を見舞った。
バキッ、という鼻骨の砕ける音。そしてそこを中心に広がる痛み。
何かが切れた。ああ、これは鼻血だ。ダラダラと滝のように紅の道が出来る。

一発目。

「しかし、嬢ちゃんも厄介な身体やのぉ」
「ぐぼおぉぉっ!!」

鳩尾。
砕け落ちそうになった私の身体を跳ね上げるようなに右膝が抉り込む。
内臓を貫かれるような痛み。胃袋の中身が全て逆流しそうになる感覚。
口の中が唾で一杯になる。涙が一杯になる。
何かが、私の身体の中で液体を撒き散らしながら破裂した。何かが、溢れ出てきたような気がした。

再生――鼻骨がその周囲との結合を始める。

二発目。

「死なないのか、それとも死ねないのか……」
「う…………」
「どっちや!?」
「ぶぐぁっ!!」

左頬。
膝蹴りによって完全に倒れ込み掛けた私の身体をウルフウッドがポニーテールを犬のリードのように掴んで持ち上げた。
そして顔が上がった瞬間、右のフック。
歯が何本か口から飛び出した。何本かは砕けた。口の中がズタズタになる。
鉄の味がする。

再生――破けた筈の内臓が元の"袋"へと戻り始める。

三発目。

「知っとるか? 腕っちゅーのはなぁ、輪切りにされたら普通はショック死や。嬢ちゃんは別みたいやけど――な!!」
「げごああああぁっ!! ……ぐ……ぅ……ぁ…………!!」

肝臓。
ポニーテールを掴まれているため、私は沈み込むことさえ出来ない。
人体の急所の中でも特に内側への痛みが大きな器官だ。思わず漏れたのは蛙が踏み潰された時のような声だった。
内側から身体を引き裂かれるような、網目状に広がっている毛細血管に電撃が走っているような痛み。
全身の力が一気に抜けていく。
そして"何か"が胃の奥から込み上げてくる。

再生――口内の血が引き、欠けたはずの歯が『生えて』くる。

四発目。

「うぷっ…………ご…………ぐげええぇぇっっっっ!!!」
「うおっ!? なんやまた吐いたんかい、嬢ちゃん。そう、ゲロっちゅーのも案外難儀なんやで? なにしろ、」
「ぉっ……ぐぉ……っ……」
「ゲロで溺死、っちゅー死に方もあって……なぁ!!」
「ぐ、が、ごぼぉっっ!!!」

顔面。続けて腹部。
何もかも吐き出したと思ってた。
だから込み上げてくるのは胃液と、食べ物が少し。それらは酸っぱくて、苦くて、凄く辛かった。
着替えたばかりの服はとっくに吐瀉物で汚れきってしまっている。
砕け、そしてある程度まで治っていた鼻骨が再度へし折れた。
口の中で胃液と汚物がグチャグチャに混ぜ込まれる。
それと、血。
図書館で飲んだ紅茶の味が少しだけしたかもしれない。

ポニーテールを握っていた左手が離されたため、私の身体は布キレのように地面へと落下しそうになった。
が、そこに再度ウルフウッドの右拳が打ち込まれる。
今までで一番強い衝撃が私の身体を貫いた。
意識が、飛ぶ。
私は不死身ではあるが、身体の強度は普通の人間と変わらない。

再生――完全に機能を停止した筈の肝臓に火が灯る。

五発目、六発目。

「あ゛ごぉ……ぁ…………」
「まだ十二時前や。寝るにはまだまだ早いんやないか? もうちょい付き合ってくれや」
「ご、がっ……ぎ…………!!」

延髄。
倒れ込む身体をそのまま吹き飛ばしてしまうような強烈な右の回し蹴り。
大の男が全力で放つ蹴り技に私の身体が耐えられる訳もなかった。
コキリ、という小気味良い音が響いたような気がした。
どこの骨が折れたのかは分からない。ただ、どうしようもなく、痛くて、涙が止まらなくて、頭が真っ白で……

再生――鼻の骨の修復がまたも開始される。拳を打ち込まれた胃の辺りがドクン、と息づいた。

七発目。


もう、何も見えなかった。
皮膚からの出血で瞳は赤く染まり、視界は定かでない。
暗闇が紅色に滲み、痛覚だけが私の全てを埋め尽くす。


でも、

眼球を潰されても、
鼻の骨を折られても、
歯を抜き取られ砕かれても、
血管を引き千切られても、
内蔵が破裂しても、
爪を剥がれても、

痛みで、ショック死することはないのだ。
だって私は不死者なのだから。


内側から込み上がってくるような身体の内部への攻撃。つまり、打撃。
私はこの島で不死者になってから、何度も切られたし、死ぬような傷は何度も受けた。
だがそれは全てが刃物による刺突や斬撃だった。
内側を攻撃されたことは……いや、それどころか他の人間にここまで全力で殴られた経験など皆無だった。

刃物による痛みと鈍器による痛みは全く別の領域にある。
切り傷ならば肉が裂かれ、血が飛び出し、細胞が悲鳴を上げる。
だが、打撃による傷は波紋のように痛みが鈍い衝撃に包まれながら沈んでいく。

肉が肉とぶつかり合い、骨が骨を砕く。
健康な細胞が死に、そしてまた再生し、強烈な痛みと共にまたそれは繰り返される――
まるで終わらないワルツを踊っている、そんな気分だった。

ああ、永久輪廻の円環に取り込まれた私の苦しみが終わる時は来るのだろうか。
慣れれば、いいのだろうか。
誰かが教えてくれればいいのに。私は、あと何回死ねばいいのだ?

また、殴られる。
また、蹴られる。
また、潰される。
また、砕かれる。

意識が闇に落ちていく。
目が覚めた時もまた、この輪舞に取り込まれているのか。
私はその『未知の痛み』に抱かれながら、心が沈んでいくのを意識した。


再生――折れた首周りの骨が繋がっていく。


 □

《Section-8:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン――聖杯 ②》

「――ッ!? マッハキャリバー、今のは……!?」
『はい、マスター。おそらく何らかの爆発物が爆発した音かと思われます』

進行方向にある映画館が一瞬、ピカッと光った。そしてその後に響いた物凄い音。
いや、今も少しだけ明かりが見える……ような気がする。
爆発物ということは爆弾か何かだろうか。

「ば、爆弾!? それってどれくらいの広さまで……!!」
『そうですね。使用したもののタイプにもよりますが、あの規模ですと数メートルから数十メートルは固いかと』

数メートル!? 
私に心臓がひっくり返ってしまうような衝撃が走った。
アケチに見せて貰ったレーダーの光景を頭に思い描く。
刑務所を出発した時点で、七つの光点がほぼ重なるように位置していた筈だ。
つまりあそこにいた人間は誰もが相当近くにいたことになる。
そんな場所で爆弾が使用されたのである。その事実が不安でない訳がない。

「そんなに……! それじゃあもっと急がなくちゃ!! 飛ばすよ、マッハキャリバー!!」
『All right』

全身を駆け回る魔術回路に更なる魔力を送り込む。
現時点でもほとんど最大出力に近かったのだが、もっと、もっとだ。
マッハキャリバーを使った移動はそもそも大して魔力を使用したりはしない。
バリアジャケットの起動も同様だ。
まだまだ私の魔力は大幅に残っている。少しぐらい贅沢に使っても問題はないはずだ。


風を掻き分けながら私は進む。私は左腕につけた時計を一瞥した。
二十四時まであと少しだ。
辺りは非常に暗く、さすがにそろそろ眼も慣れてきたがゾクッとするような嫌な感覚は消えない。
こんな遅い時間に外出する時は、ほとんど必ずと言っていいほどバーサーカーが一緒にいた。
そう、初めて士郎を襲った夜のように。

でも今は私、一人だ。
正確にはマッハキャリバーがいる。
でも彼(彼女?)はあくまで機械であり、使用者をサポートする存在である。
自主的に戦ったりはしないし、戦闘能力がある訳でもない。
だから私が全部何もかもやらなければならない。
ギルガメッシュの所に行って、士郎を救い出して、アケチ達への協力を要請する……たとえこの身に変えても、だ。


「――お嬢ちゃん。可愛らしいべべ着てはるなぁ」
「えッ……!?」


声が、聞こえた。
ありえない。この辺りは士郎達以外にも多くの参加者がいたはずだ。
人間がいることはそれほど妙なことではない。
だが今の私の状態を考えれば自ずと答えは出る。

――今、私達はどれくらいのスピードで移動している?

『マスター!! 緊急停止します!!』
「ぐっ――お願いっ!!」

マッハキャリバーが危険を感じ取り、マスターである私に急速減速を申し出た。当然、私はそれを了承。
ガリガリ、という岩を削り取るような不気味な音と共に加速中からの突然の停止を試みる。

「う…………」
『大丈夫ですか!? マスター!?』
「だ、大丈夫……」

全身を襲った強い衝撃を堪えながら私はゆっくりと顔を上げた。
足の裏がまだビリビリする。

「でもなぁ、感心出来んわ。こない遅くに一人で出歩くなんていけない娘やなぁ」

私は目の前で悠然とした笑みを浮かべる女を見つめた。
茶色くて長い髪、抜群のプロポーション、雅な佇まいを演出する和服――
そして肩に担いだ巨大な薙刀。そして独特な口調。
アケチの持っていた名簿の情報を頭の中から引き出す。

「そんな悪い子には少し……キツいオシオキが必要みたいやねぇ」
「フジノ……シズルッ!」

両足に装備したローラーブレードが独特の駆動音を奏でた。
つまり、アレを用いてマッハキャリバーの高速移動へ接触してきたということか。
手に持った薙刀が瞬間、蛇の身体のように凄まじい速度で伸び、鎌首を擡げて私に向けられる。
私は確信した。彼女は殺し合いに乗っている、と。


「はい、おおきに。お嬢ちゃんに恨みはあらへんけど――堪忍な」


 □

《Section-9:藤乃静留――蛇 ①》

「マッハキャリバー、回避!」
「それじゃあ少し、遊ぶとしましょか」

乱撃。蛇腹状に伸ばしたエレメントを用い、目の前の白の少女をバラバラに切り刻む――とまではいかない。
どうも、彼女が足に着けているブーツは相当な機動力を持っているようだ。
こちらのローラースケートよりも明らかに上、だろう。
が、それ以上に気になるのはその格好だ。

ブルマ、である。そして体操服だ。
十歳程度の少女が身に纏うブルマと体操服……その道の人間ならば泣いて喜ぶかもしれない。
案外人の性癖という奴は特色があって、真面目そうな者ほど背徳的な趣味を持っていたりする。
自分自身もそうだし、例えば普段は真面目な委員長タイプの子が幼児プレイが大好きだったりするかもしれない。

「……いくで」

が、そんなことは気にしていても仕方がない。
ローラースケートの能力を行使し、こちらも彼女の高速移動に付き合うこととする。
彼女はこちらを見据えながら、ローラーを逆回転させて後退中。当然、追撃する。

ヴァッシュ・ザ・スタンピードがこちらの意図をしっかりと見抜いてくれたのは幸いだった。
もっとも、彼は間抜けではあるが決して馬鹿ではないのでそれほど心配もしていなかったのだが。

おかげで見事に一人だけ火事場から逃げ出すことも出来たし、ここでこんな獲物も見つけられた。
あんな血の気に溢れた連中が犇めく場所なんて、命がいくつあっても足りない、というものだ。
自分より明らかに実力が上の人間が三人。自分はあの中では中程度の戦闘力しか持っていなかった。
おそらく一番割を食うであろう――故にひとまず、退却した。

最終目的をこの催しにおける優勝としている以上、度を越して危険な戦いからは極力離脱するべきだ。
そして、自分以外の人間が星を稼ぐのを止める道理もない。これはスコアレースなどでは決してないのだから。

とはいえ、

「なんやろうなぁ。お嬢ちゃんの動き、どこかぎこちないわぁ……!」
「ッ――――!!」

目の前にぶら下げられた餌を見過ごすほど、愚かでもないつもりだ。

微妙な機動力の差は武器で埋める。
こちらには遠近両用のエレメント、彼女は何と手ぶらだ。
逃げ回るだけの相手に負けるとは考え難い。

螺旋を描く蛇のようにエレメントを走らせ、左右に旋回。移動する少女を追う。
何度か攻撃が命中しているはずなのだが、どうも防御能力は相当高いらしい。
掠った程度では動きを止めるには至らない。
つまり直撃させろ、完膚なきまで切り刻め、ということか。

問題は、ない。
自分はただ《蝕の祭》の時と同じように舞うだけなのだから。
ただ一人、心の底から愛しているなつきのために。
修羅に感情はいらない。


 □

《Section-10:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン――聖杯 ③》

まさか、こんな場所で敵に出会ってしまうなんて。
シロウがいる筈の映画館に眼と鼻の先の距離まで迫っておきながら、撤退しなければならない……悔しくて堪らない。
何しろフジノシズル自身もあの場所での戦いに加わっていた筈なのだ。
その彼女が逆方向である刑務所側へ逃げ出して来たということは、そこで何かが起こった可能性がある。
シロウの身に危険が起こっていることも十分に考えられる。求められるのは一刻も早い到着、それなのに……っ!!

「どないしはったん、お嬢ちゃん? 殺り合う気配がまるで感じられまへんで?」
「う、うるさいっ!! あんたなんか……!!」
「おお、怖い怖い。まったく、最近の娘は言葉遣いがなっとらんなぁ」

クスクス、と笑いながら薙刀を蔓のように伸ばしてフジノシズルは私を攻撃してくる。
どちらも似たような機動性の装備を持った高速戦闘。
生身のままでは凍死してしまったかもしれない空気の波もバリアジャケットが防いでくれる。
右肩を狙って打ち込まれた一撃を弾く。次は右太股、左脇腹、胴体への袈裟切り、何とか……食らい付いていく。
嵐のように打ち込まれる薙刀は明らかにこちらと相性が悪い。
長い射程と多段攻撃。そして足元をカバーする速さ。
マッハキャリバーの機動性能で撹乱する戦法が使用出来ないのでは……
身体能力は大分向上している。だけど、攻撃に関してはまだまだだ。こちらには切り札"しか"ない。

「逃げ回るだけかいな? それじゃあいつまでたっても勝つのは無理でっせ?」
「う…………勝手に言っていればいいのよ!」
『マスター落ち着いてください。相手の挑発に乗ってはいけません』
「……分かってる!」

ほとんど圧縮されていない"生"の魔法弾を撃ち込む、という攻撃手段があるにはある。
これならば一応の牽制にはなるだろう。
しかし、この能力は明らかに無骨で錬度が低い。
スピードに自信がない相手ならばともかく、無駄に魔力を消費する結果しか見えてこない。

ならば瞳術か? 確かにアレならば敵の動きを止めるのには最適だろう。
だが。この高速機動戦闘において、相手と眼を合わせる必要のある邪眼は条件が悪すぎる。
逆にこの能力を過信し過ぎては防御や回避がおろそかになり、痛手を負う可能性も高い。
決まれば一瞬で勝敗が付くとはいえ……失うものが多過ぎる。

故に、考えるのは一撃必殺。
私が唯一取得出来たマッハキャリバーの世界、ミッドチルダの攻撃魔法――『ディバインバスター』を叩き込む。

さぁ、勝負だ。私は絶対にシロウの元に辿り着かなければいけないのだから。
今、この瞬間にもシロウの身に危険が迫っている。そう考えるだけで、胸は軋み、頭が痛くなる。


「……行くよ!!」


マッハキャリバーの機動能力を最大まで引き出し――そして、フジノシズルに向けて疾走する。
当然の如く、襲い掛かって来る数多の刃。それを私は習得した魔法『プロテクション』によって打ち消す。

「……面白い手品使うんやねぇ」
「うッ――――プロテクション!!」

私の前方に透明な盾が生まれ、フジノシズルの斬撃を打ち消した。
逆にこちらが接近する形となったため、彼女は不審に思ったのか後退しながら薙刀の乱撃で私を牽制する。
私達の距離は……約十メートルといった所か。
マッハキャリバーの方が、彼女の具足よりも遥かに性能が良いため、次第にその距離は縮まっていく。
『プロテクション』は汎用性に優れる呪文で、消費も少なく、安心して使っていける。
だが、

「マッハキャリバー! ここから先はシェルバリアとプロテクション、両方で行くよ!」
『ですがマスターの魔力は……』
「大丈夫、魔力の貯蔵量なら自信があるから!」

プロテクションだけでは、明らかに力が足りないのだ。
フジノシズルに接近すればするほど、攻撃はその密度を増すだろう。そうなれば、確実に力不足だ。
防御魔法を全掛けして相手が突っ込んで来るのだ。何か奥の手があると必ず彼女は考える筈だ。

しかし、自分とフジノシズルにおける最大の違いは攻撃力だ。
防御能力では圧倒的にこちらが勝っているとはいえ、攻撃しなければ勝利することは出来ない。最終的にはジリ貧になってしまう。
とはいえ、移動性では私が勝っている。
つまり余りある魔力量を武器に突貫し、フジノシズルを迎撃も退避も出来ない状況へと追い込む――これが最良なのだ。

「シェルバリア! プロテクション!」
「……格闘戦がお望みかいな」

私の身体を更に多くの刃が襲う。
元は一本だけしかない筈なのに、まるで五本も十本も武器がくっ付いているみたいだ。
ただ二つの防御魔法を同時使用しているせいか、本体へのダメージは思った以上に少ない。
ブルマと体操服とはいえ、バリアジャケットの性能は驚くほど優秀だ。

「……もう少し!!」
「逃げ出したり、急に向かって来たり……お嬢ちゃんの考えがよう分からんわぁ」
「決まってるわ!! 私はシロウの所に行きたいだけっ!!」
「シロウ……ああ、衛宮はんどすか。……ああ、そういうこと……フフ」

残り約七メートル……と言った所か。
ここからではディバインバスターの射程範囲ギリギリだ。
しかし、私が習得したディバインバスターは当然、錬度がきわめて低い。
マッハキャリバーの正当なマスターであった「スバル・ナカジマ」の使用するソレよりも遙かに、だ。
せいぜい五メートル。確実に当てるためには三メートル前後まで接近したい。

が、今それ以上に気になったのはフジノシズルの不可解な笑みについてだった。
シロウの名前を出した途端、彼女はニヤニヤと顔面を不愉快な喜色で飾っているのだから。

「なんなのよっ! その思わせぶりな笑い方は!」
「フフフ、健気やなぁ、思いまして。それに比べて現実は……ほんに難儀やさかい」
「現実……って何!? シロウに何かあったの?」
『マスター! 有効射程範囲です! 今すぐにでもいけます!』
「え……!!」

五メートル。いけない、もうここまで接近したのか。
すぐさま私は魔法の言葉を――

「ディバイン――」
「衛宮はんなら、殺されましたえ」
「ッ――――!?」
『マスター!!!』

三メートル。フジノシズルが急速にターン。手に持った薙刀が蛇のように舞った。
シロウが――死んだ!?

「ま、嘘なんやけどな」
「ッ!!!! よくも――」
『マスター!! 撃ってください!!』
「あっ……!? ディバ――」
「さよならどす」

一、メートル!?
眼と鼻の距離で、フジノシズルがニッコリと微笑んだ。
カマイタチのような速度で薙刀が私の全身へと迫る。
が、こちらは完全にディバインバスターの発射体勢に入っているため、その攻撃を塞ぐ手立てがない。

「きゃあああああああああっ!!!」

刺さる。裂かれる。切られる。突かれる。
突然加速し、私を追い抜いたフジノシズルの刃が私の身体を切り刻んだ。
まるでバケツ一杯の血液をぶちまけたような沢山の液体が潮となって私の身体から溢れ出た。

『ま、マスター……』
「あ…………が……っ……」

ドスン、と膝を突き、前屈みに倒れる。
マッハキャリバーが何かを言っていたような気もするが何も聞こえなかった。何も、何も。

深く、ゆっくりと、セピア色の景色の中へと私は沈んでいく。
頬を擦るザラついた砂の感触。一気に体温を失っていく手と足。
頭は酸素を求め、身体は震え、瞼は私の命令を聞かずに閉ざされようとしている。


「甘いでぇお嬢ちゃん。好きな相手の名前出されたぐらいで動揺してたらあきまへんで」
「や…………だ…………シ……ロウ……」
「冥土の土産にそうでんな……衛宮はんはまだ生きとるなぁ。今は死んどるかもしれんけど」
「シ……ロ……ウ…………」


シロウの顔が頭に浮かぶ。
生きている。シロウは生きているのに。
なんで私は死んじゃうんだろう。このままじゃシロウを悲しませてしまうのに。

ダメ。お姉ちゃんは弟を守らなくちゃいけないのに。
私がシロウを救ってあげなくちゃならないのに。
ヤダよ……こんな、こんな所で………

シロウ!!!!!


 □

《Section-11:東方不敗――拳王 ①》


それは血湧き肉踊る至高の愉悦にも似た戦いだった。

「どうした撃たないのか、ヴァッシュ・ザ・スタンピードよ!?」
「くッ――――」

幾人もの人間が入り乱れての乱戦。加えて、ここまでの実力者が揃った戦いも滅多なことでは起こらない。
それなりの年月を生きてきたと思っていたが、なるほどやはり世界は広い。
自分と十分に比肩し得るだけの実力を持った戦士に一度に二人も出会えるとは!

ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
卓越した身体能力に目を見張るような圧倒的な銃の腕前。
一つの技能を延々と高めた故の超人的能力――それはわし自身が日々体現している事象ではあるが、奴の「射撃」も同様にこの区分けが可能だ。

人の形を持った存在が成し得る究極至上のガンマン。それがヴァッシュ・ザ・スタンピードだ。
銃など所詮、鉛弾を吐き出すだけの玩具。そのように思っていた自分自身を恥ずかしく思う。

「射撃手が銃を撃たずしてどうやって戦うというのだ!?」
「撃たずに解決出来るんなら、それに越したことはないよ」
「減らず口をっ!!」

突進。右足を軸に左の上段蹴り。旋風のような一撃をヴァッシュは体勢を低く落とし、回避する。
だが、その程度の反応は当然予想の内だ。
腰骨を軸に身体を回転――同じく重心を下げての下段右回し蹴りを放つ。狙いは人体の急所の一つ、左のアキレス腱。
受けた場合、相当な体重がなければ確実に転倒する。が、

「――っと、危ない!」

ヴァッシュはその追撃すら予測していたのか、小さく地面を蹴ってこちらとの間合いを一気に空けた。
そして、腰のホルスターに手を当て銃を――

「ちっ!!」

撃たない、と分かっていながらも反応しない訳にはいかなかった。
すぐさま体勢を立て直し、同じくバックステップと跳躍を交えながら奴の射線軸をずらす。
奴の早撃ちは、まさに目にも止まらぬ速さという呼び名が相応しい。銃に触ってから発射するまでのタイムロスがほぼゼロに等しい。
そしてどの距離であっても、寸分の狂いもない精密射撃が可能だ。
この東方不敗マスターアジアに『銃』という玩具でここまで迫った相手は過去に一人としていなかった。

しばらく戦っていれば次第に分かってくる。
奴が銃を撃ったのは戦闘が開始してから未だに二発だけだ。
一発が"シズル"という女を助けるため。
一発が爆弾を撃ち抜いて誘爆させるため。

そう、牽制にすら一発の弾薬も使っていないのだ。それはつまり――弾が残り少ないことを意味する。
いや既に銃弾を撃ち尽くしてしまっているのかもしれない。
奴の持つ射撃技術を考えるに『弾など弾けばいい』『発射されてからでも十分に回避出来る』などと考えるのはまさに愚作。
つまり、争点を分けるのは『奴の銃にあと何発の弾丸が残っているのか』ということだろう。

だがその時、

「ぐわぁぁぁああああ――ッ!!!」

明後日の方向から、絶叫と共に『人』が飛んできた。
すぐさま、その正体を確認する。やはりと言うかなんと言うか、矢のように吹っ飛ばされたのは――衛宮士郎だった。
どうもギルガメッシュとの打ち合いに力負けし、衝撃に耐え切れず身体が弾き飛んだのだろう。

奴を打ち据え、絶命させることは枯花を折るよりも簡単な動作だ。が、あえてそれは行わない。
なぜならばこの瀕死の小僧がギルガメッシュの相手をしているため、自分はヴァッシュと一対一で勝負が出来ているのだ。
頭数が一人減ればその分、自分の負担も大きくなる。大局的なことを考えた選択という訳だ。
ならば、

「ふんっっっっっ!!!!」

その身体を利用させて貰うまでのこと。
人間弾頭と化した衛宮士郎の身体を両手で受け止め、

「ぐぁ……な…………ッ」
「悪いな小僧。貴様にはもう一度、空を舞って貰うぞ」
「それってどういう――」
「うぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!!!!」

そしてまるで砲丸を投げるように『衛宮士郎の身体』をヴァッシュ・ザ・スタンピードに向けて投擲する。

「ヴァッシュ、受け止めねばその小僧は死ぬぞ!?」
「なっ――!?」

『衝撃に耐え切れず飛ばされる』と『力を込めて投げられる』では明らかに領域が違う。
後者であるならばそれはまさしく人間凶器に等しい。
しかも人を弾頭として使用するのは二回目である。経験があるとないとで、その差は大きい。

「くそっ!」

ヴァッシュは衛宮士郎を受け止めるべく、両手を大きく広げた。
そうだ。そして、その体勢からでは――銃は抜けまい。

両脚に力を込め、一気に奴に向けて体勢を低く落し、矢のように疾走する。
当然、身体は飛翔する衛宮士郎の陰に隠して、だ。
これならばヴァッシュの射撃の標的になることもない。
加えて障害物のほとんど存在しない屋外での戦闘である。跳弾を気にする必要もない。

「ヴァッシュ・ザ・スタンピード、覚悟!!」

間合いを一瞬で詰める。
狙うは小僧とヴァッシュが激突する時だ。
最も防御が甘くなり、顔を苦痛で歪ませたと同時にその首を掻っ切――


「――我の獲物を武器として使う、か。気に入らんな」


瞬間、飛び込んでくる黒い影。

「なんだとっ!?」
「老いぼれ――図に乗るでないぞ? 雑種の未熟が原因とはいえ、我を利用したのは見過ごせんわ」

螺旋状の刀身の剣が突き出される。
咄嗟に両腕を交差させ、その攻撃を防御する。が、さすがに肉体だけの防御では限界があったのか。
左腕の肉が裂け、受け切れなかった一撃が胴体をも切り裂く。

「ぐぅぅぅううううう!!!」
「ギルガメッシュ!!」

現れたのは、この場において自らと同クラスの実力を持つ三人目の男。
万物に名を残すありとあらゆる英雄の頂点に立つ誇り高き王――英雄王ギルガメッシュ。

そして奴は誰よりも威厳に満ちた声で、態度で、風格で、ゆっくりと辺りを見回しながら呟いた。


「……足りんわ。贋作者(フェイカー)程度では我の相手には露ぞ値せん。さぁ立て、三人纏めて相手になってやる」
「クククククク――黒猫の格好で何を言うか。良かろう、お望み通り我が流派東方不敗の真髄、その身で味わうがいい!!」
「ギル……ガメッシュ!! クソッ!!!」
「あのーギルガメッシュさん? いや、僕はあなたと戦う気なんてこれっぽちも……」


が、まだまだ傷は浅い。今は燃え上がるようなこの闘いに身を落とすのみ。


 □

《Section-12:ラッド・ルッソ――狂人 ②》

「……っとに馬鹿だ、あたし。ソレ無理。断る」
「………………はぁっ!?」

――おい、今なんつった?

「あぁっ? なんだ俺の耳がおかしくなったのかぁあ!? わりぃな、ナオちゃん。もう一回言ってくんねぇかな?」
「だから言ってんでしょ! アンタを通すつもりはない。あたしはここでアンタと戦うって!」

闇を切り裂くようなでかい声。コイツ、言い切りやがった。
ナオちゃんは指を覆っていた爪からシュルシュルと糸のような物を出して俺との戦いに備える。

キッと目尻を引き締め、俺を見据える視線は戦士のソレ――っておいおいおいおい!?
それって完全に"俺"と殺り合うっつーこと? 
はぁ? 意味分かんねーよ!? なんで、そういう答えになる訳よ!? ありえねぇだろ!!

「お前よ、死ぬぜ」
「……承知の上だっての」

妙に強い瞳で俺を睨みつける。赤い髪、碧色の瞳。なんだか妙にヒラヒラした服。
俺の中でフワフワと風船みてーに浮ついてた気持ちがパチン、と弾けた。
声が明らかに冷たくて低いモノへと変わったのが自分でも分かる。
……ああ、俺ムカついてんだ。

いや、それ以上に解せねぇ。
コイツの行動に意味がまるで感じられねぇっつーの。
おいおい、ギルちゃんは強いんだぜ? 俺だってこっちが逆にぶち殺されるの重々覚悟しての行動な訳。
ここは俺をアイツの所に行かせんのが筋ってもんだろーがよぉおお!!
戦力的なことを見ても、自分のことを考えてもそれが最上の選択だっつーの!!
ここで道を譲らねーってのは、ツマンねぇ個人のプライドか?
それともアレか? こいつらそういう関係だってぇのか?

「あーーーーめんどくせぇけど、一応聞いてやる。理由は?」
「あたしは……アイツに、金ぴかに依存したくない」
「意味が分かんねぇ。もっと分かりやすく喋れ」
「……あたしはアイツの従者でもないし部下でも家臣でもない。友、って言うには全然力も足りないし、ましてや恋愛関係でもない」

ふぅん、違うのかい。
まぁギルちゃんが好きになる女のタイプってのも想像つかねーけどな。
案外ゴリラみたいに無骨で、馬鹿みたいに飯を食う恥じらいの欠片も無いようなのが好きだったりしてなぁ。

「じゃあ何な訳よ。"仲間"、みてーな陳腐な答えだったら笑ってやる。こーんな風になぁ!! ヒャッハハハハハッハハハハ!!」

大笑い。が、ナオちゃんは俺の態度がお気に召さなかったのか、それとも何か別なことを思ったのか。
すげー微妙な目で気の毒そうな雰囲気を全身に滲ませながら俺を見た。
あん? 何か俺の顔にゴミでも付いてるってーのか? 生憎、血ならたっぷり付いてるんだけどよぉ。

「別に贅沢なんて言わない。ただ平等で対等でさえあればそれでいい……質問は終わった?」
「対等、ね」

平等で対等。なんだ……相棒? パートナー? ま、どっちでもいいが。
要するに、アレか。俺にとってのルーアからラブな要素を抜いた感じか?
まぁ小さいなりに色々考えているらしい。

さて、これでお話は終了。いざ戦闘へ、ってか?
さっきまで仔犬みてーにブルブル震えてた肩も、今にも崩れ落ちそうだった膝もシャンとなって芯が通ってる。
両脚でしっかりと地面を踏み締めて、真っ直ぐに俺を見据えるその眼。
あぁ、悪くねぇな。
無抵抗な相手を甚振るのも悪くねーが、最後まで抵抗してくれる奴を屠るってのも同じくらい味わい深ぇーよ。
でもよ、

「萎えた」
「は……はぁっ!?」

ギルちゃんっつー最上の馳走を眼の前にして、食べる飯じゃねぇ。
ちらり、とナオちゃんの背後、未だ口煩く罵り合いながら戦っている二人……アレ、何かジジイとホウキ頭も交じってら。
……あーちと遠いが十分届くな。

「おい、エミヤ聞こえてんだろ!? チェンジだ、チェンジ!! お前がナオちゃんの相手しろ!!」
「……っ……な、馬鹿かラッド!! こっちはそれどころじゃ――」
「どうした、あの時のように我を塵に還すのではなかったか?」
「ぐ――!!」
「止めるんだギルガメッシュ! 僕は君を撃ちたくない!」
「貴様に我を止める気があるならば好きにするがよい。それこそが貴様の決意なのだろう、ヴァッシュ・ザ・スタンピード?」
「ククク……四者入り交じっての乱戦か。悪くない、悪くないぞぉぉおおおお!!!」

面子だけ見ても、明らかにエミヤは押されていた。違う、浮いてた。つーか、悲惨過ぎだろあの状況。
そもそもあの中で奴を助けてくれるのはホウキ頭だけだし、残りの二人もメチャ強ぇからなぁ。
ジジイも歳を感じさせねぇ動きだし、ギルちゃんも猫の格好してる癖につえーのなんのって!
いや、マジでもう少し放っておけばエミヤ死ぬなこりゃ。

「ちょ……!! アンタ何考えてんのよ!?」
「だってよぉ、俺にナオちゃん殺す気がなくなっちまったんだから仕方ねーだろうが。でもよぉ、人間の数は限られてんだわ。
 でも俺は殺したい。でもそっちは二人もギルちゃんの所に行かせる訳にはいかない。
 じゃあ、相手を交換すんのが一番じゃねぇか。平和的解決方法っつーの? 俺には似合わねぇ言葉だけどよ!! ヒャハハハッ!!
 ん……そうだ、待てよ?」

考えてみれば、まだまだ殺したい奴はタップリいる訳で……
っと、この絶好のタイミングで俺の頭にピコーンと最高に素晴らしいアイディアが浮かんだ。
あれ、俺やっぱ天才じゃね?
これならナオちゃんの希望も通るし、俺も満足出来るし、何よりスリリングだし。良いこと尽くめじゃん?

「おい、他の二人!! 聞いてんのか、お前らだよ!! ジジィ、ホウキ頭!!!
 っつ――あぁ、もうめんどくせぇ!! テメェら全員、耳かっぽじって聞きやがれ!!」

その場にいた人間――イチ、ニィ、サン、シー、ゴー……あん? なんか一人少なくねぇ?
そう言えば、あの重そうな服を着てた長髪の女がいねぇ。逃げたか?
まぁ、いねぇ奴のことはどうだっていいか。

とにかく五人の人間の視線が一気に俺へと集まる。
見つめる十の瞳。その顔色は様々でどいつもコイツも大概、不審そうな顔付きだ。つっても、いいねぇ、痺れるねぇ!! 
俺は俺のために俺が俺であるために殺しをやるけどよぉ、自己顕示欲のために殺しをやる奴の気持ちも少しは分かるってもんだぜ。
ま、俺はあくまで殺したいから殺すんだけどよ。今回だってそうだ。


「おいおい、テメェらちんたらサシで殺し合いなんてしてんじゃねぇよ!!
 コレは祭なんだぜ!? パーティさ、カーニバルだっつーの!?
 こんなんじゃこの面子が勢揃いした意味がねぇぇぇぇえええだろうがよぉおっ!! っつーわけで俺は提案する。
 今からこの六人で最後の一人になるまで潰し合うっつーのはどうだ!!?? 少なくとも俺は潰し合うぜ!? 
 エミヤだってひじょーーーーーに心苦しいが、俺はぶち殺す!!
 お仲間同士が残ったら好きにしな!! だってそんときゃ、俺は既に死んでんだからよぉおっ!! ヒャッハハハハハハッハハ!!
 でも俺にとっちゃあ、敵も味方も関係ねぇ!! つまり、これは!!」


大きく息を吸い込んで一言。
お、エミヤすげぇ眼で俺を見てやがる。
いやいや悪いね。
でもお前ってあれじゃん。他人の命を救うことに関しての狂人だろ? 
他人の命を奪うことに関しての狂人である俺の気持ちだって結構分かるんじゃね? 
だってよ……

「えーと、あれだ。何だっけ――ああああああ、言葉が出てこねぇ!! ナオちゃん、何だか分かる?」
「へ…………あ、あたしに聞くわけ? あ……もしかして、アレ、かな。本のタイトル――」

とりあえず一番近い所にいたナオちゃんに聞いてみた。
しどろもどろになりながら、ボソッと小さな声でナオちゃんは答えた。
…………ほう、言葉としての意味は通じるな。アリじゃねぇの?

エミヤさぁ、俺が人間殺そうとしたら止めんだろ?
でも、逆によ……

「ほうほう…………ああ、よく分かんねぇけど多分ソレだ!! オッケーそれでいこう!!」

お前が人間救ったら、その分だけ俺は殺したくなんだよ。
だから――な。


「っつーわけで、宣言するぜぇえええ!! さあさあさあさあさあ!! やろうぜ、"バトルロワイアル"!!!」


こっからが本番、って訳。分かる?



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