戦国BASARA/エロパロ保管庫

右目と左目8

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匿名ユーザー

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皿に盛られたずんだ餅は、ほんのふたつ手を付けられただけで、それ以
降は、ふたりの間からひとつも消える事はなかった。
「それでな…えっと……」
「…は」
政宗も小十郎も、何とか話題を盛り上げようとするのだが、二言三言交
わした後が、どうしても続かない。

(何だか、ちっとも楽しくない……)

子供じみた独占欲に煽られて、元親を小十郎から遠ざけたは良いものの、
いざ彼とふたりきりになった所で、政宗の心は一向に晴れずにいた。
餅の出来が悪い訳でもないのに、味見も兼ねて食したはじめのひとつき
り、それ以上口にする気が失せてしまっている。

『何、作ってんだ政宗?うわあ、美味そう!』
『……美味しい!お前って、料理の天才だな!』

こんな時元親がいれば、きっと自分の菓子を褒めちぎりながら、心から
美味そうに食べてくれるのだろう。
(こんな事なら、出掛けに何個か持たせてやれば良かった…元親、大丈
夫かな。迷ったり怪我してねぇといいけど……)
「どうかなされましたか?政宗様」
「え?あ、いや、何でもねぇよ……」
「そうですか…」
「……俺、お茶淹れ直してくる」
わざわざ外に出なくとも、自室に茶葉その他の用意はあるのだが、まる
で互いの間に漂う雰囲気から避けるように、政宗は腰を上げると部屋を
後にした。

主君の後ろ姿を見送る事も忘れ、小十郎もまた、内心のイライラを持て
余していた。
(…何処うろついてんだ、あのブス。お前の大好きな食いモンがあるん
だから、その意地汚ぇ嗅覚使って、とっとと探り当てに来ねぇか!)

『ケッ、だーれがテメェなんかと並んで茶ぁ飲むか!』
『その極道ヅラ見てると、折角の菓子が不味くなるんだよ!』

不意に、そんな幻聴が聞こえてきたが、何故か今の小十郎は、それらを
煩わしいとは思わなかった。
あれほど望んでいた静寂だというのに、いざそうなってみても小十郎の
心の中に平穏は訪れない。
元親が奥州に訪れるまでは、当たり前だったこの空気が、いつの間にか
彼にとって、物足りなく感じるようになっていたのだ。

(少々癪だが、普段うるさいヤツがいねぇと、かえって落ち着かね
ぇってトコだな。政宗様が戻られたら、一緒に探すよう言ってみるか…)

手の中で持て余していた小十郎の湯飲みは、すっかり冷め切ってしま
っていた。

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