そうか。
オレはまともな恋なんか、一つもしたことはなかったのか。
いつも誰かの背中を見送っていた。
天下ばかりを夢見ていた。奥州をいとしんでいた。
夢は……
オレはまともな恋なんか、一つもしたことはなかったのか。
いつも誰かの背中を見送っていた。
天下ばかりを夢見ていた。奥州をいとしんでいた。
夢は……
政宗様も、もうお年頃なのですから。
呆れた声音に頷く。
そうだな小十郎、あんまり年喰ったら満足にガキ作れねえよな、解ってる。
十五、六で婿を取るものだと思われていたから、既に無言の重圧は感じていた。
確かに家康のと縁は悪いものではなく、一存で断ったのは悪いかとも思った。
二回り以上、否親子の如き年の差がある縁組みもそう珍しくはない。
同い年で、国同士も組む利益しか見あたらず、ならば何が不足かと言われれば確かに困る。
あえて言うならやや離れた場所だと言うこと位か。
だが、挟撃には向いている。
伊達が上洛を狙うならば、同じく上洛に執心する武田とぶつからざるを得ない。
同盟国はひとつでも多く欲しい。
それが血の絆で共有されるならば……
まあ、な。
適当な言葉で濁した。
意中の方でもおありですかと問いかける言葉は、迷いを多分に含んでいる。
意中の人間と添えるような生まれでも、時代でもない。
そう案じているのが知れてばぁかと笑った。
男に関わってる暇あんまねえんだよ、床に入ってやってんのは伊達を富ませる計画だけだぜ小十郎?
解っておりますと頷く、その姿。だから頭を痛めていると言わんばかりの。
ああなあ、うん、悪いとは思ってるんだぜ。
思いもされなければ見捨てたくもなりますぞ。
全く、心配ばかりだ小十郎は。
なら、天下取ったら婿取りも考える。
何年後になりますか。
即座に返された答えに、暫し情勢を鑑みる。
上手くいって二十年後、か。
とたんに名を呼ぶだけの叱責。
ああああ解った、だが伊達の血を引くのはオレだけじゃねぇだろ?
気にする事ぁねえさ、孕んでるヒマなんざねえ。
小十郎が頭痛を堪えるように額に手をやる。
政宗様自身のことを言っているのです。
オンナの幸せってか?んなもん天下に比べたらちぃせぇな。
政宗様の御子を見せては下さりませぬか。
呆れた声音に頷く。
そうだな小十郎、あんまり年喰ったら満足にガキ作れねえよな、解ってる。
十五、六で婿を取るものだと思われていたから、既に無言の重圧は感じていた。
確かに家康のと縁は悪いものではなく、一存で断ったのは悪いかとも思った。
二回り以上、否親子の如き年の差がある縁組みもそう珍しくはない。
同い年で、国同士も組む利益しか見あたらず、ならば何が不足かと言われれば確かに困る。
あえて言うならやや離れた場所だと言うこと位か。
だが、挟撃には向いている。
伊達が上洛を狙うならば、同じく上洛に執心する武田とぶつからざるを得ない。
同盟国はひとつでも多く欲しい。
それが血の絆で共有されるならば……
まあ、な。
適当な言葉で濁した。
意中の方でもおありですかと問いかける言葉は、迷いを多分に含んでいる。
意中の人間と添えるような生まれでも、時代でもない。
そう案じているのが知れてばぁかと笑った。
男に関わってる暇あんまねえんだよ、床に入ってやってんのは伊達を富ませる計画だけだぜ小十郎?
解っておりますと頷く、その姿。だから頭を痛めていると言わんばかりの。
ああなあ、うん、悪いとは思ってるんだぜ。
思いもされなければ見捨てたくもなりますぞ。
全く、心配ばかりだ小十郎は。
なら、天下取ったら婿取りも考える。
何年後になりますか。
即座に返された答えに、暫し情勢を鑑みる。
上手くいって二十年後、か。
とたんに名を呼ぶだけの叱責。
ああああ解った、だが伊達の血を引くのはオレだけじゃねぇだろ?
気にする事ぁねえさ、孕んでるヒマなんざねえ。
小十郎が頭痛を堪えるように額に手をやる。
政宗様自身のことを言っているのです。
オンナの幸せってか?んなもん天下に比べたらちぃせぇな。
政宗様の御子を見せては下さりませぬか。
そう言われると返答に困る。
わぁかった、ならオレが婚き遅れて引き取り手が見つからなくなったら、小十郎、お前がオレを娶ってとっととガキ作れ。
政宗様!
本気で怒った声に、今度は笑う。
いいじゃねぇか、手近なところで片づけたって。
あのな小十郎、オレだって小十郎の子供のツラ拝みてぇんだ。
……全く、話がずれておりまするぞ。
ずらしたんだよ、この話はもう止めようぜ?
天下以外は、今のオレには見えねえんだ。悪いな、小十郎。
政宗様!
本気で怒った声に、今度は笑う。
いいじゃねぇか、手近なところで片づけたって。
あのな小十郎、オレだって小十郎の子供のツラ拝みてぇんだ。
……全く、話がずれておりまするぞ。
ずらしたんだよ、この話はもう止めようぜ?
天下以外は、今のオレには見えねえんだ。悪いな、小十郎。