「どうした、まだ半分もいっておらぬぞ」
元就は口角を上げて嘲るような笑みを象る。
先程の仕返しだとばかりに、彼女の冷たい視線が向けられた。
「………」
口腔を塞ぐ黒く太いそれで言葉さえも発する事の出来ない元親は涙目になりながらも睨み返す。
「何か言いたそうな顔をしておる」
無言で終えなければその行為が意味をなさないと分かっている。
ぐっと出掛かった言葉を飲み込み目の前のものに集中する。
添えていた手を持ち返ると、元親は更に喉の奥へと押し込んだ。
中のものが押し出されそうになるのを指で押さえながら、僅かに顔を上向ける。
唇の端から涎が零れて首筋を伝うのも構わずに、無言で続ける。
「ん…ぐっ……はぁ」
眉を顰めながら悩ましげな声を上げる。
もしも、この場に野郎共が居たら、ちょっとばかり大変な事になりそうだ。
そして最後の一口を終えると大きく息を吐いた。
「予想よりも遅かったな」
すっかり茶も冷めてしまった、と元就は湯呑みを目の前に置いた。
「てめえが早すぎなんだよ!」
その小さい口で今までどれだけデカイモノを咥えこんできたんだと、少々下品な言葉で返しながら、元親はお茶を一気に飲み干した。
「何事も早く済まさねば勝機はないぞ」
これが戦場であれば、その一瞬が命取りだと物騒な事を言う元就の細い顔を見返す。
「いや、早いのは問題外だと思うぞ」
それじゃあこちらが詰まらない、と妙に真剣な顔で言う元親を元就は訝しげに見遣る。
「待て、だから何の話を」
「え、ナニの話を」
「貴様の頭の中は年中それかっ!」
恥を知れ、とばかりに元就の繰り出した右の拳が元親の顎を直撃した。
「…ふん」
ぐてん、と気絶している元親を冷たく見下ろしながら、元就はその部屋を後にした。
元就は口角を上げて嘲るような笑みを象る。
先程の仕返しだとばかりに、彼女の冷たい視線が向けられた。
「………」
口腔を塞ぐ黒く太いそれで言葉さえも発する事の出来ない元親は涙目になりながらも睨み返す。
「何か言いたそうな顔をしておる」
無言で終えなければその行為が意味をなさないと分かっている。
ぐっと出掛かった言葉を飲み込み目の前のものに集中する。
添えていた手を持ち返ると、元親は更に喉の奥へと押し込んだ。
中のものが押し出されそうになるのを指で押さえながら、僅かに顔を上向ける。
唇の端から涎が零れて首筋を伝うのも構わずに、無言で続ける。
「ん…ぐっ……はぁ」
眉を顰めながら悩ましげな声を上げる。
もしも、この場に野郎共が居たら、ちょっとばかり大変な事になりそうだ。
そして最後の一口を終えると大きく息を吐いた。
「予想よりも遅かったな」
すっかり茶も冷めてしまった、と元就は湯呑みを目の前に置いた。
「てめえが早すぎなんだよ!」
その小さい口で今までどれだけデカイモノを咥えこんできたんだと、少々下品な言葉で返しながら、元親はお茶を一気に飲み干した。
「何事も早く済まさねば勝機はないぞ」
これが戦場であれば、その一瞬が命取りだと物騒な事を言う元就の細い顔を見返す。
「いや、早いのは問題外だと思うぞ」
それじゃあこちらが詰まらない、と妙に真剣な顔で言う元親を元就は訝しげに見遣る。
「待て、だから何の話を」
「え、ナニの話を」
「貴様の頭の中は年中それかっ!」
恥を知れ、とばかりに元就の繰り出した右の拳が元親の顎を直撃した。
「…ふん」
ぐてん、と気絶している元親を冷たく見下ろしながら、元就はその部屋を後にした。
(終われ)