シスタープリンセスを追え ◆6lyiPawAAI



追う者と追われる者、一体どちらが有利であるか。
追われる者の所在がはっきりしている場合、それは断然追う者である。
追う者はひたすら追われる者を追跡すればいいが、追われる者はどうやったら追跡から免れられるか考えなければいけない。
追われる者の所在がはっきりしていない場合はどうか。
こちらは前者に比べて追われる者の行動が自由になる分、両者の力量に左右される。

今回の状況ではどうか。
追われる者―――ユーフェミアが追う者―――ゼクスに対して圧倒的に有利だった。
まず、追跡が始まる時点ですでに両者の間には相当な距離が開いていた。
さらに、ゼクスはヒイロからの言葉によってそこまで遠くへは行ってはいるまいと周囲の探索に力を入れていた。
実際にはユーフェミアはまっしぐらに南東へ向かっていたのだが。
真っ直ぐに南東へ向かう軽傷のユーフェミアと周囲の探索を行う重傷のゼクス。
そういった条件が重なって今の状態があった。
所謂、見失ってしまったと言う事だった。

状況は最悪。探し人が見つからぬままに時は過ぎ、次第に焦燥へと駆られていく。
自らの朽ち掛けた身体を叱咤し、せわしなく周囲を見渡すもそこに何人の姿すら認められはしなかった。
ここまで見つからないとすれ違って橋に戻ったか、東の方へ向かってしまったか。
あと周囲で探していないといえば、路地裏ぐらいなものだろうか。
そこにもいないのであれば、遠くまで行く必要がある。
ゼクスはそんな考えを抱きながら、路地裏に足を踏み出した。

「リリーナの二の舞にはしたくないものだな……」

妹であるリリーナは一目すら見ることも適わずにその死を伝えられた。
それによって一時は自棄になったかのごとく、リスクを考えない情報提示を行ったこともある。
そんな時に現れたのがユフィ。ユーフェミア・リ・ブリタニアだった。
紆余曲折を経た今、ゼクスは彼女を対主催の旗頭となるべき重要な存在だと位置づけている。
その思考に至るまでにリリーナの影が少しも入らなかったと言えば、嘘になるだろう。
立場や思想においてユフィはリリーナに似ている。
そんなユフィを守る事がリリーナへの贖罪につながるのではないかと心の奥底で考えていた。

「決してユフィをリリーナの代わりとして見ている訳ではない。だが……」

あのような空虚な想いをまた抱くぐらいならば、身命を賭して守り、散っていく方が何倍もマシというものだ。
失うという恐怖に脅かされ、ゼクスは足を速めていく。

◇ ◇ ◇

蒼崎(荒耶)、士郎、美穂子の3人は西へ向かっていた。
正確には橋の向こうにいるはずのグラハムたちの下へと。
橋を越えた先のどこにいるかまでは不明だったが、まず薬局へ向かうはずだと美穂子は言う。
薬局には治癒魔術による治療サービスがあると言う事を端的に説明する。
サービスが分からないにしても、常識で考えれば薬局に向かうだろうと言う事も付け加える。
美穂子も数時間前に同じ行動を取っていたのだから。

目的地、そしてすべき事が分かっているのであれば、後はそこへ向かって一刻も早く向かうだけだった。
だが、ここに来て問題となったのは向かう人間の体力である。
ビルの倒壊に巻き込まれた荒耶は時間の経過で余裕があるにしろ、直前の戦いに巻き込まれた士郎と美穂子の身体は限界に近い。
美穂子は当然のことながら少しは鍛えている士郎であっても、ライダーや信長と言った超人と渡り合うには圧倒的に能力が不足していた。
それを魔力や能力で強引にカバーしてきたのだから、その後の行動に支障が出るのは無理もなかった。
少なくとも駆けるなどの激しい行動は取れそうにない。

その為、早歩きのような形で向かうしかなかった。
士郎は無理してでも駆けようとしてはいたが、そもそも荒耶が先導していてペースを上げようがない。
おまけに焦る度に美穂子から声を掛けられるので、どうにももどかしい状況にあった。
そのまま路地裏を歩き、数分を経過した頃、荒耶が足を止めた。

「どうしたんだよ蒼崎、早くしないと黒子が!!」
「落ち着け。誰か来るぞ」
「……なんだって?」

足を止めた荒耶を見咎める士郎だったが、続く剣呑な言葉にその視線の先を辿る。
路地裏という光の当たりにくい空間、そして時間は夜ということもあって何もない様に見えた。
しかし、次第に誰かが駆けて来る音、苦しそうな息遣いが近づいてくるに至ると警戒の姿勢を取る。
美穂子もそれに続いたが、荒耶は難しい表情のまま立ち尽くすだけだった。

数十秒の後、正体不明の人物は士郎たちの目の前に現れた。
士郎はその姿を見ると警戒を解いた。
その人物はゼクス・マーキス。士郎とも対主催の枠組みの中で知り合っていたからである。

「ゼクス!!」
衛宮士郎か!」

こうして両者の遭遇は穏やかに終わった。
……かに見えた。

ゼクスの視界に映った一人の少女。
福路美穂子
自分の左腕を奪った人間。

「!!」

その驚きの声は誰のものだったか。
気がつけば、ゼクスは拳銃を美穂子に向けていた。
一瞬、顔を驚愕に染める美穂子であったが、その相手を見ると左腕が酷く損傷した人物。
おそらく狂気に染まった自分が襲い掛かった人だと気付く。
その時の記憶はおぼろげではあったが、片腕を奪ってしまった人がいるという事は覚えていた。
そのまま数秒が経過し、緊張がいつまでも続くかと思った時。

「あの、すみませんでした!!」

突然のお辞儀。
その角度たるや45度を越えようかという、所謂最敬礼。
いきなりそんな動きをしようものなら撃たれても文句は言えないが、ゼクスは撃たなかった。
以前戦った時との表情の変化、衛宮士郎が共にいる事、そして拳銃を向けて数秒経って尚反撃に出ない事から正気に戻ったのだろうと判断したのだった。

「どうやら正気に戻ったようだな」
「はい。衛宮君のおかげです」
「……という事だ。衛宮士郎、私は別に戦闘をするつもりはない」

ゼクスは美穂子と多少の問答をした後、いきなり銃を向けた自分の隙を窺っていた士郎に銃を下ろしながら声を掛ける。
士郎はその言葉に臨戦態勢は解くが、心中穏やかではない。

「ゼクス、いきなり銃を向けるなんて酷いじゃないか!!」
「すまない。だが、こちらもまだやる事を残した身だ。石橋を叩く様な慎重さが必要なのだ」
「だからって……!!」
「いいのよ、衛宮君」

ゼクスに噛み付く士郎を制止する美穂子。
そして一歩前に出てゼクスを正面から見据える。

「正気でなかったとはいえ、あなたの片腕を奪ってしまった……その罪は償うつもりです」

そこにあるのは固い決意。
ゼクスは少しの間でこれほど変わるものかと内心感嘆する。

「ふむ、そうだな……もう間違わないと約束できるか?」
「……はい。ここまで何回も間違ってきた私ですが、もう間違わない。間違った道に向かってなんかやりません」
「ならば良い。後は我々と共に主催に立ち向かってくれるのであれば言う事はない」
「もとよりそのつもりでした。あの、本当にそれだけで良いのですか?」

美穂子は不安を浮かべた表情で問う。
片腕を奪った人間に対し、これから過ちを犯さずに自分たちと共に戦ってくれるだけでいいというのは極めて安易に過ぎるのではないかと思えた。

「それだけで良い。憎むべきはこの場であって君ではない。好きで狂ったわけではないのだろう?」
「……それはもう」

美穂子の脳内を巡る過去の記憶。
そのほとんどが悲惨なものだった。
過ちと悲しみの先にたどり着いた場所が狂気。
ただそれだけの話だった。

「そう、誰も好きで狂う訳がない。だからこそ、この醜い争いを止めなければならない。
 覚悟のない者に戦いを強制するような者達は倒さなければならない。
 今までに散っていった参加者の為にも、な」
「……分かりました。微力ながら私もこの殺し合いを止めるために力を尽くします!」

その言葉を聞いたゼクスは満足そうな表情を浮かべる。
こうして両者の遭遇は多少剣呑ながら惨事を生み出すことなく終わった。

◇ ◇ ◇

遭遇を終えた後、簡単な自己紹介を互いに行った。
といっても士郎は全員の名前を知っているし、他三人も士郎の事は知っている。
そんな訳で士郎を飛ばして美穂子、ゼクスの順で紹介を行っていく。
そして―――

「蒼崎橙子。魔術師だ」
「……貴女は何者だ?」

今まで静観を貫いていた荒耶が語ると、ゼクスはついにその言葉を発した。

「見た所、首輪がついていない。そして語る名前は名簿に載っていない。
 衛宮士郎、君は素性を確かめた上で彼女と同行しているのだろうな?」

ゼクスがその舌鋒を向けると、士郎はばつの悪そうな表情を浮かべる。
そして、多少迷った末に口を開いた。

「実は黒子を助ける為に急いでいて細かな話はしていないんだ」
「確かめもせずに信用できるのか? 君たちを罠に嵌める為に同行しているとも限らない」
「……でも! 蒼崎はデパートの屋上から飛び降りた俺たちを助けてくれたんだ!
 それに、黒子も助けてくれるっていうんだ。信用するしか……ないじゃないか」

そう言い切るや、沈痛な面持ちで俯く。
衛宮士郎はすでに「選択」してしまった。
他者を見捨てて黒子を救うという「選択」を。
全てを救う正義の味方になるという衛宮士郎の根幹を揺るがしてまで選んでしまった以上、もうその道を進み続けるしかなかった。

ゼクスはそんな士郎の様子を見て、軽率な発言をしてしまったかと悔恨を抱く。
気を取り直して再び荒耶に眼を向ける。
この女性は目の前で自分が信用できるかできないか問われているのに、表情一つ変えようとしなかった。
本当に士郎を助ける気があるか、はたまた士郎がこう語る事を予測していたか。
いずれにせよ、薄ら寒い物を感じる佇まいだった。

「……信用して良いのだな?」
「私は魔術師だ。契約を破るような愚はしないさ」

魔術師、契約。
ゼクスにとっては馴染みのない単語であった為、自分よりその方面に詳しいであろう士郎を再度見る。
士郎は大きく頷く。まるで問題ないというかのように。

「そうか……ならば、これ以上は問うまい」

こうしてお互いの紹介は終わった。

◇ ◇ ◇

これまでの問答の末に、お互いに時間がない事を悟ったゼクスは話を進めていく。

「ユフィ……ユーフェミアを知らないか?」
「ユーフェミアっていうのはゼクスと一緒にいた人の事でいいのか?」

ゼクスの問いに答えるのは士郎。
他の二人はユーフェミアと直接会ったことがない為、必然的にその形となる。
士郎の言葉にゼクスは頷く。

「悪いけど、橋でゼクスと別れてから見てない」
「そうか……」
「……なぁゼクス。そのユーフェミアって人はあんたがそこまでして救いに行く程の人なのか?」

その声色からゼクスは悟る。
ヒイロからの言葉、先ほどの黒子を助けるという言葉。
おそらくユフィが白井黒子を撃ってしまったのだろう。
目の前の衛宮士郎は白井黒子と随分仲が良い様に見えた。
怒るのも無理はなかろうと感じた。
だが、こちらにも彼女を求める事情がある。

「彼女は妹に似ているんだ」
「……妹?」
「ああ。リリーナ・ドーリアン。最初の放送で呼ばれた私の妹に」

ここで士郎も悟った。
ゼクスは守れなかった妹の分まで、似ているというユーフェミアを守ろうとしている事に。
実際は対主催の旗頭に最適だという存在としての重要さも含まれていたのだが、士郎には知る由もない。
ゼクス自身もそれでは士郎が納得しないと考え、あえて妹の名を出した。
それが奏功し、急激に士郎の勢いが薄れていく。
その時、士郎の脳裏には雪のように白い髪がよぎっていた。

「衛宮士郎。彼女の催眠が解けたら必ず謝罪に向かうと約束する。
 だから今は許してやってはくれないか?」
「……ゼクスがそこまで言うなら、俺は別に」
「すまない」

これで、一通りの話は済んだ。
情報がないのであれば今度は遠くを目指すしかない。
長居は無用とゼクスは別れの言葉を告げて足を東へ向けようとした。

「……南東だ」
「何?」

方角を示す言葉にゼクスは再度向き直る。
言葉を発した荒耶に。

「ユーフェミア・リ・ブリタニアは南東に向かった。今はE-5の南東あたりにいるだろう」
「……何故、そんな事が分かる」
「話せば長くなるが?」

荒耶の突然の言葉に思わずゼクスは問いかけるが、当の荒耶ははぐらかして話そうとしない。
ゼクスとしては問い質しておきたい所ではあったが、時間がないという事もあり断念せざるを得なかった。
その役目は同行する二人に任せる他ない。

「分かった。南東へ向かう事にしよう。他には何もないだろうか?」
「ふむ……そうだな。お前が向かう南東にはユーフェミアの他に複数名の対主催チームがいる。
 出来ればその面々をここから東にあるデパートに差し向けてもらいたい」
「デパートに? そういえば、東の方から爆発音が聞こえたが、それと関係しているのか?」
「ここにいる衛宮士郎の仲間が残って戦っている。そうだな、衛宮士郎?」
「あ、ああ。ゼクスも知っているだろうけど、橋で集まった2人だ」
「ヒイロたちか……分かった。出会う事が出来たのならば救援を頼む事にしよう」

その他にヒイロたちが戦っている相手が先ほどまでのライダーではなく、織田信長一方通行である事も伝えた。
一方通行の名を聞いてわずかに眉を顰めたゼクスだったが、聞く事を聞いた後には今度こそ別れを告げて一人南東へ向かっていった。

◇ ◇ ◇

(思いのほか、多くの情報が得られたな)

ゼクスは先ほどの邂逅を回想する。

改心したという福路美穂子。
その瞳には強い決意が灯っていたし、もう並大抵のことでは揺るがないだろう。
少女の姿をしていても、軍人である自分の片腕を奪うほどの力を持つ参加者だ。
敵に回すと厄介だが、味方になってくれるのであれば頼もしいだろう。

殺し合いに乗ったという一方通行。
この場所に来て初めて出会った相手。
殺し合いが始まってから数時間ほどは共に行動していたが、攻撃的な性格をしているとはいえ決して殺し合いに乗るようなタイプの人間ではなかった。
別れてからすでに半日以上、彼の身に一体何があったのか。
ユフィと同じく催眠に掛けられているという可能性も考えられなくはない。

南東にいるというユフィと複数人の対主催チーム。
蒼崎橙子の口ぶりからして両者は共に行動しているのではないのだろう。

まず、ユフィについて。
そもそも、日本人が多いこの地でユフィと行動を共にできる人間などたかが知れている。
催眠を解くには「枢木スザク」という人物か、何らかの方法で催眠を解除できる人物が必要になる。
ユフィは段々と通常の自分とのギャップに気付きつつあり、精神的に不安定な部分が垣間見られてはいた。
あの場面ではああする他なかったとはいえ、ユフィから目を離したのは非常にまずかった。
早急に探し出して催眠を解く。
これが急務といえる。

転じて対主催チーム。
ゼクスはこの時点で徒党を組んだ対主催のチームはグラハムを中心としたものしか知らない。
グラハムチームとデパートのマーダーを抜くと他に14人ほどになる。
その中のどれほどの数がいるか、どのような人物がいるか。
ユフィを止める事が出来なかった時を考えて、そのチームを束ねる人物が対主催の旗頭になり得るかどうか見極めてみるのもいいかもしれない。
打診された救援要請にはそこまでこだわる気はない。
救援を頼んだとして間に合うのか疑問である。
ヒイロたちが死ぬにしろ逃げるにしろ、状況は終結している可能性が極めて高い。
そこに向かわせるのはむざむざ対主催の人間を死にに行かせるようなものだ。
蒼崎橙子もそれは分かっているはずだが、衛宮士郎を抑えるためか、はたまた分かった上で言っているのか。

そして目下最大の懸念。
魔術師を名乗る蒼崎橙子。
何故参加者でもないのにこの地にいるのか。
何故衛宮士郎に協力するのか。
何故南東にユフィや複数の人間がいると分かったのか。
考えれば考えるほどに疑問点が湧き出る怪しさ。

(早まった真似はするなよ……衛宮士郎)

多くの情報を整理しつつ、ゼクスは夜の闇を疾走する。
当面の目標、ユフィを追う為に。

【E-5 北西/一日目/夜中】

【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:疲労(極大)身体中に火傷(ダメージ中)左腕負傷(ダメージ大、肉の隙間から骨が露出)
[服装]:軍服
[装備]:H&K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数5/12発/)@現実、
[道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束 、3499万ペリカ、おもちゃの双眼鏡@現地調達
    真田幸村の槍×2、H&K MP5K(SMG/40/40発/)@現実 その他デパートで得た使えそうな物@現地調達、ピザ×10@現実
    Draganflyer X6(残バッテリー約10分)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実、利根川幸雄の首輪
[思考]
基本:ユーフェミアを対主催のリーダーとする。
1:ユフィを追う。
2:南東の対主催チームにデパートへ向かうよう要請する。ただし、そこまでこだわらない。
3:ユーフェミアの洗脳を解く方法を探す。 日本人以外との接触が望ましいが……
4:【宇宙開発局 タワー】に向かうかを検討中。
5:ユーフェミアと『枢木スザク』と会わせる。スザクならユーフェミアの洗脳を解けられる?
6:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者、またはガンダム・パイロットへ伝える。
7:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。
8:集団の上に立つのに相応しい人物を探す。
9:【敵のアジト】へ向かった2人組が気になる。
10:『ギアス』とは……?
11:蒼崎橙子を警戒する。
12:ユフィの催眠(洗脳)を解き、衛宮士郎と白井黒子に謝らせる。
[備考]
※学園都市、および能力者について情報を得ました。
※MSが支給されている可能性を考えています。
※主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。
※知り合いに関する情報を政宗、神原、プリシラと交換済み。
※悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。
※サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。
※ライダーと黒服の少女(藤乃)をゲーム乗った特殊な能力者で、なおかつ手を組んでいると推測しています。
※ギャンブル船で会議が開かれ、参加者を探索していることを知りました。
※グラハムから以下の考察を聞きました。
 ・帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいる。そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があった。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
※ユーフェミアと情報交換をしましたが、船組のことは伝えていません。
※ユーフェミアは魔術・超能力その他の手段で思考を歪められてる可能性に思い当たりました。
海原光貴加治木ゆみ)、荒耶宗蓮(蒼崎橙子)の容姿は確認できていません。
※アーニャの最期の言葉を聴き、『ギアス』の単語を知りました。
※Draganflyer X6のリモコンは回収済み。
※福路美穂子が改心した事、一方通行が殺し合いに乗っている事、蒼崎橙子の存在を知りました。

◇ ◇ ◇

ゼクスとの邂逅を終えた士郎たちは再び西へ足を進める。
会話している間にも少しずつ体力を取り戻したので、荒耶に打診してペースを若干速めていた。

「なぁ、蒼崎」
「なんだ」
「その、ありがとな。わざわざ近くの様子を探ってあんな事を言ってくれたんだろ?
 俺がデパートに残してきた人の事で気に病んでたから」
「契約の一部に過ぎん」
「それでも、礼を言わせてくれ」
「……」

ゼクスは荒耶が参加者の位置を方向だけでも指し示したことに強い疑問を抱いたが、士郎はほとんど警戒していなかった。
士郎は自分の力でないにしろ、自宅に敷かれている侵入者を察知する結界やら令呪によるサーヴァントのワープなど、ある程度高度な魔術に触れている。
その為、探索方面に長けた魔術師であれば、ここから1マスや2マス周囲の様子ぐらい訳もなく探れるのだろうと思っていた。
実際には荒耶のそれはそんな能力ではないし、仮に使えたとしてもその性質上強い制限を受けるのが関の山なのだが。

そして、言うまでもない事だが、荒耶が情などでデパートへの救援要請を頼んだはずがない。
信長と一方通行を使って対主催チームを潰す機会があったので方便に使ったに過ぎない。
本来であれば、その二人の下へ向かうなんて事は自殺行為も甚だしいが、極度の疲労と黒子への思いから士郎は気付く事が出来ない。
美穂子はその危険性に薄々気付いてはいたが、荒耶の画策であるという確信はない。
そして、ここで向かわせるのはおかしいというのは残ってくれた人を完全に見捨てるという事である。
自分たちは逃げるが見捨てる事は出来ないから他の人間に頼む。
あまりといえばあまりの行動と言えるが、他の選択肢はなかった。

(非力な自分の身が恨めしい……でも、もう間違った想いや間違った力はいらない)

まずは自分の出来る事をやっていこう。
美穂子は再度固く誓う。
そして、士郎を見る。
今までの様子からして白井黒子という人を相当想っているようだ。
黒子を傷つけたというユフィに対する士郎らしからぬ敵意からもそれは分かる。
しかし、ゼクスのある一言でその敵意は雲散霧消した。
彼にとってもそれは極めて大事なものなのか。

「ねぇ、衛宮君」
「なんだ、福路」
「衛宮君って妹さんがいるの?」
「……どうしていきなりそんな事」
「ええと、さっきゼクスさんが妹さんの話を持ち出したら……」
「俺の態度に出てたって事か」
「ええ」

士郎の脳裏に再びとある少女の姿が映る。
父に白くて雪みたいな髪だと称された少女。
自分の事を「お兄ちゃん」と呼ぶ少女。
この場所で死したバーサーカーのマスター。
―――イリヤスフィール・フォン・アインツベルン

「いや、俺に妹はいないんだ」
「そうなの?」
「ああ。ただ、俺の事を『お兄ちゃん』って呼ぶ奴がいる。
 話した事は一度くらいしかないんだけど、俺に妹がいたらあんな感じなのかなって」
「……そうなんだ」

ここで美穂子も妹ではないが自分の事をお姉ちゃんと呼んだ存在を思い出した。
ここに呼ばれ、そして死んでいった池田華菜
その妹の三つ子たちである。
華菜が死んでしまった以上、あの子達は大丈夫だろうか?
美穂子に新たな懸念がまた一つ生まれた。

「兄としては妹を守りたかったんだろうって考えたら、さ」
「そうだね。もし、私に妹がいても同じ事を考えると思う」
「多分、俺もさ。バーサーカーは巻き込まれたみたいだけど、イリヤは巻き込まれてないみたいで良かった」
「バーサーカー? イリヤ?」
「ああ、この際だから教えるよ。まず、聖杯戦争っていうのがあって―――」

士郎の世界について語り合う二人。
その先を荒耶が黙然と往く。

(衛宮士郎、イリヤスフィールが義姉であり、この催しの黒幕である事を知ったら、お前は何を思うのだろうな?)

言峰なら嬉々としてそこから精神を抉るのだろうが、と思考する。
それから間もなく、一行は路地裏を抜け、橋に至る。

かくして一つの邂逅は終わり、再びそれぞれの道が動き出した。
救うべき妹が決して一人ではない事を今はまだ誰も知らない。

【D-4/橋/一日目/夜中】

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]: 疲労(極大)魔力消費(極大)、全身打撲(治療中)全身に軽い切り傷(治療中)、背中に火傷、額に軽い怪我(処置済み)
[服装]: 穂群原学園制服(上着なし、ボロボロ)
[装備]: 落下杖(故障)
[道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、
     基本支給品外の薬数種類@現地調達 、ペリカード(残金5100万)
[思考]
基本:主催者へ反抗する。黒子と共に生きてこの世界から出る。
0:黒子の所に急ぐ。道中で自分の世界の事を美穂子に話す。
1:福路美穂子や蒼崎橙子(荒耶宗蓮)と同行する。
2:蒼崎橙子(荒耶宗蓮)は信頼しきっていないが、黒子の治療までは信用する。
3:秋山澪と合流する。
4:首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。
5:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める。
6:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする。
7:一方通行、織田信長、黒い魔術師(荒耶宗蓮)への警戒心。
8:そう言えば他のマスター達はどうなっているんだろうか?
9:知らず知らず黒子の事が気になっている事に気付く。
10:妹…イリヤはどうしているんだろうか?
[備考]
※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました
※エスポワール会議に参加しました
※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。
 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。
※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。
 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。
※ゼクスの手紙を読みました。
※ユーフェミアの外見的特長を把握しました。
原村和が主催者に協力している可能性を知りました。
※『黒子の仮説』を聞きました。
※『ペリカの投影』には『通常の投影』より多大な魔力を消費します。よって『ペリカの投影』は今後は控える方向性です。
※白井黒子の能力について把握しました。
※自身の歪みについて気が付きました。
※「剣」属性に特化した投影魔術を使用可能。
 今後、投影した武器の本来の持ち主の技を模倣できるようになりました。
※現在投影可能である主な刀剣類:エクスカリバー、カリバーン、六爪、打ち刀
※イリヤが主催・人質である可能性には現状全く思い至っていません。

※片岡優希のマウンテンバイク@咲-Saki-は政庁跡に放置されています。

【福路美穂子@咲-Saki-】
[状態]:アンリ・マユと契約、左腕欠損(処置済み)、疲労困憊
[服装]:黒いロングドレス (ボロボロ)、穂群原学園男子用制服(上着のみ、ボロボロ)
[装備]:聖杯の泥@Fate/stay night
[道具]:支給品一式*2、伊達政宗の首輪、伊達政宗の眼帯、包帯×5巻、999万ペリカ
[思考]
基本:自分自身には、絶対に負けたくない。失った人達の分まで勝利を手にしたい。
1:ただ己が正しいと信じたことを為し遂げる。
2:士郎の世界について聞く。
3:衛宮士郎や蒼崎橙子(荒耶宗蓮)と同行する。
4:蒼崎橙子(荒耶宗蓮)は信頼しきっていない。
5:「魔術師」「魔力」などの聞きなれない言葉を意識。
6:死した人達への思い。
7:もし生き残れたら華菜の代わりに三つ子たちを守る?
[備考]
登場時期は最終回の合宿の後。
※名簿のカタカナ表記名前のみ記載または不可解な名前の参加者を警戒しています。
※死者蘇生はレイニーデビルやアンリ・マユを用いた物ではないかと考えています。
※アンリマユと契約しました。
※今は精神汚染を捻じ伏せています。

※所持していた六爪はエリアD-5のビル郡に散らばりました。

【荒耶宗蓮@空の境界】
[状態]:身体適合率(大)、身体損傷(中)、発現可能魔力多少低下、格闘戦闘力多少低下、蒼崎橙子に転身
[服装]:白のワイシャツに黒いズボン(ボロボロで埃まみれ)
[装備]:
[道具]:オレンジ色のコート, 凛のペンダント(魔力残量:極小)@Fate/stay night
[思考]
基本:式を手に入れ根源へ到る。
0:衛宮士郎に今死なれては困る。
  福路美穂子を士郎の魔力ブーストとして利用する?
1:西へ寄り道をして、白井黒子を治療する。
2:二人の保護と櫓の状況を確認すべく、工房に向かう。
3:体を完全に適合させる事に専念する。
4:信長を利用し、参加者の始末をしてもらう。
5:必要最小限の範囲で障害を排除する。
6:利用できそうなものは利用する。
7:可能なら、衛宮士郎の固有結界を目覚めさせ、異界として利用する。

※B-3の安土城跡にある「荒耶宗蓮の工房」に続く道がなくなりました。扉だけが残っており先には進めません。
※D-5の政庁に「荒耶宗蓮の工房」へと続く隠し扉がありますが崩壊と共に使用不可能になりました。
※エリア間の瞬間移動も不可能となりました。
※時間の経過でも少しは力が戻ります。
※今現在、体は蒼崎橙子そのものですが、完全適合した場合に外見が元に戻るかは後の書き手にお任せします。
※海原光貴(エツァリ)と情報を交換しました。
※A-7の櫓に、何かしらの異常が起きた事を察知しました。
※バーサーカーを倒したのは、ルルーシュであると確信をしています。
※何か強力な武器が手に入ったら、信長に渡す約束をしています。
※信長の首輪が、爆破機能と共に盗聴機能まで失ったかは次の書き手様にお任せします。
 もしも機能が失われていない場合、主催側に会話の内容が漏れた可能性があります。
※一方通行の異常に気付きました。
※イリヤが黒幕である事を知っています。

時系列順で読む


投下順で読む


247:疾走スル狂喜 【伍】 ゼクス・マーキス 258:夢幻の如くなり(前編)
251:Gospel in the Future 福路美穂子 260:Moonlight Blue
251:Gospel in the Future 衛宮士郎 260:Moonlight Blue
251:Gospel in the Future 荒耶宗蓮 260:Moonlight Blue


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最終更新:2010年05月24日 00:50