戦国BASARA/エロパロ保管庫

かんなびのさと2

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秋空の高く薄い青、山の色は鮮やかに赤く、稲穂の金が残っていたならもっと綺麗かな、
と、搗いたばかりの米を炊きながら言った。
暖かな香りが秋風に広がって、
筆頭がいうなら、見える場所は来年からは刈り残しておきましょうか、と若い兵卒が笑った。
もったいねえだろ、第一、馬を走らせられねえじゃねえか。
稲刈りが終わった田で、腹ごしらえが済んだ後に若駒を駆け比べさせる恒例の遊びがあった。
皆楽しみにしていた。馬の育成を奨励していて、作物を持ってこない者は、若駒を連れてきていた。
けれど、勝つのはいつも政宗か成実だった。
小十郎は刈り終わった田で暴走する皆と自分を、呆れ気味に見ていた。

あの時の、まだ面皰が目立つ、少年じみたあの兵卒はどうしているか。
倒れたか、家に帰ったか。
確か笑うと幼い顔をしていた。うっすらと覚えている。
伊達兵のお仕着せを着た姿が想像つかないほど、農作業の服装がやけに似合っていた。

だからお願いだ。戦う覚悟を決めた兵以外に、刃を降りおろさないでくれ。
伊達が潰えることは苦しくて辛くて堪らない。
だが領民は?ただその地に生まれ育っただけの領民は?
主がオレじゃなくても構わないだろう、安寧が与えられるなら構わないだろう?
だから、不毛の地になった奥州なんてものを、この上呼びたくはない、伊達の名が果てても!
「Ha……後悔ならもうしてる……だが取り消しはしない、負けた時点で……オレは……」
 皆から、恨み言を一身に浴びる身となっているのだ。
「天晴れな覚悟よ。なればこちらからの要求は一切ない。……明日、伊達の暴動を鎮めに行くぞ」
 政宗は、くずおれるように頭を下げた。

皆……オレが行った時だけで良い。
農民のふりをしていてくれ。虎の目を欺いてくれ。
できうるなら、そのまま、静かに過ごしてくれ。

この立ち上がることのない、身を竦めた亀の如き姿。
これが、負けるって事だ。はい上がれなくなった。魂の底まで敗れ去った。
だがこの男になら負けたと認めていい、そうも思った。ごく自然に。
なあオレの、無駄なほどに高い矜持は……どこへ行った?
この喉の痛みが敗北の証だ。
今再びあの拷問を受ければ、政宗は心の内すべてを差し出すだろう。
それでも、涙はこぼれなかった。
上田城の虜58/かんなびのさと3

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