やがて部屋に充満してきた甘い香りに、長政の思考も飴のように蕩けていく。
指先からふわりと力が抜け、体の奥底が熱く疼く。
どれほど時間が経っているのだろうか。
熱の篭った体から吐き出される息は荒い。
「わ、たしは…」
振り返った光秀が一瞬だけ見せたあの不気味な笑みが脳裏に蘇る。
罠だったのか、と思いながら、不自由な体を捩って低く声を漏らす。
「…ん、くぅ……」
想像以上に艶を含んだ自分の声に長政は驚いて赤面する。
違う、自分はこのようなふしだらな女ではない。
そう言い聞かせながら、甘く心地よい香りに思考を委ねていった。
指先からふわりと力が抜け、体の奥底が熱く疼く。
どれほど時間が経っているのだろうか。
熱の篭った体から吐き出される息は荒い。
「わ、たしは…」
振り返った光秀が一瞬だけ見せたあの不気味な笑みが脳裏に蘇る。
罠だったのか、と思いながら、不自由な体を捩って低く声を漏らす。
「…ん、くぅ……」
想像以上に艶を含んだ自分の声に長政は驚いて赤面する。
違う、自分はこのようなふしだらな女ではない。
そう言い聞かせながら、甘く心地よい香りに思考を委ねていった。
「お待たせしました、長政公…」
血に濡れた双鎌を揺らめかせ、光秀は部屋に残された長政の顔を見下ろした。
体を丸めて荒く呼吸を繰り返しながら、首筋までも淡く染めて喘いでいる。
何かを耐えるようにきつく閉じられた瞼がそろりと開いて、潤んだ黒瞳が光秀を睨む。
「今回は相手も弱かったのでしょうか、私だけで勝ち抜けてしまいました」
もっとも、今の貴女には戦いの事など考える余裕もないでしょうが。
光秀は足元に転がる長政の様子に満足そうに頷くと、ちらりと後ろを振り返った。
「さあ、貴女のための宴はこれからですよ」
ぞろりと姿を現した兵士達に取り囲まれたのを最後に、長政の意識はぷっつりと途切れた。
血に濡れた双鎌を揺らめかせ、光秀は部屋に残された長政の顔を見下ろした。
体を丸めて荒く呼吸を繰り返しながら、首筋までも淡く染めて喘いでいる。
何かを耐えるようにきつく閉じられた瞼がそろりと開いて、潤んだ黒瞳が光秀を睨む。
「今回は相手も弱かったのでしょうか、私だけで勝ち抜けてしまいました」
もっとも、今の貴女には戦いの事など考える余裕もないでしょうが。
光秀は足元に転がる長政の様子に満足そうに頷くと、ちらりと後ろを振り返った。
「さあ、貴女のための宴はこれからですよ」
ぞろりと姿を現した兵士達に取り囲まれたのを最後に、長政の意識はぷっつりと途切れた。
(唐突に終わる)




