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  • 愛のままにわがままに僕は君達を傷付けたい(後編)

愛のままにわがままに僕は君達を傷付けたい(後編)

最終更新:2023年06月23日 02:04

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だれでも歓迎! 編集

愛のままにわがままに僕は君達を傷付けたい(後編) ◆2PGjCBHFlk



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 人形のように吹き飛び、壁に激突して四肢を投げ出すDボゥイを見下ろし、狂人は嗤っている。

「ヒャハハハハ! いやいやいやいや狙いはよかったんだぜ、タカヤ君よぉ。
 もしも俺の体がめちゃくちゃ治るのが早い体質じゃなかったら、今ので完全にチェックだったぜ?」

 関節が嵌め直った肩を回して調子を確かめつつ、俯く青年を賞賛する。
 まさに、狙いは素晴らしかった。
 打撃や斬撃が通用しないという部分を見抜いていたわけではないだろうが、
 この肉体でも通用する関節技に持ち込まれた時には柄にもなく焦ったのは事実。
 柔術の経験値はラッド・ルッソにも柊かがみにもないものだ。
 対処法はどこにもなく、もしもDボゥイが選んだのがサブミッションではなく、締め技ならば勝敗は違っただろう。
 流石に酸素が欠乏すれば不死者であっても意識は喪失する。
 ひょっとすると、制限下にあって不完全な状態の今ならば、窒息死は免れないかもしれない。

 ――おっと、またまた新しい、自分の死ぬ可能性を見つけちまったかな?

 頭部を吹き飛ばされる、首を刎ねられる、後は全身を粉々にされるとか、窒息死も候補の一つ。
 いやいやダメだ。よくよく考えれば溺死は一度試した後だ。あれじゃ死ねなかった。
 こうして殺される可能性を連ねていないと、やや不安定になる部分を狂人は自覚していた。
 ――死なねえ奴が、死ぬ人間に殺すとか殺されるとか、言うわけにはいかねえからなぁ。

 逆を言えば、死ぬ可能性が残っている自分ならば人を殺す資格を持ち続けているというわけだ。
 わお、殺人許可証万歳。許されなくても殺せるけど。

「お、前は……」
「おっとぉ? すっげぇなぁ、本当に尊敬するぜ。
 コンクリの壁もぶち砕くような一発だったってのに、生きてるどころか顔面も潰れてねえ。
 ハンサム顔が残ってラッキーだったなぁ、土葬の際には故人の顔をみんなで拝むことができますってぇことだ」

 折れ砕けた鼻から、口から、血を滴らせながらも息のあるDボゥイの生命力に感嘆。
 本当にすごい。殺しても殺しても死なない奴には本当に頭が下がる。
 それが人間を侮ってる宇宙人というのだから、まさに彼の存在は――

「天使か何かかよ、タカヤ君は! この俺の、飽くなき殺人欲を満たすために天が遣わしたまさに天使なのか!?
 だとしたら、今まで俺は神の存在を軽んじてきたことを本気で神に謝りたい! ごめん、神様!
 あんた、意外にいい奴だったんだな! あれ、でもひょっとして神様、
 あんたって自分が全知全能だとか気取って死なないとか思ってねえ? うわ、やっぱダメだ、死ねよ神様!」
「お前は……やっぱり、ラダムの……」
「ああ? あー、再生力の話か。ハッ、俺はタカヤ君とかシンヤ君とかと同じもんじゃねえよ。
 ま、死に難くなったって点においちゃぁ似たようなもんだがね。
 それでも多分、首が飛んだり頭が潰れたりしたら死ぬぜ俺。今回の場合はあれだ!
 ちょいとばかし運がなかったんだよ。巡り合わせだな、巡り合わせ。回り回る螺旋の意思、なんつってな」


 茶化すように嗤いかけながら、狂人は打ち倒されているDボゥイの全身を改めて見て、その損傷の酷さに唇を曲げる。
 刻まれた裂傷、全身特に背中の火傷、肩には刺し傷と傷のない部分の方が少ない有様だ。
 素直にあれだけの動き、戦いができたことは賞賛に値する。やっぱり宇宙人だからか?

「さてさてさてさて、そんなタカヤ君ですが、遂に年貢の納め時かねえ。
 今度こそ完全に、手も足も舌もビームもレーザーも出ねえ状況だろ?
 シンヤ君と同じく、頭ふっ飛ばせば殺せるのはわかってんだよなぁ」

 言って、デイパックから取り出したエクスカリバーの切っ先を動かない首に軽く当てる。
 銃があれば頭部を吹っ飛ばしてやるのが簡単だが、剣で首を落とすだけで死ぬのだろうか。
 ひょっとしたら脳を粉々にとかの殺し方が必要なのかもしれないが、正直なところ首チョンパで終わってほしい。
 何せ、脳をぐちゃぐちゃにとか死体を痛め付けるのは頭のおかしい人間のやることだ。
 殺す方法、殺し方に手は加えるものの、必要以上に生を冒涜するのは殺人鬼としてのポリシーに反する。
 殺害、死――それらはあくまで、生の素晴らしさを実感するさせるための行為なのだから。

 生首とか潰すのはあんまし気が乗らないねえ、などと思いながら、首に当てた剣に力を込めようとした時だ。
 かすかに、Dボゥイの口から音が漏れ聞こえた。
 死ぬ寸前に相手が零す、負け惜しみでも泣き言でも、そういうのを聞くのは好きじゃない。
 それでも、宇宙人が最期に何を言うのかはちょっと興味があった。

「なになに? 遺言ってやつか? それなら聞いてやるぜ、冥土の土産にな。って使い方違ぇけど」
「……たか、舞衣……すま、ない……」
「~~~んだよ、ただの泣き言かよ。興味が削げたぜ、つまらねえ。死ね、死んで口を閉じろ」

 黄金の剣に力が込められ、その首に切っ先が侵入していく。
 冷たい刃に死の予感を感じたのか、Dボゥイの虚ろになりかけた瞳が静かに狂人を見上げた。
 そして――

「助けてやれなくて……すま、ない……」
「――――っ」

 瞳は真っ直ぐに、少女の姿を映していた。
 その瞳の中に映る自分の姿を見て、狂人の心が確かに一度凍り付く。
 そしてその硬直が解けた時、静寂の中に納得を得て、頷いていた。

 ――ああ、なるほど。だからこの男は、最後までこちらを殺そうとしていなかったわけだ。

 救えなくてすまないと、Dボゥイは言った。
 彼の行動は全て、この肉体の本来の持ち主である柊かがみの心を救うためのものだった。
 そこに込められた意志の何と眩く、何と神々しく、何と気高いことか。
 震える胸に微かに、しかし少しずつ強まっていく、湧き上がる衝動は感激によるものだ。

 こんなに傷付いてまで、Dボゥイは本気で柊かがみを救おうとしている。
 大事な友達の家族、可愛い後輩を殺そうとまでした柊かがみを。
 ずっと自分を守り続けてくれた、頼りになる父親のような男を殺した柊かがみを。

「タカヤ君……お前って奴ぁ、そこまで……」

 どこまでも、どこまでも、敵対する相手を、救いたいと願ってしまう。
 相手は自分を殺そうとしていて、しかも圧倒的に相手の方が有利な状況にあったというのに、
 次の瞬間には死んでもおかしくないような負傷をしているのに、ああ、それでも――

 自分の力の限界を知って、肉体の崩壊を予期していながら、それでも尚、誰かを救いたいと。
 ――そう信じて願い続けられるというほどに温かな想いは、




「人間って存在を……侮ってやがるのかァ!!」



 自分が柊かがみであることを、認められなくなった狂人には毒でしかなかった。
 柊かがみであれば救われたかもしれないけれど、自分はもう柊かがみではないのだから。
 『ラッド・ルッソ』でなければ、耐えられないのだから。

 目の前の、こちらを矮小と嘲り続ける存在に対して、怒りと憎悪が噴き上がった。
 突き付けていた剣の切っ先を外し、力なく下を向いていた顔を前髪を掴んで持ち上げる。
 その虚ろな双眸をしかと睨み付け、歯を剥き出して狂人は猛る。

「救えなくてごめんなさい? 守れなくてすいません?
 俺がしくじらなければ、みんなみんな死なないで助かってHAPPYENDで笑顔でバイナラだったのに、
 俺がしくじった所為で誰も彼もみんな困ったことになりましたってか?
 俺にはそれだけの力があったんですってか? ふざけてんじゃねえぞ!
 この状況も、このゲームの参加者も、この俺も! テメェに可哀想がられる理由なんか存在しねぇ!
 思い上がるとも大概にしとけ、大ッッッッッッッッ概によぉ!」
「違……」
「いいや! 違わないね!
 テメェはこの場で見つけたゆたかちゃんや舞衣ちゃん、果てはこの目の前にいる俺……ってよりは、この女か。
 これを保護者面して、守護者的な考えで、手厚く守っておくださりになろうってんだろ?
 その弱者は俺が守らなきゃってぇ、自分は強ェんだぞって考えが気に入らねえ。
 男と女は好き合うか、さもなきゃ対等な仲間でなきゃいけねえよ。テメェの考えにはそれが抜けてやがんのさ。
 全部全て何もかも、テメェでおっ被っちまえば丸く収まる……その考えは傲慢だぜ、傲慢。
 仲間でありたいって人間を、そのご自慢の強さってやつでどんだけ傷付けてきたのか、目に浮かぶようだぜ!」

 言葉を聞き、愕然と目を見張るDボゥイ。思い当たる節でもあったのか、はたまた図星か。
 その仕草に、ゆったりとではあるが回復が行われているのを見取って、狂人は目を細める。
 朦朧とした意識が少しずつ復調しているのならば、それはそれで喜ばしいことだ。
 このどす黒く体の内側に吹き溜まる怒りの捌け口とできるのだから。

「世の中ってのはな、取捨選択しながら生きてかなきゃなんねェんだよ!
 あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいもっともっと欲しい! そんなわがままは通じねえんだ。
 持ち上げる腕は二本しかねえだろ、モノが重けりゃ両手で持ち上げるっきゃねえ!
 欲張りなんだよ、タカヤ君はよぉ! ゆたかちゃんを! 舞衣ちゃんを!
 助けたいなら目の前の女の子を助けたいなんて余裕はなかったんだよ!
 俺を殺せばよかったんだよ。ゆたかちゃんと舞衣ちゃんの、反対の天秤に載るもんは殺しちまえばよかったんだよ。
 助けるために殺せばよかったんだ! それが、この様だ!」

 虫唾が走る。こいつは何もわかっていない。
 これだけ傷付いて、これだけ苦しんで、その果てに絶望を学び足りていない。
 『柊かがみ』を救いたいなんて、そんなのは今の彼には過ぎた願いでしかないというのに。

 そんなボロボロの体で、届かない願いで、救ってくれるなんて言葉を聞きたくなかった。
 できない希望なら見せてほしくなんかない――夢を見させるだけなら、消えてしまえ。

 それも深くて冷たくて暗くて寂しい、絶望と失望の奥底に沈んで――


「なぁ、タカヤ君。今、俺が決めたことを教えてやろうか?」
「…………」
「それはな、俺が、この俺が、タカヤ君の大事で大事な大切で大切なゆたかちゃんと舞衣ちゃんを殺してやろうってことだ!」
「……ッ! バ……カな……」

 激しく動揺する姿に、やはりシンヤの兄弟だなと納得する。
 舞衣はどうせ、もう一度会えば殺そうと思っていた相手だ。躊躇などあるはずもない。
 約束したエミヤはどうやら死んだらしいし……約束っていつしたんだったか。
 問題はゆたかの方だ。シンヤと一緒にいた小柄な少女。そして、よく知っている少女でもある。
 それを殺そうと考えると、どうにも心の内側が軋む音を立てるのが避けられない。
 自分の体が、自分の意思に反旗を翻すというのは全く面倒な話だ。
 だが、逆にそれがいい。殺し難い殺したい相手を殺すというのは、とてもいい。

「そんなわけで、だ。弱者の勝手な保護者さんよぉ、残念だったなぁ。
 まぁ、人生ってのは運命の無常と人の世の無情と色んなしがらみに囚われつつ、
 辛いこと悲しいこと悔しいこと痛いこと泣きたくなるようなことと毎日毎晩毎分毎秒顔を突き合わせて、
 その中から自分にとって嬉しいこと楽しいこと満足できること気持ちいいこと笑っちまうようなことを見つけ出していくプラマイゲームだ。
 最後の最後でマイナスに傾いちまうテメェのことは同情しつつ不憫に思いつつ、
 しかしながら俺の人生にとってはプラスの方向に傾いてくれるという実績を誇りつつ爽やかに星空の一つになってくれや」
「待……て、ゆたかや舞衣には何の罪も、ない。殺す理由なんて……」
「どこにもない、ってか? いいや、あるね! 何故なら俺は殺人鬼だからだ。
 殺人鬼の俺にとっちゃ正直なところ何をもってしても殺す理由にはなる。
 それこそ殺すって結果が先に出来上がってて殺す理由って過程は死んだ後に、
 何となく俺の心の回想シーンの中でさりげなく思い起こすでもいい。
 まぁ、そもそも俺が他人に殺しの話をするなんて、
 それこそルーアぐらいにしかしねえわけだから尚のこと問題はないくらいに問題なしじゃねえか。
 ……おいおい、そういえば今思ったけどこの格好で帰ってルーアは俺ってわかるのか?
 まぁ、最悪わからなくても俺がわかっときゃOKか。俺がルーアを殺す、ルーアは俺に殺されたい。
 その関係がしっかりかっきりちゃっかりと維持されてりゃぁ、とりあえず見た目の問題なんてのはオールOKだ。
 つまりは俺が殺す役、お前が殺される役、それもまたここではOKだ、OKだな? OKじゃなくてもOKすぎるがね、ハッ」

 テンションが上がってきた、すごくいい。楽しい、心地いい、ゲージの最大だ。
 掴んでいたDボゥイの頭を背後の壁に叩き付け、血が零れるのを見届けながら、
 軽くステップを踏んで距離を開け、クルクルクルクルと踊るように回る。

「さあさあさあ、どうやって殺してやろうかねえ。
 今やまさにそれだけで俺のこの胸は、今や小さなこの胸はそれだけで高鳴ることを堪えきれねえ!
 この状況をどうすればいい! どうすればこのトキメキは解消される?
 わかってる、そりゃもう大胆に鮮烈に美しく蠱惑的なほどにゆたかちゃんと舞衣ちゃんを愛でて愛でて愛でて愛でて
 愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて
 愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛でて愛で殺せばいいんだろうなぁ!」


 自らの体を抱き締め、いずれきたる瞬間を思い描きながら、恍惚の笑みを浮かべる狂人。
 眼下のDボゥイはその狂態にして嬌態を見上げ、理解できないものを見る目で愕然としている。
 そしてその顔が俯き、堪え切れない感情に耐えるように小刻みに震えていた。

「おやおやおやおや、まさか泣いてるんじゃねえだろうな?
 そりゃ参ったぜ、流石に俺も泣き喚く大の男を殺した経験ってのは……あー、意外と結構あったわ。
 じゃ、躊躇いもないな。でも人生の最期って瞬間を泣き喚きながら終えるってのは自分としてはどうなのかね。
 タカヤ君はどう思う? 夜に布団の中でふと自分はどうやって死ぬんだろうと思ったことはないかい?
 そう考えた時に自分が死ぬならってベスト死因とワースト死因を三つずつぐらい並べなかったか?
 その中に泣き喚きながら死ぬってのはランクインしてないもんかね。
 ベストの方ならいいが、ワーストの方ならそりゃ悲しいことだ。
 まさか一度もそんな想像したことないってんなら、それこそ俺にとっちゃ嬉しい誤算だがな、
 ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「…………ムだ」
「うん?」

 踊るように破壊の跡でステップを踏んでいた狂人の耳に、微かな声が届いた。
 その声に期待を募らせながら、狂人はスキップしながら歩み寄り、無防備にDボゥイの口元に顔を寄せる。
 そして――


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 ――意識は朦朧としている。
 極限を超えるダメージの蓄積に、それでも戦えと叫ぶ体内の獣の声すら遠く感じる。

 現実と夢想の狭間で意識は酷く揺れているのに、取り留めのない思考は延々と続く。
 そういえば、いつの間にか体の痛みはどこにもない。

 骨の折れ砕けた痛みも、破裂した内臓の痛みも、薬の影響による痛みも――体が崩壊する痛みも。

 もう、何も感じない。痛みなんて、それがどういうものだったかも思い出せない。
 ……むしろ、気持ちいいぐらいだ。

 俺は痛みに快楽を覚える体質だったろうか。
 それすらももう思い出せないが、それは嫌な話だ……

 これまでにも、死ぬかもしれないと思ったことは何度もあった。
 それでも何とか生き残ってきたから、死ぬというのを本気で意識したことはなかったかもしれない。

 死ぬというのは、生きることの素晴らしさを実感するための……とか言ってたのは誰だったか。
 あまり、好きな奴ではなかったことだけは間違いないと思うんだが。

 そうこう言っている間に、体の感覚が少しずつ戻ってきているのがわかった。
 目の前に、救いたいと願っていたはずの死神が立ちはだかっているのも。

 ――結局、彼女の中に巣食っている『奴』は何だったのだろう。

 問えば答えが返ってくるとは思えなかったが、それでも問わずにはいられなかった。
 それが憎み続けたラダム――ああ、ラダムはまだ覚えている。
 そのラダムと同じような存在を、身に宿しているのだろうか。

「俺はタカヤ君とかシンヤ君とかと同じもんじゃねえよ」

 そうか、ラダムじゃないのか。ラダムじゃないなら……それでいいか?
 ラダムに対する憎しみを忘れられないのは最後まで一緒なのか、俺は。

 もっと、もっと他に思い出せないか? 俺は、俺は憎み続けるだけの存在なのか?
 辛いことばかりだったけど、悲しいことばかりだったけど、それが全てだったのか?

 ゆ……ゆ、たか?
 そうだ、ゆたか。ゆたかだ。
 守ると誓って、守りきれずに、傷付けて傷付けて傷付け続けたゆたか。
 ラダムに侵されて、それでも尚、戦うのを諦めなかった妹――違う、それはミユキだ。

 ミユキ……シンヤに殺された、妹。
 シンヤ……そうだ、シンヤだ。ゆたかはシンヤに連れ去られて……違う、シンヤは死んだ。

 死んで、助けられなくて、大事な弟。憎くて、大切だった弟。死体も残っていない。

 シンヤが死んで、でもシンヤを狂わせていたラダムも死んで……死んだ?
 違う、死んでいない。ラダムは死ななかった。シンヤを狂わせておいて、弟を奪っておいて。
 のうのうと生き長らえた上に、舞衣を新たな宿主に、往生際も悪く生き汚く足掻いている。

 そうだ、舞衣を助けなくちゃいけない。
 そうだ、ゆたかを救わなくちゃいけない。

 ラダムの手から、心に差す絶望から――俺を信じてくれた、俺が信じたい二人を守るために。

 ああ、なのに、それだってのに、体がちっとも動かない。
 何とかしなきゃいけないのに、こんな時に限って、戦えと叫ぶ獣の本能が聞こえない。

 駄目なのか? そんなものなのか? それは俺が望むには、あまりにも遠いものなのか?
 求めすぎなのか? 贅沢なのか? ――だとすれば、

 ――だとすれば、今はただひたすらに、申し訳なかった。

 言葉を一つ作るたび、文字を一つ音にするたび、大事なものが抜け落ちていく気がする。
 それでも尚、溢れ出る思いを止めることができなかった。

 ゆたか、舞衣――本当に、本当に、すまない。
 俺の力が足りないばかりに、俺の覚悟が足りないばかりに、俺が弱いばかりに。

 目の前の少女を救うこともできやしない。
 目の前の、ゆたかと、舞衣と、同じ目をした少女を、救うこともできやしない。


 諦めと謝罪の念がそのまま乗った言葉が――その少女を激昂させた。


 違うと、否定したかった。
 鼓膜に叩き付けられる言葉の暴力は、その肉体を傷付けられるよりもさらにずっと苦しかった。

 ――そんなつもりじゃなかった。俺が彼女達を、君を助けたいのは、そんな理由じゃない。
 本当にそうだろうか? 本当に違うのか? 投げつけられる言葉の通り、見下してたんじゃないのか?

 ――違う、違うはずだ。俺が彼女達を、助けたいのは……
 本当に助けたかったのか? よく思い出してみろよ。もう消えてしまいそうな、自分の心を掻き集めて。

 邪魔なものを、不要なものを、軽いものを、次々次々と心の断片から消し去っていく。

 そうして、最後に残ったものこそが、本当の気持ちだ。


 どうして、ゆたかを助けたいんだ?
 ――ゆたかをさらったシンヤに巣食うラダムが憎いからだ。
 ――こんなふざけた状況を作り出し、嘲笑っている奴らがラダムと同じくらい憎いからだ。

 どうして、舞衣を助けたいんだ?
 ――舞衣に寄生し、その心を侵すラダムが憎いからだ。
 ――この殺し合いのゲームを肯定し、殺戮に興じる奴らがラダムと同じぐらい憎いからだ。

 この心を焦がす、激情の炎はなんだ?
 ――ラダムへの憎しみだ。憎しみこそが、ラダムだ。

 ならば、目の前で、ゆたかを、舞衣を、殺すと宣言する奴は一体何なんだ?
 ――ラダムだ。

 ラダムは、殺さなくちゃいけない。奴らの存在を、許してはいけない。
 怒りが、憎しみが、どす黒い感情が、もう動かないはずの体に悪足掻きする力を取り戻させる。

 今ここに、ゆたかがいなくてよかった。
 舞衣がいなくて、本当によかった。

 こんな――こんな憎悪に引き歪んだ俺の顔を、あの二人に見られなくて本当によかった。
 もう憎しみしか残っていないはずなのに、そのことだけが少し嬉しくて、俺は幸せだ。

 ラダムが、顔を近付けてくるのがわかる。
 もっと、こい。もっと、近付け。腕を伸ばせば届くくらいに。
 俺の最後の牙が、お前に届くくらいの場所まで。


「お前が……お前こそが……ラダムだ――ッ」


 …………
 ――最後の一撃を、放ったはずだ。
 放てたはずだ。それすらも錯覚に過ぎないのだろうか。

 アツイ、とてもアツイ、どこがアツイのかは全然わからないのだけれど。
 サムイ、とてもサムイ、どこがサムイのかは全然わからないのだけれど。

 殺せただろうか、ラダムを、目の前にいたラダムを。
 ゆたかと、舞衣と、同じ目をしたラダムを――

 ――俺が殺したのは、誰だったんだ?
 ――俺が殺したのはラダムか? ゆたかか? 舞衣か?

「Dボゥイさん」「Dボゥイ」

 …………
 誰かの声が聞こえた気がする。大切な、今、俺が殺した二人の声が。
 まだ、耳は聞こえるんだろうか?

 …………
 聞こえない。
 何も、聞こえない。

 もう
 なにも


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 人体を軽々と貫くだろう手刀には、一片の曇りもない殺意だけが込められていた。
 ――倒れるDボゥイが、柊かがみを殺すために放った手刀だ。

 繰り出された貫手は人体を紙のように突き破り、侵入路と対面に出口を作って貫通する。
 文字通り、全精力を込めた一撃だったのだろう。
 短時間での回復によって得た全ての力を総動員、その手刀の威力は直撃した頭部を爆砕し、
 制限下の不死者を死に導くことさえ容易に可能としたほどの破壊力を秘めていた。

 頭部に、直撃さえしていれば――。

「痛ェ……がああ! マッジで痛ェ! うぉわ、流石は宇宙人、すげえ威力だ」

 痛みを訴える狂人、その視線は掲げた左腕の掌を貫く手刀に向けられている。
 顔面を狙った貫手を咄嗟に左手でガードしたのだが、
 手刀は掌を貫通し、さらに伸び上がった先で仰け反り気味の額を浅く切っていた。
 ずるりと手刀を引き抜くと、吹き出した血が震えて傷口に戻り、掌の穴もまた即座に塞がる。
 それを確認して、

「しかし、まぁ……よかったぜ、本当に。やっぱ、やり難いわけよ。
 圧倒的に優位に立った状態で、殺される心配なんてまるでない状況で、
 神様気取りで殺そうなんて俺の主義に反するわけだ。だからよ、本当に助かったぜ」
「…………」

「最期の最期で、本気で俺を殺しにきてくれてよ」

 突き出された手刀――それと交差するように突き出された黄金の剣の切っ先、
 それがDボゥイの喉を真っ直ぐに貫いて、背後の壁にその身を縫い付けている。

 その双眸に光はなく、その体に生命の兆しはなく、その命運に未来はない。

「まぁ、あれだ。救いたいとか助けたいとか口にしてても、やっぱ最期の最期にゃぁ自分の憎悪を優先しちまう。
 そこに地球人も宇宙人も関係ないってわけだな! 安心したぜ、いやホント。
 タカヤ君も所詮は激怒の中では目的なんか見失っちまう普通の奴ってことよ!
 ま、ゆたかちゃんや舞衣ちゃんの今後は俺に任せておけってな。
 ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 耐え難い憎悪の前に、救いたいと願った少女を殺そうとするほどの憎悪の果てに、倒れた。

「それじゃ、さようなら相羽タカヤ――」

 最後の最後、その死を送る存在が彼の本名を呼んだのは、救いになったのだろうか。
 血に塗れた黄金の剣を振り抜き、死者には興味を持たない狂人は背を向けた。

「そして、柊かがみ――」

 見開かれた瞳が、何も移さない白濁した瞳が、遠ざかっていく少女を為す術もなく見送る。
 別れの言葉は物理的な距離だけでなく、それ以外の意味で少女との距離を開いていく。

 もう彼では届かない。
 もう彼には救えない。

 誰も、誰も。

 他人の分まで傷付き続け、
 その果てに理想を抱き続けた男の――それが最期の姿だった。



【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード 死亡】



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