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  • 十人十色

十人十色

最終更新:2023年07月03日 10:31

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だれでも歓迎! 編集

十人十色 ◆10fcvoEbko


熱い湯船に身を沈める。
じんわりとした感触が全身に絡み付き、張りのある皮膚と皮膚の隙間に熱が注ぎ込まれる。
苦痛にも似た僅かな違和感が身体中を襲い、すぐに消えた。そうしてようやく湯と体の境界は消滅し緩やかな快感に満たされる。
シャマルはふぅと吐息を漏らした。この二日間の戦いで体中にできた細かい傷がひりひりと痛むが我慢できない程ではない。
体の痛みなど、これから行うことを考えたときの心の痛みに比べれば何でもなかった。僅かでも開放感を得ようと湯船に沈みしなやかな体を伸ばす。
シャマルは今、温泉に入っている。

「優雅なものですね」
浴場にシャマルとは別の声がした。湯船の側に置かれた桶に立てかけられた板から発せられたものだ。
赤と黄の意匠を施されたデバイス、クロスミラージュの声は機械によって合成されたものだが、そこに込められた生々しい感情は人間のものと言っても遜色はなかった。
「そんなにつんけんしなくても良いじゃない。久しぶりの再会なのよ」
なるべく平静を装った。温泉はあちこちに破壊跡が見られ、大木まで飛び込んできているというありさまだ。優雅とは皮肉以外のなにものでもない。
分かってはいたが、相当嫌われている。

「どの口がそれを言うのですか」
それに久しぶりという程時間は経っていません。続けられた険のある言葉にシャマルの心臓がどきりと音を鳴らした。
実際それほど長い時間別れ別れになっていた訳ではない。そもそもティアナの専用デバイスであるクロスミラージュとシャマルとの間に元々大した交流などなかった。
直接の付き合いが無いにも関わらず仲間意識を持っていたのは、管理局と機動六課という空間を共有し同じ任務についていたせいだ。何となく、以上の意味は持たない。
それでもシャマルはクロスミラージュに、まるで一年以上会っていないかのような隔たりを感じた。
それほどまでに大きく開いてしまったのだろうか。この異常と称しても良いくらい雄弁に、感情的になったデバイスと自分との間にできた溝は。
「……そうだったわね。何だか色々ありすぎてシャマル先生変なこと言っちゃった」
余裕を見せようと笑って見せたのが上手くいったかは分からない。
文字通りの四角四面が相手では感触を測ることもできないが、桶に立て掛けられたまま押し黙る様子は苛立っているようにも見えた。
あるいはそれはシャマルの心象を反射しているに過ぎないのかも知れないのだが。
デバイスを、それも元は味方だったそれを相手にプレッシャーを感じる日がくるとは思ってもみなかった。

「それよりもこんなところに私を連れ込んで何をしようというのです、ミス・シャマル。
彼を放って置いてもいいのですか?まぁあなたが暢気に入浴している間に彼が誰かに襲われたところで私は一向に構いませんが」
さすがに探索魔法は怠っていなかった。周囲に人がいないことは定期的に確認している。
ヴィラルはもう暫く眠っているだろう。冷やさないよう布団だけかけて半ば放置するような形だが、今はできるだけ休んでいて欲しい。
「言ったでしょう、話をしたいって。あの人に聞かれないところでね」
シャマルの白い肢体に朱が刺さる。立ち上る湯気のせいばかりではない。
首筋をつうとつたう汗を手触りの良いタオルでぬぐった。

「……私も今更だと言ったはずです。あなたに何があったかは知りませんが」
流石にいつまでも嫌味ばかりでは大人げないと思ったのか、クロスミラージュの口調が幾分か落ち着いたものに変わった。
意を決し、改めて口を開く。これまで自分について、そしてこれからの自分について語るために。
シャマルが、シャマル個人として歩きだすために。
「私はもう管理局には戻れない。戻るつもりもないわ」
無表情な機械を前にシャマルは語る。自らの覚悟を。犯してきた罪を。
もはやかつての自分の居場所には戻れないという、過去と決別するための言葉を。
クロスミラージュは終始無言だった。気持ちは固めてあったはずのシャマルの心が圧迫される。
せめて表情だけでもあってくれればいいのに、そんな思考さえ頭をよぎる。
ひどく、辛い。けれど止めることは許されない。
熱にうなされたような心持ちで口調が若干早まった。のぼせるのを恐れるようにそそくさと湯から体を出し縁に座る。

火照った体を包むように身にまとっていたバスタオルの胸元をきゅっと縋るように握った。
唐突に海鳴市にあったスパリゾートのことを思い出す。
家族みんなで何度も通った、楽しい思い出の詰まった施設だ。機動六課に入ってからも、任務の途中で一度行った。
いやだ、いやだという言葉に頭が埋め尽くされそうになる。折れそうになる心を必死で支えながらシャマルは言葉を続けた。
語らなければならない。挫けることなど許されない。シャマルの両手は既にいくら洗っても落ちない罪に塗れている。
もう引き返せなかった。やり直すことなんてできはしないのだ。
やり直すことなんて――


◇


「――やり直すことなんて、ほんとにできるのかな。あたし」
放送の後、ずっと黙りこくっていたままだった舞衣が唐突にそんなことを言い出した。
「あん?」
返した声が妙に裏返ってしまったのは、ルルーシュの死に思った以上に気をとられていたからかも知れない。
ニアの伝言は本人が直接伝えることになりそうだ。瓦礫の道を歩きながらスパイクそう思った。
「あ、ご、ごめんね!変なこと言っちゃって。せっかく大見得切ったばっかだってのに……はは」
「いや……変に溜め込まれるよりは助かる。楽でいい」
舞衣の弱気が騒ぎ出したのはやはり唐突に設けられた12時間というタイムリミットが原因だろうか。
奈緒の埋葬から休む間もなくジン達との合流を急ぐ羽目になっているのもそのせいだ。
焦るなと言う方が難しいのかもしれない

「何て言うかこのあたり、ぐちゃぐちゃでしょ?ここってちょうどあたしが……その、暴れちゃった、場所、なんだよね」
「お前って思った以上に凶暴だよな」
「は、はいぃ!?落ち込んでる女の子に向かってそういうこというかな、普通!?」
スパイクの軽口に目を白黒させて驚きの表情を作る様は年相応の女の子のものだった。そのことに少し安堵する。
舞台は悪い方へ転がる一方だが、余裕まで失っては本当にお終いだ。スパイク一人の問題なら口笛でも吹きたいところだが、子供連れではそうもいかない。
それくらい元気があれば大丈夫だ、スパイクがそんな内容の言葉を口にしようとしたとき先んじるように別の声が上がった。

「だ、大丈夫です舞衣ちゃん。あ、いや大丈夫っていうか……その、私も一緒に頑張ります!だから、負けないでください!」
必死で声を張り上げたのは最後尾をちょこちょこと着いてきていたゆたかだった。
言っていることは多少まとまりに欠けるが、下手に理屈をこねるより余程効果的だろう。
同じ傷を抱える者だけが相手の痛みを分かってやることができる。時には傷の舐めあいと揶揄されることもあるが、必要な時だってある。
果たしてゆたかの言葉は舞衣を元気付けることに成功したようだ。

「あ、あはは……そうだね。ゆたかちゃんの言う通りだ。ごめんね、あたしばっかり弱気になって。その……放送もあったばかりなのに」
一度は生存を知った高嶺清麿という少年がやはり死んだと聞かされたことは、確実にゆたかの小さな心を削り取っているはずだ。
「はい……それでも、私は皆を……皆と……」
「うん……もういいわ。分かった、ありがとう。一緒に頑張ろう、ね?」
消え入りそうになるゆたかを舞衣がぎゅうと抱きしめる。
力強く、それでいてとても柔らかに抱き締めあう二人はまるで実の姉妹のようにも見えた。

「――過去ってのはな、やり直すとかやり直さないとかそういうもんじゃねぇんだ」
落ち着きを取り戻し再び歩き始めた舞衣にスパイクは語る。
「え?」
「自分で仕切り直しだ、新しいスタートだなんて思ってみたところで、過去ってもんはそんなもんお構いなしに向こうからやってくる。こっちの都合なんてまるで気にもせずにな」
「うん……そうね」
「結局丸抱えで生きていくしかないのさ。とんでもねぇ失敗をして、それでも生きていくつもりならな……俺に言えた義理じゃないがな」
醒めない夢も、いずれは醒める。夢を見続けることはできない。教訓だ。
「抱える……」
どちらともなく二人が呟いた。
「引きずるんじゃない、持っていくのさ……俺が昔やったとびっきりの馬鹿な話を聞かせてやろうか?」
「い、いいわよ!何か……重たそうだし」
「わ、私も何も言えなくなりそうです……」
半分以上冗談のつもりだったのだが全力で拒否されてしまった。一体どんな想像をしたのか。
そんなにワルに見えるかねぇ、とスパイクは口許を歪ませる。

「だろ?そういうもんは誰も聞いちゃくれねぇし、聞きたくもない。
好んで首を突っ込みたがるお人好しは……まぁほんのたまにしかいないな。けどそれでいいんだよ。その方が――」
「その方が……?」
意味ありげに間を置いたスパイクに二人がつられて聞き返す。
スパイクは言った。本気なのかふざけているのか分からない、舞い落ちる葉っぱのような捉えどころのなさで。
それは、普段通りの自由に宇宙を駆け回るカウボーイの口調だった。
「良い女になれる。なんてな――」


◇


――私は駄目な女だ。シャマルはそう思った。
放送を間に挟みつつ思いの丈は全て語った。告げられたタイムリミットのこともある。もうこんなところでぐずぐずしてはいられない。
それなのに、シャマルは未だ動けずにいる。機械の言葉に足を止められている。
「残念ですが、私にはあなたのしていることは『逃避』であるとしか思えません」
クロスミラージュからの賛同は得られなかった。元より同意を得ようとは思っていなかったが、正面からの否定はやはり胸を突く。

「仲間を、主人を失い再起するために誰でもない自分のための道を選ぶ。それは良いでしょう。
 僭越ながら私も同様の経験をしました。多少なりともお気持ちは理解できるつもりです」
力強い言葉だった。良く喋るようになったのはそれだけこのデバイスが成長したからだと、そう思わせるだけの強さがあった。
それを嬉しいと思う気持ちが純粋な喜びなのか、それともクロスミラージュの言う逃避の一貫なのかまでは判別できなかったが。
「先ほどの放送――本来ならこうしている時間も惜しいほどですが――によればあなたがたの直属の上官であるチミルフという獣人も、
協力者であるルルーシュという人間も共に死亡したようです。
恐らく残っている人の中で正面から他人を害しようと動いている者はもうあなた方だけなのではないでしょうか?
それでも彼と共に行くのが貴女の選んだ道なのですか、ミス・シャマル」
死者の情報はそのまま生者の情報にもなる。もたらされた情報は両者にとって悲喜入り交じったものだった。

「分かって欲しいとは思わないわ。けど知って欲しかったの。私がもうあなた達と一緒にはいけないってことを……」
言いたいことは全て伝えられた。拒否されてもきちんと決別することもできた。
やるべきことは済んだはずだ。なのに。
「色々と納得いかない部分もありますが……貴女が本当に覚悟を決めた上で決断したと言うなら、私から言えることなど何もないでしょう。
ですが、本当にそうなのですか?」
「何を……言っているの?」

何故自分はこんなか細い声しか出せないのだろう。クロスミラージュの言う覚悟なら持っていたはずなのに。
「あなたは失意の底にあって、そこで自分に対し盲目的な愛情を注いでくれるヴィラルという存在にただ逃げ込んだだけなのではないですか?
失礼ですが、私には彼と共に歩むという口当たりの良い言葉を隠れ蓑に思考停止をなさっているようにしか見えません。
私の知るシャマル女史は聡明な方です。その貴女が自ら選んだにしては……
その選択はあまりにも誤りに満ちていると言わざるを得ません」

「そんな、そんなことはないわ!私は本心から彼と一緒に行くって決めたのよ!彼は私を愛してくれたし私も彼を……愛、したから」
「愛……ですか。私はもっと幸せに満ちた感情だと記憶していましたが……」
一瞬目がちかっと光って、シャマルは反射的にクロスミラージュを水浸しの床に叩きつけていた。飛沫が飛び散り、何の意思表示かデバイスの表面が僅かに明滅する。
激しい感情の波は一瞬で去り、入れ替わりに襲ってきたのは強い後悔だった。
「あ……ご、ごめんなさい」
「いえ、慣れています。私も言葉に配慮が足りませんでした。申し訳ありません」
自分より数段冷静な謝罪の言葉により一層惨めな気持ちが強まる。
いやな沈黙が訪れた。湯の流れるざあざあとした音が大きくなった。
「ミス・シャマル」
先に声を発したのはクロスミラージュの方だった。自分から沈黙を崩すことさえ、シャマルにはできなかった。

「……なに?」
「私がこちらにきて多大な影響を受けた人物がいます。先ほどあなたがたが戦った、カミナという男です」
「……何が言いたいの?」
「また既に亡くなられてしまいましたが明智健悟という方もまた、機械である私に道を示して下さいました。
両者はこの苦境にあって、決して折れず、曲がらず進むべき道を誤りませんでした」
「……」
「あなたにもできるはずです。ミスシャマル。せめて、あなたが本当に為すべきことを……」
クロスミラージュはそれきり黙ってしまった。
言いたい放題言われた格好のまま、シャマルはそれでも返す言葉が見つからない。
頭が何かを訴えるようにジン、と痺れささくれた心がざらざらと痛む。混乱の理由は分からない。
シャマルは固い決意で今の道を選んだ、はずだ。

(本当に為すべきこと……ですって?)
既に為しているはずだ。理解は求められないとはいえ、シャマルはシャマル個人としての意志に基づいて行動している。
だからきっと、もう迷う理由は、ない。
シャマルは、愛しい獣人と共に行く。それ以外は考えたくない。それだけで良い。
今更言われるまでもなく、シャマルはシャマルの為すべきことを――


◇


「――で、為すべきことは見つかったか?雑種どもよ」
新たな決意を秘めた五人の人間に英雄王ギルガメッシュが対峙する。
当初の目標であるギルガメッシュとの合流は早々に叶った。向こうもこちらを探していたらしく、それだけ見れば運が向いてきているともとれる。
だが、とねねねは歯噛みした。
先頃行われた放送で事態は急激に変化してしまった。
危険人物と目していた者達がほぼ一掃される形となったのは良い。敵とはいえ師である東方不敗を亡くしたことにドモンはかなり堪えているようだが、どうにかこらえてくれている。
「苦しいのは俺だけではない。今はこの辛さを拳に込め敵へとぶつけるのみだ」
痛いほど拳を握りしめながらも、そう言ってくれたドモンにねねねは素直に感謝したいと思う。

だが、それ以外はおよそ最悪と言って良かった。
「螺旋王はとうとう痺れを切らしおったぞ。実に器の小さきことよな。だがこうなってはいかに寛大な我とて、そういつまでも貴様らの座興を待ってはやれんぞ?」
12時間のタイムリミットは痛恨の極みと言う他なかった。焦っては螺旋王の思う壺と知りつつ、思考が滑るのをねねねは自覚せざるを得ない。
様々な疑惑と、脱出に必要な道具を持ったルルーシュがいずことも知れぬ場所で死亡したこともまた大きな痛手だった。
「お生憎さま……ちょっと手違いがあってね。もうちょっとかかりそうだよ」
「疑惑のど真ん中にいた奴が死んじゃって、真相は丸ごと藪の中ってね。スパイク達もこっちに来てるのかい、ギルガメッシュ?」
ギルガメッシュとまともに会話する気があるのは、ジンとねねねだけのようだった。
ドモンは不快を隠そうともせずそっぽを向いているし、ガッシュは頑張って表に出さないようにしているようだが明らかに怖がっている。
スカーは、そもそもこいつは誰かと会話しようという気があるのだろうか。

「知らんな。いずれ我の威光に縋るしか能のない連中よ。放っておいても勝手について来るであろう」
「なるほど。合流には困らなさそうだ。この辺は見張らしも良いしね」
ねねねは考える。今打つべき最善の一手を。
明智や清麿のような天才どもの真似をする必要はない。必要なのは作家であるねねねだけが発想できる最良の一手だ。

「そんなことはどうでも良い。聖杯との約束もある故、貴様等がそれに足るだけのものを持ってくれば我も考えてやろう。
だが王ドロボウよ、我が財を持つことは許さん。其れは貴様のような下賎の者が触れて良いものではない」
「あれ、何のことだろ。俺にはさっぱり」
「ってなんだよジン。お前ほんとに泥棒してたのか……」

あからさまに惚けて見せるジンにねねねは肩を落とした。泥棒は肩書きだけではなかったらしい。
これ以上変にこじれるのも嫌でねねねは返してやんな、と投げやりに告げる。
実のところギルガメッシュの突き刺すような深紅の瞳はねねねだって恐ろしい。
我慢していられるのは出所不明の意地と、気恥ずかしいから言葉にしてやらないなんやかんやがあってのことだ。
同じ視線に射抜かながらも変わらず空っ惚けられるこいつは真実大物なのだろう。
頼もしい限りだが、それはそれとして泥棒は犯罪だ。一応こればっかりはギルガメッシュに理がある。
「お姉さんまでそんなこと言う?信用ないね、俺って」
「んなこと知るか。持ってないならいいがそうでないならとっとと返せ。世間の常識だ」
「ドロボウに盗ったもの返せなんてお姉さん結構酷いこと言うね」
「持ってるのかよ」
「あら」
こんなところでふざけている余裕はなかった筈なのだが。
いつの間にかペースを乱されてしまう。王ドロボウの名前は伊達ではないということか。
同時にねねねは肩に力が入りすぎていたことを自覚した。焦ってはいけないと自戒したばかりなのに、まったく情けない。

「さてどうする。大人しく我の財を返すか、我によって誅されるか。貴様の異端の王道に免じて選ぶことを許そうぞ」
ギルガメッシュの尊大な、寒風のように冷たい言葉に一気に緊張が戻った。腹の底がきゅうっと締まる感触に耐える。
事を急いではいけない。だが同時に決断の時期を見誤ってもいけない。
重要なのは。
「ドロボウらしくとんずらするっていうのはどうだい?」
「相も変わらぬ減らず口よ……一つ言葉をくれてやろう、雑種ども。我の言葉、一言一句聞き漏らさぬよう心せよ」
五組の視線がギルガメッシュへと注がれる。
このカリスマ性、そしてそれを裏打ちする能力がねねねはどうしても欲しい。
あらゆるものを蹂躙する王の力がねねねの脚本にはどうしても必要だ。
だが、今はまだそれが叶うときではない。

「――王は決断を誤らぬ。そして全ての結果を平等に受け入れる。王足り得ぬ身でどこまで足掻けるか、我にとくと見せてみよ」
そう、重要なのは決断する力だ。
いつどのような決断を下すのか、その選択を違えてはならない。
ねねね達は既に水際へと追い込まれている。ここからは一手足りともミスは許されない。
ねねねは固く拳を握る。
必要なのは選択と決断。
過たない、選択――


◇


――私は選択を誤ったのでしょうかと、クロスミラージュは誰に言うでもなく一人思った。
既にシャマルは入浴を終えクロスミラージュは彼女の道具として身に着けられている。デバイスとして使用された場合拒否権はない。
結局、シャマルの心はより一層強固に閉ざされてしまった。
クロスミラージュは間違ったことを言ったつもりはない。
だが他に言い様があったのではないか、彼女の心に届くような言い方があったのではないかと、その点に関しては忸怩たる思いを抱えている。

多元宇宙云々の話をするつもりはあまりなかった。
今の彼女にあたかも「代わりがいるから大丈夫」とも取れる言説を吹き込むのは危険なように思える。影響が予想出来なさすぎてクロスミラージュは口を閉ざした。
シャマルはヴィラルと出立の準備をしている。ヴィラルも一応放送は聞いていたようで禁止エリアがどうのという話をしていた。
「やはりチミルフ様は戦死されたか……行こうシャマル。ここが禁止エリアになったのも螺旋王から俺達への叱咤だろう。ぐずぐずしていられん」
「はい」
二人はまだ戦い続けるようだ。彼ら以外の全員を相手にした戦いを。
グレンとラガンという巨大兵器を持ちながら、クロスミラージュは二人に勝機があるとはどうしても思えなかった。
仲間もなく上官も失い、それでも互いのみを支えとし愚直に主人の命令に従う二人がクロスミラージュにはひどく悲しく見えた。
放送によるとニアが死んだという。螺旋王の居城へ転移する作戦もこれで実現は難しくなった。だが、クロスミラージュの電子の心を占めているのはそのことではない。
螺旋王の娘でありながら、誰彼なく屈託のない笑顔を振りまいていた彼女なら、ヴィラルと同じ陣営に属する彼女ならあるいは架け橋となることができたのだろうか。
今となっては想像することしかできない。

本来自分にはシャマルに対し偉そうなことを言う権利などないのだ。仲間と主人を亡くすという同様の境遇に陥った二人の間で違っていたのは、運でしかない。
たまたま誰と出会ったかというそれだけの違いだ。
もし自分がヴィラルに拾われていたら、仮にそう考えるとシャマルに対しさっきまでのような悪感情は持てなくなった。
だからといって今のシャマルを肯定することはもちろんできないのだが。
シャマルとクロスミラージュの間を阻む壁は大きくなり過ぎてしまった。最早、言葉も届かないだろう。

その壁がどうすれば壊れるのか、クロスミラージュには分からない。それだけの力がない。
そうして思い浮かべるのはやはり一人の男の顔。
(カミナ。あなたならこんな場面もどうにかしてしまうのでしょうか)
やはりと言うべきかどことも知れぬ場所に飛ばされてしまった男は生きていた。
無理を通して道理を蹴っ飛ばす。自分にはまだ荷が重いようだ。
打つ手なしと、グレンとラガンの起動に向かうシャマルの懐で揺られながらクロスミラージュは沈黙する。今は、推移を見守るしかない。
カミナはどこにいるのだろうか。
ありとあらゆる壁を、困難をぶち抜く可能性を秘めたあの男は――


◇


――男は一人歩き始める。
放送を聞き、タイムリミットの存在を知ってもカミナの魂が揺らぐことはない。
「ニアは死んだ。ジジィもやっぱり死んでた。チミルフの野郎もどっかでおっ死んじまいやがった。ヴィラルとグレン団の連中はどこにいるか分からねぇ」
カミナは自分の目で見たことしか信じないが、不思議と夢の中で会った仲間のことは信じることができた。
奴らは、やはり死んだのだろう。リーダーであるこのカミナ様を置いてきぼりにして。
元より困難などカミナの周りをいつも取り囲んでいる。一枚増えたところで変わらない。突き破るべき壁が増えるだけだ。
カミナはカミナ自身の道理に従い、存在する全ての壁にドリルを突き立て続ける。
地上への天井もそうしてぶち抜いた。グレンラガンもそうやって手に入れた。
カミナの生き方は、単純な故にぶれる余地がない。
もしカミナに破れない壁が現れたとしたら、そのときはそれまでのことだ。先はない。
先のないことなど考える必要はない。
だからカミナは突き進む。彼と、彼の仲間が一丸となっても破れぬ壁が現れるその瞬間まで。

「さぁて、どっちに行こうかねぇ」
男の未来に待つのは果てなき螺旋の輝きか、それとも――


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274:宴のあと シャマル 281:十人十色(状態表)
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279:散り行く者への子守唄 ギルガメッシュ 281:十人十色(状態表)
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277:最後には幸せな結末を(後編) ガッシュ・ベル 281:十人十色(状態表)
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277:最後には幸せな結末を(後編) スカー(傷の男) 281:十人十色(状態表)
277:最後には幸せな結末を(後編) ドモン・カッシュ 281:十人十色(状態表)
278:Soul Gain カミナ 281:十人十色(状態表)




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