とおるです。完結編…多分。
それなりにそれなりのエロはあるのでご注意下さい。
それなりにそれなりのエロはあるのでご注意下さい。
元就先生は数学だと勝手に思っています。
じりじりと暑さが増してくる頃、生徒達は楽しい夏休みの前の憂鬱な試験期間に入っていた。
放課後を告げる鐘の音に、教室で残っていた者たちも早々に帰り支度をしている。
昇降口での賑やかな会話が通り過ぎると、一気に校内は静寂に包まれた。
いつもは活気が溢れている校庭もしんと静まり返りっている。
廊下からその光景を眺めながら、元就は溜め息をついた。
「おや、どうしました?」
一緒に校内の見回りをしていた上杉先生が不思議そうに声をかけてくる。
「…今日の夕食は何にしようかと」
嘘は言っていない。
夕食の事も考えていたのは事実なのだ。
「あついときに、あついものもよいですね」
ふふふ、と笑う上杉先生につられ、元就も少しだけ表情を和らげた。
「ときには、わらうこともたいせつですよ、もうりせんせい」
心の奥を見透かされたような言葉に、はっと胸につかえていた何かを押された。
職員室の前まで戻ってくると、これから試験問題をまとめるからと言って元就はそこで別れた。
放課後を告げる鐘の音に、教室で残っていた者たちも早々に帰り支度をしている。
昇降口での賑やかな会話が通り過ぎると、一気に校内は静寂に包まれた。
いつもは活気が溢れている校庭もしんと静まり返りっている。
廊下からその光景を眺めながら、元就は溜め息をついた。
「おや、どうしました?」
一緒に校内の見回りをしていた上杉先生が不思議そうに声をかけてくる。
「…今日の夕食は何にしようかと」
嘘は言っていない。
夕食の事も考えていたのは事実なのだ。
「あついときに、あついものもよいですね」
ふふふ、と笑う上杉先生につられ、元就も少しだけ表情を和らげた。
「ときには、わらうこともたいせつですよ、もうりせんせい」
心の奥を見透かされたような言葉に、はっと胸につかえていた何かを押された。
職員室の前まで戻ってくると、これから試験問題をまとめるからと言って元就はそこで別れた。
準備室の鍵を開けて入ると、元就は持ってきた資料を机の上に置いた。
「随分と遅かったなぁ、先生」
誰も居ない筈の室内から自分以外の声がしたので、驚いて振り返る。
「今は試験期間で、生徒立入禁止という注意書きが見えなかったか、長曾我部」
足を肩幅に開き仁王立ちし、入口の張り紙を指してもう一度読めと促した。
不機嫌そうに鋭く睨みつけてくる元就を見下ろしながら、だが元親はうっかり可愛いと思ってしまった。
しかし、ここでそれを口に出したら生きて帰れないだろうと思い、咳払いをして少し誤魔化す。
「だって職員室でここに忘れ物をしたといったら、利家先生が今回だけだぞって鍵を貸してくれたんだけど」
ちゃら、と元親はポケットに突っ込んでいた合鍵を目の前に取り出した。
…あのうつけ者め、今度会ったら厳重注意をせねば。
先日の職員会議でも鍵の管理について話し合ったばかりではないか、と元就は心の閻魔帳にしっかりと書き留めた。
「それで忘れ物はもう見付けたのであろう?」
用が無ければ早く帰れ、と片手で元親を追い払う。
「いや、まだなんだけど」
「では我がここを出ていこう」
ここならば静かに仕事が出来ると思っていたが、職員室に行った方が良かろうと、元就は資料を抱えて部屋を出ようとした。
「待てよ」
入口を元親の長身に塞がれてしまい、その場に立ち竦む。
「どかぬか」
キッと視線を上げた元就は相手の右眼を再び睨む。
「嫌だ」
「子供のように駄々を捏ねるでない、長曾我部」
「俺はアンタに用があるんだよ」
ようやく会えたのに変な邪魔が入っては困ると考えた元親は、さっと手を伸ばすと入口を施錠した。
「貴様、何の真似だ」
半歩だけ元親が前に出ると、元就は半歩下がる。
狭い準備室では、妙な圧迫感を感じる距離だ。
「…何か誤解してっから、それだけでも話し合おうと思ってんだが」
「我には何も思い当たらないぞ」
貴様の勘違いではないかと元就は軽く首を捻る。
その仕草でさえ、ぐらりと理性を揺さぶられるのだが、元親は一つ深呼吸をすると、細い肩へと手を添えた。
「じゃあ、なんであれから俺を避けていたんだよ」
「避けてなど…」
「元就!」
少し身を屈めて、明るい色の右眼で彼女の琥珀色の瞳をじっと見詰める。
「…先生と呼べ」
ぎゅっと胸に抱えた資料を抱え、元親の視線に押されたように僅かに視線を逸らす。
「いーや、今は名前で呼ばせてくれ」
「戯言を……」
文句を云い掛けた元就の唇を半ば強引に奪い、細い体ごと抱きしめた。
「…好きだ、と言ったら信じてくれるのか」
ばさばさと資料が床に落ち、足元に広がった。
「随分と遅かったなぁ、先生」
誰も居ない筈の室内から自分以外の声がしたので、驚いて振り返る。
「今は試験期間で、生徒立入禁止という注意書きが見えなかったか、長曾我部」
足を肩幅に開き仁王立ちし、入口の張り紙を指してもう一度読めと促した。
不機嫌そうに鋭く睨みつけてくる元就を見下ろしながら、だが元親はうっかり可愛いと思ってしまった。
しかし、ここでそれを口に出したら生きて帰れないだろうと思い、咳払いをして少し誤魔化す。
「だって職員室でここに忘れ物をしたといったら、利家先生が今回だけだぞって鍵を貸してくれたんだけど」
ちゃら、と元親はポケットに突っ込んでいた合鍵を目の前に取り出した。
…あのうつけ者め、今度会ったら厳重注意をせねば。
先日の職員会議でも鍵の管理について話し合ったばかりではないか、と元就は心の閻魔帳にしっかりと書き留めた。
「それで忘れ物はもう見付けたのであろう?」
用が無ければ早く帰れ、と片手で元親を追い払う。
「いや、まだなんだけど」
「では我がここを出ていこう」
ここならば静かに仕事が出来ると思っていたが、職員室に行った方が良かろうと、元就は資料を抱えて部屋を出ようとした。
「待てよ」
入口を元親の長身に塞がれてしまい、その場に立ち竦む。
「どかぬか」
キッと視線を上げた元就は相手の右眼を再び睨む。
「嫌だ」
「子供のように駄々を捏ねるでない、長曾我部」
「俺はアンタに用があるんだよ」
ようやく会えたのに変な邪魔が入っては困ると考えた元親は、さっと手を伸ばすと入口を施錠した。
「貴様、何の真似だ」
半歩だけ元親が前に出ると、元就は半歩下がる。
狭い準備室では、妙な圧迫感を感じる距離だ。
「…何か誤解してっから、それだけでも話し合おうと思ってんだが」
「我には何も思い当たらないぞ」
貴様の勘違いではないかと元就は軽く首を捻る。
その仕草でさえ、ぐらりと理性を揺さぶられるのだが、元親は一つ深呼吸をすると、細い肩へと手を添えた。
「じゃあ、なんであれから俺を避けていたんだよ」
「避けてなど…」
「元就!」
少し身を屈めて、明るい色の右眼で彼女の琥珀色の瞳をじっと見詰める。
「…先生と呼べ」
ぎゅっと胸に抱えた資料を抱え、元親の視線に押されたように僅かに視線を逸らす。
「いーや、今は名前で呼ばせてくれ」
「戯言を……」
文句を云い掛けた元就の唇を半ば強引に奪い、細い体ごと抱きしめた。
「…好きだ、と言ったら信じてくれるのか」
ばさばさと資料が床に落ち、足元に広がった。