半年前任務に訪れた先で、かすがは神に出会った。
この上無く美しく高潔な神は言った。かすがが美しいと。
夜にしか生きられず、夜でしか生きる術を持たず、夜を血で染める穢れた女。
かすがは自分自身をそう蔑み疎んじていた。
浮世の汚穢を寄せ集めた様なこの自分が、よもや美しいなどとは晴天の霹靂だった。
神は続けた。
戦により民草の生活がどんなに踏み躙られているか。
一刻も早く乱世を終結させ世の歪みを正す必要があり、その為にかすがの力が要る事も。
(この私が、誰かの役に立てる?)
だがその疑問は浮ぶと同時に消滅した。
今自分の目の前に居るのは凡百な将ではない。
――神だ。
神の言葉は全て正しく、また神に不可能は無い。
(私がこの方のお役に立てる)
かすがの胸の内から言葉に出来ない感情が溢れた。
この世で千代女の屋敷しか知らず、血と色に染まるしかなかった穢れた自分を、
この方なら救って下さる。
夜毎肌を這い回る男達も血腥いしがらみも全て断ち切る事が出来るなら、
かすがは命など要らなかった。
「この命は、あなた様のもの」
神に跪き頭を垂れるかすがは、生まれて初めて充足感を味わった。
この上無く美しく高潔な神は言った。かすがが美しいと。
夜にしか生きられず、夜でしか生きる術を持たず、夜を血で染める穢れた女。
かすがは自分自身をそう蔑み疎んじていた。
浮世の汚穢を寄せ集めた様なこの自分が、よもや美しいなどとは晴天の霹靂だった。
神は続けた。
戦により民草の生活がどんなに踏み躙られているか。
一刻も早く乱世を終結させ世の歪みを正す必要があり、その為にかすがの力が要る事も。
(この私が、誰かの役に立てる?)
だがその疑問は浮ぶと同時に消滅した。
今自分の目の前に居るのは凡百な将ではない。
――神だ。
神の言葉は全て正しく、また神に不可能は無い。
(私がこの方のお役に立てる)
かすがの胸の内から言葉に出来ない感情が溢れた。
この世で千代女の屋敷しか知らず、血と色に染まるしかなかった穢れた自分を、
この方なら救って下さる。
夜毎肌を這い回る男達も血腥いしがらみも全て断ち切る事が出来るなら、
かすがは命など要らなかった。
「この命は、あなた様のもの」
神に跪き頭を垂れるかすがは、生まれて初めて充足感を味わった。