戦国BASARA/エロパロ保管庫

右目と左目7

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匿名ユーザー

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地図と部下達の案内で、元親が辿り着いたのは、最上との国境に近い山
道の一角であった。
「はあ…それにしても、随分険しい道を登ってきたもんだなあ」
海は見慣れている元親だが、これまであまり山岳地帯には縁がなかった
のもあり、眼下に広がる光景に、感嘆の溜息を漏らした。
馬上から景色を眺める元親を尻目に、案内についてきた伊達軍の精鋭た
ちは、互いに顔を見合わせると、突然彼女から背を向けた。
「じゃあ、俺達はこれで。お先に失礼しますよ」
「えぇ!?行っちまうのか!?」
「ちゃんと筆頭の命令どおりに『案内』をして、ここまでアンタを連れ
て来たじゃないっスか。これで俺達は、お役御免って訳ですよ」
お世辞にも好意的とは程遠い視線を向けてくる彼らに、元親は困惑の表
情を浮かべる。
元親の不安が伝わったのだろう、彼らのひとりが、仲間に耳打ちをした。

(おい、本当にいいのかよ)
(馬も地図もあんだから、置き去りにする訳じゃないだろう?構いやし
ねぇさ)
(そうだぜ。大体何で俺達が、あんな女の為なんかに働かなきゃならね
ぇんだよ)
(だけど…)
(大丈夫だって。最近はこの辺りも穏やかだし、帰りは殆ど一本道なん
だ。迷いっこないさ)

異を唱えた男は、それでも気遣わしげに元親を眺めていたが、やがて、
他の連中に急き立てられながら下山していった。


「はぁ…嫌われてるのは判ってたけど、こうまであからさまだと、や
っぱ傷付くなぁ……ここは、姥捨て山ならぬ『鬼捨て山』かよ。こんな
事なら来る途中に、枝でも折ってくりゃ良かったぜ」
ひとり残されてしまった元親は、馬から下りると眉根を寄せた。
傍らの小岩に腰を下ろすと、暫しその大柄な身体を縮めて丸くなる。
「流石に、こっからじゃ海は見れねぇか…海、見てぇなあ……もう帰
っちゃおうかな、四国……」
不慣れな山中に置き去りにされた心細さも手伝い、これまでどんなに辛
くても、決して吐かずにいた弱音を、元親は極小さな声で口にした。
一度声に出してしまうと、元親の中で負の感情が、どんどんと膨らんで
くる。
やがて、目尻にじんわりと涙が滲み始め、溢れ出しそうになった刹那。

(ちっと叩かれたくらいで、逃げんのか?)

嫌味ったらしくアルカイック・スマイルを浮かべる男の顔が、元親の脳
裏に浮かんできた。
執拗に自分に絡んでは、暴言を吐きまくる男。

「──うるせぇ!俺の頭ン中にまで、図々しく居座ってんじゃねーよ!」

もう少しで零れ落ちそうになっていた涙を乱暴な仕草で拭った元親は、
次の瞬間、勢い良く立ち上がった。
「考えてみりゃ、かえってひとりの方が、気兼ねしなくて済むから好
都合じゃねぇか……よーし、やるぞ!やってやる!」


こうなったら、文句の付け所もないほど役目を果たして、憎たらしいア
イツの鼻を明かしてやるんだ。
バサリ、と地図を広げると、元親は周囲の地形とそれを熱心に見比べ始
めた。

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