戦国BASARA/エロパロ保管庫

こいひとよ3

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「京の野菜というものは、変わっておりますのね。丸いナスに、赤い人参……。ゴボウも、太く甘いですし」
「そうですね。奥州で育てたことがあるのですが、どうもうまくいかなかった。いつか作りたいと
思っていたのですが、まさかこんな形で叶うとは」
小十郎は手近にあった水ナスをむしった。袖で擦って泥を落とし、無造作に頬張る。
かすかに苦味を感じる水が溢れた。
「それは?」
「水ナスというナスビです。漬物にするとうまいですが、生でも食べられます。水が多いので、
こうして水を取るのにも向いている」
「……ナスは、アクが強うございましょう。政宗様が生のまま齧られて、吐いておられましたよ?」
「小十郎が育てた野菜は、アクもうまいんですけどね」
新しい水ナスをいくつかむしって陽徳院に渡す。陽徳院は少し困ったような顔をして水ナスを受け取った。
「漬物にいたしますわ。政宗様もその方が喜ばれるでしょうし」
渋い顔でつぶやき、陽徳院は背を向ける。小十郎は細い肩を強く掴んだ。
「何か」
「今、なんと」
「漬物にすると」
「その少し後です。政宗様……と、おっしゃいましたか」
寺の位牌のことではあるまい。漬物を墓前や仏前に供えるほど、政宗は漬物を好いてはいなかった。
「ああ、妹の方の……竜樹様が、来られますのよ。昨日、真田の忍びの方が参られて、今日の昼過ぎに来ると」
「聞いておりません!」
陽徳院はぽかんと口を開けた。
視線を宙に遊ばせる。唇を尖らせ首を傾げる。考え込むように低く唸る。
それから合点がいったように頷き、にっこり微笑んだ。


「お伝えすること、忘れておりました」


あまりにもからりとした口調で言われ、小十郎は畑に転がった。



どれ程月日が経とうと、どれ程境遇が変わろうと、生まれ持った性質は変わらない。
「小十郎、息災そうだな」
そう言って笑う「政宗」は、見違えるほど美しく艶やかになっているものの、
挑むような眼光は少しも変わっていない。
これが彼女の、本来の姿なのだろう。常に影にいた少女が日の目を見た。ただそれだけだ。
「……お方様も、お変わりなく」
「Ah……ha……。やめてくれよその呼び方。恥ずかしい」
政宗は変わらない笑顔で笑いながら、子供の旅装を解いた。子供は政宗の隣にちょこんと座る。
目元が政宗によく似ている。
父親の幸村は同行していないらしい。彼女と子が一人。このご時世に
女子供で旅とは危なくないかと思ったが、忍びが警護に当たっているような気配を感じた。
腰の六爪を見る限りでは、腕の方も鈍ってないようだ。盗賊に遭ったところで、
盗賊を追い返し逆に身包みをはぐだろう。
彼女ならやる。
本当に、奥州筆頭だった頃と変わっていない。もう少し「人妻」とか「母」という匂いを
させてもよさそうなものだが。
「ではなんとお呼びすればよろしいのですか」
「りゅう様、って呼ばれてる。独眼竜の「竜」、竜樹の「竜」。で、「りゅう」だそうだ」
「りゅう……ですか。また勇ましい。――戦に出ておられるのでしょう」
「……なんで分かるんだよ、小十郎」
呆れながら言うと、政宗はむすっと唇を尖らせた。そんな顔を母親がするな。
髪の毛は長くなった。美しくなった。
が、それ以外は男の格好だし紅すら差していないし言葉遣いも変わってないし。
もうちょっと、「禁断の果実」っぷりが欲しい。
夢を見た自分が莫迦だった。
「子は、何人ほどお産みになられたのですか」
三人ほど産んだとは聞いているが、それが真実かどうかは知らない。
「ああ、三人産んだ。大助以外全員女でさ」
「この子は……いろは、でしょうか」
何気なく名を呼んだ。そんな名前をどこかで聞いた。
政宗は目を丸くした。男の旅装束を着た子供は、きゅっと顎を引いた。
「名前、京でも噂になってるのか?」
「いえ、そのようなことは」
陽徳院は首を振った。それから不思議そうな顔を小十郎に向ける。
京の市井に、姫の――それも武田家臣の娘の名前など、伝わって来ない。
「真田幸村と伊達政宗が祝言を挙げた」「子供が産まれた」程度のことなら分かるが、
それ以外は直接手紙でも貰わないと分からない。
「そのような……名を、お付けになられたのかと思って」
「名? ……愛、俺らそんな話したことあったっけ?」
「いえ……覚えは、ありませぬ」
なんで名前が分かったんだろう。
四つの不思議そうな目と二つの恐れを持った目が小十郎を見る。現れている感情こそ違うものの、
六つの目は同じことを言っている。
こいひとよ4

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