しかし、今川に乗っ取られていた不遇の時代がありえぬほどの結束力をもたらしたのか、
三河武士は忠勝を先頭に次々と有力な各地の大名や宗教団体を破り、
徳川は飛ぶ鳥を落とす勢いを得て、ますます勢力を拡大していくこととなる。
三河武士は忠勝を先頭に次々と有力な各地の大名や宗教団体を破り、
徳川は飛ぶ鳥を落とす勢いを得て、ますます勢力を拡大していくこととなる。
そこに立ちはだかったのが豊臣である。
日の本の西、九州と中国の政治的空白を衝き、一気に勢力を拡大した彼らが徳川と小競り合いを
起こすのも必然のこと。両雄相並び立たぬという言葉があるが、遅かれ早かれ衝突は避けられなかった。
今度の誘拐事件は、一つの切っ掛けに過ぎない。
日の本の西、九州と中国の政治的空白を衝き、一気に勢力を拡大した彼らが徳川と小競り合いを
起こすのも必然のこと。両雄相並び立たぬという言葉があるが、遅かれ早かれ衝突は避けられなかった。
今度の誘拐事件は、一つの切っ掛けに過ぎない。
そして、この冬の戦いで豊臣は滅び、大まかに言えば日の本の中央から西は徳川のものとなった。
長曾我部氏は家康を誘拐した件でかなり叩かれたがしぶとく生き残っているし(但し敵対はしないと誓った)
一気に増えた支配地域の安定のためにまだ色々と戦はあるかもしれないが、
兎にも角にも、徳川はこれをもって戦国の最大勢力となって君臨することとなった。
長曾我部氏は家康を誘拐した件でかなり叩かれたがしぶとく生き残っているし(但し敵対はしないと誓った)
一気に増えた支配地域の安定のためにまだ色々と戦はあるかもしれないが、
兎にも角にも、徳川はこれをもって戦国の最大勢力となって君臨することとなった。
「これで平和になるといいんだがなあ、忠勝」
陣幕の奥。
べったりと鋼の鎧に付着した血を、侍従から貰った湯で少しずつ落としながらぽつりと呟いた。
そんな家康の声を聞きながら忠勝は無表情で主のすることを見つめている。
腕を出せと言われたり足を上げろと言われたり、床几に座らせたり立ち上がるよう命令して
洗い流していくうちにすっかり綺麗になった忠勝に満足すると、錆び止めの油を布につけて仕上げに入った。
大阪・冬4
べったりと鋼の鎧に付着した血を、侍従から貰った湯で少しずつ落としながらぽつりと呟いた。
そんな家康の声を聞きながら忠勝は無表情で主のすることを見つめている。
腕を出せと言われたり足を上げろと言われたり、床几に座らせたり立ち上がるよう命令して
洗い流していくうちにすっかり綺麗になった忠勝に満足すると、錆び止めの油を布につけて仕上げに入った。
大阪・冬4




