ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0764 あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編)
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※餡子ンペ09出展作品第5弾です。
※駄文、稚拙な表現注意。
※俺設定注意
※テーマは差別、下克上です。
「さあ、おちびちゃんたちいっしょにおうたをうたおうね。ゆーゆんゆーゆーゆー。」
「ゆーゆんゆーゆーゆー。」
ここはある町にある野良ゆっくりの作った段ボールハウス。
もうすぐ冬という寒々しい夜空の下、ゆっくりれいむの親子がゆっくり特有の調子はずれの歌声が巣の中に鳴り響かせている。
「ゆーん。おうたはとっちぇもゆっきゅりできるね。」
もみあげをピコピコさせて喜ぶ子れいむ。不思議なことにこの親子、野良とは思えないほどブクブクと太っている。
その様子をさなえは段ボールハウスの隅でみつめていた。こちらはれいむ達と対照的に明らかに栄養不良である。
さなえはただ見ることしかできない。けして家族の団欒に加わることなどできない。
なぜなら自分はいらない子なのだから。
目の前の楽しそうな家族達をさなえはただ暗い目で見つめることしかできなかった。
「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編)
作、長月
「そこのくず!!じろじろこっちをみないでね!!きもちわるいよ!!」
ギロリとさなえを睨み怒鳴りつける親れいむ。さなえははっとしたように目を伏せた。
「ゆゆーん。うんうんぶくろのさなえがうりゃやましそうにこっちをみちぇるよ!!」
「おーあわりぇ、あわりぇ。」
親に追従してさなえを罵倒する子れいむ達。さなえは目線を伏せたまま涙を浮かべることしかできない。
チッと舌打ちする親れいむ。
まったくあのクズさなえそっくりのクソチビだ。自分のおちびちゃんと大違いの辛気臭い表情しかできないクズ。
こんなクズ、本当は置いておきたくない。今すぐにでも踏み潰して腹のたしにでもしたいものだ。
しかし今は我慢しよう。こいつは奴隷なのだから。
れいむはさなえを手に入れたあの日のことを思い出した。
2ヶ月前れいむは最悪だった。
つがいのまりさには逃げられ、産まれたばかりの赤れいむ2匹を自分一人で育てなければならないのだ。
駅前に行き、自分の得意の歌でなんとか人間達に食料を分けてもらおうとするがそれもうまくいかず毎日食べるものに事欠く有様。
今日もなんの収穫もない一日だった。帰ったらそのへんの雑草を食べねばばらない。
と、こう書くとれいむに同情する者もいるかもしれないが、実際はそう美しい話ではない。
そもそもつがいのまりさが出て行った原因はれいむにあるのだ。
狩りにでているまりさに「あまあまをがたべたい」だの「もっとたくさんとってこい」だの言ったあげく、まりさが持ってくる食料の9割近くを自分と自分と同じ種である赤れいむに分配。まりさと赤まりさには生きるために必要最低限の食料しか渡さなかった。
そのことにまりさ達が抗議しても「どおじでそんなこというのぉおおおお!!れいむたちにゆっくりしてほしくないのぉおお!!」
などと逆ぎれし暴力を振るう始末。このままでは殺されると思ったまりさは赤まりさ達を連れて逃げ出した。
いわば自業自得なのだ。
ちなみに歌に関してもブタの鳴き声のほうがまだマシなレベルで、しかも歌い終わった後に
「ゆゆーん、そこのかっこいいおにいさん、れいむにあまあまちょうだいね。たくさんでいいよ。」
などとみえみえのお世辞とニタニタした気持ち悪い愛想笑いで迫ってくる為、通行人は全員関わらないように足早に通り過ぎていくだけだった。まあ、潰されたりしないだけ幸運なのだが。
「ちっ!!あのクズはあんなにいっぱいもらってるのに・・・」
ギリリと歯軋りするれいむの目線の先には同じく歌を歌うことで食料をもらっているゆっくりさなえの姿があった。
いつも空っぽのれいむの空き缶と違い、さなえの空き缶は今日も満員御礼状態。飴玉やチョコレート、菓子パンなどがはちきれんばかりに入っている。どうやら駅の利用者に固定のファンまでいるらしい。
恐らく恵んで欲しいと頭を下げればお人好しなさなえのことだから余った食料を分けてもらえると思うのだがれいむはそれをしなかった。
自分とその子供以外のゆっくりを全て奴隷やクズだとしか思っていないれいむにとってそれは耐え難い屈辱に思えたのだ。
どうしてこのれいむがあんなクズに頭を下げねばならないのか。むしろクズさなえのほうが貢物をれいむ様に献上するべきなのだ。
大体ジジイ共もジジイ共だ。あのクズさなえばかりチヤホヤしやがって。見る目がないにも程がある。
しかもれいむの美声と百万ドルの笑顔をいつもただ見してばかりだ。
こっちが下手に出てるからっていい気になってるんじゃないのか。
ブツブツと一人で愚痴を言い続けるれいむ。そしてその愚痴は徐々に陰惨かつ危険なものになっていく。
なぜクズさなえがれいむを差し置いてあんなにあまあまをもらえるのか。
きっとなにか卑怯な手を使っているに違いない。そうだ。そうに決まっている。
そうやってジジイ達かられいむのもらうはずだったあまあまを騙し取っているのだ。
だかられいむにあまあまがもらえない。そうだ。そうに決まっている。
クソッ!!!
クソッ!!!
クソッ!!!
殺してやる!!殺してやるぞ、あのクズさなえめ!!
いつまでも泣き寝入りするれいむ様じゃない!!いつか必ず殺してやる。
れいむの頭の中では嫉妬と被害妄想が入り混じり、いつしかどす黒い殺意にまでなっていた。
そして一週間後、悪魔がれいむに微笑んだのかその時は訪れた。
ここ数日、駅前に姿を現さなかったさなえ。噂によるとつがいのまりさとすっきりーしてにんっしんっしたらしい。
にんっしんっしたゆっくりは身重になる為動けなくなる。チャンス到来だ。
ニヤリと笑うれいむ。奴の巣が廃ビルの路地裏にあることは解っている。
待っていろクズゲスめ。もうすぐ正義の鉄槌を与えてやる。自分の罪をかみしめながら死ぬがいい。
れいむは尖った枝を持ち、駅の近くの廃ビルへと跳ねていった。
「きゃあああああ!!!やめてぇえええ!!!」
「うるさいよ!!げすさなえはせいさいっされてね!!」
さなえの悲鳴が路地裏の段ボールハウスに木霊する。それを襲うれいむの声も。
悲鳴をあげても無駄だ。この辺りは人気も少なく、この時間は人もゆっくりも誰も居ない。
それを見越してれいむも襲撃をかけてきているのだ。
「やめてください、れいむさん・・・さなえがなにかわるいことをしたのならあやまりますから・・・」
ガチガチと震えるさなえ。逃げようとしても、その額には植物型にんっしんっの茎があり素早くは動けない。
つがいのまりさに助けを求めようにも、まりさは既に表で殺され事切れている。
言葉巧みにれいむに呼び出され、背後から隠し持っていた尖った枝で一突きされたのだ。
「うるさいよ!!れいむがもらうはずのあまあまをだましとるゲスはしんでね!!」
「な・・・なにをいってるんですか・・・?」
身に覚えのない言いがかりに困惑するしかないさなえ。
そもそもこのれいむに会うのは今日が初めてだ。当然そんなことした覚えはない。
「しらばっぐれるなぁあああ!!!!このクズゲスがぁあああああ!!!」
「いやぁああああああああ!!!!」
そんなさなえに容赦なく枝を突き立て続けるれいむ。さなえの苦痛にあえぐ声が路地裏に鳴り響いた。
数分後、見るも無惨な姿のさなえがそこにいた。
右目には枝を突き立てられ、全身には枝でつけられた切り傷だらけ。わざと中枢餡をさけるように何度も突き刺された跡もある。
植物性にんっしんっの茎はへし折られ、下には赤ゆの死体が散乱している。
ひとおもいに殺さず嬲り殺しにされたのだ。そういった意味では中枢餡を貫かれ即死に近い死に方をしたまりさは幸運と言えるかもしれない。
もはや生前の愛らしい姿はそこにはなく、ただただ苦悶の表情を浮かべて死んでいた。
「ゆっふっふっ。ゲスへのせいさいっはおわったよ。あとはれいむがゆっくりできなかったことにたいするいしゃりょうさんをもらうだけだね。」
そんなさなえを尻目に巣の中をゴソゴソとあさるれいむ。寝床と思われるタオルの下の空き箱にはキャンディーや木の実、菓子パンなどがたくさんかくしてあった。
「こんなにれいむのあまあまをためこんでるなんてどうしようもないクズゲスだね!!」
そう言って貯めてあった食料を食い散らかすれいむ。
「はふはふッうめッ、これめっちゃうめッ!!」
その姿は醜悪の一言である。
「ゆ・・・・」
突然、背後から声が聞こえた。ビクッと振り向くれいむ。そこにあったのはさなえに生えていた植物性にんっしんっの茎だった。
先端のほうにあったまりさ種の赤ゆはすでにれいむに潰されていたが、奇跡的に根元にいたさなえだけは生き残っていたのだ。
全くゴキブリ以下のクズさなえに似てゴキブリ並の生命力だ。今すぐ母子ともども地獄へ送ってやる。
そう思い赤さなえを踏み潰そうとするれいむだが、はたと思いとどまる。
このまま殺すのは簡単だ。しかしこいつにはもっとうまい使い道があるのではないか。
そうだこいつをれいむ達の奴隷にしよう。きっと母親に似てジジイどもに媚を売ることだけはうまいだろう。そうして得たあまあまをれいむたちが頂けばいいのだ。
幸いここにはさなえの死体がある。こいつの餡子を水に薄めて、それに茎をさしておけばそのうち産まれるはずだ。
下卑た笑いを浮かべつつれいむはそれを実行した。
産まれる寸前だったことが良かったのか、幸運にも未熟ゆにはならず健康体として産まれることができたさなえ。
しかし待っていたのは幸運と呼ぶにはあまりに過酷な運命であった。
産まれてすぐに教育と称してれいむに都合のいいことを吹き込まれるさなえ。
れいむこそ至高にして最高のゆっくりであり、すべてのゆっくりはれいむに服従しなければならない。
さなえは価値のないクズゆっくりであり、れいむ達の慈悲のおかげで生きていられる存在である。
さなえはれいむ達の奴隷でありそのゆん生すべてをれいむたちに捧げねばならない。
見る目のないクズ人間どもはさなえばかりちやほやするが勘違いしてはいけない。
そんな言葉を延々と繰り返され徐々にさなえは洗脳されていく。その様はどこぞの独裁国家や新興カルト宗教のようである。
さなえ種の特徴に信心深いというのがあるが、それは逆に言えば洗脳されやすい騙されやすいということである。
事実このさなえもこの狂った悪徳カルト宗教でいぶ教の呪縛から逃れられず、すっかりれいむのいうことを信じるようになった。
「しゃなえはくじゅです・・・れいむかあさまのどれいでしゅ・・・」
「こえがちいさいよ!!おおきなこえでいうまでなんどでもやりなおさせるからね!!」
何度も屈辱的な言葉を反復させられるさなえ。そしてそんなさなえの様子を二匹の子れいむがニタニタとあざけ笑っている。
こうしてさなえの日々は過ぎていく。何の希望もなく何の救いもないままに。
巣に吹き込んでくる冷たい風でさなえは目を覚ました。どうやらあのまま寝てしまったらしい。涙の跡が両目に見える。
すきま風が吹き込んでくる段ボールハウスの隅がさなえの指定席だ。それ以外の場所は使わせてもらえない。
「いけない。はやくおそうじしないと。」
朝れいむ達が起きる前に掃除。それがさなえに課せられた日課だ。少しでもゴミが残っていると親れいむから怒鳴り散らされる。
段ボールハウス中に巻き散らからされている食べかすや駄菓子やパンの包装袋を集めるさなえ。まだ子ゆっくりの身では一苦労だ。
「ゆ・・・ん・・ゆっくりおきるよ・・・」
そうこうしてる間に親れいむが起きてきた。
「ゆっくりおはようございます。おかあさま。」
あいさつをするさなえを無視し、ジロリと巣の中を見回すれいむ。その目は嫁のあら捜しをする姑そのものである。
「ゆっ!!ここがよごれてるよ!!こんなんでそうじしたつもりなの!!バカなの!?しぬの!?」
わずかなゴミを見つけ、さなえを叱り付けるれいむ。これらのゴミを巻き散らかしたのはれいむ親子なのだから本来さなえに片付ける義務などないのだがそんな事はれいむに関係ない。ただひたすらさなえをなじり続ける。
「まったくいのちのおんじんであるれいむのいうことがきけないなんてどうしようもないクズゲスだね。おまえなんてたすけなきゃよかったよ!!」
「もうしわけありません、おかあさま。そんなつもりじゃないんです。どうぞおゆるしください。」
さなえは顔をこすり付けるようにしてれいむにわび続ける。
表向きにはゲスに襲われ死んださなえの茎に適切な処置をし、産まれた子供をれいむが育てているということになっているのだ。
真相はまったく逆でこのれいむこそ両親のかたきなのだがさなえはそれを知ることができない。
ただ、れいむ親子に奴隷のように酷使され続けるだけである。
「さっさとあまあまとってきてね!!あとでとりにいくからさぼったらゆるさないよ!!」
そう言われて追い出されるように段ボールハウスをでるさなえ。
季節はもう冬。外の風は冷たくまだ幼いさなえに突き刺さるようだ。
寒さに震えながら小さな体を懸命に弾ませ跳ねていく。行く先は近くにある駅前通りだ。
10分もたつと駅前についた。通勤ラッシュで沢山の人間達が慌ただしく歩いている。
そのなかをさなえは縫うように進んでいかねばねならない。踏み潰されたら一貫の終わりだ。
やっとの思いでいつもの場所に着いても休む暇などない。隠しておいた空き缶を出しさなえは駅の利用者に向けて歌い始めた。
せめてもの救いなのは大抵の人間はさなえに対して好意的なことだ。
幼いのに寒空の下懸命に声を そういったさなえに同情する者は少なくない。
礼儀正しく人気も高い希少種ということもあり、空き缶には入りきれないほどの食料が入れられている。
「ありがとうございます。あなたがゆっくりできることをねがっています。」
食料をくれた人全員に丁重にお礼を言うさなえ。こういったところも人気の秘密だろう。
とはいえ全ての人間がさなえに好意的というわけではない。
「うるせいぞォ!!!このクソ饅頭がァ!!!」
ガシャァンという音を音をたてて飛ばされる空き缶。
ゆっくり嫌いの男が蹴飛ばしたのだ。中に入っていた菓子パンやチョコレートなどが地面に散乱している。
「饅頭風情がうるせぇんだよ!!ぶっ殺すぞ!!!」
わめきながら地面に散らばったキャンディー等をグシャグシャと踏みつけていく。さなえはそれをどうすることもできない。
「もうしわけございません。おきにさわったのならあやまります。どうぞおゆるしください。」
ただひたすら男の怒りがさめるよう謝り続ける。通行人も注目し始めさすがに男もバツが悪くなったのか
「チッ。クソ饅頭が・・・」
といって去ってしまった。
男が去った後さなえは地面に落ちた食料を拾い集め始めた。とはいっても踏み砕かれたり溝に落ちたりして半分近くは回収不可能である。
もうすぐ夕方。親れいむが食料を取りに来る時間だ。いつもより量が少ないと親れいむに折檻されるだろう。
さなえはため息をつくしかなかった。
「このクズさなえ!!!これっぽっちじゃゆっくりできないでしょぉおおおお!!!このクズクズクズクズ!!!」
案の定れいむは量に満足せずさなえに暴力を振るい始めた。他のものに見られないよう人気のない草むらで、もみあげで何度もさなえを打ち据える。
さなえは声も出さず耐えている。下手に刺激をするとなにをされるか解らないからだ。
「まったくほんとうにうんうんいかのクズだね!!あしたもこんなんだったらしょうちしないよ!!」
「はい・・・・すいません・・・」
そう言ってパンや駄菓子の入ったビニール袋をくわえ帰ろうとしたれいむだったが
「ゆ・・・あれは・・・」
「ど・・・どうしたんですか?かあさま?」
何か見つけたようである。ボヨン、ボヨンと跳ねていく。わけもわからずついていくさなえ。
「ゆゆーん、おまんじゅうさんだよー。」
そこにあったのはえーき地蔵と呼ばれる地蔵だった。そしてその前にはお供え物らしき饅頭が置いてあった。
「はふはふっ、うめっ、しあわせー。」
即座に食べ始めるれいむ。慌ててさなえが止めにはいる。
「やめてください、かあさま。ばちがあたってしまいます。」
「なにいってんのぉおおお!!!おまんじゅうさんはたべてあげないとゆっくりできないんだよぉおおお!!!」
「そ・・・そうなんですか?」
「そうだよ!!れいむにはきこえるよ。おまじゅうさんのおねがいだからたべてってこえが!!」
息を吐くかのように嘘をつくれいむ。ここまでゲスだと逆に気持ちいい。
「そうだったんですか・・・すいません、さなえはしゅぎょうぶそくできこえませんでした。」
「まったくさなえはくずだね!!ぐふ、もぐ、うめっ、これうめっ。」
更に饅頭を食べ続けるれいむ。後に残ったのは皿だけだった。
こうしてれいむに騙され、洗脳され、搾取され続けるさなえだったがそれも終わりが訪れた。
「も・・・もうじわけございません・・・おかあさま・・ゴホゴホ・・すぐに・・すぐに・・なおりまずから・・・」
ガラガラ声のさなえ。ここ数日、歌いすぎにくわえ風邪をひいてしまったのだ。そして治る気配は一向にない。
れいむは困っていた。
これでは駅へ歌いに行かせることができない。ただでさえ最近さなえへの虐待疑惑がれいむにかかっているのだ。
こんな状態で行かせればそれは疑惑から一気に確信に変わるだろう。そしたらさなえびいきのクズジジイどもがどんな暴挙や凶行にでるかわからない。
クソッ、この役たたずめ。あの時母親と一緒に殺さずにやった恩を忘れたのか、このゲスめ。
とはいえそろそろさなえを利用するのは限界だろう。最後にこのゴミを有効利用せねば。
れいむはある噂を思い出す。2丁目のゆっくりかなこがさなえ種を養子に欲しいと言っていることを。
このかなこは2丁目のオンバシラ神社という神社に、すわこと共に住んでいるゆっくりだが飼いゆっくりというわけではない。
神社の草むしりや参拝客の相手などすることで神社においてもらっている地域ゆっくりと言える存在で、かなこはそのリーダー的存在である。
野良ならだれしもあこがれる立場にいたかなこだが、子宝に恵まれないことが悩みの種だった。
だからもしさなえを自分達の養子にしてくれるなら家族全員、自分達のグループへの参加を認めるという破格といえる条件まで出してきたのだ。
れいむは考える。
地域ゆっくりは寝床と食べ物、そして身の安全も保障される。参拝客のジジイどもからあまあまをせしめることもできる。
不安定でいつも加工所や野良犬達からおびえ続ける野良と大違いだ。けして悪くない。
しかしそうなるとあのクズさなえが次の長ということになってしまう。このクズより下とは。
それに下手にあのゴミさなえに権力を持たせたら今までのことを恨んで仕返しされかねない。
なにかないのか。あのクズを始末してれいむ達だけゆっくりできる方法が。
・・・・そうだ。この手があった。
何か思いつくれいむ。そのいやらしく笑う目線の先にはさなえがいた。
ゴホゴホと苦しそうにセキをするさなえ。さなえは知らない。自分が危機的状況にいることに。
(後編に続く)
あとがき
いつもご愛読ありがとうございます。長月です。今回のテーマは「一点の同情の余地のないクサレ外道なでいぶ」だったのですがどうだったでしょうか。後編のさなえの活躍にご期待ください。
ご意見、ご感想、後編への要望等コメントで書いていただければ幸いです。
追伸
皆さん魂魄 妖忌ってキャラ知ってますか?妖夢の祖父なのですが。
後編でその妖忌のゆっくりを出そうかと迷っているのですが・・・どうでしょうか?
キャラ的にマイナーすぎるし・・・
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※駄文、稚拙な表現注意。
※俺設定注意
※テーマは差別、下克上です。
「さあ、おちびちゃんたちいっしょにおうたをうたおうね。ゆーゆんゆーゆーゆー。」
「ゆーゆんゆーゆーゆー。」
ここはある町にある野良ゆっくりの作った段ボールハウス。
もうすぐ冬という寒々しい夜空の下、ゆっくりれいむの親子がゆっくり特有の調子はずれの歌声が巣の中に鳴り響かせている。
「ゆーん。おうたはとっちぇもゆっきゅりできるね。」
もみあげをピコピコさせて喜ぶ子れいむ。不思議なことにこの親子、野良とは思えないほどブクブクと太っている。
その様子をさなえは段ボールハウスの隅でみつめていた。こちらはれいむ達と対照的に明らかに栄養不良である。
さなえはただ見ることしかできない。けして家族の団欒に加わることなどできない。
なぜなら自分はいらない子なのだから。
目の前の楽しそうな家族達をさなえはただ暗い目で見つめることしかできなかった。
「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編)
作、長月
「そこのくず!!じろじろこっちをみないでね!!きもちわるいよ!!」
ギロリとさなえを睨み怒鳴りつける親れいむ。さなえははっとしたように目を伏せた。
「ゆゆーん。うんうんぶくろのさなえがうりゃやましそうにこっちをみちぇるよ!!」
「おーあわりぇ、あわりぇ。」
親に追従してさなえを罵倒する子れいむ達。さなえは目線を伏せたまま涙を浮かべることしかできない。
チッと舌打ちする親れいむ。
まったくあのクズさなえそっくりのクソチビだ。自分のおちびちゃんと大違いの辛気臭い表情しかできないクズ。
こんなクズ、本当は置いておきたくない。今すぐにでも踏み潰して腹のたしにでもしたいものだ。
しかし今は我慢しよう。こいつは奴隷なのだから。
れいむはさなえを手に入れたあの日のことを思い出した。
2ヶ月前れいむは最悪だった。
つがいのまりさには逃げられ、産まれたばかりの赤れいむ2匹を自分一人で育てなければならないのだ。
駅前に行き、自分の得意の歌でなんとか人間達に食料を分けてもらおうとするがそれもうまくいかず毎日食べるものに事欠く有様。
今日もなんの収穫もない一日だった。帰ったらそのへんの雑草を食べねばばらない。
と、こう書くとれいむに同情する者もいるかもしれないが、実際はそう美しい話ではない。
そもそもつがいのまりさが出て行った原因はれいむにあるのだ。
狩りにでているまりさに「あまあまをがたべたい」だの「もっとたくさんとってこい」だの言ったあげく、まりさが持ってくる食料の9割近くを自分と自分と同じ種である赤れいむに分配。まりさと赤まりさには生きるために必要最低限の食料しか渡さなかった。
そのことにまりさ達が抗議しても「どおじでそんなこというのぉおおおお!!れいむたちにゆっくりしてほしくないのぉおお!!」
などと逆ぎれし暴力を振るう始末。このままでは殺されると思ったまりさは赤まりさ達を連れて逃げ出した。
いわば自業自得なのだ。
ちなみに歌に関してもブタの鳴き声のほうがまだマシなレベルで、しかも歌い終わった後に
「ゆゆーん、そこのかっこいいおにいさん、れいむにあまあまちょうだいね。たくさんでいいよ。」
などとみえみえのお世辞とニタニタした気持ち悪い愛想笑いで迫ってくる為、通行人は全員関わらないように足早に通り過ぎていくだけだった。まあ、潰されたりしないだけ幸運なのだが。
「ちっ!!あのクズはあんなにいっぱいもらってるのに・・・」
ギリリと歯軋りするれいむの目線の先には同じく歌を歌うことで食料をもらっているゆっくりさなえの姿があった。
いつも空っぽのれいむの空き缶と違い、さなえの空き缶は今日も満員御礼状態。飴玉やチョコレート、菓子パンなどがはちきれんばかりに入っている。どうやら駅の利用者に固定のファンまでいるらしい。
恐らく恵んで欲しいと頭を下げればお人好しなさなえのことだから余った食料を分けてもらえると思うのだがれいむはそれをしなかった。
自分とその子供以外のゆっくりを全て奴隷やクズだとしか思っていないれいむにとってそれは耐え難い屈辱に思えたのだ。
どうしてこのれいむがあんなクズに頭を下げねばならないのか。むしろクズさなえのほうが貢物をれいむ様に献上するべきなのだ。
大体ジジイ共もジジイ共だ。あのクズさなえばかりチヤホヤしやがって。見る目がないにも程がある。
しかもれいむの美声と百万ドルの笑顔をいつもただ見してばかりだ。
こっちが下手に出てるからっていい気になってるんじゃないのか。
ブツブツと一人で愚痴を言い続けるれいむ。そしてその愚痴は徐々に陰惨かつ危険なものになっていく。
なぜクズさなえがれいむを差し置いてあんなにあまあまをもらえるのか。
きっとなにか卑怯な手を使っているに違いない。そうだ。そうに決まっている。
そうやってジジイ達かられいむのもらうはずだったあまあまを騙し取っているのだ。
だかられいむにあまあまがもらえない。そうだ。そうに決まっている。
クソッ!!!
クソッ!!!
クソッ!!!
殺してやる!!殺してやるぞ、あのクズさなえめ!!
いつまでも泣き寝入りするれいむ様じゃない!!いつか必ず殺してやる。
れいむの頭の中では嫉妬と被害妄想が入り混じり、いつしかどす黒い殺意にまでなっていた。
そして一週間後、悪魔がれいむに微笑んだのかその時は訪れた。
ここ数日、駅前に姿を現さなかったさなえ。噂によるとつがいのまりさとすっきりーしてにんっしんっしたらしい。
にんっしんっしたゆっくりは身重になる為動けなくなる。チャンス到来だ。
ニヤリと笑うれいむ。奴の巣が廃ビルの路地裏にあることは解っている。
待っていろクズゲスめ。もうすぐ正義の鉄槌を与えてやる。自分の罪をかみしめながら死ぬがいい。
れいむは尖った枝を持ち、駅の近くの廃ビルへと跳ねていった。
「きゃあああああ!!!やめてぇえええ!!!」
「うるさいよ!!げすさなえはせいさいっされてね!!」
さなえの悲鳴が路地裏の段ボールハウスに木霊する。それを襲うれいむの声も。
悲鳴をあげても無駄だ。この辺りは人気も少なく、この時間は人もゆっくりも誰も居ない。
それを見越してれいむも襲撃をかけてきているのだ。
「やめてください、れいむさん・・・さなえがなにかわるいことをしたのならあやまりますから・・・」
ガチガチと震えるさなえ。逃げようとしても、その額には植物型にんっしんっの茎があり素早くは動けない。
つがいのまりさに助けを求めようにも、まりさは既に表で殺され事切れている。
言葉巧みにれいむに呼び出され、背後から隠し持っていた尖った枝で一突きされたのだ。
「うるさいよ!!れいむがもらうはずのあまあまをだましとるゲスはしんでね!!」
「な・・・なにをいってるんですか・・・?」
身に覚えのない言いがかりに困惑するしかないさなえ。
そもそもこのれいむに会うのは今日が初めてだ。当然そんなことした覚えはない。
「しらばっぐれるなぁあああ!!!!このクズゲスがぁあああああ!!!」
「いやぁああああああああ!!!!」
そんなさなえに容赦なく枝を突き立て続けるれいむ。さなえの苦痛にあえぐ声が路地裏に鳴り響いた。
数分後、見るも無惨な姿のさなえがそこにいた。
右目には枝を突き立てられ、全身には枝でつけられた切り傷だらけ。わざと中枢餡をさけるように何度も突き刺された跡もある。
植物性にんっしんっの茎はへし折られ、下には赤ゆの死体が散乱している。
ひとおもいに殺さず嬲り殺しにされたのだ。そういった意味では中枢餡を貫かれ即死に近い死に方をしたまりさは幸運と言えるかもしれない。
もはや生前の愛らしい姿はそこにはなく、ただただ苦悶の表情を浮かべて死んでいた。
「ゆっふっふっ。ゲスへのせいさいっはおわったよ。あとはれいむがゆっくりできなかったことにたいするいしゃりょうさんをもらうだけだね。」
そんなさなえを尻目に巣の中をゴソゴソとあさるれいむ。寝床と思われるタオルの下の空き箱にはキャンディーや木の実、菓子パンなどがたくさんかくしてあった。
「こんなにれいむのあまあまをためこんでるなんてどうしようもないクズゲスだね!!」
そう言って貯めてあった食料を食い散らかすれいむ。
「はふはふッうめッ、これめっちゃうめッ!!」
その姿は醜悪の一言である。
「ゆ・・・・」
突然、背後から声が聞こえた。ビクッと振り向くれいむ。そこにあったのはさなえに生えていた植物性にんっしんっの茎だった。
先端のほうにあったまりさ種の赤ゆはすでにれいむに潰されていたが、奇跡的に根元にいたさなえだけは生き残っていたのだ。
全くゴキブリ以下のクズさなえに似てゴキブリ並の生命力だ。今すぐ母子ともども地獄へ送ってやる。
そう思い赤さなえを踏み潰そうとするれいむだが、はたと思いとどまる。
このまま殺すのは簡単だ。しかしこいつにはもっとうまい使い道があるのではないか。
そうだこいつをれいむ達の奴隷にしよう。きっと母親に似てジジイどもに媚を売ることだけはうまいだろう。そうして得たあまあまをれいむたちが頂けばいいのだ。
幸いここにはさなえの死体がある。こいつの餡子を水に薄めて、それに茎をさしておけばそのうち産まれるはずだ。
下卑た笑いを浮かべつつれいむはそれを実行した。
産まれる寸前だったことが良かったのか、幸運にも未熟ゆにはならず健康体として産まれることができたさなえ。
しかし待っていたのは幸運と呼ぶにはあまりに過酷な運命であった。
産まれてすぐに教育と称してれいむに都合のいいことを吹き込まれるさなえ。
れいむこそ至高にして最高のゆっくりであり、すべてのゆっくりはれいむに服従しなければならない。
さなえは価値のないクズゆっくりであり、れいむ達の慈悲のおかげで生きていられる存在である。
さなえはれいむ達の奴隷でありそのゆん生すべてをれいむたちに捧げねばならない。
見る目のないクズ人間どもはさなえばかりちやほやするが勘違いしてはいけない。
そんな言葉を延々と繰り返され徐々にさなえは洗脳されていく。その様はどこぞの独裁国家や新興カルト宗教のようである。
さなえ種の特徴に信心深いというのがあるが、それは逆に言えば洗脳されやすい騙されやすいということである。
事実このさなえもこの狂った悪徳カルト宗教でいぶ教の呪縛から逃れられず、すっかりれいむのいうことを信じるようになった。
「しゃなえはくじゅです・・・れいむかあさまのどれいでしゅ・・・」
「こえがちいさいよ!!おおきなこえでいうまでなんどでもやりなおさせるからね!!」
何度も屈辱的な言葉を反復させられるさなえ。そしてそんなさなえの様子を二匹の子れいむがニタニタとあざけ笑っている。
こうしてさなえの日々は過ぎていく。何の希望もなく何の救いもないままに。
巣に吹き込んでくる冷たい風でさなえは目を覚ました。どうやらあのまま寝てしまったらしい。涙の跡が両目に見える。
すきま風が吹き込んでくる段ボールハウスの隅がさなえの指定席だ。それ以外の場所は使わせてもらえない。
「いけない。はやくおそうじしないと。」
朝れいむ達が起きる前に掃除。それがさなえに課せられた日課だ。少しでもゴミが残っていると親れいむから怒鳴り散らされる。
段ボールハウス中に巻き散らからされている食べかすや駄菓子やパンの包装袋を集めるさなえ。まだ子ゆっくりの身では一苦労だ。
「ゆ・・・ん・・ゆっくりおきるよ・・・」
そうこうしてる間に親れいむが起きてきた。
「ゆっくりおはようございます。おかあさま。」
あいさつをするさなえを無視し、ジロリと巣の中を見回すれいむ。その目は嫁のあら捜しをする姑そのものである。
「ゆっ!!ここがよごれてるよ!!こんなんでそうじしたつもりなの!!バカなの!?しぬの!?」
わずかなゴミを見つけ、さなえを叱り付けるれいむ。これらのゴミを巻き散らかしたのはれいむ親子なのだから本来さなえに片付ける義務などないのだがそんな事はれいむに関係ない。ただひたすらさなえをなじり続ける。
「まったくいのちのおんじんであるれいむのいうことがきけないなんてどうしようもないクズゲスだね。おまえなんてたすけなきゃよかったよ!!」
「もうしわけありません、おかあさま。そんなつもりじゃないんです。どうぞおゆるしください。」
さなえは顔をこすり付けるようにしてれいむにわび続ける。
表向きにはゲスに襲われ死んださなえの茎に適切な処置をし、産まれた子供をれいむが育てているということになっているのだ。
真相はまったく逆でこのれいむこそ両親のかたきなのだがさなえはそれを知ることができない。
ただ、れいむ親子に奴隷のように酷使され続けるだけである。
「さっさとあまあまとってきてね!!あとでとりにいくからさぼったらゆるさないよ!!」
そう言われて追い出されるように段ボールハウスをでるさなえ。
季節はもう冬。外の風は冷たくまだ幼いさなえに突き刺さるようだ。
寒さに震えながら小さな体を懸命に弾ませ跳ねていく。行く先は近くにある駅前通りだ。
10分もたつと駅前についた。通勤ラッシュで沢山の人間達が慌ただしく歩いている。
そのなかをさなえは縫うように進んでいかねばねならない。踏み潰されたら一貫の終わりだ。
やっとの思いでいつもの場所に着いても休む暇などない。隠しておいた空き缶を出しさなえは駅の利用者に向けて歌い始めた。
せめてもの救いなのは大抵の人間はさなえに対して好意的なことだ。
幼いのに寒空の下懸命に声を そういったさなえに同情する者は少なくない。
礼儀正しく人気も高い希少種ということもあり、空き缶には入りきれないほどの食料が入れられている。
「ありがとうございます。あなたがゆっくりできることをねがっています。」
食料をくれた人全員に丁重にお礼を言うさなえ。こういったところも人気の秘密だろう。
とはいえ全ての人間がさなえに好意的というわけではない。
「うるせいぞォ!!!このクソ饅頭がァ!!!」
ガシャァンという音を音をたてて飛ばされる空き缶。
ゆっくり嫌いの男が蹴飛ばしたのだ。中に入っていた菓子パンやチョコレートなどが地面に散乱している。
「饅頭風情がうるせぇんだよ!!ぶっ殺すぞ!!!」
わめきながら地面に散らばったキャンディー等をグシャグシャと踏みつけていく。さなえはそれをどうすることもできない。
「もうしわけございません。おきにさわったのならあやまります。どうぞおゆるしください。」
ただひたすら男の怒りがさめるよう謝り続ける。通行人も注目し始めさすがに男もバツが悪くなったのか
「チッ。クソ饅頭が・・・」
といって去ってしまった。
男が去った後さなえは地面に落ちた食料を拾い集め始めた。とはいっても踏み砕かれたり溝に落ちたりして半分近くは回収不可能である。
もうすぐ夕方。親れいむが食料を取りに来る時間だ。いつもより量が少ないと親れいむに折檻されるだろう。
さなえはため息をつくしかなかった。
「このクズさなえ!!!これっぽっちじゃゆっくりできないでしょぉおおおお!!!このクズクズクズクズ!!!」
案の定れいむは量に満足せずさなえに暴力を振るい始めた。他のものに見られないよう人気のない草むらで、もみあげで何度もさなえを打ち据える。
さなえは声も出さず耐えている。下手に刺激をするとなにをされるか解らないからだ。
「まったくほんとうにうんうんいかのクズだね!!あしたもこんなんだったらしょうちしないよ!!」
「はい・・・・すいません・・・」
そう言ってパンや駄菓子の入ったビニール袋をくわえ帰ろうとしたれいむだったが
「ゆ・・・あれは・・・」
「ど・・・どうしたんですか?かあさま?」
何か見つけたようである。ボヨン、ボヨンと跳ねていく。わけもわからずついていくさなえ。
「ゆゆーん、おまんじゅうさんだよー。」
そこにあったのはえーき地蔵と呼ばれる地蔵だった。そしてその前にはお供え物らしき饅頭が置いてあった。
「はふはふっ、うめっ、しあわせー。」
即座に食べ始めるれいむ。慌ててさなえが止めにはいる。
「やめてください、かあさま。ばちがあたってしまいます。」
「なにいってんのぉおおお!!!おまんじゅうさんはたべてあげないとゆっくりできないんだよぉおおお!!!」
「そ・・・そうなんですか?」
「そうだよ!!れいむにはきこえるよ。おまじゅうさんのおねがいだからたべてってこえが!!」
息を吐くかのように嘘をつくれいむ。ここまでゲスだと逆に気持ちいい。
「そうだったんですか・・・すいません、さなえはしゅぎょうぶそくできこえませんでした。」
「まったくさなえはくずだね!!ぐふ、もぐ、うめっ、これうめっ。」
更に饅頭を食べ続けるれいむ。後に残ったのは皿だけだった。
こうしてれいむに騙され、洗脳され、搾取され続けるさなえだったがそれも終わりが訪れた。
「も・・・もうじわけございません・・・おかあさま・・ゴホゴホ・・すぐに・・すぐに・・なおりまずから・・・」
ガラガラ声のさなえ。ここ数日、歌いすぎにくわえ風邪をひいてしまったのだ。そして治る気配は一向にない。
れいむは困っていた。
これでは駅へ歌いに行かせることができない。ただでさえ最近さなえへの虐待疑惑がれいむにかかっているのだ。
こんな状態で行かせればそれは疑惑から一気に確信に変わるだろう。そしたらさなえびいきのクズジジイどもがどんな暴挙や凶行にでるかわからない。
クソッ、この役たたずめ。あの時母親と一緒に殺さずにやった恩を忘れたのか、このゲスめ。
とはいえそろそろさなえを利用するのは限界だろう。最後にこのゴミを有効利用せねば。
れいむはある噂を思い出す。2丁目のゆっくりかなこがさなえ種を養子に欲しいと言っていることを。
このかなこは2丁目のオンバシラ神社という神社に、すわこと共に住んでいるゆっくりだが飼いゆっくりというわけではない。
神社の草むしりや参拝客の相手などすることで神社においてもらっている地域ゆっくりと言える存在で、かなこはそのリーダー的存在である。
野良ならだれしもあこがれる立場にいたかなこだが、子宝に恵まれないことが悩みの種だった。
だからもしさなえを自分達の養子にしてくれるなら家族全員、自分達のグループへの参加を認めるという破格といえる条件まで出してきたのだ。
れいむは考える。
地域ゆっくりは寝床と食べ物、そして身の安全も保障される。参拝客のジジイどもからあまあまをせしめることもできる。
不安定でいつも加工所や野良犬達からおびえ続ける野良と大違いだ。けして悪くない。
しかしそうなるとあのクズさなえが次の長ということになってしまう。このクズより下とは。
それに下手にあのゴミさなえに権力を持たせたら今までのことを恨んで仕返しされかねない。
なにかないのか。あのクズを始末してれいむ達だけゆっくりできる方法が。
・・・・そうだ。この手があった。
何か思いつくれいむ。そのいやらしく笑う目線の先にはさなえがいた。
ゴホゴホと苦しそうにセキをするさなえ。さなえは知らない。自分が危機的状況にいることに。
(後編に続く)
あとがき
いつもご愛読ありがとうございます。長月です。今回のテーマは「一点の同情の余地のないクサレ外道なでいぶ」だったのですがどうだったでしょうか。後編のさなえの活躍にご期待ください。
ご意見、ご感想、後編への要望等コメントで書いていただければ幸いです。
追伸
皆さん魂魄 妖忌ってキャラ知ってますか?妖夢の祖父なのですが。
後編でその妖忌のゆっくりを出そうかと迷っているのですが・・・どうでしょうか?
キャラ的にマイナーすぎるし・・・
今まで書いた作品
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