戦国BASARA/エロパロ保管庫

春嵐9

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nozomi

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「おい、待てよ!」

船首に佇む元就を見つけると、元親は去ろうとする彼女の肩を捕まえて振り向かせた。
「…何ぞ」
能面じみた元就の顔は表情というものが一切消えており、不気味なまでに静かであった。
「さっきの、どういう意味だよ」
「言葉通りの意味だが…」
瑠璃紺の隻眼から逃れるように顔を逸らし、暗い海へと視線を向けた。
月も雲に隠れており、墨を流したように真っ暗な水面が小さく波の音を立てているのが辛うじて分かる程度である。
「…その気があれば抱いてやれ」
ぼそり、と元就が呟いた言葉に驚き、元親は隻眼を瞬かせた。
「…馬鹿、お前何言ってんだ」
「あやつは我と違い、まだ無垢なままだ…とても可愛らしい反応をする」
ちらりと横目に元親の方を見ると、元就は嘲笑うように唇の端を上げた。
「…今ならば如何様にも自分好みに仕立てられる、この我と違ってな」
その言葉に、元親は顔を顰めた。
「そいつはどういう意味だ?」
「…そなたにはあやつのような情の深い女子が良かろう」
元親の腕を振りほどくように払うと、元就は背を向けてしまった。

「ふ、ふふふ」
小刻みに肩を揺らして笑い出した元就の声に、元親は隻眼を鋭く細めて凝視した。
海上を吹き抜ける風が短い髪を揺らしていく。
「知らなんだか、あやつは貴様を慕うておるぞ、うわ言で名を呼ぶ程に」
ゆっくりと振り向いた元就の口元に浮かぶ笑みに、狂気にも似た何かを感じる。
なまじ綺麗な顔をしているだけに、こういう表情をすると凄みが増す。
「……我の腕の中で、そなたの名を呼んで果ておったわ」
「元就!」
普段は穏健な元親にしては珍しく声を張り上げた。
「柔らかな肌は良い香りがする…切なく喘ぐ声も小鳥が鳴くように初々しいぞ」
数刻前の情事を生々しく語りながら、元就は己の肩を抱くように手を回した。
「そなたが抱かぬというのであれば、我が仕込んでやろうか、求められれば如何様にも体を開くように…」
夜風に吹かれて乱れた前髪の合間から、琥珀の瞳がまっすぐに見詰めてきた。
その色は、戦場で見せる冷徹な智将のそれではない。
元親が初めて彼女を抱いた時に閨で見せたものだ。

見る者を虜にし、体の芯から蕩かして骨抜きにしてしまう深い琥珀。

目的を達する為であれば、己の体さえもその道具としてきたという。
男であろうが女であろうが、彼女には関係ない。
効果的な使い方も心得ており、ほんの小さな指先一つの仕草でも相手誑かしてみせる。
北九州で勢力を拡大しつつあった謎の教団を、大軍など使わずに壊滅に追いやるぐらい訳もない事であった。

元就を抱いて、翌朝命があったというのは滅多にない事だと、彼女の側近が驚いたのをふと思い出した。


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