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  • やろうぜ、バトルロワイアル!(前編)

やろうぜ、バトルロワイアル!(前編)

最終更新:2023年05月10日 21:59

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やろうぜ、バトルロワイアル!(前編)  ◆tu4bghlMIw



愛は祈りだ。そして誰もが祈る。
誰もが好きな人たちに幸せになってほしいし、それぞれの願いが叶って欲しいと思っている。
暖かい場所で、あるいは涼しい場所でとにかく心地良い場所で、好きな人たちに囲まれて幸せに暮らして欲しいと思っている。

だけど、それは無理なのだ。
この殺し合いというシステムは非常に残酷なものだ。
こんな殺戮の舞台に駒として組み込まれてしまった時点で、自らに容易く安息が訪れる訳がないことなど誰もが悟っている。

空から降り注ぐのは最大の幸福などではなく、最強最悪の厄災。
どれだけ足掻こうとも、抗うことの出来ない宿命の下、誰もが命を振り絞る。
そして、クルクルと回りヒラヒラと堕ちていく。
そう、まるで円舞曲――ワルツ――を踊っているかのように。


少女がいる。
彼女達はそれぞれに強い想いを胸に秘め、今それぞれが武器を取った。

――想い人のために修羅となった少女は薙刀を、
――いつの間にか馬鹿騒ぎに飲み込まれていた少女は爪を、
――自らの恐怖を虚勢で塗り潰した不死身の少女は聖剣を、
――誰よりも少年の無事を心から祈る真白なる少女は魔法の力を、

それでも、その眼前に広がる苦難と悪意と騒乱の道を一歩一歩、着実な歩みで進んでいく。


少女が纏うは清らなる聖衣。
それが見据えた果てへの鍵となるのか、血で汚れるのかは分からない。
だが、たとえ何度身体が軋もうとも少女達は闘うことを止めないだろう。
最後の鐘に召される、その一瞬まで。

そうだ。だからこそ、他のどんな存在よりも――闘う少女は美しい。


 □

《Section-1:ドモン・カッシュ――格闘王 ①》

「う……」

まどろみが、サーッと消えていく。
夢、夢は見なかった。手足と指先に残るのは不快な疲労。
車という乗り物は休むのには適していない。
やはり動いている物体に揺られながらでは完全な休息は望めないのだ。

ガタゴトと揺れる車内。隣では消防車を運転するジンが口笛を吹いていた。
一眠り、したのだろうか。今は何時になるのだろう?
闇から覚めた先はまた闇で。
気だるさと頭に残る鈍い痛みが俺を襲った。

「あれ、ドモン。随分と早いお目覚めだね」
「……ああ」

ジンが俺を小さく一瞥し、再度前方へと向き直る。
そうだ……余所見は良くない。いつどんな人間が飛び出してくるのか分からないのだから。

「現在地は、E-3の高速道路上かな」
「E-3? おいジン、豪華客船は通り過ぎたのか……?」
「いいや。何て言うのか……『あるべき場所にはなかった』って感じ?」

ジンが眼を瞑り、小さく肩を竦めた。
俺が不思議に思っていると、おもむろにジンはこちらを……いや、助手席側の窓の向こうを指差した。
言われるがまま、消防車の外を覗き込む。

「船が……っ!?」
「移動してたんだろうね。それより問題はもう"豪華客船"と言うよりも"難破船"とでも言ったほうが適当って所かな」

視界に広がっていたのは思わず自分の眼を疑いたくなるような光景だった。
全長数百メートルはあるかと思えるような巨大な船舶から黙々と立ち上る黒煙。
炎の勢いは若干落ちつつあるが、客船で何が行われたかを推理するのは難くない。
さすがに、この場所からは周囲の暗さも相まって甲板がどうなっているかは見ることは出来ない。
それでも直感的に俺は悟った――これは、惨劇の跡だ、と。

「誰か、生存者は!?」
「いーや、少なくとも俺は見てないね。でも、火の勢いから察するに生きてた人間がいたとしてもとっくに逃げ出してるでしょ」
「そう……か」
「いやいや、でも凄いね。実行犯は悪魔か死神か。神の造った箱舟をアソコまでズタボロに破壊するなんて並大抵の神経じゃ出来っこない。
 それに引き換え、こっちは――」
「こっちは?」

ジンの相変わらずの口調にも慣れてきた。
コイツは物事を馬鹿にしている訳でも茶化している訳でもなく、これが自然状態なのだ。
誰にも気取られず、常に流れる柳の如く。
それは流派東方不敗の境地である『明鏡止水』の極意と共通する部分がある。

「『平和』さ」
「……確かにな。この状況には似つかわしくない言葉だが」
「まぁね。そもそも千時が万事、順調過ぎるって事。星と月が綺麗な夜だけど、明るいだけじゃ大切な何かを落っことしちまう。
 闇があるから光があるってもんさ。それにさ、ドモン。永遠の平和なんてあると思うかい?」

永遠の平和、か。
ジンの問い掛けは常に詩的な要素を多分に含むが、その核は非常に分かり易い。
『永遠』なんてものが存在しないことは俺にだって十分に分かっている。
心の底から通じ合えた筈の師匠ですら……再び、心を暗黒へと堕としその手を赤い血で染めているのだから。

「永遠は、ないな。少なくとも、ここにはない」
「オーケイ、正常な頭だ。ヒトの歴史ってのは、終わらないワルツのようなものだからね。
 戦争・平和・革命の三拍子がいつまでも続く…………つまりは、さ」

ジンはハリネズミのように尖った髪の毛を数回掻くと天を見上げた。
俺もつられて空を見る。
星、月。
公害に汚染された地の下では決して見ることの出来ない銀河の海がそこにはあった。

「今この瞬間だって、同じ空を見詰めながら戦っている人間がいるかもしれない。
 それは静粛な決闘かもしれない。意地と意地のぶつかり合いかもしれない。愛や友情を巡る死闘かもしれない。
 眼を覆いたくなるような虐殺ショーかもしれない。もしくは――」

一拍の間。全開にされた窓に片肘を乗せながら、ジンはクックッと笑った。


「腹の底から大笑い出来るような、馬鹿騒ぎ(バッカーノ)かもしれない」


 □

《Section-2:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン――聖杯 ①》

私は、走っていた。
いや正確には『滑っている』と表現するのが一番適切なのだろう。
他世界の魔法技術・デバイス――その一つであるマッハキャリバーの持つ高速移動能力だ。

まるで空を飛んでいるようなスピードで、流星が流れ弾丸が飛び交うような速度で、私は一直線に目的地へと向かう。
簡単に纏めよう。私に与えられた任務は『ギルガメッシュに私達への協力を要請すること』だった。
その責任は重大だ。確かに気に食わないが奴の力が参加者の中でも屈指のものであることは間違いない。
つまり奴が螺旋王の意思のまま殺戮を行うか、それともアケチ達の側に付いてくれるかで大幅に戦況が変わってくる。

「シロウッ……待っててね。すぐ私がそっちに行くからね……ッ!」

だけど、頭に浮かぶのは誰よりも愛おしい存在であるシロウのことばかりだった。
死んだはずの彼が生きていた……それだけで私の胸は高鳴り、頬が緩みそうになる。
でも、駄目だ。今は気持ちを引き締めなければならない。油断は絶対にしてはならない。
状況は一刻を争い、寸分の妥協さえ許されない。

『マスター? 大丈夫ですか?』
「……うん分かってるよ、マッハキャリバー。私達の役目は大切だもの、出来るだけ早くギルガメッシュに……」
『その通りです。あと数分で目的の場所に到着します』
「ん、分かった」

魔力を持つ者にその力を貸す道具であった筈のデバイスの力も若干ながら使えるようになってきた。
特に防御系統の魔法は自分でも中々筋が良かったと自負している。
ただ、攻撃系統の魔法は難しい。
全く違う術式の魔法へと自身の魔力を変換する作業――それは一朝一夕で成せるほど容易い作業ではなかった。
習得出来たのは一つだけ。単純で、無骨で、渾身の魔力を放出する――それだけだ。が、故に強力な魔法でもある。

だけど、私は……いや、私"が"やらなければならないのだ。
アケチのレーダーの情報から考えるに、シロウがいる映画館周辺の状況は筆舌し難い状況だ。
なにしろ周囲にいる人間はほとんどの連中が危険すぎる。
病院や卸売市場などの建物から他の参加者が集まって来る可能性だってある。
一分一秒が大切だ。私の行動がシロウの生死を分けると言っても過言ではないのだから。

夜の闇にようやく眼が慣れてきた頃。
耳を澄ませば進行方向から戦いの音が聞こえてきそうな気さえする。
丁度残りの距離が半分程度の所までやって来た。
あと……もう少し!


 □


《Section-3:結城奈緒――蜘蛛 ①》

そりゃあ、しっちゃかめっちゃかだ。
ムチャクチャだ。やること、為すこと、非常識にも程がある。意味が分からない。
どいつもコイツもアイツもソイツも、誰も彼もどこかが変だ。おかしい。っていうかぶっちゃけ狂ってる。

この場所に集まったのは七人の男女。
割合は男五人に女二人。まぁその辺は割とどうでもいいことなんだけど。
大切なのは、この中にあたしを除いて一人もまともな人間がいない、ということだ。
そりゃあ気苦労も湧くってものである。

順を追って説明したい所だが、もちろんそんな暇はない。
七人もの人間が入り乱れての多人数戦だ。各人の関係は時間と共に変化し、対立構造もバリバリと変わる。


「ヒャハハハハハッハッハハ!!!! お望みどおぉり、ぶっ殺してやるよぉっ変態野郎っ!!」


ラッド、と呼ばれていた白い服を紅く染めた金髪の男が右手をワキワキさせながらギルガメッシュの方へと高く跳躍した。
妙に暑苦しい笑顔が非常にうざい、おっさん……とお兄さんの境目にいるような見た目をしている。
ちなみにあたしはおっさんに一票。

ラッドが拳を振りかぶる。クッと弦を引き絞った和弓を撃つ時の右手の動きに似ている。
だけどそのフォームは完全にボクシング。拳の先端を見つめていたら、そのまま吸い込まれてしまいそう。
いやボクサーはジャンプしないけど。
全身がバネのようにしなり、打ち込まれる一撃。
軽く数メートルの距離を一瞬で詰めながら開幕の拳をギルガメッシュへと見舞う。

「――フン」

あたしの右隣数メートルの地点に立っていたギルガメッシュが小さく笑った。
前のような鎧だったら様になったかもしれない。が、今はただの変態だ。
ぶっちゃけ、冷酷な笑みを浮かべる筋肉質な黒猫、という光景はシュール過ぎる。

全身を黒いボディスーツで覆い、ご丁寧に頭を覆うマスク(ネコミミ付き)まで装備したその姿は正直ギャグである。
最後に会った時の豪華絢爛金ぴかっぷりとは程遠い。

「ギャアギャアと五月蝿い犬には――」

ギルガメッシュは手にした螺旋状の剣、ではなく己の身体で勝負に出た。
小さく左足を一歩踏み込む、砂埃が舞う。
高速で突っ込んで来るラッドを鷹のような鋭い眼光、紅の瞳で見据え、

「躾が、必要なようだな」

腰を据えた強烈な右回し蹴りを放った。
ラッドは完全にギルガメッシュをぶん殴る体勢に入っており、どう考えても回避出来る訳がない――あたしは瞬間、そう思った。
が、空中でラッドは左足を持ち上げガッチリとギルガメッシュの蹴りを防御する。
私は思わず目を見開いた。あの無茶苦茶な体勢、しかも空中でこの動き。どこのスーパーマンだよ、コイツは。

「甘い甘い甘過ぎるぜ、ギルちゃんよぉおおおおおお!!」
「貴様……我を『ちゃん』付けで呼ぶか!!」

ラッドはそのまま勢いを活かし、再度右ストレートを見舞う。
それをギルガメッシュは律儀に左腕でガード。コイツの怒るポイントがあたしには良く分からない。「変態野郎」はいいのか?
流石に業を煮やしたのか右手に握った螺旋状の剣を突撃槍のように構える。

「ラッド、危ないっ!」
「次は貴様か――衛宮士郎」

ギルガメッシュの剣がラッドに突き刺さりそうになった寸前、疾風のごとく割り込んで来たのが衛宮士郎だ。
そう、己の危険も全く顧みずに。
話自体はギルガメッシュから聞いていたが、全くその通りである。
見た目は普通の十代後半程度の少年だ。が、コイツは自分の命を何だと思っているのだろう。
剣の間に突っ込んでくるなんて正気の沙汰ではない。

コイツは正常に狂っている。己の命に対する絶望的なまでの執着心の無さ。
生きとし生きる者全てが持ち合わす生への渇望が、衛宮士郎にはこれっぽちも感じられない。

両手に突如出現した双剣(エレメントのようなものだろうか)でギルガメッシュとラッドの間に滑り込み、攻撃を防御。
そしてラッドの身体を突き飛ばし、自らとギルガメッシュとの一対一に持ち込む。

「ギルガメッシュ!! お前はこんな所でも……!!」
「何を吼えているのだ、雑種よ。我は降り掛かった火の粉を払っただけだぞ?」
「それがエゴだと言っている!! どうしてその力を他の人を守るために使わないんだ!?」
「痴れた事……奴のような汚らわしい駄犬に生きる価値などなかろう?」
「――ッ!!!」

熱血君と化した衛宮士郎は顔面を凄まじい怒気で塗りつぶし、ギルガメッシュに迫る。
一方でギルガメッシュの表情は余裕に満ちていた。
そもそも衛宮士郎など視界に入っていないような――いや、奴の主張に関心がないのか。

「ちょっと、金ぴ――」

そのとき、あたしは気付いた。
そういえば『ギルガメッシュは今はもう金ぴかではない』ということに。
考えてみるとアイツは既に黄金色の鎧を着ていないわけだし、髪の毛も出ていないので色で言うならば【クロンボ】辺りが妥当である。
……なんかソレだと別の人種の人っぽいけど。

「――蜘蛛女、後ろを守っておけ」
「……は?」
「奴だ」

ギルガメッシュが後ろを振り向きもせず、そう呟いた。
あたしは気配を張り巡らせる――確かに、いる。
夜の闇に溶けるように、ゆっくりと地を這う蟲のように、衛宮士郎に殺し合いへ割り込まれてご立腹のアイツだ。
とはいえ後ろを守っておけ、か。悪い気はしない。

「分かった。でも、先にその頭の奴、外しておいて」
「頭? ……まさか貴様までこの衣装に込められた匠の技術と機能美が分からない訳ではあるまいな?」
「そういう意味で言ってるんじゃないっつーの! 単純に呼びにくいだけ!」
「…………よく分からんが、これで満足か?」

微妙なリアクションを残しつつ、ギルガメッシュが不満げに頭を覆っていたネコミミ付きのマスクを外した。
そして再び露になる鮮やかな金髪。
とりあえず、これで変わらず「金ぴか」と呼んでも文句はないだろう。

そのとき、"奴"が背後からスーッと近寄ってきた。
あたしはギルガメッシュの背中を、背後を守るように数歩前へ。
そしてエレメントを発生させ、大きく息を吸い込んだ。

「残念だけど……今、あっちは取り込み中。用ならあたしが聞くけど?」
「ああぁ? 何、お前もしかしてギルちゃんの仲間なの? それなら殺すぜ? さっくり殺すぜ?
 なにしろ俺は今アイツを殺したくて殺したくて殺したくて殺したくて殺したくて堪らなくてよぉおおおお!!」

蠢く影――ラッドは瞳をギラギラと輝かせながら吼えた。
ビリビリと揺れる空気。そして奴が纏うのは紛れもない本物の……殺人鬼の臭い。

正直、単純な力で言えばコイツが全身から血を流して左腕をプラプラさせている現状から考えるにあたしの方が若干、上……だろう。多分。
幸いなことにあたしは未だほとんど無傷に近いことだし。
支給品は『不死身の柊かがみ』に奪われたもののエレメントがある以上、戦力に問題はない。
だが、

「う…………」

気付けば、後退りしていた。
身体は、男の空気に呑み込まれていく。
つまり血を好み、殺人を生業とするものの狂気。
単純な戦闘力の差ではなく渡ってきた修羅場の数が……圧倒的に違う。

「あれあれあれぇ? 何だっけ、お前。ナオちゃんだったか? 何々もしかしてビビッてんのか? 逃げ出したいかぁ? 命乞いでもするかぁ?
 おいおい、手間取らせんじゃねーよ。俺はギルちゃんをぶち殺したい訳? 分かる? アンダースタン? 
 だけどよぉおおお、奈緒ちゃんが今にそんな泣き出しそうな顔してたらよぉおおおお!!」

ラッドは不機嫌そうだった表情を一気に喜色の色に染めた。
あたしは自分の胸が凄まじい速度で鼓動を打っているのを意識する。

……ヤバ、過ぎる。
ラッドの言葉がガンガン心臓に直撃する。
ねちっこくて妙に迫力があって、なんて嫌な声をしているんだろう。
柊かがみにしても、アイツは見た目は普通の女子高生だった。
アルベルトも実力こそはトップクラスだが、ある種紳士的な態度を最後まで取り続けた。
でもこいつは、

「ナオちゃんを今すぐ殺したくなるじゃねぇか!! 駄目だっつーの!! 俺にはギルちゃんがいるんだからよぉっ!!
 アイツは俺にズタズタに切り裂かれて内蔵ぶちまけて顔ボコボコにされて悲鳴上げて血ぃ吹き出して殺されなきゃなんねーの!!
 こんな所でグズグズしてらんねーのよ。珍しく殺る気満々のエミヤもいる事だしよぉおおお!!!
 だから――」

紛れもない、純粋で、全くの乱れもない、根っからの狂人だ。
死臭が、する。
プンプンと漆黒の闇を抜け、あたしの鼻腔へと吸い込まれる。

ラッドが一歩前へと足を踏み出した。
あたしとの距離は約三メートルと言った所だ。奴ならば……一足で埋められる空白の如き間合い。


「後でゆーっくりじーっくり殺してやっからよ!! 今はそこ、どいてくんね?」


コキリ、と首を左右に軽く動かしながら、奴は事も無げにそう言い放つ。
あたしは後ろを小さく、一瞥した。
そこにあったのはアイツの背中だった。
もう黄金でも金ぴかでもないけれど、大きくて頼りがいのある筋肉質な身体。

金ぴかは今も衛宮士郎と互いに罵り合いながら鍔迫り合いに講じている。
アイツの背中を守る鎧はもう、ない。
粉々にバラバラに砕け散ったのだから。あの時に。


それは甘美な誘いだ。
さっきまでの争いを見るに金ぴかがこの男に負けることはまずありえないだろう。
今のアイツはアルベルト達と戦った時とは少しだけ違う。
油断など、ほとんどない。全力で戦うことが出来る。

逆にあたしの状況は芳しくない。
ラッドと戦ったら確実に負ける――全身の細胞でヒシヒシとその予想を受け止めている。
そして、無残に殺されてしまうかもしれない。

じゃあ、コイツの言う通り道を譲ってやればいいのだろうか。
そうすれば、今は殺さないと言っていることだし。
どうも骨の髄まで狂っている男ながら、コイツはある種の自分流の哲学に沿って行動しているような気がする。
完全なる妄言……とまでは言い切れない。

時間はない。さて、どうする?


「あたしは――――」


 □


《Section-4:ヴァッシュ・ザ・スタンピード――射撃王 ①》

「ほな、そろそろうちらも参りましょか」
「シズルさん……君は……どうするつもりなんだい?」

彼女が動いた。
視界の先では既に四人の人間がそれぞれ戦いを繰り広げている。
残ったカードは三枚。
つまり、僕ヴァッシュ・ザ・スタンピードと藤乃静留。あともう一人。

「聞かんくても分かっとるんやろ? 残っとるのはうちとヴァッシュはん。そして――」
「……わしだけ、という事だな」

前方から余裕と威厳に満ち溢れた微笑を携え、彼が歩いてくる。
東方不敗マスターアジア――間違いなく、この乱戦における最重要人物の一人だ。
彼の思考は極めて危険なものと言えるだろう。
シズルさんは……色々事情はあるんだろうけど、一応積極的に殺しを行うつもりはないらしい。あくまで、消極的な立場と言うべきか。
だけど、東方不敗に関しては無理だ。
彼は圧倒的な実力と卓越した精神力を持ち、なおかつ「優勝」を目的として殺し合いに乗っている。
しかも手段は一切問わず、だ。

「いくで、ヴァッシュはん」
「どうしても……やるって言うのかい?」
「……残念ながらなぁ。もっとも、うちらが戦おうとせんでもあちらさんが許してくれるとは思えんけどなぁ」
「その女の言う通りだ、ヴァッシュ・ザ・スタンピードよ。理想を掲げるならばそれに見合った力とそして行動で示す。
 貴様はそのようにして生きて来たのだろう?」

東方不敗が僕をまっすぐ睨みつけてきた。
まるで僕の前に立つシズルさんなど眼中に入っていないかのように。
だが、確かに彼の言う通りだ。
守れなかった人間だって何人もいる。僕自身もレガートの命をこの手で奪ってしまった。
だけど、僕は決めたんだ。もう絶対に誰も殺させやしない。一人残らず僕が救ってみせるって。

「ああ、その通りさ。二言はない。僕の眼が黒い内は誰一人として死ぬ事はない。東方不敗……あなたも含めてね」
「ククククク……なるほど、それだけの実力があればその台詞にも多少は説得力が生まれるか。だが――」

東方不敗が腰布を取り出し、体勢を低く落とした。

「そのような気概でこの東方不敗マスターアジアが止められるかどうか、試してみるがいいっ!!」

一陣の風が舞い降りた。
最初に動いたのは東方不敗だった。
彼はまっすぐ僕に向かって突進、構えから判断するに一気に距離を詰めての肉弾戦に持ち込むつもりらしい。
ガンマンを相手にする場合、間合いを離すのは命取り。妥当な選択だ。
とはいえ、僕もそう易々と近づくのを許す訳にはいかない。
相手は『拳法』という技能を極限まで鍛え上げた超人だ。一瞬の判断ミスが死を招くことになる。

「――っ!」

僕は小さくステップを踏みながら、東方不敗との距離を調整する。
一方的な突撃の了承は彼のような達人を相手取る場合、完全な悪手だ。砂埃を巻き上げながら、荒野を駆ける。

本来なら威嚇射撃を挟みながら、射線軸を出来るだけこちらの有利な方向に持って行きたい状況だ。
しかしそれは不可能な対応と言えるだろう。もちろん、これには非常に単純明快な解答が用意されている。

困ったことに、持ち合わせの弾薬がほとんどないのだ。
現在、ナイブスの銃に入ってる弾丸がたったの五発。他の銃器、弾薬共に皆無。これが全てである。
ガンマンにとって、弾薬とは命そのものであり、ソレが枯渇することは即ち死に繋がる。
故に東方不敗レベルの相手と戦っているにも関わらず、迂闊に発砲することが出来ない。
確実に命中させられる状況でなければ……

「せいぃぃいいやぁあああああっ!!!」
「……やらせまへんで」

僕達の均衡を崩したのは、シズルさんだった。
足に履いたローラースケートを用いて高速移動をしながら薙刀を振るう。
旋風のような刃がシズルさんを中心に展開。攻防一体の一撃だ。
彼女の武器は蛇腹状に伸び、そして広範囲を一度に攻撃出来る特別な代物だ。
極端に間合いの長い相手でなければ、どのような場合であっても相当有利に戦闘を進めることが出来る――だが、

「甘いわぁあっ!!」
「――ッ、そらぁ一筋縄でいかんかぁ……っ!」

彼は手にした布をまるで鞭、いやシズルさんの薙刀と同じように振るい、彼女の攻撃を全て叩き落した。
そしてすぐさま跳躍、ちょうど数メートル程度の距離の地点にいた僕達と肉薄。
軽い踏み込みで軸足を決定し、中国拳法のような動きでシズルさんに打撃を見舞う。

「くっ……!」

彼女は薙刀の柄の部分で東方不敗の攻撃を弾く。続けざまに放たれる連撃も何とか捌き切れているようだ。
なるほど。そもそも長柄武器である薙刀は本来、攻撃よりも防御性能が高い武器だ。
極端に接近された場合、剣や刀よりも不利になる点が多いが、彼女にはそれを補って余りある機動力と可変の刃がある。
しかし、東方不敗はある種別格とも言える存在なのだ。
武道家の天敵とも言える刃物、オールレンジ攻撃、点ではなく線で打ち出される嵐のような斬撃。
ソレら全てが彼には明確な効果を持たない。

「シズルさんっ!!」

故に、撃たない訳にはいかなかった。
さすがに争う二人に突貫し、肉弾戦を仕掛ける訳にはいかない。
狙いは東方不敗の左脇腹。相当にハイレベルな能力を誇っている彼とは言え、攻撃の軸は身体の右側にある。
彼が僕の銃撃に警戒をしていない訳がないだろう。シズルさんを完全に攻め切れていないのも恐らくそれが理由だろう。
僕は未だ銃を抜いてはいない。そしてその行為こそが彼に対する牽制となる訳だ。
回避される可能性は非常に高い。が、どちらにしろ最も回避運動に負担の掛かる場所――そこを狙い撃つ。

ホルスターから銃を抜く。構える。そして発射。
耳慣れた火薬の爆発する音も、手を伝う振動もいつも通りだ。

「――――ッ!!」

残り、四発。
狙いは寸分違わず東方不敗の死角へ。
だが彼が持っていた腰布によってその銃撃は見事なまでに弾かれた。
しかし、結果として背後を取っていた僕の攻撃に対処するため彼の『姿勢』が微妙にズレた。

姿勢は武術や射撃、ありとあらゆる戦闘術において最も大切な要素の一つだ。
東方不敗の卓越した格闘術や身のこなしにしても、根底にあるのは数々の修練によって培われた何千何万という基礎の反復だ。
理想的な歩法や連撃を行うにあたって、自らの状態を最善に保つことは欠かせない。
が、その一瞬の隙がこの領域では結末を分ける。

薙刀の丁度真ん中辺りを軸にシズルさんが円を描くように手にした武器を回転させた。
そして柄の部分による打突撃を東方不敗に見舞う。

槍術と薙刀術における最大の違いはここにある。
あくまで槍を使った戦闘の基本は『突き』だ。
槍の英霊ランサーなどがその典型だろう。彼は『槍』という武器に拘りパワーとスピードを兼ね揃えた戦士だった。
とはいえ、柄の部分を使う技術も勿論存在するが、それはあくまで従。主は刃先の部分にある。
一方で薙刀は槍術とは違い、石突きによる攻撃や払い、薙ぎと言った刀や鈍器としての要素が多分に含まれている。
振るう者の周囲にいくつもの円が描かれる――これこそが薙刀術の真骨頂なのだ。

「ぐぅぅうううううっ!!」

が、浅い。東方不敗は抜群の身体能力を発揮して、シズルさんの打突を回避。
僕達の追撃を回避するためか、雑技団のように数回バク転を繰り返し一気に距離を取った。
この時点での構図は僕、東方不敗、シズルさんの三人がそれぞれ数メートル程度の距離を取り、正三角形を描くような構図となっていた。

間合いは均等。特に攻撃を受けて状況が悪化した人間も居ない。
一度仕切り直しかな、僕がそう思った時、

「……そろそろ頃合やねぇ」

ニッ、とシズルさんが口元を歪ませた。
彼女は懐から『とある物』を取り出した。しかも、三つ。
え? ちょ、それって……もしかして……!?

「……ヴァッシュはん」
「へ? はい、なんでしょうシズルさ……」
「――コレはお任せしましたえ」

シズルさんは流れるような動作でそれらを全力でぶん投げた。
『棒付手榴弾』を東方不敗目掛けて投下する。
瞬間、僕は悟った。「ああ、そういうことか」って具合にね。

そもそも生半可な投擲武装など彼には通用しない。
特に爆弾のような使用と爆発の間にラグが生じる武装などもっての他だ。
彼ならば手榴弾を手にした腰布で撃ち落とすこと、退避すること、逆に彼女に向けて弾き返すことなど造作もないだろう。

でも――だからこそ、僕がやるんだ。

対象は投げられた三つの爆弾の中央に位置するソレ。
余分な動作も躊躇いも無駄な弾も一切必要ない。一発で仕留める。
『対処される前に退却しつつ、銃弾によって誘爆させる』
トリガーに指を掛ける。そして、発射。

これで、残り三発。

「ぐぬぁああああっっっ!!!!」

鼓膜を突き破るかのような凄まじい爆音が響いた。
舞い散る破片、莫大な量の光、そして爆風……
が、さすがに歴戦練磨の武勇を誇るだけのことがある。東方不敗も瞬時に身を捩じらせ直撃は、回避している。
紫色の胴着が若干焦げ付き、露出した肌は火傷を負っている。だが、致命傷というようには到底見えない。体力の方も底無しという訳か。
棒付手榴弾の爆発有効範囲は少なく見積もっても数メートル。
あのタイミングであそこまで距離を取るとは、やはり簡単ではない。

「ククク、二人ゆえの強みということか」
「そうだね。僕達一人ひとりの実力じゃアナタを止めることは出来ないかもしれない。
 でも……力を合わせれば不可能なんてない。僕達の育まれた絆はあなたの闘志にも迫る勢いなのさ」
「ほう。が、それにしては少々人間の数が足りんようだが」

何を、言っているのだろう。
今のシズルさんと僕とのコンビネーションアタックを見ていなかったという訳もないのに。

「……あなたらしくもない妄言だね、東方不敗。シズルさんの姿が見えないとでも言うのかい。彼女ならしっかりとそこに――」

彼の台詞を笑い飛ばしながら、僕はくるり、と隣を向いた。
そこにはシズルさんが『はんなり』と言った感じで佇んでいる筈なのだ。




……はず、なのだ。


「し、シズルさんっ!? えっ、何でいないんですか!? シズルさーーーーーーん!?」


待ち受けていたのは実際、ありえない展開だった。
シズルさんがいなかった。忽然と姿を消していた。凄まじいミステリーだった。

頭を左右に振って周囲を確認しても、全く見当たらない。
ギルガメッシュ達の戦いに加わっている訳でもない。
もしや手榴弾の爆発に巻き込まれて木っ端微塵に……って狙い撃ったのは僕なんだから、その可能性がゼロだってことは重々承知している。
じゃあ何故だ? 彼女はほんの数分前までは確実にこの場所で一緒に戦っていた筈なのに……

「ふむ――もしや、」

東方不敗が顎をさすりながらニヤリ、と笑った。

「ヴァッシュ・ザ・スタンピードよ。貴様、見捨てられたな?」

ザクッ、と胸に突き刺さる。

「えええええええええええええ!? い、いやだなぁ、まさかそんな訳が……」
「中々、傑作だな。ヴァッシュ・ザ・スタンピードよ。射撃手から道化師へと転職してはどうだ?」
「……残念ながら、僕はナイフ投げにはあまり自信がないので」

東方不敗の言葉はそれだけで僕に多大なダメージを与えたと言っても過言ではなかった。
そりゃあ、シズルさんが僕のことを完全に信頼していた訳じゃないことは理解している。
でも、まさか何も言わずにいなくなってしまうなんて夢にも思わなかった。
しかもこんな危機的状況で。


……シズルさん、帰って来てくれますよね? 
僕がピンチになったらどこかから颯爽と……ってこれじゃあ立場が逆か。

でも、本当に……僕を捨てて一人で逃げ出したりなんてしてませんよね?


 □


《Section-5:ビシャス――死神 ①》

ゆれる。
身体が、頭が、意識が朦朧とした闇と靄に惑わされているような感覚だった。

淡々と、それでも踏み締めるように真っ直ぐ俺は歩き続ける。
右手には最強の個人兵装であるパニッシャー。腰には愛用の日本刀。
武装は完全であり、一片の抜かりもない。
弾薬類の心配もほとんどなく、殺戮の準備としてこれ以上に適当な条件も滅多にない。
だがそれとはあまりにも不釣合いなくらいに、俺の身体は一歩足を進める度に死んでいく。

細胞が、
神経が、
骨が、
内蔵が、
皮膚が、

混濁した意識と共に、紅く弾けそしてその役割を終えていく。

終幕の時は近い。
だが――俺はまだ倒れる訳にはいかない。
元の世界へと帰り、レッドドラゴンの頂点を目指すという野望は既に半ば叶わぬものとなっているのかもしれない。
ならば俺はこの身を悪魔へと、いや死神へと堕とし、そして全てを屠る――これでどうだろう。

スパイクとの決着は付き、もはや私情を挟む余地もない。
ならば、だからこそ殺す。銃の射撃音、刀で肉を裂き骨を断つ感触。
それだけが俺が俺であることを証明してくれる。

「――――ッ」

視界の端に妙な建物が映った。
病院だった。真白なる壁と独特の形状。地図で言うD-6。
足を引き摺りながらもここまでやって来たということか。

少しだけ、考えた。
つまりこの施設で何か薬品などを調達し、自らの怪我を少しでも軽減させようという案だ。
加えて既に北部へと逃亡したスパイクがこの中に居る可能性も少なからずある。

「…………俺も、弱くなった」

が、即座にそのような考えを一蹴する。

甘えは、必要ない。「薬がまだ残っているかもしれない」などと一瞬でも思ったのは恥ずべきことだろう。
既にゲームが開始してから二十四時間が経過しようとしている。
そしてあの建物は既にそこら中に争いの跡が見えるのだ。つまり何人もの人間があそこを訪れている。
理性的な人間ならば、薬品類や治療器具を残していくとは考え難い。
つまりもはやあの病院は鳥のいない鳥篭に過ぎない……無用の産物だ。

スパイクにしてもまさか間抜けにも病院に逃げ込むような愚行を犯す訳もないだろう。
人を引き付ける魔性の建物、万魔殿などには…………


今は、ただ前に進むのみ。そして全てを排除する。
それだけで、俺は満たされる。

まずはスパイク。貴様の屍をその序章として捧げるとしよう。
狂った堕天使のお前に生きる資格などないのだから。
俺達の終焉は――すぐそこまで来ている。


 □


《Section-6:ラッド・ルッソ――狂人 ①》


「あたしは――――」


俺はワクワクしていた。もう今にも踊り出してしまいそうだった。
いや正直な話、少しぐらいなら踊ってやっても一向に構わない。
こう見えてもダンスは結構得意なんだぜ?
サンバか? タンゴか? ワルツか? タップか? ジャズか? 何だってやってやるさ。

胸が高鳴り、血液が全身を駆け回る。
脳細胞も最高の働きで俺に応じる。

――殺せ殺せ殺せ殺せ!! 殺して殺して殺しまくれ!

俺はもう最っっっっ高!!にハイな気分だった訳だ。
目の前には俯き、唇を噛むナオちゃん。今は俺の問い掛けに対して思案中。

『とりあえず殺さないでやるから、そこをどいてギルガメッシュの所に行かせてくれ』

これが俺の要求内容。端的に纏めるとな。
実際、ナオちゃんは十分過ぎるほど分かっている訳よ。
俺と戦っても勝てない、ってな。そりゃあ場数の差か経験の差か。まぁ諸々の要素が絡む訳で、単純な武器とか能力の差じゃねぇのさ。
だから無理。どう足掻いても不可能。
自分だけじゃどうしようもねぇ。
カミサマに頭擦り付けて懇願しても出来ないことは出来ないってこった。

そんなもんで考える。
少しだけ考えて、そしてこう結論付ける筈だ。

『ギルガメッシュって強いし、こんな奴ぐらい任せちゃっても問題ないかな』ってな!!!
ギルちゃんが俺を殺せば自分は生き残れる訳だし無理する必要もないかな、とか思うわけ!!



バァァァアアアアアアアアアアアアカ!!!!



は?
生きる?
殺さない?
んな訳ねーだろうがよぉおっ!!!

ギルちゃんの仲間って、もうそれだけで十分殺すのに値すんだろうが!
それによ、あの傲岸不遜なギルちゃんが背中を任せる……ってそれだけで凄くねぇか?
なぁおい! 在り得ねぇことだろうがよっ、コイツは!!
信頼だぜ、信頼。信じてんだよ、ナオちゃんがいれば自分の背中は大丈夫!って『安心』してんだぜ!?

ヒャハハハハハハハハハッハハハハ!!!
いいねぇ、いいねぇ!! マジ最高だよ!! ゲージマックスなんてレベルじゃねぇ、とっくに突き抜けたっつーの!!
ナオちゃんぶち殺してギルちゃんに見せ付けてやったらどんな顔すんだろうなぁ!?
死ぬ前のシンヤくんぐらい俺を昂ぶらせてくれんのか!? おいおいおい、どうなんだろうなぁ!?

しかも、しかもだぜ!? これってマジ痺れるシチュエーションなんだぜ?


自分を守るために仲間を差し出した。でも、これで安心だ。私の命は助かる。
後はつよーいつよーいギルガメッシュが何とかしてくれる……このやけに口煩い"お兄さん"を倒してくれる。
わーギルガメッシュ超カッコいー…………


ねーよ!! ねーよ!! ねーよ!! ねーよ!!!
ギャハハハハハハハハハハハハハッ!!
殺すに決まってんじゃねーかっ!! んな約束守るわけねぇーだろ!? 速攻でぶち殺してやるよ!!!
そうだ、俺は『自分は絶対に死なない!自分は安全だ!』なーんて思っている奴をぶっ殺すのが、だぁぁぁぁぁぁぁい好きなんだからよぉ!!!

ギルちゃん? ああ、もちろん殺すぜ!! 全力で殺すぜ?
俺が、ラッド・ルッソがラッド・ルッソであるためにはよぉ、アイツは絶対殺しとかなくちゃなんねぇからな。
いや、っていうかあの猫野郎マジ殺す。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し抜いてやるっつーの!!

でもよぉ、俺って欲張りな訳! 
ほら、こっちだって十分魅力的な素材だぜ? ギルちゃんを相手にする前菜としてなら十分過ぎるってもんだ!
ああ、要するに俺ってこう見えて案外計算高いのよ。馬鹿にゃ殺しはつとまんねぇからな。


「じれってぇなぁ。さっさと決めてくれや」


口調だけはイライラを装ってみるけどよぉ、顔面の筋肉がピクピク動いているのが自分でも分かる。
隠せねぇ。
楽しくて楽しくて爆発しちまいそうだぜ、おい!!
もうテンション上がりまくりで切れた皮膚からピューピュー血が噴出しても気になんねぇ。
さあさあさあさあさあさあさあ!!

ナオちゃん、命は大切だぜ?




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