「……お前の一番悪い癖はな」
佐助は彼女の頭を再び撫でながら低い声で静かに諭す。
「大きな壁にぶち当った時、死んで楽になろうとする事だ」
「………」
図星だった。彼は的確に自分の心を見透かしていたのだ。
「確かに今の世の中、戦馬鹿だらけで生き難い。
浮世を儚んで死んだ方がマシだって思う時もあるさ。
でもなかすが、この世は戦ばかりじゃない。
お前が知ってるのはほんの一握りの事だけだ。
戦なんて関係ない平凡な生き方がある。お前にもそれが出来るんだ」
厳しいがとても優しい声色で彼は続けた。
「苦しみでのた打ち回ろうが精一杯足掻いて生き抜け。最期の時までな」
何故この男は冷酷な迄自分に生きろと言うのか。酔狂でなければ救い難いお人好しだ。
「いつもお前が焼くのは、余計な世話ばかりだな」
かすがは背を向けたまま諦めを含んだ声で呟いた。
「どう言われようが性分でね」
いつもの調子で佐助は言った。
「あんまり深く考えないでここで暮らせば良いじゃない。
正直この家俺一人じゃ持て余しててさ。
帰った時に誰か居るのと居ないのは全然違うし、居て呉れると助かるよ」
勇気を奮い起こして訊いてみる。
「……男の寝首を欠いていた様な女でもか?」
「うん、それでも」
即答され、胸にズキンと痛みが走った。
チラリと彼の方を見る。ヘラヘラした表情を浮かべ、これが犬なら
尻尾をブンブンちぎれんばかりに振っているだろう。
かすがは溜め息を吐いた。
「本当に酔狂な奴」
佐助は彼女の頭を再び撫でながら低い声で静かに諭す。
「大きな壁にぶち当った時、死んで楽になろうとする事だ」
「………」
図星だった。彼は的確に自分の心を見透かしていたのだ。
「確かに今の世の中、戦馬鹿だらけで生き難い。
浮世を儚んで死んだ方がマシだって思う時もあるさ。
でもなかすが、この世は戦ばかりじゃない。
お前が知ってるのはほんの一握りの事だけだ。
戦なんて関係ない平凡な生き方がある。お前にもそれが出来るんだ」
厳しいがとても優しい声色で彼は続けた。
「苦しみでのた打ち回ろうが精一杯足掻いて生き抜け。最期の時までな」
何故この男は冷酷な迄自分に生きろと言うのか。酔狂でなければ救い難いお人好しだ。
「いつもお前が焼くのは、余計な世話ばかりだな」
かすがは背を向けたまま諦めを含んだ声で呟いた。
「どう言われようが性分でね」
いつもの調子で佐助は言った。
「あんまり深く考えないでここで暮らせば良いじゃない。
正直この家俺一人じゃ持て余しててさ。
帰った時に誰か居るのと居ないのは全然違うし、居て呉れると助かるよ」
勇気を奮い起こして訊いてみる。
「……男の寝首を欠いていた様な女でもか?」
「うん、それでも」
即答され、胸にズキンと痛みが走った。
チラリと彼の方を見る。ヘラヘラした表情を浮かべ、これが犬なら
尻尾をブンブンちぎれんばかりに振っているだろう。
かすがは溜め息を吐いた。
「本当に酔狂な奴」




