ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2813 ちぇんが敬遠される三つの理由
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『ちぇんが敬遠される三つの理由』 19KB
制裁 考証 ゲス 希少種 透明な箱 加工場 現代 独自設定 ちょっとずつ書き足していくのは難しい……独自設定、らん制裁注意です
制裁 考証 ゲス 希少種 透明な箱 加工場 現代 独自設定 ちょっとずつ書き足していくのは難しい……独自設定、らん制裁注意です
- 独自設定に注意。
- 軽めですが、らんを制裁する描写があります。
- 相変わらず制裁描写薄めです。元々制裁描写を入れない予定だった名残でもあるのです
が……。
ゆっくりちぇん。
所謂、通常種とよばれている種類のゆっくりである。猫に似た外見が特徴で、他のゆっ
くりとは違い、「わかるよー」という言葉を口癖にしている。
くりとは違い、「わかるよー」という言葉を口癖にしている。
猫といえば、昔からペット用として屈指の人気を誇る動物である。そんな猫にそっくり
であり、とても人懐っこいちぇん種は、ペット用ゆっくりとしても人気が高いのではない
かと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
であり、とても人懐っこいちぇん種は、ペット用ゆっくりとしても人気が高いのではない
かと思われる方もいらっしゃるかもしれない。
しかし、ちぇん種はペット用として、決して人気の高いゆっくりではないのである。加
工所が毎年発表している出荷数ランキングによると、ペット用ゆっくりとしてのちぇん種
の出荷数は、れいむ種、まりさ種、ありす種に次ぐ、四位に位置づけされている。五位の
ぱちゅりー種と比べても、かなり僅差の数字である。
工所が毎年発表している出荷数ランキングによると、ペット用ゆっくりとしてのちぇん種
の出荷数は、れいむ種、まりさ種、ありす種に次ぐ、四位に位置づけされている。五位の
ぱちゅりー種と比べても、かなり僅差の数字である。
何故ここまでちぇん種の人気が低いのか。その理由は、大きく分類すると三つあると言
われている。ここでは、その三つの事例を紹介する。
われている。ここでは、その三つの事例を紹介する。
ケース一 耐久性
「わかるよー! おにいさん、ゆっくりしていってね!!!」
「おう! ちぇん、お前もゆっくりしろよ!」
お兄さんは数ヶ月前に銀バッジの赤ちぇんを購入した。初めて飼うゆっくり。初めてゆ
っくりを飼う初心者には、金バッジが推奨されると言う事もあり、お兄さんはちぇんをし
っかり育てられるか、とても心配だった。
っくりを飼う初心者には、金バッジが推奨されると言う事もあり、お兄さんはちぇんをし
っかり育てられるか、とても心配だった。
しかし、お兄さんはゆっくりを購入するために訪れたゆっくりショップで、ショーケー
スの中から、「ゆっくりしていってね!」という声を掛けてくれたこのちぇんに、一目惚
れしてしまったのだ。銀バッジと言う事もあって、少し悩んだが、決心してこの銀バッジ
ちぇんを購入した。
スの中から、「ゆっくりしていってね!」という声を掛けてくれたこのちぇんに、一目惚
れしてしまったのだ。銀バッジと言う事もあって、少し悩んだが、決心してこの銀バッジ
ちぇんを購入した。
(このちぇんを選んで良かったな……)
お兄さんが心の中で思っていると、ちぇんが何やら神妙な面持ちで話しかけてきた。
「おにいさん、おねがいがあるんだよー……」
どうやらちぇんは、男にお願いしたい事があるようだ。
「なんだ? 内容次第だが、必要な事だったらなんでも聞いてやるぞ」
何でも言う事を聞いていたら、ゲス化してしまう可能性がある。しっかりと釘を刺す事
も忘れてはいけない。
も忘れてはいけない。
「ちぇんは、おにいさんといっしょのおふとんですーや、すーやしたいんだよー。ひとり
ですーや、すーやするのは、さみしいんだよー」
ですーや、すーやするのは、さみしいんだよー」
ちぇんは、お兄さんと一緒の布団で寝たいようだ。お兄さんはそれを聞いて、心の中で
嬉し涙を流す。
嬉し涙を流す。
「なんだ、そんな事か! 遠慮する必要なんて、全然ないんだぞ! 今日から一緒に寝よ
うな、ちぇん!」
うな、ちぇん!」
「ありがとうなんだよー! ちぇんは、おにいさんといっしょにすーや、すーやすること
ができて、とってもうれしいんだよー!」
ができて、とってもうれしいんだよー!」
その晩、お兄さんとちぇんは初めて一緒の布団で眠る事になった。しかし、お兄さんは
知らなかったのだ。自分の寝相が、あまり良くないと言う事を……。
知らなかったのだ。自分の寝相が、あまり良くないと言う事を……。
「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
真夜中、ちぇんのこの世の終わりかのような悲鳴で飛び起きるお兄さん。
「どうしたんだ!? ちぇん、大丈夫か!?」
ちぇんは布団の上で滝のような涙を流している。ちぇんの真横のシーツには、黒い染み
が広がっており、よく見ると、ちぇんの片方のしっぽが途中でちぎれている。
が広がっており、よく見ると、ちぇんの片方のしっぽが途中でちぎれている。
「ちぇん……? そのしっぽ、どうしたんだ……?」
お兄さんがちぇんに尋ねる。
「わ゛か゛ら゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!? こ゛れ゛を゛や゛っ゛た゛の゛
は゛、お゛に゛い゛さ゛ん゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!?」
は゛、お゛に゛い゛さ゛ん゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!?」
お兄さんは気付いた。ちぇんのしっぽは、お兄さん自身が潰してしまった事に。よく見
ると、服にチョコレートの染みがついている。どうやら、寝返りを打った際に、ちぇんの
しっぽにのしかかってしまったようだ。
ると、服にチョコレートの染みがついている。どうやら、寝返りを打った際に、ちぇんの
しっぽにのしかかってしまったようだ。
普通のゆっくりならば、寝返りで軽く圧力をかけられても、苦しいが潰れはしない物で
ある。しかし、今回のケースは、通常種の中ではちぇんだけが持つ、しっぽという、脆す
ぎる例外的な部位だったという事が不運だった。
ある。しかし、今回のケースは、通常種の中ではちぇんだけが持つ、しっぽという、脆す
ぎる例外的な部位だったという事が不運だった。
「おーい、ちぇん。朝御飯の時間だぞ……?」
(ビクッ!)
「わ……わかったよー。そこにおいておいてほしいんだねー。あとでたべるんだねー」
あの事件以来、ちぇんはお兄さんに対して警戒心を抱くようになってしまった。怪我の
痛みはオレンジジュースによって癒えたが、ちぇんのしっぽは二度と治ることが無いので
ある。
痛みはオレンジジュースによって癒えたが、ちぇんのしっぽは二度と治ることが無いので
ある。
実際は、ある程度の知識のあるゆっくり専門の獣医ならば、代わりのしっぽを、オレン
ジジュースと小麦粉を使ってくっつける事は可能であるが、それを知らずに治療を行わな
いケースが非常に多い。
ジジュースと小麦粉を使ってくっつける事は可能であるが、それを知らずに治療を行わな
いケースが非常に多い。
更に、ゆっくり専門の獣医は非常に少なく、一般人のゆっくりへの知識があまり無いの
を良い事に、膨大な治療費を要求する獣医が多いのも事実である。
を良い事に、膨大な治療費を要求する獣医が多いのも事実である。
「ちぇん……ごめんよ、本当にごめんよ……」
ちぇんは二年後、ひっそりと永遠にゆっくりした。お兄さんがゆっくりを飼う事は二度
と無かった。
と無かった。
ケース二 らんしゃま
「今日の仕事は一段と辛かったな……」
男が仕事を終え、とても疲れた表情で家へとたどり着いた。足取りにも、重々しさが見
える。
える。
しかし、玄関の扉の鍵を開けようとして、男は違和感を感じる。仕事へ出掛ける際に掛
けたはずの扉の鍵が、掛かっていないのである。
けたはずの扉の鍵が、掛かっていないのである。
(おかしい……。戸締りを忘れたことは、今まで一度も無いのに……)
男が玄関の扉を開ける。そこから見る限り、廊下は荒らされた形跡は無い。
しかし、男は気付いた。
(泥が乾いた跡が台所へと続いている……。何者かが家の中に入ったに違いない……)
同時に違和感も覚える。人間が侵入したならば、泥の跡は人間の足跡の形で残っている
はずである。だが、泥の跡を見る限り、跡の形は人間のよりも大きく、形も若干歪んだ円
のようになっている事である。明らかに人間の足によってつけられた物では無い事が見て
取れる。
はずである。だが、泥の跡を見る限り、跡の形は人間のよりも大きく、形も若干歪んだ円
のようになっている事である。明らかに人間の足によってつけられた物では無い事が見て
取れる。
(もしかして、人間じゃないのか……? それに、空き巣ならば、真っ先に向かうのは台
所ではなく、居間や寝室のはず……)
所ではなく、居間や寝室のはず……)
男が台所に入る。すると、冷蔵庫の扉は開け放たれており、ぼんやりとした冷蔵庫の灯
りが見える。その真下では、なにやらバレーボール大の影が二つ、蠢いている。
りが見える。その真下では、なにやらバレーボール大の影が二つ、蠢いている。
「ゆっ…ゆっ……………しゃまー……」
「ち……ぇ…………ぇ…………ん……」
男が台所の照明をつける。そして、明るくなった目に飛び込んできた物は……
「ちぇぇぇぇぇぇん! すっきりいいいいいいいい!」
「わかるよー! らんしゃまぁぁぁ! すっきりいいいいいい!」
食料を貪り満足したのか、すっきりー! を始め、たった今絶頂に達した、飼いゆっく
りの金バッジちぇんと、薄汚れた野良と思われるらんであった。
りの金バッジちぇんと、薄汚れた野良と思われるらんであった。
男は、若干体を震わせながらも、問いかける。
「ちぇん、一体どういう事なんだ? このらんは何だ? 何故家の鍵を開けた? 勝手に
冷蔵庫の中の物を食べるなとも教えたはずだぞ?」
冷蔵庫の中の物を食べるなとも教えたはずだぞ?」
「わからないよー! らんしゃまはゆっくりできるんだよー! だから、らんしゃまはお
うちにいれてもいいんだよー! あと、ちぇんも、らんしゃまも、おちびちゃんをうむた
めに、たっくさんえいようがひつようだったんだよー! わかってねー!」
うちにいれてもいいんだよー! あと、ちぇんも、らんしゃまも、おちびちゃんをうむた
めに、たっくさんえいようがひつようだったんだよー! わかってねー!」
なんという事だろうか。男の言いつけを破った挙句、その言い訳すら、聞くに耐え無い
物である。
物である。
『野良と勝手にすっきりー! してはいけない』
これは、普段から男がちぇんに厳しく言いつけていた事である。この言いつけを破った
事が前提な、最低レベルな言い訳が、あれである。これには流石に普段温厚な男も怒り心
頭のようだ。
事が前提な、最低レベルな言い訳が、あれである。これには流石に普段温厚な男も怒り心
頭のようだ。
「わからないのはお前だよ、ちぇん。わかった、そこまで言うなら、もうお前は俺の飼い
ゆっくりじゃない。何処にでも好きな所に行くが良い」
ゆっくりじゃない。何処にでも好きな所に行くが良い」
男の、ちぇんとの決別宣言である。
「わからないよおおおおおおお!? どぼぢでちぇんがすてられないといけないのおおお
おおお!?」
おおお!?」
男は、心の中で大きなため息をついた。なんで俺はこんなに頭の悪いゆっくりを買って
しまったのだろう……と。いくら金バッジと言っても、所詮ゆっくりはゆっくりなのだな
……と。
しまったのだろう……と。いくら金バッジと言っても、所詮ゆっくりはゆっくりなのだな
……と。
男は今回の体験から、そのように思ってしまっているようだが、実際には金バッジゆっ
くりは、他の等級のバッジのゆっくりと違って、滅多にゲス化する事は無いと言われてい
る。
くりは、他の等級のバッジのゆっくりと違って、滅多にゲス化する事は無いと言われてい
る。
しかし、ちぇん種に限っては、それに当てはまらないのである。ちぇん種は、同じゆっ
くりのらん種に対して、異常なまでの執着を見せるのだ。らん種が絡んだ場合、ちぇん種
の知能レベルは、バッジ等級二つ分下がると言われている。金バッジゆっくりのこのちぇ
んだが、銅バッジレベルにまで知能が落ちたとすれば、どういう結果になるかは目に見え
ているだろう。
くりのらん種に対して、異常なまでの執着を見せるのだ。らん種が絡んだ場合、ちぇん種
の知能レベルは、バッジ等級二つ分下がると言われている。金バッジゆっくりのこのちぇ
んだが、銅バッジレベルにまで知能が落ちたとすれば、どういう結果になるかは目に見え
ているだろう。
「まぁ、まて。ちぇん、はなしあいはらんにまかせておけ」
「らんしゃまああああああ! わかるよおおおお! ちぇんをすてようとするげすなじじ
いをせいっさいっしてねえええええ!」
いをせいっさいっしてねえええええ!」
どうやら、ちぇんの代わりに、らんが男と話し合いをするらしい。数時間前まではお兄
さんだったのに、今じゃゲスなジジイ呼ばわりか。それに、何故野良なんかと話し合いを
しなければならないのか。そう思った男であったが、まだ心の片隅に、ちぇんに対する情
が多少残っていた事もあり、これが最後、そう思って話を聞いてやる事にした。
さんだったのに、今じゃゲスなジジイ呼ばわりか。それに、何故野良なんかと話し合いを
しなければならないのか。そう思った男であったが、まだ心の片隅に、ちぇんに対する情
が多少残っていた事もあり、これが最後、そう思って話を聞いてやる事にした。
「じじ……にんげんさん。ちぇんのことはすまないとおもっている。しかし、いますてら
れてしまったら、ちぇんとらんのおちびちゃんたちは、かくじつにえいえんにゆっくりし
てしまう。わたしはやまでやせいのゆっくりとしていきてきたからだいじょうぶだが、や
せいとしていきたことがないちぇんには、とてもつらいだろう。すあなをつくったり、え
っとうのためのしょくりょうをあつめているうちに、えいえんにゆっくりしてしまうかも
しれない」
れてしまったら、ちぇんとらんのおちびちゃんたちは、かくじつにえいえんにゆっくりし
てしまう。わたしはやまでやせいのゆっくりとしていきてきたからだいじょうぶだが、や
せいとしていきたことがないちぇんには、とてもつらいだろう。すあなをつくったり、え
っとうのためのしょくりょうをあつめているうちに、えいえんにゆっくりしてしまうかも
しれない」
らんが言う事は一応正しいと言える。季節は冬。雪が滅多に降らない地方と言えど、夜
の気温は氷点下を下回る事もある。今まで野生で生きてきたらんなら大丈夫だろう。しか
し、野生で生きてきた経験の無いちぇんには厳しいと言うのは、間違いではない。
の気温は氷点下を下回る事もある。今まで野生で生きてきたらんなら大丈夫だろう。しか
し、野生で生きてきた経験の無いちぇんには厳しいと言うのは、間違いではない。
しかし、元はといえば、言いつけを破ってすっきりー! したのは、ちぇんとらん自身
なのだ。この結果は、因果応報と言う物である。
なのだ。この結果は、因果応報と言う物である。
それに、男はらんの”巣穴をつくったり”という台詞に違和感を覚えた。野生で生活を
していたというならば、自分の巣穴を持っていたはずである。加えて、野生のゆっくりが
この街までやって来るという話は、男は今までに一度も聞いたことがない。その点から考
えると、このらんがどうして街へやって来たのかが想像できる。大方、近くの山の群れで
問題を起こして、群れを追い出され、行くあても無いので街まで下りてきたという所であ
ろう。つまり、相当のゲスゆっくりであると言うことだ。
していたというならば、自分の巣穴を持っていたはずである。加えて、野生のゆっくりが
この街までやって来るという話は、男は今までに一度も聞いたことがない。その点から考
えると、このらんがどうして街へやって来たのかが想像できる。大方、近くの山の群れで
問題を起こして、群れを追い出され、行くあても無いので街まで下りてきたという所であ
ろう。つまり、相当のゲスゆっくりであると言うことだ。
そして、その考えは、次に発せられたらんの言葉で、確信へと変わる事となる。
「だから、にんげんさんには、らんとちぇんとおちびちゃんのために、しょくりょうのし
えんと、おうちのていきょうをしてほしい。きかんは……そうだな、おちびちゃんたちが
すだって、らんとちぇんがえいえんにゆっくりするまででいい」
えんと、おうちのていきょうをしてほしい。きかんは……そうだな、おちびちゃんたちが
すだって、らんとちぇんがえいえんにゆっくりするまででいい」
プチッ
男は血管が切れたかのような錯覚に襲われた。ああ、これがキレると言う事なんだと理
解した。
解した。
らんは、ゆっくりらしからぬ、丁寧な言葉で発言している。しかし、らんの発言を通常
種ゆっくりの言葉にすると、こうなるのである。
種ゆっくりの言葉にすると、こうなるのである。
「らんとちぇんはかわいそうなんだよ! だから、らんとちぇんとおちびちゃんたちのた
めに、おうちをよういしてね! ついでにあまあまもね! たくさんでいいよ!」
めに、おうちをよういしてね! ついでにあまあまもね! たくさんでいいよ!」
そう、ゲスゆっくりの常套文句である。幾ら丁寧に語ろうが、ゲスはゲス、ゆっくりは
ゆっくりである。人間のように、ゲスな本性を隠し通せる訳が無かったのである。
ゆっくりである。人間のように、ゲスな本性を隠し通せる訳が無かったのである。
お兄さんは我慢の限界だった。近くにあった極太の麺棒を掴むと、らんに向かって全力
で振り下ろした。
で振り下ろした。
グシャッ!!!
何かが潰れる音と共に、鼻をツーンと刺す、刺激のある匂いが台所に立ち込める。らん
の中身である、酢飯の匂いである。
の中身である、酢飯の匂いである。
麺棒は、らんを見ただけでは、そこに何があったのかすらわからなくなる程、グチャグ
チャに潰していた。”らんだったもの”の残骸が散らばっている床の中心部の、抉られた
ような大きい傷跡が、らんが潰れた時に、どれだけの力が加わったのかを表している。
チャに潰していた。”らんだったもの”の残骸が散らばっている床の中心部の、抉られた
ような大きい傷跡が、らんが潰れた時に、どれだけの力が加わったのかを表している。
「らんしゃまああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!? わがら゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛
お゛お゛お゛お゛お゛!?」
お゛お゛お゛お゛お゛!?」
男はふぅ……とため息をつくと、ちぇんに向かって麺棒を構える。
「金バッジと言うからには、もっと頭の良い生物だと思っていたがな。所詮はただの喋っ
て動くチョコレート饅頭か……」
て動くチョコレート饅頭か……」
男はちぇんに麺棒を振り下ろす。
「しねえ゛え゛え゛え゛え゛! げずな゛に゛ん゛げ゛ぇ゛……………………」
らんと同様、元の形がわからなくなる程グチャグチャに潰れ、ちぇんは永遠にゆっくり
した。
した。
「やれやれ、ゆっくりは二度とごめんだ。次は猫……いや、あの糞饅頭を思い出してしま
うな……。犬でも飼うか」
うな……。犬でも飼うか」
と、男は呟いたのだった。
ケース三 わかれよー
バレンタインデー。
男女の愛の誓いの日とされる。日本においては、女性が好きな男性にチョコレートを贈
る日と言ったほうが、分かりやすいかもしれない。
る日と言ったほうが、分かりやすいかもしれない。
元々は手作りチョコレートを贈るのが一般的であった。しかし、ここ十年程は様々なメ
ーカーから、次々と工夫を凝らしたチョコレートが開発され、全国的に販売されている。
それらを手作りチョコレートの代わりに、男性に贈るというケースが、年々増加している
のである。
ーカーから、次々と工夫を凝らしたチョコレートが開発され、全国的に販売されている。
それらを手作りチョコレートの代わりに、男性に贈るというケースが、年々増加している
のである。
そしてもう一つ、数年前に登場し、今では人気商品となっているチョコレートがある。
そのチョコレートとは、生ちぇん(生きているちぇん種)である。
そのチョコレートとは、生ちぇん(生きているちぇん種)である。
ゆっくり加工所。
この季節、加工所の食用ゆっくり生産ラインは、九割がちぇん種の生産にあてられてい
る。
る。
生産されたちぇんは、子ゆっくりの状態まで養殖施設で育成され、その後商品として出
荷されていく。
荷されていく。
ある年のバレンタイン。一人の女性が男にちぇんをプレゼントした。
男が家に帰り、チョコレートの包装紙を剥がすと、プラスチックの透明なパッケージの
中に、死んだように眠るちぇんを確認する事ができた。中のちぇんをパッケージから取り
出してみると、真空パックされている事に気付く。どうやらこの効果によって仮死状態に
なっているようだ。
中に、死んだように眠るちぇんを確認する事ができた。中のちぇんをパッケージから取り
出してみると、真空パックされている事に気付く。どうやらこの効果によって仮死状態に
なっているようだ。
透明なパッケージの裏側に書いてある説明書きにには、こう書いてある。
『真空パックを外すと、ちぇんが仮死状態から復活します。そのまま放置した場合、数時
間後に目覚めてしまいますので、お早めにお召し上がり下さい』
間後に目覚めてしまいますので、お早めにお召し上がり下さい』
説明書きに書かれている通りに真空パックを外し、ちぇんを食べようと手を伸ばした男
であったが、何を思ったか、その手を止めた。
であったが、何を思ったか、その手を止めた。
(数時間したら、これが動き出すんだよな……? まだ生きてるんだよな、これ……)
休みが少なく、過酷な仕事。会社でいけ好かない上司に怒鳴られ続ける日々。男の精神
はボロボロだった。目の前で眠る、猫のようなちぇんに、一時の癒しを求めたのだ。
はボロボロだった。目の前で眠る、猫のようなちぇんに、一時の癒しを求めたのだ。
(よく見ればかわいいよな。こいつを見てると、なんだか癒される気がするな。日頃のス
トレスが何処かへ飛んでいくような、そんな気分だ……)
トレスが何処かへ飛んでいくような、そんな気分だ……)
元々猫好きであった男がそんな事を考えていると、目の前のちぇんがモゾモゾと動き出
した。どうやら睡眠から目覚めるようである。
した。どうやら睡眠から目覚めるようである。
「にゃ……ゆっくりおはようなんだねー!」
目覚めたちぇんは、定番の挨拶を叫ぶ。
「ああ、ゆっくりおはよう」
多少恥じらいながらも、ちぇんに同じ挨拶を返した男。しかし、ちぇんから男に返って
きた返事は、とんでも無い物だった。
きた返事は、とんでも無い物だった。
「にゃ? わからないよー? どれいのにんげんがいるよー! どれいはさっさとちぇん
のために、あまあまをもってこいよー!」
のために、あまあまをもってこいよー!」
このちぇんは、典型的なゲスゆっくりであった。
何故、生ちぇんは仮死状態から復活した後、目覚める前に食べなければならないか。そ
れは、生ちぇんの大部分が、典型的なゲスゆっくりという理由である。
れは、生ちぇんの大部分が、典型的なゲスゆっくりという理由である。
大量生産されるちぇんの中から、いちいち善良な個体だけを選別していたら、きりがな
い。そもそも、善良な個体など、全体の一割以下なのだ。加えて、加工所の養殖設備の中
で、好きなだけ餌を与えられ、自分は選ばれたゆっくりであると勘違いして育ったちぇん
が、ゲス化していないはずが無いのである。
い。そもそも、善良な個体など、全体の一割以下なのだ。加えて、加工所の養殖設備の中
で、好きなだけ餌を与えられ、自分は選ばれたゆっくりであると勘違いして育ったちぇん
が、ゲス化していないはずが無いのである。
「なにをしているんだよおおお? はやくあまあまもってこいっていったよねー? あた
まおかしいのかよー? わかれよー!」
まおかしいのかよー? わかれよー!」
その言語が発せられた途端、場の空気が一変した。
男の体がわなわなと震えだした。顔はみるみる紅潮し、両目は真っ赤に血走っている。
両手は血が滲むほど握り締められて、歯はガチガチと打ち鳴らされ、喉からは「ゥゥゥゥ
ゥゥゥ……」という唸り声のような物が聞こえてくる。
両手は血が滲むほど握り締められて、歯はガチガチと打ち鳴らされ、喉からは「ゥゥゥゥ
ゥゥゥ……」という唸り声のような物が聞こえてくる。
典型的なゲスゆっくりの台詞を吐かれたとはいえ、誰がどう見ても、男は過剰反応し過
ぎていると言える。
ぎていると言える。
「なにが…………………………だ…………」
「はああああああ!? にゃにいってるんだよおおおお? もっとはっきりしゃべらに
ゃいと、わからにゃいよおおおお!? そのていどのこと、わかれよー!?」
ゃいと、わからにゃいよおおおお!? そのていどのこと、わかれよー!?」
「何が……わかれよー、た゛こ゛ら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
そう、男は我慢の限界だったのである。
仕事漬けの日々に。
いけ好かない、会社のゲス上司に。
その上司が毎日のように言う「わかれよ!」という台詞に。
「なあああああにが、わかれよー! だ。ぁぁん!?」
男がちぇんのしっぽを一本引き千切る。
「いだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!? ぢぇん゛のこくほうきゅうのしっぽ
さんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
さんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
ちぇんが痛みに耐えられず、必死に悲鳴をあげる。
しかし、男の怒りは収まらない。
「何度説明したらわかるんだ? いい加減わかれよ! だぁ? お前の説明が猿より下手
糞なのが、一番の原因だろうがよおおお!? 人のせいにしてんじゃねぇぞ、ハゲバーコ
ードの糞じじいがよおおおおおお!?」
糞なのが、一番の原因だろうがよおおお!? 人のせいにしてんじゃねぇぞ、ハゲバーコ
ードの糞じじいがよおおおおおお!?」
男はもうちぇんが見えていない。ちぇんは男のストレスを発散するためだけの道具に成
り下がった。今、男が見ているのは、会社のいけ好かない上司の憎たらしい顔の幻影であ
る。
り下がった。今、男が見ているのは、会社のいけ好かない上司の憎たらしい顔の幻影であ
る。
「やべでえええええええ!?」
ちぇんのもう片方のしっぽが引きちぎられる。
「ゆ゛る゛じでえええええええ!?」
男の爪がちぇんの耳を毟る。
「ぢぇんがわるがっだでずうううううううう!」
おめめが引き摺り出される。
「ぼうじじいなんでいいまぜんんんんんんん!」
ちぇんのからだが小さい破片へと変わっていく……。
男が我に返った時には、そこには何もなかった。
ただ、男の周辺や衣類に残る、茶色い返り血のような物が、そこに何かが存在していた
という事実を物語っていた。
という事実を物語っていた。
この男のように、ゲスちぇんの「わかれよー」という口癖に嫌悪感を抱く人間は多い。
社会に出たばかりの、上司の理不尽な叱咤、命令によってストレスをためている若い人間
は、特に激しい拒絶反応を示すという。「わかれよ」という命令口調が、上司の姿とダブ
って見えるからと言われている。
社会に出たばかりの、上司の理不尽な叱咤、命令によってストレスをためている若い人間
は、特に激しい拒絶反応を示すという。「わかれよ」という命令口調が、上司の姿とダブ
って見えるからと言われている。
いかがだっただろうか。
以上が、ちぇん種がペット用として敬遠される、三つの理由である。
ケース一は、ちぇん種だけの問題だが、二、三、の問題に関しては、ちぇん種で無くと
も起こりうるケースである。
も起こりうるケースである。
ケース二の場合は、特に、れいむ種とまりさ種において、似たようなケースがちぇん種
以上に報告されている。
以上に報告されている。
ケース三も、ゲス化した際の言動に激しい不快感を抱くのは、ちぇん種に限ったことで
はない。
はない。
では、何故こういった問題が、ちぇん種に限って大きくクローズアップされるのか。
ケース二の場合は、”豹変”する事が原因の一つであると考える事ができる。
れいむ種やまりさ種という、ゲス化の代表種である二種は、通常、段階を追ってゲス化
していく物である。ゲス化の兆候から始まり、そこから段階を踏んでゲス化していく過程
において、飼い主は、ゲスな行動にある程度”慣れて”しまうのである。
していく物である。ゲス化の兆候から始まり、そこから段階を踏んでゲス化していく過程
において、飼い主は、ゲスな行動にある程度”慣れて”しまうのである。
しかし、ちぇん種のゲス化は、ケース三のような先天的な物を除けば、らん種絡みでの
豹変型が大部分を占めているのである。
豹変型が大部分を占めているのである。
先ほどまで善良で従順であったちぇんが、いきなりゲスと化し、命令口調で喚き散らす
ようになったら、あなたはどのような感情を抱く事になるだろうか。ほぼ間違いなく、心
のダメージは、れいむ種、まりさ種のケースよりも上だろう。
ようになったら、あなたはどのような感情を抱く事になるだろうか。ほぼ間違いなく、心
のダメージは、れいむ種、まりさ種のケースよりも上だろう。
ちぇんのゲス化の大部分に絡んでくるらん種の存在も大きい。らん種は希少種と呼ばれ
るゆっくりの一種であるが、ゲス化する事例が非常に少ないと言われる希少種ゆっくりの
中でも、ゲス化の確率が圧倒的に高いのである。こちらの場合も、ゲス化には、ちぇん種
が関わるケースが殆どである。
るゆっくりの一種であるが、ゲス化する事例が非常に少ないと言われる希少種ゆっくりの
中でも、ゲス化の確率が圧倒的に高いのである。こちらの場合も、ゲス化には、ちぇん種
が関わるケースが殆どである。
そんな背景もあり、希少種の中でも数が多いとされるらん種は、希少種扱いから、通常
種と同じような扱いへと変わりつつある。らんも通常種に含めてはどうか、と提案する人
間も出てきているぐらいである。
種と同じような扱いへと変わりつつある。らんも通常種に含めてはどうか、と提案する人
間も出てきているぐらいである。
ケース三の場合は、らん種にも言えることだが、ちぇん種のゆっくりらしくない物言い
がマイナスの方向に働いていると考えられる。
がマイナスの方向に働いていると考えられる。
他のゲスゆっくりの、幼児にも似た言動と違い、ちぇん種の「わかれよー」や、らん種
の知性的ぶった物言いは、より大人の人間を色濃く連想させるのである。
の知性的ぶった物言いは、より大人の人間を色濃く連想させるのである。
その為、暴言を吐かれた事による単純な苛立ちだけではなく、その人間の過去のトラウ
マや、現在抱えている問題と重ねて捉えられてしまうケースが多いのである。
マや、現在抱えている問題と重ねて捉えられてしまうケースが多いのである。
ある一家が、飼うゆっくりの種類をどうするかという相談をしている。
末っ子の子供が言った。
「ぼく、ちぇんが飼いたい! 猫みたいで、かわいいんだもん!」
しかし、両親は口を揃えて、こう言った。
「「ちぇんだけはやめておけ」」
END
あとがき
今回も虐待成分は薄めになってしまいました。
更に、ちょっと変なリズムで書いていたせいもあり、とても満足とは言えない仕上がり
になってしまいました。
になってしまいました。
暫く忙しく、執筆が不定期になるので、暫くは一気に書き切ることができる、小ネタ物
中心で行こうと考えております。
中心で行こうと考えております。
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