泥のように寝入ったが、目覚めはいつもと同じ時刻だった。
海賊でなくとも、船上で生きる男の朝は早い。
太陽など昇る前に目覚める日々を過ごすうち、
陸上でも同じように目覚めなければ体が落ち着かなくなる。
まぶたを開くと、胸の上で毛利も目覚めていた。
「ふん。今少し目覚めが遅くば、叩き起こしていた所よ」
もの凄くへたばった顔色で、生暖かな素肌のままで、疲れが滲む声で、そしてかわいげがなかった。
「朝っからなあ……お早うとかいえねーのかオイ」
「我には朝の挨拶などより、支度を調え日輪を迎えることが重大事ぞ。
解ればその腕を放せ、貴様の体は暑苦しい」
そう、確か軽くてちっちゃいから良いかと思って、抱きしめて寝ていたのだ。
そうして身を寄せていたせいか、今もその肌は冷たくなかった。
毛利の体から、まだほのかにあの香りが匂い立つ。
惜しいな、と思いながら腕を解くと、毛利はゆっくりと上半身を起こし、次いでしりもちをついた。
腰が立たないらしい。
「……寝てた方がいいんじゃねえかぁ?」
呆然と動きを止めた毛利の体を眺め、元親はにやりと笑った。
海賊でなくとも、船上で生きる男の朝は早い。
太陽など昇る前に目覚める日々を過ごすうち、
陸上でも同じように目覚めなければ体が落ち着かなくなる。
まぶたを開くと、胸の上で毛利も目覚めていた。
「ふん。今少し目覚めが遅くば、叩き起こしていた所よ」
もの凄くへたばった顔色で、生暖かな素肌のままで、疲れが滲む声で、そしてかわいげがなかった。
「朝っからなあ……お早うとかいえねーのかオイ」
「我には朝の挨拶などより、支度を調え日輪を迎えることが重大事ぞ。
解ればその腕を放せ、貴様の体は暑苦しい」
そう、確か軽くてちっちゃいから良いかと思って、抱きしめて寝ていたのだ。
そうして身を寄せていたせいか、今もその肌は冷たくなかった。
毛利の体から、まだほのかにあの香りが匂い立つ。
惜しいな、と思いながら腕を解くと、毛利はゆっくりと上半身を起こし、次いでしりもちをついた。
腰が立たないらしい。
「……寝てた方がいいんじゃねえかぁ?」
呆然と動きを止めた毛利の体を眺め、元親はにやりと笑った。
勝った。
「煩い。貴様が加減せぬせいだ」
苛立った言葉に笑みを深め、抱きつくように起きあがってそのまま抱え上げた。
毛利の喉奥からうぐ、と辛そうな声が漏れたが聞かなかったことにする。
「おぉらぁ元就高い高いっ!よっしゃこの俺様が着付けてや……」
元親は言いかけた言葉をとぎらせた。
「貴様などの手はいらぬ。下ろせ元親」
今は夜明け前、もっとも闇が濃い時間だ。燭もとっくに消えている。
だが元親は海賊、どこまでが海どこからが空、そして陸地との境かも覚束ない闇の中も見通す。
「毛利おまえ……」
「何だ、いいから下ろさぬか」
床に落ちた絹の夜着、寝乱れた布団、そして血痕。
「あ、あああ?だってお前、そんなんってねぇだろ!?」
何というか、処女の体というのはこう、濡れにくいし開発されてないから反応鈍いし強ばりがちだし、
そういう初々しさに充ち満ちている上、中も入る道も、何にもなかった場所に自分のものを埋め込むような、
おさまるべき場所を我が身で作り上げるような感じがする。
そりゃもう固いもいいとこだし間違いなく怖じけられて泣かれるが、逆にそれがいいというか、なんというか。
「……ふん。下らぬ事で慌てるな」
硬直した元親を見て何事か察したのか、毛利はやっぱり疲れ果てた声音で言い切った。
淫の手「名称不定」……そんなもんのせいなのか。
苛立った言葉に笑みを深め、抱きつくように起きあがってそのまま抱え上げた。
毛利の喉奥からうぐ、と辛そうな声が漏れたが聞かなかったことにする。
「おぉらぁ元就高い高いっ!よっしゃこの俺様が着付けてや……」
元親は言いかけた言葉をとぎらせた。
「貴様などの手はいらぬ。下ろせ元親」
今は夜明け前、もっとも闇が濃い時間だ。燭もとっくに消えている。
だが元親は海賊、どこまでが海どこからが空、そして陸地との境かも覚束ない闇の中も見通す。
「毛利おまえ……」
「何だ、いいから下ろさぬか」
床に落ちた絹の夜着、寝乱れた布団、そして血痕。
「あ、あああ?だってお前、そんなんってねぇだろ!?」
何というか、処女の体というのはこう、濡れにくいし開発されてないから反応鈍いし強ばりがちだし、
そういう初々しさに充ち満ちている上、中も入る道も、何にもなかった場所に自分のものを埋め込むような、
おさまるべき場所を我が身で作り上げるような感じがする。
そりゃもう固いもいいとこだし間違いなく怖じけられて泣かれるが、逆にそれがいいというか、なんというか。
「……ふん。下らぬ事で慌てるな」
硬直した元親を見て何事か察したのか、毛利はやっぱり疲れ果てた声音で言い切った。
淫の手「名称不定」……そんなもんのせいなのか。
たった一度の遊びの為に、そんなことがあっていい訳あるか。
生涯一度しかない経験が、こんな風でいい訳があるか。
………自分自身にそんな技、かけていい訳あるか!
生涯一度しかない経験が、こんな風でいい訳があるか。
………自分自身にそんな技、かけていい訳あるか!
「下らねぇ事じゃねえだろが」
「ならば詰まらぬと言い直してやろう。貴様の懸念など些細な事よ」
「些細じゃねええぇっ!」
本気で叱りとばすと毛利が譲った。
「静かにしろ、まだ寝ているものも多かろう」
「毛利、てめぇこんなこと二度とやるな」
元親は声を低く押しころし、獣のうなり声のように言った。
毛利はいぶかしげに元親を見据え、そして不愉快そうに眉根を寄せた。
「ふん」
反省など一つもしていないその表情。苛立ちが腹の底にわだかまる。
「てめぇ、自分の価値が解ってねぇだろ?」
「何を、戯れ言を。我以上に我を理解できるものなどいるはずもない。
我は日輪の申し子にして、ザビー様に愛の素晴らしさを教えられ、行く道を定めたサンデー毛利ぞ」
そんな言葉で海賊は誤魔化されない。こいつは何も解っちゃいない。
「人間愛だけじゃねぇだろ、大体てめぇは変わったように言ってるが、大して変わっちゃいねえよ。
言ってみろ、毛利、自分の価値を知ってるか」
僅かに不愉快げな毛利の目が揺れた。
「この知略を持って中国地方を安堵し、繁栄させ、情報戦略の長に相応しくザビー教を広められるは我のみ」
「ああ出来るだろうよ、そんだけの事はな。だがそれは毛利の当主だからだろ?役目だろうが。
それはてめえ自身じゃねえっつってんだ」
毛利は細く、単純な力だけでは元親に敵わない。いま毛利は素裸で、そして元親の腕にがっちりと抱き上げられていた。
どこにも逃げ場はない。元親自身も逃げる気はない。
「ならば長曾我部、貴様の価値は何だ」
「俺が野郎どもに慕われるだけの男で、そして俺が自由だってこった。
野郎どもは俺じゃなくちゃまとまりゃしねえが、俺がいなくたって土耕して生きて行けらぁ」
「ならば詰まらぬと言い直してやろう。貴様の懸念など些細な事よ」
「些細じゃねええぇっ!」
本気で叱りとばすと毛利が譲った。
「静かにしろ、まだ寝ているものも多かろう」
「毛利、てめぇこんなこと二度とやるな」
元親は声を低く押しころし、獣のうなり声のように言った。
毛利はいぶかしげに元親を見据え、そして不愉快そうに眉根を寄せた。
「ふん」
反省など一つもしていないその表情。苛立ちが腹の底にわだかまる。
「てめぇ、自分の価値が解ってねぇだろ?」
「何を、戯れ言を。我以上に我を理解できるものなどいるはずもない。
我は日輪の申し子にして、ザビー様に愛の素晴らしさを教えられ、行く道を定めたサンデー毛利ぞ」
そんな言葉で海賊は誤魔化されない。こいつは何も解っちゃいない。
「人間愛だけじゃねぇだろ、大体てめぇは変わったように言ってるが、大して変わっちゃいねえよ。
言ってみろ、毛利、自分の価値を知ってるか」
僅かに不愉快げな毛利の目が揺れた。
「この知略を持って中国地方を安堵し、繁栄させ、情報戦略の長に相応しくザビー教を広められるは我のみ」
「ああ出来るだろうよ、そんだけの事はな。だがそれは毛利の当主だからだろ?役目だろうが。
それはてめえ自身じゃねえっつってんだ」
毛利は細く、単純な力だけでは元親に敵わない。いま毛利は素裸で、そして元親の腕にがっちりと抱き上げられていた。
どこにも逃げ場はない。元親自身も逃げる気はない。
「ならば長曾我部、貴様の価値は何だ」
「俺が野郎どもに慕われるだけの男で、そして俺が自由だってこった。
野郎どもは俺じゃなくちゃまとまりゃしねえが、俺がいなくたって土耕して生きて行けらぁ」




