元親は目を閉じ、深い息を一つ吐いた。
そうして心を落ち着ける。
平らな水面のように心が落ち着いてから、
親指を立てた拳を元就に突きだし、これ以上は無いさわやかな笑みを浮かべて、言った。
そうして心を落ち着ける。
平らな水面のように心が落ち着いてから、
親指を立てた拳を元就に突きだし、これ以上は無いさわやかな笑みを浮かべて、言った。
「おうよ!」
「声が裏返っておるわ」
「声が裏返っておるわ」
返す元就は半眼である。
「まだであるなら、そなたも」
元親はしどろもどろになって、じりじりと後ずさる。
「……いや、そいつは……俺は……今の関係が居心地良いんだ、崩すつもりは」
「そなたは家康殿が欲しくはないと?」
「…………………」
「行くぞ」
「そなたは家康殿が欲しくはないと?」
「…………………」
「行くぞ」
元就は立ち上がり、元親の袖を握った。
「我は、慶次殿が、欲しい」
そして話は冒頭へ戻る。
元就が戻ってきた部屋に、人は居ない。
それほど広くはない部屋の筈なのに、ずいぶん広く感じられた。
出て行く時に消したろうそくはそのままで、部屋の中は暗い。
その暗がりの真ん中にへたり込んで、元就は悄然としている。
それほど広くはない部屋の筈なのに、ずいぶん広く感じられた。
出て行く時に消したろうそくはそのままで、部屋の中は暗い。
その暗がりの真ん中にへたり込んで、元就は悄然としている。
断られた。
欲しいと思ったものは手に入れることは出来なかった。




