郡山の片隅に、元就専用の庭があった。
「・・・よく、育っている」
未だ咲き誇る薄黄色の花をかき分け、しっかりとした実を手にとる。
それを丁寧に剪定鋏で茎と離れさせ、わきの籠へと入れていく。
ものの数分で、籠はいっぱいになった。
未だ咲き誇る薄黄色の花をかき分け、しっかりとした実を手にとる。
それを丁寧に剪定鋏で茎と離れさせ、わきの籠へと入れていく。
ものの数分で、籠はいっぱいになった。
オクラで。
花を愛でると、籠を胸に抱き空を仰いだ。
(元親は・・・喜んでくれるだろうか)
西の鬼は金銀財宝を求め全国各地を旅している。
その旅は気ままなもので、今回なんてかれこれ半月だ。
(元親は・・・喜んでくれるだろうか)
西の鬼は金銀財宝を求め全国各地を旅している。
その旅は気ままなもので、今回なんてかれこれ半月だ。
先日、四国の使いが元親帰国の知らせのためやってきた。
「元就様、昨晩アニキが無事お戻りになりましたぜ!」
「・・・・・・」
「あのー・・・元就様?聞いてます??」
「・・・・・・・・・ておけ」
「はい?」
「・・・・・・」
「あのー・・・元就様?聞いてます??」
「・・・・・・・・・ておけ」
「はい?」
「今更何用だと伝えておけええぇええッ!!」
「ひぎゃー!!」
「ひぎゃー!!」
あの時は思わずカッとなってBASARA技まで発動してしまったが・・・・。
その日の夜、様々な思いが胸を駆け巡り寝所でひっそり泣いてしまったのは事実。
(怒って、いるだろうか・・・)
籠を抱く腕に力がこもる。
「元親・・・・・・」
「殿、四国より迎えの者が参りました」
「・・・・・すぐ行く」
気持ちを必死に隠しつつ、背中を向けたまま返事をした。
嬉しいような切ないような。そして気まずいような。
けれど。
(会いたい)
その思いとオクラを胸に、元就は庭を後にした。
その日の夜、様々な思いが胸を駆け巡り寝所でひっそり泣いてしまったのは事実。
(怒って、いるだろうか・・・)
籠を抱く腕に力がこもる。
「元親・・・・・・」
「殿、四国より迎えの者が参りました」
「・・・・・すぐ行く」
気持ちを必死に隠しつつ、背中を向けたまま返事をした。
嬉しいような切ないような。そして気まずいような。
けれど。
(会いたい)
その思いとオクラを胸に、元就は庭を後にした。