「う、うめぇ……!」
初めて口にする甘さだった。
口に入れた途端に溶け始め、とろりとした舌触りの良い液体で満たされる。
「ザビー様に戴いたのだ、当然ぞ」
お前が自慢げに言うな、と思ったところで体に自由が戻るのを感じた。
軽く動かしてあちらこちらの調子を確認する。異常なし。頭も大丈夫そうだ。
「あー、良かった……。それにしても本当にうまいな、これ」
ひょい、ともう一つ口に放る。じっくりと味わっていると、こちらをみている毛
利と目があった。
「……そんなに美味か」
「おぅ、こんなの初めてだ。わざわざありがとな」
「ザビー様の素晴らしさを思い知ったならば、入し「断る!」
一刀両断。やっぱり油断ならねぇ。
「わからぬ奴よ……。大体、貴様は………」
毛利はグチグチとあれこれ呟いている。
はた、とあることに気づいた。未だ口を忙しなく動かしているものの、視線の先
は俺ではない。桐箱だ。
もしかして、食べたいのだろうか。先ほどの様子では、口にしたことはなさそう
だった。
コイツが甘味を好きそうだとは見えないが、甘味嫌いな女はあまりいない。
「……お前も食うか?」
その瞬間、確かに俺は見た。毛利の顔が綻ぶのを。目が輝くのを。
直ぐにはっとして顔を引き締めてはいたが。
「……いや、いらぬ。それはザビー様より任務として与えられたもの故、我が食
すわけにはいくまい」
そういいつつも、視線は俺と桐箱をいったりきたり。本当は欲しいのだろう。
そんな毛利を見ていると胸のあたりがむずむずした。
「いや、結構濃厚だから一度には食べきれそうにねぇ。一緒に食ってくれるとあ
りがたいんだがな」
しばし考えた様子であったが、やがておずおずと桐箱に手を伸ばす。
「そのようにまで言われては仕方がない。我も食べてやろう」
小さな口に、チョコレートが運ばれた。
「……っ!」
「美味いだろ?」
あまりの美味さに声もないのだろう。首だけでこくこくと応えた。
顔はまさに至福の時を味わっています、って表したみたいな。
なんだろう……もの凄く毛利が可愛く思えてきた。しっかりしろ、俺。
初めて口にする甘さだった。
口に入れた途端に溶け始め、とろりとした舌触りの良い液体で満たされる。
「ザビー様に戴いたのだ、当然ぞ」
お前が自慢げに言うな、と思ったところで体に自由が戻るのを感じた。
軽く動かしてあちらこちらの調子を確認する。異常なし。頭も大丈夫そうだ。
「あー、良かった……。それにしても本当にうまいな、これ」
ひょい、ともう一つ口に放る。じっくりと味わっていると、こちらをみている毛
利と目があった。
「……そんなに美味か」
「おぅ、こんなの初めてだ。わざわざありがとな」
「ザビー様の素晴らしさを思い知ったならば、入し「断る!」
一刀両断。やっぱり油断ならねぇ。
「わからぬ奴よ……。大体、貴様は………」
毛利はグチグチとあれこれ呟いている。
はた、とあることに気づいた。未だ口を忙しなく動かしているものの、視線の先
は俺ではない。桐箱だ。
もしかして、食べたいのだろうか。先ほどの様子では、口にしたことはなさそう
だった。
コイツが甘味を好きそうだとは見えないが、甘味嫌いな女はあまりいない。
「……お前も食うか?」
その瞬間、確かに俺は見た。毛利の顔が綻ぶのを。目が輝くのを。
直ぐにはっとして顔を引き締めてはいたが。
「……いや、いらぬ。それはザビー様より任務として与えられたもの故、我が食
すわけにはいくまい」
そういいつつも、視線は俺と桐箱をいったりきたり。本当は欲しいのだろう。
そんな毛利を見ていると胸のあたりがむずむずした。
「いや、結構濃厚だから一度には食べきれそうにねぇ。一緒に食ってくれるとあ
りがたいんだがな」
しばし考えた様子であったが、やがておずおずと桐箱に手を伸ばす。
「そのようにまで言われては仕方がない。我も食べてやろう」
小さな口に、チョコレートが運ばれた。
「……っ!」
「美味いだろ?」
あまりの美味さに声もないのだろう。首だけでこくこくと応えた。
顔はまさに至福の時を味わっています、って表したみたいな。
なんだろう……もの凄く毛利が可愛く思えてきた。しっかりしろ、俺。