とりあえず座って、と促されるまま、並んでいる二人の忍びの前に座ると、
佐助が説明をはじめた。彼の話を要約すると、彼らは実は恋仲であるものの、
立場上やすやすと外で会うこともできず、時折こうして夜半にどちらかの部屋まで来ては
肌を温めあうのだということだった。いまだ混乱がおさまらない頭で、幸村は必死になって
理解しようと唸る。
しかし、と幸村は思う。いくら恋仲といっても、彼らは忍である。武田の情報が
上杉に流れているということはないのだろうか。
そんな考えが顔に出ていたのか、ふと幸村の顔を見た佐助が、へらっと笑ってこたえた。
「大丈夫だよ、真田の旦那。俺たち、ちゃーんと自分の立場わかってるからさ。
たとえば、こんなことしても――」
佐助が、おもむろにかすがの乳を揉みしだき始めた。男の手のひらによって、柔らかそうな
乳が形をかえて幸村を誘惑する。
「こんなことしても」
人さし指と親指で、胸の頂点をつまむ。そこだけは、乳房で唯一硬くなっているようだ。
指先をこするように動かされ、かすがの白い肌がたちまち薄桃色に染まっていく。
彼女が視線を上に向けて佐助と目をあわせると、どちらからともなく、くちびるを重ねた。
最初はそこに相手がいるのか確認するように。そして次第に角度をかえていき、ついには
舌を絡めはじめた。幸村が頭のなかで精一杯絶叫しているあいだも、ふたりは息を荒くして
口元から漏れる粘っこい音を虎の若子に聞かせていた。
「――俺たちはお互いの軍の情報を漏らしたりしない。ちゃんとわきまえてるって。
な、かすが」
ようやっとくちびるを離した佐助がかすがに目を向けると、上杉の忍びは首肯した。
たしかに、二人の言うとおりかもしれない。最近武田の動きが上杉に筒抜けだという話はない。
逆もまた然り。幸村は自分なりに頭の整理をして、佐助を見遣ってうなずいた。
合点がいった、と。
「わかってくれた? それじゃ俺たちはさっきの続きやるから、旦那はそこで見てな」
事も無げに言い放たれた佐助の言葉に、幸村は固まった。その間に佐助はかすがに
覆い被さってしまい、しかも彼女も嫌がる素振りを見せず、どこか悦んでいる。
「んんん! んんんんんんんッ!」
はっとした幸村が声にならない声で抗議する。ふたりの関係はわかった、理解した。
だから解放してくれるんじゃあないのか、と。だが忍たちは幸村など最初から
いなかったとでもいうように、お互いの体を擦りあわせている。もしかしたら幸村の口元と
腕の自由を奪ったのは、彼が大声を出したりしないようになどではなく、
見せつけるためだったのではと思えるほどだ。
佐助がかすがの胸部に舌を這わせる。かすがは体をふるわせて、短く息を吐き出した。
「ふんんんんんーッ!」
なおも幸村の抗議はつづく。
男の舌は胸乳のうえを移動して、頂点に行き着いた。そして舌を尖らせてつついたかと思えば、
佐助は乳首を口に含んでしまった。それから耳を澄ませばちうちうと音が
聞こえてきそうなほどの勢いで吸い始めたのである。
そんな稚児のごとき事を――幸村は佐助の行動に目を疑ったが、かすがが何も抵抗せず
これまた悦んでいるのを見て、さらに目を疑った。深い関係にある男女の行いとは、
己の理解を軽々と超えている。
しかし、そのような行為から視線を逸らせない自分がいるというのが現状だ。抗議の声は
いつのまにか消えていた。
佐助が説明をはじめた。彼の話を要約すると、彼らは実は恋仲であるものの、
立場上やすやすと外で会うこともできず、時折こうして夜半にどちらかの部屋まで来ては
肌を温めあうのだということだった。いまだ混乱がおさまらない頭で、幸村は必死になって
理解しようと唸る。
しかし、と幸村は思う。いくら恋仲といっても、彼らは忍である。武田の情報が
上杉に流れているということはないのだろうか。
そんな考えが顔に出ていたのか、ふと幸村の顔を見た佐助が、へらっと笑ってこたえた。
「大丈夫だよ、真田の旦那。俺たち、ちゃーんと自分の立場わかってるからさ。
たとえば、こんなことしても――」
佐助が、おもむろにかすがの乳を揉みしだき始めた。男の手のひらによって、柔らかそうな
乳が形をかえて幸村を誘惑する。
「こんなことしても」
人さし指と親指で、胸の頂点をつまむ。そこだけは、乳房で唯一硬くなっているようだ。
指先をこするように動かされ、かすがの白い肌がたちまち薄桃色に染まっていく。
彼女が視線を上に向けて佐助と目をあわせると、どちらからともなく、くちびるを重ねた。
最初はそこに相手がいるのか確認するように。そして次第に角度をかえていき、ついには
舌を絡めはじめた。幸村が頭のなかで精一杯絶叫しているあいだも、ふたりは息を荒くして
口元から漏れる粘っこい音を虎の若子に聞かせていた。
「――俺たちはお互いの軍の情報を漏らしたりしない。ちゃんとわきまえてるって。
な、かすが」
ようやっとくちびるを離した佐助がかすがに目を向けると、上杉の忍びは首肯した。
たしかに、二人の言うとおりかもしれない。最近武田の動きが上杉に筒抜けだという話はない。
逆もまた然り。幸村は自分なりに頭の整理をして、佐助を見遣ってうなずいた。
合点がいった、と。
「わかってくれた? それじゃ俺たちはさっきの続きやるから、旦那はそこで見てな」
事も無げに言い放たれた佐助の言葉に、幸村は固まった。その間に佐助はかすがに
覆い被さってしまい、しかも彼女も嫌がる素振りを見せず、どこか悦んでいる。
「んんん! んんんんんんんッ!」
はっとした幸村が声にならない声で抗議する。ふたりの関係はわかった、理解した。
だから解放してくれるんじゃあないのか、と。だが忍たちは幸村など最初から
いなかったとでもいうように、お互いの体を擦りあわせている。もしかしたら幸村の口元と
腕の自由を奪ったのは、彼が大声を出したりしないようになどではなく、
見せつけるためだったのではと思えるほどだ。
佐助がかすがの胸部に舌を這わせる。かすがは体をふるわせて、短く息を吐き出した。
「ふんんんんんーッ!」
なおも幸村の抗議はつづく。
男の舌は胸乳のうえを移動して、頂点に行き着いた。そして舌を尖らせてつついたかと思えば、
佐助は乳首を口に含んでしまった。それから耳を澄ませばちうちうと音が
聞こえてきそうなほどの勢いで吸い始めたのである。
そんな稚児のごとき事を――幸村は佐助の行動に目を疑ったが、かすがが何も抵抗せず
これまた悦んでいるのを見て、さらに目を疑った。深い関係にある男女の行いとは、
己の理解を軽々と超えている。
しかし、そのような行為から視線を逸らせない自分がいるというのが現状だ。抗議の声は
いつのまにか消えていた。