みんな! 丸太は持ったか!! ◆mist32RAEs
城に入ってすぐにそれは見つかった。
バーサーカーは新たな武器を目当てに島の南側からここまでやってきたのだが、あっさりと目的は達せられてしまった。
今までこの山中にある城までくる参加者は誰もいなかったのであろうか。
この武器を使おうとはしなかったのであろうか。
いや、そうではない。
たしかに城中を調査したものはいなかったが、こんなモノを使えるのはこのバーサーカーか、もしくは好敵手と認めるあの巨大な鎧武者くらいのものであろう。
轟音。それは破砕の音。
この武器は厳重に封印されていたため、まずはそれをぶち壊す必要があった。
二メートル以上もの身の丈を誇る巨人は、その剛腕で安々と城の壁や天井を破壊していく。
どかん、どかんと壮絶な音が何度か繰り返され、その度に城は揺れ、空気が震える。
やがてむき出しになったそれは、余計な拘束を取り払われ、バーサーカーの眼前の地面に深々と突き刺さっているだけの姿となった。
あとは引き抜くだけだ。
巨大な両の掌を、ガッチリとそれに食い込ませるようにして強く握る。
伝説において獅子や幻獣を絞め殺すほどの膂力をもってしても、それが握りつぶされるということはなかった。
見立て通り。これはバーサーカーの武器としてふさわしい強度を誇っている。
そう確信して、抱え込むように掴んだそれを引き抜くためにパワーを全開にする。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮。
それとともに城が揺れた。
地が揺れた。
やがて、みきみき、めしめしと建築物がひしぎ、自重で砕けていく音。
山中にそびえる巨大な城は傾き、そしてやがて崩れ去る。
ずずぅん、と轟音がさらに一際大きく地を揺らし、土煙はまるで火山の噴火のようにもうもうと天高く巻き起こった。
やがてしばらくたち、再び山中に静寂が戻る。
膨大な土煙が澄み渡る青い空に散り去っていった頃、崩壊した城の瓦礫を背にし、その武器をかつぐようにして構える巨人の姿があった。
それは武器というにはあまりに大きすぎた。
大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに――、
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
再び声を上げ、狂戦士は再び出陣する。
行き先は南だ。
まずは
キャスターを探したいところだがあれから時間が経ちすぎた。
探してもそれは無為というものだろう。
ならばあの鎧武者だ。
セイバーや
アーチャーなども残っているのならば、武器を手に入れたこの好機に障害となりうる存在はできる限りさっさと潰しておくに越したことはない。
そしてなにより血が騒ぐ。
狂戦士ではなく英雄としての血が。
数多の戦場と冒険を駆け抜けたギリシャの大英雄は、好敵手との三度目の邂逅を望んだのだった。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮をあげながら、バーサーカーは山林をましらのように駆け下りていく。
アインツベルンの森を縦横無尽に駆け巡ることのできる狂戦士の躍動。
咆哮は敵を呼ぶ戦士の名乗り。
俺はここに居るぞ、かかってくるがいいと、そう言っているのだ。
あっという間に工業地帯が見えてきた。
狂戦士が身を投じるべき戦場が。
◇ ◇ ◇
ひどく破壊された工業地帯を一台のトレーラーが疾駆していた。
設備が万全であればその背景にマッチしていたであろう大型車両を操るのは、運転席に座る
トレーズ・クシュリナーダという男だった。
ここまで大規模な破壊とは、よほどの戦闘があったのだろう。しかし犠牲となった者たちの死体はなかった。
トレーラーに乗りながらの大雑把な探索ではあったが、見つからないからといって細かく調べるつもりになるほどトレーズに死体を漁る趣味はない。
遺品となった、もしくは戦闘のどさくさで誰かが落とした支給品があれば拝借できないかと思っただけである。
やがてトレーズは未調査の北方向へとハンドルを切る。
巨大なトレーラーはその質量で大気を殴りつけ、唸る音を上げさせた。
その音が轟、と残骸だらけの街並みに響き渡る。
トレーズの前方には工業地帯の切れ目、そして広がる草原が見えてくる。
ここまでか――、とブレーキを踏み、一旦その巨大な質量を停止させた。
こんな見渡しの良い草原に誰かがいるとは思えない。
どこからでも狙撃が可能だし、まして今は真っ昼間だ。狙ってくれといっているようなもの。
殺し合いが行われるこの地で、ここまで人がいる可能性が低い場所もない。
そろそろ当初の予定通りに西へ向かって他の参加者を探そうかと、トレーズは僅かに息をつき、今度は西に向かって方向を変えようとする。
「――む?」
何気なく見やった草原の向こう、草の緑色の中にほんの僅かの黒。
いや、赤か。
乾き、くすんだ血の色に似ている。
そう思い至ったトレーズは、目を凝らしながらそこへトレーラーを寄せる。
それはまるで草むらの中で隠れるようにひっそりと咲く花のような血溜まり。
確かに人はいない。
だが、人の死体はあった。
かくして敗北を求める貴族は
千石撫子の小さな死体と対面した。
「……まずは冥福を祈らせていただこう」
トレーラーから降りて、壊れた人形のように横たわる、かつて少女だったものの前にやってきたトレーズは、まず胸に手を当てて黙祷。
そして胸の前で十字を切った。
死体の損壊具合を観察する。
年は十代のはじめくらいだろうか。
骨折によるものだろうと思われる青黒い内出血のあとがいくつか。
頸部の骨折も見受けられた。後頭部からの草むらに大きく広がった出血も。
死ぬ直前は意識を失っていたのだろうか。
損壊具合と比較して、死に顔は不思議と穏やかだった。
首輪をとるには切り落とすしかないが……だがエレガントとは言い難い。
主催打倒のためには、参加者たちの命を握るこの首輪をどうにかするのが先決だ。
遠藤と
インデックスの心ひとつで、これは容易く参加者の命を奪う。
あの見せしめの少女のように。
それを回避するためにはどうにか解除してこれを外さなければならない。
その前にまずは構造を解析するなどの手順が必要だが、まさか自分の首輪でそれをやるわけにもいかない。
失敗イコール爆発による死、というリスクを背負うよりは、誰かの死体から摘出できれば問題なく調査が行えるのだ。
だが新たなる問題はその摘出作業だ。
それはつまり死体の首を切り落とすという残酷な行為である。
常にエレガントを信条とするトレーズ・クシュリナーダという男にとって、それはいささか心苦しいことだった。
自らの手で戦争を操り、暗殺すらこなしてきたが、できることならこんな幼い子供の眠りを妨げるような行為をしたくはない。
だが、と敗北を望む男は皮肉げに自らの口元を吊り上げる。
誰からも忌み嫌われることを目指すなら、これも必要な行為だろうと思い直す。
首輪を持っているということは誰かの首を切り落としたということ。
血糊が付着したそれは自らの悪行の十分な証明となるだろう。
トレーズは自分の腰に手を伸ばす。
握った刀の鍔が鳴る。
鞘走りの音。
ギラリと陽光をはね返す刀身。
物言わぬ死体の首元めがけて銀閃が疾走した。
◇ ◇ ◇
少女の首輪と、近くに落ちていた彼女のものであろう支給品の回収を終えて、トレーズは再びトレーラーに乗り込む。
この少女を殺した者はなぜ荷物を奪っていかなかったか疑問ではあるが、それを考えたところで知る由もない以上は無駄なこと。
入手した支給品には有益な武器も入っていた。
クセが強い感はあるが、その破壊力は上々だ。
試しに草原に向けて撃ってみたところ、それはモビルスーツすら破壊できるであろうほどの威力だった。
もしやそのモビルスーツすら支給されているのだろうか。
もしそうだとしたら僥倖だと思っていたこのトレーラーは、むしろハズレの部類とまではいかないが、この殺し合いでは当たり前に支給されているレベルのものだったのだろうか。
そんな考えが脳裏をかすめる。
「となると、帝愛はその強力な力を私達に与えても反抗など無理だと考えているということか。
油断が過ぎるといいたいところだが……カネで買った『魔法』という不可解な力を目にしてしまえばそうともいえないな」
わかっていたことだが敵は強大だ。
そしてその敵について分からないことが多すぎる。
なんせトレーズはどうやってここまで拉致されたのか、ここがどこなのかすらわかっていないのだから。
それを考えれば例え主催側が信用に値せずとも生き残る道は優勝しかないのではないかと思えてくる。
その事を理解しながら、それでも無謀と言われようとも戦い続けることができる人間はいるのか。
トレーズは知っている。
世界を変えることのできるガンダムのパイロットたちを。
そしてそのために殉ずることができる、甘い理想を振り切ることができない不器用な親友を。
トレーズがこの地で出会った、理想や想いに燃える若者たちを。
リリーナ・ドーリアンは死んだ。
だが彼らが自分の知っている彼らであるならば、己の死を恐れるあまりに無様を晒すことだけはないだろう。
だからこそトレーズは彼らのための敗者となることができる。
「では再出撃といこう、殺し合いの混迷の中へと……む?」
エンジンを回し、トレーラーのアクセルを踏み込もうとしたときのことだ。
北の山から何かがやってきている。
まるで林の上空を飛び跳ねるように近づいてくる。
猿か何かか、と一瞬考えたが、それにしては遠近法がおかしすぎる。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
咆哮。
トレーラーのウインドウがびりびりと震えた。
トレーズを見下ろす巨体。
全身を包む鎧のような筋肉は鋼鉄のような重量感と迫力に満ちていた。
まさに巨人。
そしてその肩に担いだものがさらに異様だった。
それは武器というにはあまりに大きすぎた。
大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに――――丸太だった。
ただの丸太ではない。
巨人が持つ丸太はやはり巨大だった。
太さは一メートルをゆうに越えるだろう。
長さも4~5メートルはあるだろうか。
トレーズが知る由もないその丸太の正体は、第六天魔王こと
織田信長の居城である安土城の柱だ。
本能寺の変において焼失し、現代には残されていない伝説の城。
歴史学的に考えれば宝ともいえる代物である。
バーサーカーの本来の武器である石刀が自身の神殿から削り出したものであることを考えれば、これも宝具のひとつと呼べるのではないだろうか。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
唸りを上げて巨人が丸太を振り回す。
トレーズはとっさにギアを握り締め、アクセルを踏み込んだ。
タイヤが路面との摩擦で煙をあげながらのバックダッシュ。
横殴りにするようにして飛んできた丸太は眼前をかすめ、横にある工場の壁を発泡スチロールか何かのように軽々と抉り飛ばす。
トレーズはその様にチラリと目をやり、そのまま猛スピードで後退してから大きな交差点のスペースを使って方向を転換。
走り出そうとするところへ、逃がすまいと巨人が回り込んだ。
まるで工場の施設を飛び石のように跳ね回り、縦横無尽の動きを見せる。
それを見て容易く逃げられそうにないと悟ったトレーズがハンドルを切った。
まるでドリフトのようにトレーラーが横滑りして直角のコーナリング。
交差点のアスファルトに焼けたタイヤの痕跡が刻まれる。
巨人から横方向へ逃げるように走行を開始。だがそれだけではない。
トレーラーの窓が開き、そこからトレーズはデイパックを突き出して、封を開ける。
ゼロの仮面を脱いだ彼の耳にはイヤホンマイク型のトランシーバーが装着されていた。
「システム、リポーズ解除。プライオリティをトレーズ・クシュリナーダへ。擬似GN粒子収束――」
デイパックの口から赤い光が溢れ出す。
その輝きはどんどん強くなっていく。
「ターゲットは丸太を担いだ巨人。首輪が認められることから<<バトルロワイアル>>参加者と思われる」
巨人が追撃してくる。
トレーラーの疾走に追いつくほどの脚力。
こちらは小回りが利かないので大通りを行くしかない。
ルートは容易く予測され、回り込まれるのは時間の問題だ。
「ターゲット認識確認、排除開始――」
ゆえに逃走と迎撃の両方をこなしつつ振り切らなければならない。
難易度は高いが、相手が問答無用で襲いかかってきた以上はそういっていられない。
南や西は袋小路、北へ逃げても山や森ではトレーラーはまともに走れないだろう。
ならば東へと向かいつつ、迎撃行動を行いながら振り切るしかない――トレーズは思考をまとめると同時に覚悟を決めた。
「――行けよファング!!!!」
赤い光をまとった一本の『牙』。大きさは2~3メートルほどか。
高速でデイパックから飛び出し、空中へと舞い上がる。
光の正体は擬似GN粒子。
その光を収束、牙から撃ち出された紅光は巨人の行く手を阻むようにして、その足元へと着弾する。
アスファルトが爆ぜた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
瓦礫とミックスされた粉塵が間欠泉のように吹き上がって巨人の視界を覆った。
激烈な威力がアスファルトのその奥まで貫通した証拠だ。
凄まじい破壊力を前にして、さしもの怪物の動きが止まる。
その間にトレーラーは敵から遠ざかるように距離を取る。
牙は宙を舞い続け、走る大型車両の上空にピタリと付いて来ている。
「向こうは諦めるか……? いや――」
バックミラーで敵の様子を確認し、かの巨人が未だ戦意を失っていないことを確認。
巨人はその身の丈以上の巨大な丸太を握り締め、二つの眼は凶暴な紅い光を帯びている。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――!」
「やれやれ、骨が折れそうだな……!!」
聴いた者の魂すら震わせるような凄まじい咆哮を背にして、トレーズは優雅に笑みを浮かべると更にアクセルを踏み込んだ。
◇ ◇ ◇
E-4南部。
そろそろ宇宙開発局の敷地に差し掛かろうかというあたりで、刹那・F・セイエイは相棒のホンダムこと
本多忠勝と南に向けて移動していた。
リリーナを失い、その遺志を継ぐと決めてから宇宙開発局を目指して移動を開始したのだが、その歩みは早いとは言い難い。
信長や、あの狂戦士との戦いで受けたダメージはあまりに大きすぎたからだ。
食事、休息をとるだけで回復するような疲労や損傷ではない。
刹那自身の疲労は無理をすればなんとかなるほどにはなってきたが、忠勝の巨体の各所に刻まれた傷は痛々しくその痕を残している。
そんなものを見ていながら忠勝の掌に乗って楽をするのは心苦しかった。
だが不甲斐ない自分に対して、その巨大な鎧姿に熱き魂を宿した相棒はこう言うのだった。
――心配は無用。
理由はないが、その言葉にならない意志に刹那は動かしがたい強靭な信念を感じた。
きっと、だからこそ忠勝は強いのだ。体躯と剛力だけではない。揺るがない心で正義を貫く――正にガンダム。
刹那自身も、ガンダムマイスターを名乗るならばそうでなくてはならないと思う。
彼の掌に乗り、支給された食事を取りながらもせめて周囲の警戒は怠らない。
「ホンダムは……食べなくてもいいのか?」
「……」
「支給されてないのか?」
「……」
――心配は無用。
さっきと同じ言葉。
そんな忠勝に刹那は思わずクスリと笑った。
静かな街並みに忠勝の駆動音だけが響く。
しばらくそれが続き、そして異変が起こった。
「どうしたホンダム……?」
忠勝が何かを感じて見つめる方角。
空中から地上に向けて紅い光が撃ち出される。
ずずん、と重低音。
距離があるにも関わらず、刹那の方にまでかすかな振動が響いてくる。
眼を凝らせば巻き起こる粉塵がビルの谷間から垣間見えた。
「戦いが起こっているのか……しかもかなり激しいな」
刹那にはあの紅い光に見覚えがある。あれは擬似GN粒子の輝きに見えるのだ。
もしかしたらモビルスーツが、もしかしたらガンダムがあそこにいるのかもしれない。
――どうする?
相手がモビルスーツであれば自分にはできることはない。
このダメージで、また忠勝に負担を掛けることになってしまう。
傷つくだけならまだいい。もし、リリーナのように二度と取り戻せないようなことになってしまえば後悔のしようもない。
だからといってあの戦いを放置していいのか。
いや、良いわけがない。
戦いの犠牲になる者が増える事態を看過していいのか。
しかし――、
――どうする?
赤いモノアイを輝かせて忠勝が刹那に問うてきた。
鎧の隙間から陽炎のようなものが浮かび上がるのはその魂の熱さゆえか。
全身の損傷などものともせずと言わんばかりの戦意をすでにこの相棒は漲らせていた。
「そうか……そうだな」
敵を選んでいて世界を変革するなどできるものか。
勝つために戦うのではないのだ。それでは行き着く先はただの破壊者でしかない。
何かを創り上げるために戦う。
刹那が望む争いのない世界を創るために、忠勝の主君が望んだ天下万民のために、リリーナの望んだ平和のために。
「行くぞホンダム――――あの戦いを俺たちで駆逐する!!」
◇ ◇ ◇
狂戦士が跳んだ。
一瞬遅れて赤い光弾がビルの窓に撃ち込まれてガラスがキラキラと舞った。
一瞬、遅れて爆発がすべてを吹き飛ばす。
ビル内のガスか何かに着火したか。
これで何度目になるだろうか、トレーズの操るファングはあの怪物に対して一発もヒットさせることができずにいた。
このファングという支給品はセットになっていたイヤホン型マイクを使って攻撃行動を行う。
単純な指令によってほぼオートで命令を実行するので誰にでも扱うことができる。
だが、それゆえに現状ではモビルスーツのパイロットでもあるトレーズの技能は生かされない。
見かけによらず俊敏な動きを見せる巨人を捉えるには、パターン通りのオートでは不十分と言わざるを得ないのだ。
もっとも同時に運転もこなさなければならない現状で腕前を十全に発揮することはどちらにせよ難しいのだが。
牽制によってどうにかトレーラーに近づけさせることは防いでいるが、もちろんこのままでもたせても希望が見えるとは思っていない。
この状況を打破する何かが必要だ。
「むっ!?」
その時、もう一人の巨人が前方に姿を表した。
あの狂戦士よりもさらに一回り大きい鎧武者のような姿形をしていた。
挟み撃ちか――いや、これこそがこの状況を打破する要素だ。
瞬時の判断。
この状況でトレーズが挟み撃ちになるのは、巨人同士が味方であるときだけだ。
敵の敵は味方となるはず。このバトルロワイアルという状況下での可能性としてはこちらの方が大きいと判断した。
新たに現れた巨人の眼前でハンドルを切り――だがそこで捕まった。
狂戦士による追撃の戦槌がトレーラーの後輪を掠り、たったそれだけで車体を弾き飛ばした。
「ぐうっ!!」
結果は失敗。
一際大きな質量が激突した重く鈍い音が響き、トレーズの脳髄を叩く。
やがて振動と騒音が収まって、かろうじて意識が保っていることを確認。
頭上にトレーラーのドアが見える。おそらく車体が横倒しになっているのだ。
まずはここから脱出しなければならない。
と、その時だった。
「生きているなら返事をしろ! ――お前は!?」
その声に反応してそちらを注視し、そして眼を見開く。
この状況でその声に聞き覚えがあればトレーズといえども驚愕するのは無理もない。
そして驚いているのはこちらに向かって銃を構える向こうも同じだった。
「トレーズ・クシュリナーダ……!?」
「刹那・F・セイエイ……!!」
巨人同士の三度目の邂逅が実現した。
またガンダムに変革を託す者、そして敗北を託した者の再会も。
【E-4南部/一日目/昼】
【トレーズ・クシュリナーダ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:健康
[服装]:軍服
[装備]:サブマシンガン、
片倉小十郎の日本刀 マント、スローネツヴァイのファング(EN残量80%)
[道具]:基本支給品一式×2、薔薇の入浴剤@現実 一億ペリカの引換券@オリジナル×2、純白のパンツ@現実、千石撫子の支給品0~2(確認済み)
千石撫子の首輪、 ゼロの仮面
[思考]
基本:全ての参加者から忌み嫌われ、恐れられる殺戮者となり、敗者となる。
1:この争いに参加する。生き残るのに相応しい参加者を選定し、それ以外は排除。
2:ゼロの存在を利用する。
3:福路美穂子と再会し殺戮者として殺される
[備考]
※参戦時期はサンクキングダム崩壊以降です。
※トレーラーは後輪部分を破壊されました。走行は不能です。
【スローネツヴァイのファング@機動戦士ガンダム00】
ガンダムスローネツヴァイの搭載兵器で、本来は親機(MS)から複数の子機(ファング)を射出し、遠隔操作で攻撃を行う。
擬似GN粒子によるビーム攻撃と、粒子を収束してビームブレードを展開しながらの突撃が可能。
このバトルロワイアルにおいては操作はイヤホンマイクによるセミオート操作で誰でも扱えるようになっている。
首輪探知機と同じくENは使用しない間に徐々に充電される。
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00】
[状態]:疲労(小)、精神的ダメージ、イノベイターとして半覚醒
[服装]:私服
[装備]:ワルサーP5(装弾数4、予備弾丸27発)@機動戦士ガンダム00、ボールペン型の銃(0/1)
[道具]:基本支給品一式×2(一食消費)、ランダム支給品0~1(確認済)、9㎜ピストル弾×5
[思考]
基本:世界の歪みを断ち切る。ダブルオーガンダムを奪還し島から脱出。
0:トレーズ……!?
1:宇宙開発局→都市部 の順に移動し、ガンダムを捜索。
2:専守防衛。知り合い、無力な民間人がいれば保護する。
3:サーシェス、グラハム、トレーズ、信長、光秀、バーサーカーを警戒。政宗は保留。
4:バーサーカーの情報を広め、また不死の秘密を解くため情報を収集する。
5:リリーナの知り合いを探し、その最期を伝える。
6:アーニャが気掛かり。
7:リリーナの理想を出来る限り引き継ぐ。
[備考]
※参戦時期はセカンドシーズン第23話「命の華」から。
※帝愛グループをイノベイターと関わりのある組織、あるいはイオリア計画の遂行者ではないかと疑っています。
※脳量子波により本多忠勝の意思を理解できます。ただし刹那から送信はできません。
脳量子波の受信範囲は広くても声の届く範囲ほどです。
脳量子波は忠勝が「考えたこと」だけが受信されます。本人が望まないことは伝わりません(忠勝の意識レベルが低下している時を除く)。
【本多忠勝@戦国BASARA】
[状態]:疲労(小)、胸部装甲破損(鋼板などにより応急修理済み) 兜、肩の装甲が一部破損 全身に細かな傷
[服装]:全身武者鎧
[装備]:武田信玄の軍配斧(石動配)@戦国BASARA
[道具]:デイパック
[思考]
基本:徳川家康(参加者にはいない)の遺志を継ぎ戦国最強の名に恥じぬ戦いをする。
0:バーサーカーを食い止め、戦いを駆逐する。
1:戦いに乗った者、主催者グループを打倒する。
2:刹那に伴い行動する。
真田幸村と合流したい。
3:バーサーカーとはいずれ決着をつけたいが、まずは不死の秘密を解く。
4:信長は必ず倒す。
[備考]
※参戦時期は第12話で安土城へと向かっている途中。
尚、後述の飛行機能以外は主催者の力で修復された模様。
※バックパック内の装備は没収されているため、原作ゲームにおける攻撃形態、防御形態、援護形態使用不可。
他、ゲーム版での固有技、バサラ技が使えるかはお任せ。
※主催者側から飛行機能に制限が課せられています。短時間低空飛行には問題ありません。
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:健康、狂化
[服装]:上半身裸(デフォルト)
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、食料(缶詰セット)、安土城の柱
[道具]:なし
[思考]
基本:イリヤ(少なくとも参加者にはいない)を守る。
1:立ち塞がる全ての障害を打ち倒し、イリヤの元へと戻る。
2:キャスターを捜索し、陣地を整えられる前に撃滅する。
3:次こそ本多忠勝と決着を着けたい。
[備考]
※“十二の試練(ゴッド・ハンド)”Verアニ3
・合計12回まで死亡してもその場で蘇生。状態を健康にまで回復。耐久力を大きく上回るダメージを受けた場合は複数の命のストックを消費。
現在残り蘇生回数4回。
・無効化できるのは一度バーサーカーを殺した攻撃の2回目以降のみ。
現在無効リスト:対ナイトメア戦闘用大型ランス、干将・莫耶オーバーエッジ、偽・螺旋剣(カラドボルグ)、Unlimited Brade Works
おもちゃの兵隊、ドラグノフ 大質量の物体
・首輪の爆発での死亡時には蘇生できない。
※参戦時期は14話 理想の果て直後です。
※エクスカリバーが黒く染まっています。
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最終更新:2009年12月31日 23:09