そして、冒頭に戻る。
ヒュッ、と刀を振り、鞘に静かに収める。
百人の武田軍の男は実に暑苦しかったが、まあすっきりしたのでよしとしよう。
邪魔にならないように壁際に座りこんだ政宗はcoolだぜ小十郎とご機嫌だったのでこれもよしである。
『ほお!さすが竜の右目といったところか!』
異様に乗り気だった信玄の声がどこからともなく降ってくる。
『ならばっ!!この漢をどうさばくっ!!フフフ…』
不意に目の前に降ってきた気配に小十郎は刀の柄を握り締める。忍びか。
「ようこそ我が道場へ。……ってうええ!?かかかかた、片倉、さん!!!?」
しなやかな動きで礼をした狐の面をつけた忍びは頓狂な声をあげてあとずさった。
「な、なんでだよ…さては大将の差し金だな…」
「おい」
「はいっ!?」
「ぐちぐち煩いやつだ。こっちから行くぞ?」
要するにこの忍びを倒せばいいのだろうと小十郎は抜き打ちに斬りかかったが、刃は空を切っただけだ。
「…やるな」
「…片倉さんに比べたらまだまだ」
「…で、だ。俺を知っているお前は何者だ」
返す刀でもう一撃を忍びはとんぼを切ってかわしたが。
「はい!?」
「小十郎!?」
なぜか政宗まで動揺している。忍びと小十郎を交互に見つめて独眼を見開かせて。
「政宗さまいかがなされた」
「…いや」
「そうですか」
狐面の忍びも、表情は口許しか伺えないが何やら困惑しているようだ。
まあ、いいか。
特に気にしない事に決めて小十郎は踏み込んだ。
忍び独特の足遣いがどうも小十郎は苦手だった。
「…えーと、わ、私は天狐仮面。猿飛佐助の友人である」
突き出した小十郎の刀を大きな手裏剣で弾きながら忍び…天狐仮面は言った。
「猿飛の…?なるほど」
枯れ草色の独特な模様の忍び装束や巨大な二つの手裏剣はあの忍びと同じだ。
同じ流派なのだろう。
佐助と同じ派手な髪色が気になったが、そういえば同郷だという上杉の忍びも派手な頭をしていた。まあそういう里なのだろう。
「お前の…つ、つつつ…」
「なんだ」
「お、お前の…妻…の猿飛佐助の事だが…」
「おう」
雷撃を放つが赤毛の先を焦がしただけで終わる。
なぜか微かに覗く首筋が赤い気がした。
低い姿勢から一気に距離をつめた天狐仮面が跳ね上がるように手裏剣を振り抜く。
かわした小十郎はだが刃の軌跡を追うように襲いかかる爪先に顎を打たれた。
ヒュッ、と刀を振り、鞘に静かに収める。
百人の武田軍の男は実に暑苦しかったが、まあすっきりしたのでよしとしよう。
邪魔にならないように壁際に座りこんだ政宗はcoolだぜ小十郎とご機嫌だったのでこれもよしである。
『ほお!さすが竜の右目といったところか!』
異様に乗り気だった信玄の声がどこからともなく降ってくる。
『ならばっ!!この漢をどうさばくっ!!フフフ…』
不意に目の前に降ってきた気配に小十郎は刀の柄を握り締める。忍びか。
「ようこそ我が道場へ。……ってうええ!?かかかかた、片倉、さん!!!?」
しなやかな動きで礼をした狐の面をつけた忍びは頓狂な声をあげてあとずさった。
「な、なんでだよ…さては大将の差し金だな…」
「おい」
「はいっ!?」
「ぐちぐち煩いやつだ。こっちから行くぞ?」
要するにこの忍びを倒せばいいのだろうと小十郎は抜き打ちに斬りかかったが、刃は空を切っただけだ。
「…やるな」
「…片倉さんに比べたらまだまだ」
「…で、だ。俺を知っているお前は何者だ」
返す刀でもう一撃を忍びはとんぼを切ってかわしたが。
「はい!?」
「小十郎!?」
なぜか政宗まで動揺している。忍びと小十郎を交互に見つめて独眼を見開かせて。
「政宗さまいかがなされた」
「…いや」
「そうですか」
狐面の忍びも、表情は口許しか伺えないが何やら困惑しているようだ。
まあ、いいか。
特に気にしない事に決めて小十郎は踏み込んだ。
忍び独特の足遣いがどうも小十郎は苦手だった。
「…えーと、わ、私は天狐仮面。猿飛佐助の友人である」
突き出した小十郎の刀を大きな手裏剣で弾きながら忍び…天狐仮面は言った。
「猿飛の…?なるほど」
枯れ草色の独特な模様の忍び装束や巨大な二つの手裏剣はあの忍びと同じだ。
同じ流派なのだろう。
佐助と同じ派手な髪色が気になったが、そういえば同郷だという上杉の忍びも派手な頭をしていた。まあそういう里なのだろう。
「お前の…つ、つつつ…」
「なんだ」
「お、お前の…妻…の猿飛佐助の事だが…」
「おう」
雷撃を放つが赤毛の先を焦がしただけで終わる。
なぜか微かに覗く首筋が赤い気がした。
低い姿勢から一気に距離をつめた天狐仮面が跳ね上がるように手裏剣を振り抜く。
かわした小十郎はだが刃の軌跡を追うように襲いかかる爪先に顎を打たれた。




