心地よい初夏の風が白いカーテンを揺らす。
今の時間は校庭を使っていないので、聞こえるのは窓の外に木々を揺らす音だけだ。
目を覚ましたばかりの彼女は保健室独特の消毒薬の臭いに顔を顰めた。
「気が付きましたか」
ベッドを仕切るカーテンを払い、入ってきたのは白衣の明智先生である。
豊満な胸の谷間が白衣のあわせからチラリと覗き、同性とはいえ何とも目のやり場に困る。
漂う妖艶な雰囲気に一部の男子生徒の絶大な人気を博しているとか。
「…起き抜けに貴様の顔など見たくなかった」
のろのろとベッドの上に起き上がった元就は、早々に立ち去りたいのか、まだふらつく頭を押さえながらそこから出て行こうとした。
「もう少し休んでいかれてはどうですか」
授業中に貧血で倒れたとかで、生徒に抱えられて保健室まで運ばれたらしい。
ぐったりとした様子の元就に大層慌てた様子で飛び込んできた生徒の顔を思い出し、光秀は楽しげに微笑む。
明るい白銀の髪と左眼の眼帯が特徴的な子だった。
光秀の端整な顔立ちに浮べる表情が元就の神経を逆撫でするのか、彼女は眉間の皺を深くした。
「いらん」
元就は伸ばされた手を払いのけ、床に揃えられた靴を履く。
「教室に戻りますか、毛利先生?」
丁寧な言葉ながら、光秀から絡みつくような視線を向けられた。
「何だ、戻ってはいけないのか?」
「別に構いませんが…その格好のままでは少々刺激が強いのでは?」
くすくすと笑いながら指をさされ、そこでようやく自分の格好を確認した。
「なっ…!」
いつの間に脱がされたのか、下着姿となっていた。
決して派手ではないが、上品な趣味の揃いの上下は若草色だった。
「ブラウスとスカートに皺がついたら大変かと思って、そちらに掛けておきましたよ」
光秀も悪気があってやったのではないのだろう、と解釈し、元就は何も言わなかった。
背中を向けて着替えようとブラウスを手に取り、袖を通しかけた所で光秀に話しかけられた。
「もうすぐ昼休みですよ」
相変わらず、あの視線を感じる。
「それが何か?」
するり、と袖を通して、振り返らずに冷たく答える元就。
「…ですから、もう少し休んでいきませんか」
カチリ、と何故か入口を施錠する音がした。
「何度言えば…」
反論しようと振り返ろうとした瞬間、後ろから抱きすくめられていた。
「…ほら、こんな体で無理をするから」
光秀は腕の中の身体を自分と向かい合わせにずらすと、腰から尻へと手を滑らせた。
小柄な元就と比べれば、光秀は細いとはいえ身長も高く、意外と力が強かった。
「柔らかいですね」
肩までに揃えられた胡桃色の髪を鼻先で分け、元就の耳朶へと触れるように囁く。
「その手をどけよっ!」
腕ごと抑えられているのだが、上手く抜けることが出来ず、声を荒げるしか方法がなかった。
しかし、保健室は他の教室と離れた棟にあるので、誰かが通りかからない限りは気付かれる事などない。
「……そう言われると放したくないのですよ」
くいっと顎へと手を添えると、光秀は反抗的な態度を取る元就の唇を塞ぐように口付けた。
今の時間は校庭を使っていないので、聞こえるのは窓の外に木々を揺らす音だけだ。
目を覚ましたばかりの彼女は保健室独特の消毒薬の臭いに顔を顰めた。
「気が付きましたか」
ベッドを仕切るカーテンを払い、入ってきたのは白衣の明智先生である。
豊満な胸の谷間が白衣のあわせからチラリと覗き、同性とはいえ何とも目のやり場に困る。
漂う妖艶な雰囲気に一部の男子生徒の絶大な人気を博しているとか。
「…起き抜けに貴様の顔など見たくなかった」
のろのろとベッドの上に起き上がった元就は、早々に立ち去りたいのか、まだふらつく頭を押さえながらそこから出て行こうとした。
「もう少し休んでいかれてはどうですか」
授業中に貧血で倒れたとかで、生徒に抱えられて保健室まで運ばれたらしい。
ぐったりとした様子の元就に大層慌てた様子で飛び込んできた生徒の顔を思い出し、光秀は楽しげに微笑む。
明るい白銀の髪と左眼の眼帯が特徴的な子だった。
光秀の端整な顔立ちに浮べる表情が元就の神経を逆撫でするのか、彼女は眉間の皺を深くした。
「いらん」
元就は伸ばされた手を払いのけ、床に揃えられた靴を履く。
「教室に戻りますか、毛利先生?」
丁寧な言葉ながら、光秀から絡みつくような視線を向けられた。
「何だ、戻ってはいけないのか?」
「別に構いませんが…その格好のままでは少々刺激が強いのでは?」
くすくすと笑いながら指をさされ、そこでようやく自分の格好を確認した。
「なっ…!」
いつの間に脱がされたのか、下着姿となっていた。
決して派手ではないが、上品な趣味の揃いの上下は若草色だった。
「ブラウスとスカートに皺がついたら大変かと思って、そちらに掛けておきましたよ」
光秀も悪気があってやったのではないのだろう、と解釈し、元就は何も言わなかった。
背中を向けて着替えようとブラウスを手に取り、袖を通しかけた所で光秀に話しかけられた。
「もうすぐ昼休みですよ」
相変わらず、あの視線を感じる。
「それが何か?」
するり、と袖を通して、振り返らずに冷たく答える元就。
「…ですから、もう少し休んでいきませんか」
カチリ、と何故か入口を施錠する音がした。
「何度言えば…」
反論しようと振り返ろうとした瞬間、後ろから抱きすくめられていた。
「…ほら、こんな体で無理をするから」
光秀は腕の中の身体を自分と向かい合わせにずらすと、腰から尻へと手を滑らせた。
小柄な元就と比べれば、光秀は細いとはいえ身長も高く、意外と力が強かった。
「柔らかいですね」
肩までに揃えられた胡桃色の髪を鼻先で分け、元就の耳朶へと触れるように囁く。
「その手をどけよっ!」
腕ごと抑えられているのだが、上手く抜けることが出来ず、声を荒げるしか方法がなかった。
しかし、保健室は他の教室と離れた棟にあるので、誰かが通りかからない限りは気付かれる事などない。
「……そう言われると放したくないのですよ」
くいっと顎へと手を添えると、光秀は反抗的な態度を取る元就の唇を塞ぐように口付けた。