「もう一つ食えよ」
と、差し出してやれば素直に受け取った。自分も再び舌の上で甘さを味わい、ふ
と思う。
「そういやぁよ、毛利」
「何だ」
応えた毛利の表情が、冷めた顔に戻ってしまったことを少し残念に思う。
「俺の愛は伝わったのか?」
茶化すように問いかけてみた。
「なっ、何を言っておる貴様!」
途端に毛利の顔が真っ赤に染まり、激昂した。
「いや、だって今日はチョコレートを渡した相手に愛が伝わるんだろ?」
貰った相手に渡すのはアリなのか、そもそも俺に毛利の愛が伝わっているのか云
々は置いといて。
「バレンタインは女子が恋い慕う男に行うものぞ!貴様から受け取ったとてどう
ともならぬわ!」
「……は?」
恋い……慕う?コイツは何を言っているのだろうか。そんなそぶり、今まで一度
も見せられたことはない。
「じゃあ……男は?」
「一月後に、同じく菓子を以てその想いに返答すればよい」
俺は毛利からチョコレートを渡された。それは、つまり、そういうことで良いの
だろうか。
「お前、俺のこと好きなのか?それでわざわざ四国まで……」
「な、なななな何故そのような話になるのだ!」
「お前が言っただろ。恋い慕う男に、って」
その瞬間、毛利はこれ以上ないって程赤く染まった。そして、あたふたと言葉を
吐き散らし始めた。
「わ、我はザビー様に申しつけられて、チョコレートが、布教で、長曾我部、信
者の……!」
「お、おい、落ち着け!」
よほど混乱しているのだろう。でてくるのは支離滅裂なことばかり。
散々暴れた後、力が抜けたようにかくんとその場に座り込んだ。
「迂闊な……。我としたことが……」
声がわずかに震えていて、悪いことをした気分になる。
「毛利」
毛利は顔を上げることで応えた。
その瞳は潤み、頬は上気し、眉は苦しげに寄せられている。
男なら、かなりくる表情だ。それに、コイツは元々端正な顔つきをしている。
「お前の気持ちは嬉しいぜ、嘘じゃねぇ」
そっと屈み込んで目の前の華奢で柔らかな体を包み込む。それに硬直することす
ら可愛らしく感じる。
「だからそんなに……、ん?」
毛利の体が震えている。ふるふるってもんじゃない。ぶるぶると。
と、差し出してやれば素直に受け取った。自分も再び舌の上で甘さを味わい、ふ
と思う。
「そういやぁよ、毛利」
「何だ」
応えた毛利の表情が、冷めた顔に戻ってしまったことを少し残念に思う。
「俺の愛は伝わったのか?」
茶化すように問いかけてみた。
「なっ、何を言っておる貴様!」
途端に毛利の顔が真っ赤に染まり、激昂した。
「いや、だって今日はチョコレートを渡した相手に愛が伝わるんだろ?」
貰った相手に渡すのはアリなのか、そもそも俺に毛利の愛が伝わっているのか云
々は置いといて。
「バレンタインは女子が恋い慕う男に行うものぞ!貴様から受け取ったとてどう
ともならぬわ!」
「……は?」
恋い……慕う?コイツは何を言っているのだろうか。そんなそぶり、今まで一度
も見せられたことはない。
「じゃあ……男は?」
「一月後に、同じく菓子を以てその想いに返答すればよい」
俺は毛利からチョコレートを渡された。それは、つまり、そういうことで良いの
だろうか。
「お前、俺のこと好きなのか?それでわざわざ四国まで……」
「な、なななな何故そのような話になるのだ!」
「お前が言っただろ。恋い慕う男に、って」
その瞬間、毛利はこれ以上ないって程赤く染まった。そして、あたふたと言葉を
吐き散らし始めた。
「わ、我はザビー様に申しつけられて、チョコレートが、布教で、長曾我部、信
者の……!」
「お、おい、落ち着け!」
よほど混乱しているのだろう。でてくるのは支離滅裂なことばかり。
散々暴れた後、力が抜けたようにかくんとその場に座り込んだ。
「迂闊な……。我としたことが……」
声がわずかに震えていて、悪いことをした気分になる。
「毛利」
毛利は顔を上げることで応えた。
その瞳は潤み、頬は上気し、眉は苦しげに寄せられている。
男なら、かなりくる表情だ。それに、コイツは元々端正な顔つきをしている。
「お前の気持ちは嬉しいぜ、嘘じゃねぇ」
そっと屈み込んで目の前の華奢で柔らかな体を包み込む。それに硬直することす
ら可愛らしく感じる。
「だからそんなに……、ん?」
毛利の体が震えている。ふるふるってもんじゃない。ぶるぶると。