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  • 最愛ナル魔王サマ(前編)

最愛ナル魔王サマ(前編)

最終更新:2023年06月25日 18:31

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だれでも歓迎! 編集

最愛ナル魔王サマ(前編) ◆2PGjCBHFlk



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 昇り始めたばかりだった朝日はいつの間にか頂点までの道筋を半分にまでしている。
 熱い日差しが降り注ぐ中を、黒衣の青年は悠然と――ではなく、肩を揺らして歩いていた。

 高嶺清麿を殺害し、民家を後にしたルルーシュ・ランペルージは思考している。

 まず、具体的に考えなければならないのは今後の方針だ。
 最終的な目的は入手した小説を偽装した暗号文の内容に従う、これが最善だと考えられる。
 ナイトメアに近い機体などが多く転がっている戦場、尚且つ単身でも恐るべき戦闘力を発揮する参加者達。
 ギアスの力を用いても、優勝できる概算は低いと見積もらざるをえない。
 ならば、やはり方針は脱出に寄っておくべきだろう。
 対主催、などと気取って螺旋王とやらを打倒するまでのつもりはない。
 生きて、帰る。自分にとって重要なのはその一点。
 それ以上を望むのは達成すべき最終目標への成功率を下げるだけの余計なものに過ぎない。

「もちろん、カレンを失った痛手の分、螺旋王の技術が持ち帰れれば御の字ではあるがな」

 黒の騎士団のエースにして、ゼロに向けるカレンの信頼は失い難い大事な駒だった。
 失いっ放しで帰るというのは、如何にも敗北者の姿――怒りの気持ちが湧き上がる。

「全ては脱出の算段が整ってからだ。感傷に浸る思い出も思い残しも、今は必要ないのだから」

 そのためにも、今は最大の対主催勢力を作りつつあるジンやスパイクとの合流を急ぎたい。
 幸い、固まっているグループは情報交換中、あるいは何らかの作業中なのか移動する気配を見せない。
 メンバーも、ジンやスパイクといった面識のある面々がいるのは上出来だ。
 付け加えれば、ギアスについて知るスカーや菫川ねねねといった人材がいないことも。

 懸念されるのは小早川ゆたかという少女か。これは高嶺清麿や菫川ねねねと行動と共にしていたらしき少女。
 離反したと聞いていたが、このグループに紛れていることは非常に厄介だ。
 もしもギアスのことが知られているようならば、最初に消えてもらわなければならなくなる可能性も高い。
 高嶺清麿さえ懐柔できていれば、このような苦労をしなくても済んだものを。

「やれやれ、次々と問題は生じるものだな。俺はただ、ナナリーの元に帰りたいだけだというのに」

 他者が聞けばあまりに利己的で自己中心的な愚痴を零しながら、さらに考察は進む。
 このゲームの会場において、どうやら自分の顔はそれなりに広い方に入るようだ。
 様々なグループに参加、離脱を繰り返してきた経験がここで役に立っている。
 何が王の力はお前を孤独にする、だ。それどころか、これほどの実績を得ているではないか。

 詳細名簿や考察メモの内容と照らし合わせ、現在も生存しているわかりやすい敵性存在は、
 東方不敗、ニコラス・D・ウルフウッド、シータといったところか。
 ルルーシュ個人として危険視しなければならないのは、目指すグループ内にいる前述の小早川ゆたかに加え、スカーと菫川ねねねの二人。
 特に後者の二人はギアスの特性を知り、尚且つ敵対に近い間柄になってしまっている。
 早急に意識の塗り替えをしてもらうか、消さなければならない。

 また、ルルーシュ個人として危険視する必要がないのがヴィラルとシャマルの二人だ。
 今や紙切れほどの価値しかない同盟の約束だが、あれを結ぶ過程であの二人がどういう人材なのかは知れている。
 ギアスを使うまでもなく、丸め込むことは造作もあるまい。

「やはり、優先すべきはジン達のグループ内でどう立ち回るか、だ。
 実利のわかるジンやスパイクならば俺の持つ情報を無碍には扱うまい。
 小早川ゆたかも、名簿の限りでは平凡な学生。接し方次第で篭絡はできるだろう。しかしやはり問題は――」

 ルルーシュの言葉はそこで途切れた。いや、断ち切られたというべきだろうか。
 熱い日差しの中、ゼロのコスチュームで歩き回るのは非常に体力を奪われる。
 それが不意に影が世界を覆ったことで涼しさが差し込み、救われたように空を仰いだ瞬間だった。


 ――機械仕掛けの白銀が、猛々しい重低音を上げて、ルルーシュの眼前に着陸したのだ。


 ――馬鹿な!?
 内心を驚愕の一言が埋め尽くす中で、ルルーシュは手の中のレーダーに視線を送る。
 このレーダーを入手して以来、自身の安全のために常に周囲の警戒は怠っていなかった。
 如何な高機動兵器の速度とはいえ、気付かないなどありえない。
 ならばどうして、見上げるほどの巨躯に接近を許してしまったというのか――
 その疑問は、その白銀の巨体の次なるアクションによって解消された。

「俺の名はチミルフ!
 螺旋王の忠実なる臣下にして、貴様らニンゲンを殲滅する役目を負った一介の武人だ! 名乗れ、ニンゲンよ!」

 そう堂々たる名乗りを上げたのは、機体の中央に設置されたコックピット
 ――ハッチを失ったその場に立ち上がり、真っ向からルルーシュを見下ろす偉丈夫だ。

 その姿形は人型であるものの、肉厚の巨体を覆う体毛など、はっきりとした違いがある。
 何よりはっきりと名乗ったではないか――螺旋王の部下、チミルフと。

 それは螺旋王が殺し合いのゲームに投下した、新たな獣人の名に他ならない。
 そしてそのジョーカーとも言うべき札の首に、従属を強いる首輪はどこにも見当たらなかった。
 つまり、唯一、この場においてレーダーに反応しない存在がチミルフ!

 この出会いの運のなさを呪う気持ちが胸中に湧き上がる。
 その怒りに唇を噛み締めるルルーシュに対し、チミルフは再度高らかに呼びかけた。

「どうした、ニンゲン! このビャコウの威容の前に慄いたのか、己の名も発せぬほどに!」

 その言葉に込められた危うさに、ルルーシュは即座の返答を強要された。
 武人と己を称したチミルフの態度は、戦うことに享楽を感じる理解し難い類のものだ。
 そういう輩は往々にして、慎重な判断よりも、蛮勇に対して敬意を感じるものらしい。

「失礼した、武人チミルフ殿。俺の名はルルーシュ・ランペルージ。返答が遅れた非礼を詫びたい」

 偽名は使わなかった。
 首輪がされていない時点で、チミルフが他の参加者よりも優遇される立場にあることは確実。
 そこには参加者の情報も含まれている可能性がある。
 名乗りを求めたのはこの場で真実を語るか偽るかによって、ルルーシュの見極めを行おうとしたからかもしれない。
 武人――日本解放戦線の連中が好んで使用しそうな名称だ。ともなれば、相対する態度もまたそれに近いものになる。
 偽れば死――その可能性と天秤にかけて、偽名を名乗るメリットはなかった。

 そしてその読みが通じたように、威勢を上げていたチミルフは重々しく頷き、

「うむ。怯えと嘲ったこちらの非礼も詫びよう。ルルーシュ・ランペルージよ」

 そこに確かな謝罪の念を込めて、そう口にしたのだ。
 その態度を前に、ルルーシュはこの出会いを単なる不運と嘆くのは惜しいと考える。
 螺旋王直属の部下である男、四天王の一人であるチミルフ。
 この男より、引き出すべき情報は湯水のように溢れている。

 ――ならば、ここが俺の覚悟の決めどころというわけだ。
 ――スザク、ナナリー、俺に力を貸してくれ。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 その出会いは連鎖する不幸な出来事の、一つに過ぎない。

 コックピットハッチを全損し、外気を身に浴びたままチミルフは愛機を駆っていた。
 この哨戒行動と呼べる行動には、特別な目的があったわけではない。
 ただ、映画館に隠された施設の中で、未だ人間をやめるか否かの選択肢の間に揺れている男。
 その決断を逸らせることも、邪魔をすることもしたくなかったというだけのこと。

 ウルフウッドがいずれの決断を下すにしても、チミルフはそれを賞賛を持って迎えるだろう。
 だが、その決断に無粋にも自分が介在するという野暮はしたくなかった。
 故に短時間傍を離れる決断を下し、こうして映画館の周囲を損傷した愛機の調子を確かめていたところだったのだ。

 その過程で別の参加者に巡り合う――これもまた、一つの巡り合せであった。

 名前を交換したところで、チミルフは改めて眼下に立つルルーシュの全身を検める。
 その体格やその他を検分したところで最初に浮かんだ感想は、僅かな落胆であった。

 ひょろりとした細身は実世界で戦ってきたニンゲン達の体格にすら遠く及ばない。
 もちろん、このゲームの中で見た目で相手を測るのは愚行の極みだ。
 だが、どう贔屓目で見ても、その立ち振る舞いには武芸に通じるものが一切感じ取れないのだ。

 名乗り、そして敬意を向けるその所作には誇りに通ずるものがある。
 武人に対して敬意を払えるその態度には確かな好感を抱けるが、残念ながらそれだけだ。
 東方不敗と、そしてウルフウッドと交わした血沸き肉踊るような戦闘は望めまい。
 とあれば、求めるのは情報と、そしてこの男にはニンゲンの、螺旋の強さがあるのかということ。

「問うぞ、ルルーシュ・ランペルージよ。お前はこの戦場において、何を望む?」
「答えよう、武人チミルフ。俺が望むのは、勝ち取ることだ。この戦場において、俺の戦いで」

 澱みのない返答が真っ直ぐに戻ってきて、答えを返されたチミルフの方が僅かに驚く。
 正直なところ、力のある答えが返ってくることを期待してはいなかった。
 見るからに弱者たる男が、この場でチミルフに返す刃のような意志は持たぬものと軽んじていた。
 そのチミルフの軽率な思考を殴りつけるようにこの矮躯のニンゲンは、非力で無力であるに違いないニンゲンは、あろうことか言ったのだ。

 ――ルルーシュ・ランペルージは、戦いによって戦場を勝ち抜くと。

 向こう見ずな弱者と嘲るような気持ちはすでにない。
 どれほど非力な存在でも、誇りを持って戦いに挑めるのならば戦士としての資格はある。
 それは正しく、チミルフの胸の内に、快い感慨をもたらした。

「問うぞ、ルルーシュ・ランペルージよ。お前は螺旋の力、その力の本質を知っているか?」
「答えよう、武人チミルフ。俺自身はその力には届いていない。
 しかし、仮説は持っている。これもまた、俺が戦いの中で勝ち得てきたものの一つだ」

「問うぞ、ルルーシュ・ランペルージよ。参加者である、ニアという少女については知っているか?」
「答えよう、武人チミルフ。ニアとは友好的な関係にある。
 彼女とは図書館へ向かう道筋で別れ別れになったが、あの場で落ち合えることは間違いない」

 僥倖。この出会いはまさしく、僥倖だ。
 求めてやまない螺旋の力の糸口を、ルルーシュ・ランペルージは持っている。
 そして、この戦場で拝謁したいと願っていたニア王女の情報も。

 東方不敗の口から、ニア王女の人となりについては聞いていた。
 彼女もまた圧倒的に力の差がある東方不敗を前に、一歩も退かぬ誇り高さを抱いた存在であるらしい。
 共にいたカミナという男を東方不敗が気に入っていたことも含め、王女は気高き意思と、そして武人と共に戦場を生き抜いている。
 その存在の一端に今、手が届こうとしているのだ。

「ルルーシュ・ランペルージ。
 今、俺がここでお前の知る螺旋の力の秘密を求めれば、お前はそれを語るつもりはあるか?」

 その申し出に対し、しかしルルーシュはチミルフを見下すような笑みを象り、

「馬鹿な。戦いの果てに得た情報を、軽々しく漏らすと思うのか?
 もしそう思っているのだとすれば、武人という名は返上すべきだぞ、チミルフ」
「だろうな」

 その返答もまた快い。全ては戦いの果てに得るからこそ価値がある。
 ここで目に見える武力でもって脅しをかけ、吐き出させることに何の意義があろうか。

「だが、戦えばおそらく俺はお前を圧倒する。それでも尚、挑むというのかルルーシュ・ランペルージ」
「当然だ。生きるということは戦う、そういうことだろう!」
「――然り!」

 ここへきて、両者の意向は通じ合ったとチミルフは考える。
 故にビャコウの操縦桿を握り、眼下の矮躯を槍の穂先によって粉砕しにかかることに躊躇はない。

 戦いとなれば、手を抜くことなどできるはずもない。
 結果としてもしもルルーシュが死んでしまい、螺旋の力を聞き出せずとも仕方がない。
 戦士たる男に対し、斯様な手心こそ最大の侮辱に他ならないのだから。

 ――しかし、

「何故、動かぬ――!」

 焼け付くようなビーム刃を振りかざすビャコウの前で、ルルーシュはその場を微動だにしない。
 それどころか両手を広げ、まるで攻撃を甘んじて受けようとでもいう構えだ。

 何らかの攻撃意思のある行動ではない。
 伸びきった両手両足で、如何な挙動による回避運動が取れようか。それとも、

「耐えられるとでも思っているのか? このアルカイドグレイブを!
 だとすれば、それは思い上がりに他ならんぞ、ルルーシュ・ランペルージ!」
「言ったはずだ、勝つためだと! 俺は生き抜き、勝ち取るために行動する。
 その目的の前に、お前と武力によって競うことは無謀に他ならない!」
「馬鹿な! それこそ妄言だ。武で争わねば何をもって争う!」

「――それは誇りだ!」

 叩きつけるような雄叫び、そして大仰な身振りで両手をかざし、ルルーシュはチミルフを示しながら叫び続ける。

「力を持たない弱者に対し、武力でもって蹂躙するのが武人のやることか!」
「ふざけるな、それこそが戦いだろう! 互いを戦士として認めれば、それ以外の何がある!」
「ならば、これは、お前のまだ知らぬ戦場だ、チミルフ!」

 臨戦態勢にあるビャコウを前に、痩身は一歩前に出た。
 そして、牙を剥くチミルフを一片の恐れも抱かぬ眼光で射抜く。

「再度問うぞ、チミルフ。無力な弱者を、武力で蹂躙するのが武人のやることなのか!」
「俺に……この俺に、武人の道を説こうというのか!」
「違うな、間違っているぞ、チミルフ。武人とは何か、俺は問うたのだ。
 説くのはチミルフ、お前だ。説かれるのは俺に他ならない! さあ、示せ、武人の道を!」

 操縦桿を握る手が、激情のあまりに小刻みに震えている。
 口八丁手八丁で丸め込もうとしている、そう断じてルルーシュを貫くことはあまりにも容易い。
 そう、容易いからこそ、チミルフは迷う。

 相変わらずこちらを睨むルルーシュの目に、怯えや打算の光は一切差し込んでいない。
 それは正しく、この状況に、奴の言う、奴の戦場での戦いに命を懸けているということだ。
 武力でもって、槍の穂先でもって答えるしか知らない自分は、どうすればいい。

「王の命により、俺には参加者を皆殺しにする必要がある。その俺に、自らのために忠義を穢せというのか?」
「武人たる男に道を曲げさせるんだ。当然、タダでとは言わない。見返りは用意する」
「この俺に戦いの戦果ではなく、物の譲渡で命を拾おうと言うのか!?」

 だとすれば、それはあまりにも戦いを安く見すぎている。
 ルルーシュの語る未だ知らぬ戦場――
 その戦いが如何なものかはわからないが、そのような汚辱の積み重ねで生き抜く戦いならばあまりに下らない。
 そしてその考えは、チミルフが誇りに思う、チミルフの戦いに対する侮辱に他ならない。

 憤怒のままに喉を震わせ、その思い上がりを打ち砕いてやろうと口を開き――

「その考えは俺への侮辱とみなすぞ、武人チミルフ!!」
「何だと!?」

 先んじてその言葉を発したのは、誰であろうルルーシュであった。
 彼はそのまま、チミルフの言葉が耐え難い屈辱であったとばかりに痩身を激情に揺らし、

「ただ己の武によって争うことのみが戦いではない。俺は俺の持てる武器を使い、命懸けで常に戦っている。
 その俺の戦いを単なる命乞いと侮るなら、それこそ俺の戦いへの侮辱だ!」

 その覚悟の前に、決意の前に、存在の前に、チミルフは確かに圧倒された。
 それはチミルフが知らない戦場、世界にはまた、誇りを武力以外に乗せる戦場もまたあるのだ。
 無力で貧弱な体しか持たない存在が、己の全てを懸けて戦う戦場が。

 どれほど言われようと、チミルフには決して歩くことができないだろう戦場だ。
 元より武力によって戦うことしか知らず、できぬ身だ。
 だが、そんな身であっても、その戦いの苛烈さの一端を感じ取ることはできた。

「そうまでして生き抜き、為し得たい目的があるのか」

 静かな問いかけに対し、ルルーシュは厳かに頷いた。

「そうだ。俺には俺が守るべき、達成すべき目的がある。
 たとえ命懸けの戦場で志半ばにして倒れることがあろうとも、最後の最後まで生き足掻くに足る理由が!」

 戦いの果てに散ることへの覚悟を、ルルーシュは持っているのだ。
 ならばそれは武人ではなかったとしても、正しく戦士としてのあり方だろう。
 それを理解して、痛感してしまえば、チミルフが下せる決断は一つしかありえなかった。

「ここで貴様の命を奪えば、誇りを失うのは俺の方だな」

 構えたビャコウの槍を下ろし、ルルーシュの戦いに懸ける覚悟を賞賛する。
 その行動にルルーシュは深い礼を見せ、そして懐から一つの機械を取り出して、

「その誇りに感謝する。俺が見返りに出すのは、参加者の居場所を知れるレーダーだ」

 手の中で操作し、小さな画面をチミルフに見えるように向ける。
 それによれば確かに、小さな画面の中を幾つかの光点が点滅しているのがわかった。
 なるほど、それがあればこの戦場での行動はぐっと優位になろう。
 求める相手の場所に到達することも造作もあるまい。だが、

「それがあれば、俺はお前の場所を知ることができる。今はお前に敬意を表するが、二度目はないぞ」
「わかっている。当然、いつまでも見逃せとは言わない。一時間、その間だけ俺の存在を忘れてくれ。
 二度目の遭遇があれば、その時は俺もまたお前と同じ戦いに赴こう」
「ふむ……わかった」

 提案は妥当なものだ。そして、覚悟は揺るぎない。
 次なる邂逅で戦いとなれば、今のままなら数秒で決着がついてしまう戦い。
 だが、その戦いえさえ心待ちに思えるほど、戦士としての格のある相手だ。

「レーダーだが、使い方はわかるか?」
「不用意に近付くな、ルルーシュ・ランペルージよ。心を許したわけではない」

 レーダーを手にしたまま歩み寄るルルーシュを、ビャコウの掌が押し留める。
 その行為をチミルフはかすかに恥じた。
 戦士としての格を認めておきながら、相手が凶行に出ることを懸念した行為だからだ。
 だが、その非礼に対しルルーシュは苦笑して、

「用心深いな。ではこうしたらいい。その機体の掌で、レーダーを持つ右手以外の四肢を封じるように握ればいい。
 何かおかしな行動をとれば、遠慮なく握りつぶしてくれ」

 その提案はまさしく、チミルフが心変わりしないことを信頼しての言葉だ。
 自分の矮小さと比較し、その寛容さには頭が下がる。
 提案を跳ね除けることなど考える必要もなく、その体を言葉通りに白銀の掌で掴み上げた。

「操作はこのロボットに比べればずっと簡単なはずだ。まず――」

 露出したコックピットの眼前にルルーシュを持ち上げ、宣言通りに右手でレーダーの操作を見せ付けるルルーシュ。
 怪しい挙動など見せる素振りもない。丁寧に説明しつつ、最後にはそのレーダーをチミルフの懐に投げ渡した。
 レーダーを受け取り、太い指には操作の難しいそれに四苦八苦しつつ、説明の正しさを確認。
 頷きをもって、互いの契約が成立したことを示す。

「確かに確認した。それと同時にルルーシュ・ランペルージ、お前の覚悟もだ。
 武人ではないが、お前は確かに戦士だった。非礼の数々を詫びよう、すぐに解放する」
「いや、気にする必要はない。それにだ。俺を戦士と呼ぶのは、少々間違っているぞ」
「む?」
「俺は戦士ではない。指導者だよ」

 掴んだ腕から解放しようと操縦桿を握ったが、不意に変わった声色に眉を寄せる。
 そのチミルフの眼前で、真っ直ぐにこちらを見ているルルーシュの左目が紅く輝き――

「お前の主君は螺旋王ではない、この私だ」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 かしずくチミルフを前に、ルルーシュは高笑いしたい衝動を必死で堪えていた。

 何が戦士だ。何が武人だ。笑わせてくれる。
 過剰な演技は体のあちこちが痒いくらいだったが、頭が空っぽの戦闘狂には程よいらしい。
 まんまとこちらを信用し、不用意な接近を許すほどに。

「――以上が、此度の実験により螺旋王が得たいと思っている内容です」
「ふむ、上出来だ。その情報は私の今後において多大なプラスになるだろう。よくやった」
「ははっ」

 己の知るところを語り終えたチミルフは、王の労いに対して畏敬の念を声音に込める。
 この男が忠義に溢れ、存在の根元から創造主に忠誠を誓っていたことはルルーシュにとって幸運だった。

 ただギアスをかけるだけならば、最初の邂逅の瞬間にもそれはできた。
 にも関わらず茶番に付き合い、時間をかけて慎重な対話を選んだのは、高嶺清麿との対談失敗による学習からに他ならない。

 『銃を寄越せ』と勢いに任せて命令を下したことは、ルルーシュにとって痛恨の極みだった。
 その二の舞にならないよう、どんなギアスをかけるのが一番効果的かを会話の中で探っていたのだ。
 その結論が――忠誠を誓うべき相手を書き換える、というギアス。

 先に遭遇していたヴィラルもそうだが、獣人というのはどうやら骨の髄まで螺旋王を崇めてやまないらしい。
 チミルフもどうやら例外ではないらしく、その忠誠の矛先が変わった結果が今の状況だ。

 ――この制限下において、使用するギアスは入念に吟味すべきだ。

 一度にかける人数、ギアスの内容がどれほどその対象の行動を縛ってしまうか。
 それらを吟味すれば『俺に従え』などの対象の思考を完全に束縛してしまう類のギアスは、
 払うべき対価と成立しない場合のリスクが大きすぎるだろうと選択肢から排除していた。

 だが、別のかけ方によって、同じ効果を発揮できるのならばどうだ?

 結果は眼前の忠実なる僕となったチミルフが証明している。
 その効果と引き換えの代償はあまりに軽微。
 偏頭痛のように絶え間なく響く頭痛も、この駒の入手と比べれば対価と呼ぶほどでもない。

 ――意思を縛るギアスではない。チミルフが勝手に、俺を信頼しているだけのこと。
 そう、結果的に同じになっただけのことだ。まったく、螺旋王は素晴らしい部下を持ったものだよ。


 内心でそう述懐するルルーシュは気付いていないが、ここに二つの偶然があったことを記しておこう。
 それはルルーシュ・ランペルージが自分に運が向いていると、そう自覚している以上の幸運に恵まれていたという真実だ。

 本来、このゲームの参加者達の能力は会場の周囲に張られた結界によって制限されている。
 それは他の参加者に比べあまりにも強大な力であり、万能の魔法であり、絶対遵守の命令をだ。
 この制限下におけるルルーシュ・ランペルージに与えられた枷は、彼の考察がかなり正解に近い。

 だがそのルールに乗っ取って考えれば、『主君を書き換える』という此度のギアス。
 そのギアスは成立する可能性が低く、大きな対価を要求されて然るべき命令であっただろう。
 にも関わらずそれが成立したのは、皮肉にも首輪の機能とその認識の齟齬が関係している。

 制限、従属、支配――それらの言葉の具現として最もわかりやすい見た目の首輪。
 しかし制限に関して限定すれば、能力者の力を制御しているのは結界であり、首輪自体には参加者を縛る能力はない。
 ならば首輪と制限の間には一切の関係性はないのか――それは否、である。

 確かに首輪自体には装着者の能力を縛る機能はない。
 首輪に搭載されているのは、参加者を制限する結界の効果を最大限に発揮するための補助装置である。
 その装置により首輪は結界の能力制限の命令を受け取り、装着者に二重の制限を設けるのだ。
 二重の制限――それは装着者に対し、内側からの力と外側からの力、両方を制限するというものだ。

 例を挙げれば、補助魔法というものがある。
 この魔法の効果を対象の身体能力を強化するものと仮定して話を進めよう。
 首輪をつけたAという参加者が、同じく首輪をつけたBという参加者に補助魔法を使用する場合、
 結界制限の命令を受けた首輪によって、Aの内側からの魔法に対する制限と、Bの外側からの魔法の制限が二重に働くことになる。
 無論、内と外では内側からの力に対する制限、つまり装着者自身の能力を縛る制限の方が強力だ。
 しかし、比較すれば内側の制限に劣る外側からの力に対する制限もまた、そこに厳然と存在している。
 それは首輪の外れたAの補助魔法であっても、首輪の外れていないBに対しては効果を制限させるのだ。
 さらに付け加えれば、首輪はあくまで防護結界の補助装置に過ぎない。
 本当の意味で制限を解除したければ、やはり結界自体を消滅させる他にないのだ。
 首輪の解除はあくまで制限の緩和であり、真に解放されるためには結界の破壊が肝要なのである。

 この首輪の内外二重制限は本来、前述の補助魔法や治癒魔法。そしてルルーシュの持つギアスに対する保険の意味を持っていた。
 ゲームが首輪の頸木が外れた者達の独壇場になることを防ぐための、安全措置といえよう。
 故にルルーシュの首輪が外れたとしても、結界の影響下にある状態ではギアスの本領は発揮されない。
 ルルーシュと相手、両者の首輪が外れている場合ならば、その制限はほんの僅かなものになるだろう。
 だが対象の首輪が外れていない場合、やはり制限の呪縛から逃れることは叶わないのだ。

 しかし、その保険としての首輪の認識が、今回の運命の偶然を引き起こした。
 そう――首輪のない状態のチミルフは、首輪による外側からの力への制限を持っていない。
 彼に対するギアスのみ、ルルーシュは他の参加者に比べ、弱体化した制限、軽減されたリスクしか負わなくて済むのだ。

 もちろんそれでも本来は、内側からの力を制限するギアスによって此度の命令はキャンセルされてもおかしくない。
 その制限があって尚、チミルフの思考を書き換えることができたのは、皮肉にもこの戦場に参加することで得た彼の思考の変化が原因に他ならない。

 この戦場に降り立つ以前、ひいてはこのゲームの開催に携わる以前のチミルフは、今とは比較にならないほど視野が狭かった。
 与えられた任務を達成することに満足し、ただ妄信的に創造主である螺旋王に従い続けるだけの日々。

 その卑小だったチミルフはこの戦いを、そして王の目的を知ることで変わった。
 戦場に降り立つことでこれまで侮っていた人間の力を知り、己の思い上がりを恥じて武人として一皮剥けたのだ。
 だがその一方で彼の心の奥底に微かに巣食ったのは、拭い去れない王への疑念――

 この実験の本来の目的――それが達成された時、王は自分達獣人をその世界でどう扱うのか。
 面と向かっての問いかけに、明確な答えはもらうことはできなかった。
 それでも、それでもだ。チミルフは武人たる己を、忠誠を誓うべき王に見せつけようとしたのだ。

 王の御心が変わることを願って、獣人達の礎にならんと決意を秘めて。

 だがその考えは見方を変えれば、道を示した王への造反の感情に他ならない。
 王の考えは間違っている――それが真実だとわからせたいがために、チミルフはこの作り物の世界の土を踏んだのだ。

 それは何も知らず、己では何も考えず、王の心だけを一心不乱に信じていられた彼を変えていた。
 本来ならば制限に抵触するはずの、王への忠誠というアイデンティティを書き換えられるほどに。


 チミルフが成長したこと、首輪がなかったこと。
 そして首輪に対する考察がいまひとつ真実に辿り着いていないこと。
 これら偶然的な積み重ねがあったことで初めて、この状況は作り上げられている。

 チミルフの忠道を捻じ曲げ、そのために払った対価もあまりにも軽い。
 まさしく、誇りを重んじる武人という存在を嘲弄する、ルルーシュ・ランペルージの認識のままに。

「ふはははははははははは――!」
「失礼ながら、王よ」

 自身に降りかかる幸運の前に衝動を堪え切れず笑う。
 そのルルーシュに畏まった態度で歩み寄るチミルフは、怪訝な顔をするルルーシュの前にレーダーを差し出した。
 そこに描き出された光点の中――こちらに接近してくる光が一つある。それは、

「柊かがみ、か――」
「どうされますか。邪魔な相手であれば……」

 言外に消すという意思を乗せるチミルフに、ルルーシュは黙して指示を考える。

 柊かがみ――詳細名簿から入手している彼女のデータを頭の中に思い浮かべるが、これといった目につく情報のない少女のはずだ。
 平凡な、エリア11となっていない日本からの参加者で学生。
 双子の妹が参加していたらしいが、最初の放送で落命しているあたりから特殊な能力は持っていまい。
 ここまで生き残っていること自体、奇跡的なタイプの少女のはずだが、気になるのは、

「明智が残している考察メモの内容、だな」

 それによれば、柊かがみはこのゲームの序盤からずっと衝撃のアルベルトという男と行動を共にしていたらしい。
 このアルベルトという男の経歴がまた異様で、細かいことを省けば戦闘力やその他の面から見ても危険人物であることは間違いない。
 ――世界征服を狙うテロリストなどと、あまりに美しくない肩書きの持ち主だ。

 そんな男が柊かがみと行動を共にしていた。こういった輩が実利を度外視して保護に回るとは考え難い。ならば――

「柊かがみはこのゲームの中で、保護するに足るような何かを手に入れている、か?」

 それが最も妥当な可能性だろう。
 アルベルトが彼女を殺してそれを奪っていない以上、殺せない理由がある何か。
 ――それは体に埋め込まれるものや、あるいは植えつけられる知識などだろうか。

「どちらにせよ、接触するだけの価値はあるな。チミルフ」
「はっ、いかがいたしましょう」
「交渉は私が自らする。お前はビャコウに乗り込み、有事に備えろ。
 もしも相手が敵対行動に及び、私が危険だと見れば、即座に殺せ」
「御意に」

 差し出されるレーダーを受け取り、ガンメンに乗り込むチミルフを尻目に、周囲のエリアの警戒を怠らない。
 どうやら柊かがみは単独行動のようだ。
 移動の速度も機動兵器に頼っている様子はなく、人間の移動速度の範疇に過ぎない。

 ビャコウの準備が整い、自分の背後に控えるのを震動で感じ取りながら、ルルーシュは悠然と接近する光点を待つ。
 と、どうやら相手もこちらに気付いたらしく、その動きが目に見えて遅くなり、停止した。
 場所はどうやら正面にある木々の陰。そこから狙撃でもされてはたまらないと、ルルーシュはあちらの行動に先んじて、

「待て、柊かがみ。こちらにはレーダーがあり、お前の動向は見えている。
 こちらに敵対する意思はない。大人しく出てきてくれないか?」
「――――」
「事実だ。俺はレーダー以外は無手だし、荷物は足元に置いてある」
「お生憎様。そんなこと言われても、後ろにあるロボットが危なっかしくてとても説得力がないわ」
「なるほど……それは当然だ。だが、背後にいるのは俺の協力者となったチミルフだ。
 螺旋王の直属の部下だった男。それが俺を殺そうとしていない。その情報は使えないか?」

 露出したコックピットからは、その言葉が真実であることを示すようにチミルフの姿が覗く。
 獣人であること、そして首輪が嵌められていないこと、それらは十分にルルーシュの言葉を肯定する材料になるだろう。
 相手も同じ結論に達したらしく、僅かな逡巡の後でゆったりと姿を見せた。

 詳細名簿に記された平凡な内容、その情報と今の彼女の姿は乖離していない。
 身に纏うセーラー服といい、華奢な体つきといい、全てはルルーシュの知る学生と同じものだ。
 肩口にある団長と書かれた腕章の意味はわからないが。

「柊かがみ……で間違いないな」
「そうよ……そのレーダー、私が知ってるとは違うものなのね」
「ああ、君に支給されていたという本物のレーダーの話か」

 歩みが止まり、少女の顔が怪訝の感情によって埋め尽くされる。
 軽い先制のジャブのつもりだったのだが、掴みはOKだろう。

「どうしてそれを、という顔だな。簡単なことだ。情報だよ。
 このゲームにおいて、情報は力だ。俺は少々それに恵まれているというだけのこと」
「人の心でも読めるって言うの?」
「それができれば素晴らしいが、そうではない。支給品リスト、というものがあってね。
 これを見ればどんな支給品があり、それが参加者の誰に配られたものなのか一目でわかるというわけだ」
「ふうん。そんなものまであって、レーダーまで持ってて……ずいぶんと恵まれてるんだ」
「幸いにな。ちなみに詳細名簿というものも持っている。
 これには参加者のかなりパーソナルなデータが記されている。君のことも、初対面よりはずっと知っているはずだ」

 多少ぶっきらぼうな態度なのは、不信感を拭い去れていないからだろう。
 その反応から頭の悪い少女ではないことを感じ取り、交渉の場に臨めるだろうことを確信する。
 案の定、かがみは細めた目に疑念を込めながら、

「そんなにぺらぺらと手の内を明かして、いったい何を企んでるの?」
「相手の信用を得るために、自分のカードを見せるのは当然のことだ。
 たとえ殺伐とした殺し合いの場所だとしても、俺は人として最低限の信念を曲げたくはない」
「信頼を得るため、ね。詳細名簿を見たなら、あなたは私にその価値がないことを知ってるんじゃないの?」

 それは言外に自分には戦闘力がなく、特殊な能力もないことを、無価値であることを示唆している。
 自分の価値を正しく評価し、その上でこちらの意図を質問してきているのだ。
 内心でカレンに似たタイプだと判断し、幾つかの答えの中から相応しそうなものを選んでいく。

「人の価値、なんてものを俺は考えたくない。命は命、それ一つだ。
 こんなふざけたゲームに投げ込まれ、そこから脱出するために協力できる人間は一人でも多い方がいいに決まっている」
「……かっこいい考え方するのね」
「理想論かもしれない。だが、俺はその青臭い正義を貫きたい。
 後ろにいる獣人のチミルフも、俺のそんな考えに賛同してくれた一人だ」

 二人の見上げる視線の前に、チミルフは意を察したように重々しく頷く。
 上出来だ。その態度に幾許かの納得を得たように、かがみはわかったと笑みを見せた。

「疑ってばかりでごめんなさい。ちょっと……色々とあったから」
「妹さんを亡くしていることは知っている。その……俺にも妹がいるから、君の心痛は痛いほどわかるよ」

 そこだけは心から、嘘偽りない言葉。
 もしもナナリーがこのゲームに投げ込まれ、彼女の妹と同じ運命を辿っていれば、もはや自分は生きてはいられないだろうから。
 だからこそ、何を犠牲にしてでも必ず生還してみせる。
 そのために、この女の握っている何らかの重要な情報も必ず手に入れる――!

「誓って言うが、こちらに敵対する意思はない。それにだ――」

 勿体ぶった仕草で前置きし、ルルーシュはそこで一度言葉を区切る。
 ここから先の内容を口頭で説明するのは軽率だ。首輪に盗聴の機能があると考えられる以上、重要な内容は筆談でこそ行うべき。

 黙り込むルルーシュにかがみは眉を寄せるが、ルルーシュが指で首輪を示すと納得の頷きを見せた。
 意図が通じる――つまりは首輪の盗聴機能については既知であり、尚且つこちらの意を察せぬほどに頭は鈍くないらしい。

「俺は今、脱出するための対主催グループを作り上げようとしている。その仲間との合流を急いでいるところだ」
『脱出できるかもしれない方法がある。協力してくれないか?』

 唐突に沈黙が落ちれば盗聴の向こう側で邪推も働こう。
 それ故に口頭と筆談の同時進行を選んだのだが、よくよく考えれば、平凡な女学生には難易度の高い要求だったか。

「確実に信用できる相手なの? 徒に数を増やすのは危険だと思うけど……私が言えた話じゃないけどね」
『脱出法? それとも首輪の解除? どちらにせよ、信憑性のある話と思っても?』

 そのルルーシュの懸念は、地面に書いた文面に即座に返答してきた彼女の対応で霧散する。
 会話、筆談共に違和感のない返事はまさしく、彼女の対応力が一定の水準を超えていることの証。
 頭の悪い相手との会話を嫌うルルーシュにとって、幸いなほどに優れた交渉相手だ。一介の女学生とは思えない。
 ――あまり、察しが良すぎないことを祈るばかりだが。


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267:三獅村祭 チミルフ 269:最愛ナル魔王サマ(後編)
269:愛のままにわがままに僕は君達を傷付けたい(後編) 柊かがみ 269:最愛ナル魔王サマ(後編)



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