「さて、近いうちに改めて死んだ奴らを供養しないと・・・?」
家康は小首をかしげた。忠勝が、指を顔に伸ばそうとしてためらっている。
しかしすぐに気がついた。頬の血を拭おうとした鉄の指の、其処もまた血塗れであった。
しかしすぐに気がついた。頬の血を拭おうとした鉄の指の、其処もまた血塗れであった。
「忠勝は優しいなあ。わしなどよりお前のほうを何とかせんといかんというのに。
陣に戻れば水くらいは用意してくれるだろう。ほら、行くぞ」
陣に戻れば水くらいは用意してくれるだろう。ほら、行くぞ」
優しく微笑むと、家康は忠勝を伴い、遺体を踏まないように注意しながら半壊した扉から外に出て行った。
思えば、災難に災難を重ねた道程だった。
徳川家康は、織田と今川に挟まれた小大名のたった一人の跡取りである。
物心つくかつかないかのうちに生母は政治上の問題で城を追い出され、
今川に人質として連れて行かれる途中で織田に売られ、織田から戻れたかと思うと今川の人質になった。
その間に父親は暗殺され、領地は今川に乗っ取られてしまい、三河の兵たちは塗炭の苦しみを味わった。
徳川家康は、織田と今川に挟まれた小大名のたった一人の跡取りである。
物心つくかつかないかのうちに生母は政治上の問題で城を追い出され、
今川に人質として連れて行かれる途中で織田に売られ、織田から戻れたかと思うと今川の人質になった。
その間に父親は暗殺され、領地は今川に乗っ取られてしまい、三河の兵たちは塗炭の苦しみを味わった。
幸い、今川は家康を解放して徳川は力を溜める機会を得た。忠勝も、その一つの成果だった。
しかし、一人の武将の存在がまた波乱を呼ぶ引き金になろうとは―――。
恐るべき力を手に入れようと、今川、長曾我部、南蛮の宗教団体が、
一国の主であり唯一武人に命令を下せる家康を攫ってしまった。
大阪・冬3
しかし、一人の武将の存在がまた波乱を呼ぶ引き金になろうとは―――。
恐るべき力を手に入れようと、今川、長曾我部、南蛮の宗教団体が、
一国の主であり唯一武人に命令を下せる家康を攫ってしまった。
大阪・冬3




