趣味の畑仕事の最中だったのか、晒を巻いた白い上半身が露わになり、僅かに身を捻ると背に巻き付いた黒竜が姿を覗かせる。
引き締まった腰、長い脚、男前な中にふと匂わせる女らしさなど、彼女の主と違い大人の女の魅力を醸し出している。
そう、奥州双竜とは、主従共に女なのだ。
「ひっどーい。まんざら知らない仲でもないじゃない」
「黙れ。忍び風情とどんな仲も持った覚えはねぇ」
取り付く島もない態度に苦笑するが、これは若干佐助にも原因がある。
第一に初対面は敵同士で、しかも彼女の主に傷をつけた。さらに城を訪れる時は当然偵察で、しかも佐助の主が彼女の主に何やら特別な感情を抱いたらしく、果し状とも恋文ともつかぬ手紙を届けているのだ。
何よりも主を大事にしている小十郎にとってはどれも許しがたい事だろう。
「でもさ、今日はちゃんとした用事があるんだよねー?」
信玄の花押が押された手紙をヒラヒラと振ってみせる。
その手紙と佐助の服装を眺め、嘘ではないと悟ると小十郎の眉間に深く皺が刻まれた。
「…なんで正門から入ってこねぇんだてめえは」
もっともな疑問に佐助の答えは簡潔だ。
「そりゃあ、片倉さんに会いたかったから」
ぱちりと片目を閉じて、だいすき、片倉さん。
「………」
「あ、ちょ、葱はやめようよ葱はさ」
血がついたらおいしくないよと慌てて制止すれば、小十郎は片眉をあげて葱を投げ捨てた。
ほっと胸を撫で下ろす佐助だが、小十郎が今度は牛蒡を拾い上げたのに背筋を震わせた。
引き締まった腰、長い脚、男前な中にふと匂わせる女らしさなど、彼女の主と違い大人の女の魅力を醸し出している。
そう、奥州双竜とは、主従共に女なのだ。
「ひっどーい。まんざら知らない仲でもないじゃない」
「黙れ。忍び風情とどんな仲も持った覚えはねぇ」
取り付く島もない態度に苦笑するが、これは若干佐助にも原因がある。
第一に初対面は敵同士で、しかも彼女の主に傷をつけた。さらに城を訪れる時は当然偵察で、しかも佐助の主が彼女の主に何やら特別な感情を抱いたらしく、果し状とも恋文ともつかぬ手紙を届けているのだ。
何よりも主を大事にしている小十郎にとってはどれも許しがたい事だろう。
「でもさ、今日はちゃんとした用事があるんだよねー?」
信玄の花押が押された手紙をヒラヒラと振ってみせる。
その手紙と佐助の服装を眺め、嘘ではないと悟ると小十郎の眉間に深く皺が刻まれた。
「…なんで正門から入ってこねぇんだてめえは」
もっともな疑問に佐助の答えは簡潔だ。
「そりゃあ、片倉さんに会いたかったから」
ぱちりと片目を閉じて、だいすき、片倉さん。
「………」
「あ、ちょ、葱はやめようよ葱はさ」
血がついたらおいしくないよと慌てて制止すれば、小十郎は片眉をあげて葱を投げ捨てた。
ほっと胸を撫で下ろす佐助だが、小十郎が今度は牛蒡を拾い上げたのに背筋を震わせた。
「片倉さん!牛蒡だって勿体ないってば!」
「安心しろ。皮を剥けば大丈夫だ」
「そっか。それなら俺様安心…って冗談!?」
片手は添えるように、肩の高さに牛蒡を構えたその姿勢は。
今度は反応出来なかった。
稲光を纏った牛蒡が凄まじい速度で佐助に突き立てられる、瞬間。
「安心しろ。皮を剥けば大丈夫だ」
「そっか。それなら俺様安心…って冗談!?」
片手は添えるように、肩の高さに牛蒡を構えたその姿勢は。
今度は反応出来なかった。
稲光を纏った牛蒡が凄まじい速度で佐助に突き立てられる、瞬間。
「…あ、あれ?」
「くっ、なんだ、本気でびびったのか」
「くっ、なんだ、本気でびびったのか」
低く艶やかな声に佐助が反射的に閉じた目を開くと、黒々とした瞳が間近にあった。
「片倉さ……」
少しかさついた、温かいものが佐助のくちびるに重なり、すぐに離れた。
茫然と見返す佐助ににやりと、まるで侠客のような凄みを帯びた微笑を向け、小十郎は背を向けた。
「片倉さ……」
少しかさついた、温かいものが佐助のくちびるに重なり、すぐに離れた。
茫然と見返す佐助ににやりと、まるで侠客のような凄みを帯びた微笑を向け、小十郎は背を向けた。
「来いよ。政宗様の所に案内してやる」
白い背中から漆黒の竜が佐助を嘲笑っている気がした。
「忍び、お前なかなか可愛い反応するな」
「すみませんお願いします忘れてください内緒にしてやってください」
「すみませんお願いします忘れてください内緒にしてやってください」
了




