微妙な疎外感を抱えたまま宴もたけなわになっていた。
元親の我が儘により、宴会場は広間ではなくステキな野郎どもとアニキ制作によるカマクラである。
かなり大きめに作ってはみたものの、大勢入ると狭苦しいため、
中には政宗、幸村、毛利、そして長曾我部しかいない。
横に毛利がいるというのに、否応なく身内の集まりじみた空気が漂う。
調理人曰くカマクラで気取った料理はcoolじゃないね、ということで、
中央にはでっかい鍋。料理長伊達は手慣れた様子で鍋奉行を気取り、
アクをすくい野菜を投下し、やたらとまめまめしい。その嫁さんはやたらイイ顔で良く喰っていた。
余計に和やかだ。
独眼竜らしく鍋だけでは調理人魂が満足できなかったのか、小者が時折持ってくる箸休めの品は、
食材で遊んでるんじゃないか、と思うほど凝った飾り付け繊細な味付け。
ただし材料はそう目新しくもない、季節のものだった。
確かに美味しいのだが、元親の好みとは異なる。
凝っていなくても、飾り切りがなくてもいいのだ。ただ心に染み渡る暖かさが欲しい。
……大根で作った親指ほどの碇槍箸置きはちょっと嬉しかったが。
毛利は小細工など無駄ぞ、と言いたそうに冷ややかな視線を向けつつ、
それでも結構美味そうに食べていた。
……毛利のことばっかり見ているようだが断じて違う。
毛利は怖い、そりゃあもう唐突に地面が爆発したり子分が操られたり
宗教にハマったり、到底理解不能の恐ろしさがある。
だが、奥州馬鹿ップルを見るよりはマシだった。
なるほど、政宗が自慢したとおり、女性の格好をすれば幸村は全くもって野性味溢れる、
目の力が強い美少女だった。
本人の立ち居振る舞いも言動も全く変わってはいないのだが。
おかげで何かの冗談のような気がして、女扱いする気がやっぱり起きない。
大体化粧と服一つでそこまで変化されると、元姫の元親でも複雑な気持ちになる。
ついでに元就も狩衣を改め装っていた。
贅を尽くしたわけでなく、趣向を凝らした風もなく、
単に場に相応しくそれなりの衣を着た、と言う風情で。
……いや勿論カマクラだが国主とその妻との食事だ、多分きちんとしてる方が普通なのだ。
こちらも輪刀をもっている時とは違い、凶悪さが数割減。
自分を引き立たせる衣装を選ばずとも、近寄りがたいような美しさを持った、
気位の高い少女に見える。正直鍋物があんまり似合わない。
但し、こっちは男とか女を通り越して存在そのものが怖い。鍋つついててもやっぱり少し怖い。
元親の我が儘により、宴会場は広間ではなくステキな野郎どもとアニキ制作によるカマクラである。
かなり大きめに作ってはみたものの、大勢入ると狭苦しいため、
中には政宗、幸村、毛利、そして長曾我部しかいない。
横に毛利がいるというのに、否応なく身内の集まりじみた空気が漂う。
調理人曰くカマクラで気取った料理はcoolじゃないね、ということで、
中央にはでっかい鍋。料理長伊達は手慣れた様子で鍋奉行を気取り、
アクをすくい野菜を投下し、やたらとまめまめしい。その嫁さんはやたらイイ顔で良く喰っていた。
余計に和やかだ。
独眼竜らしく鍋だけでは調理人魂が満足できなかったのか、小者が時折持ってくる箸休めの品は、
食材で遊んでるんじゃないか、と思うほど凝った飾り付け繊細な味付け。
ただし材料はそう目新しくもない、季節のものだった。
確かに美味しいのだが、元親の好みとは異なる。
凝っていなくても、飾り切りがなくてもいいのだ。ただ心に染み渡る暖かさが欲しい。
……大根で作った親指ほどの碇槍箸置きはちょっと嬉しかったが。
毛利は小細工など無駄ぞ、と言いたそうに冷ややかな視線を向けつつ、
それでも結構美味そうに食べていた。
……毛利のことばっかり見ているようだが断じて違う。
毛利は怖い、そりゃあもう唐突に地面が爆発したり子分が操られたり
宗教にハマったり、到底理解不能の恐ろしさがある。
だが、奥州馬鹿ップルを見るよりはマシだった。
なるほど、政宗が自慢したとおり、女性の格好をすれば幸村は全くもって野性味溢れる、
目の力が強い美少女だった。
本人の立ち居振る舞いも言動も全く変わってはいないのだが。
おかげで何かの冗談のような気がして、女扱いする気がやっぱり起きない。
大体化粧と服一つでそこまで変化されると、元姫の元親でも複雑な気持ちになる。
ついでに元就も狩衣を改め装っていた。
贅を尽くしたわけでなく、趣向を凝らした風もなく、
単に場に相応しくそれなりの衣を着た、と言う風情で。
……いや勿論カマクラだが国主とその妻との食事だ、多分きちんとしてる方が普通なのだ。
こちらも輪刀をもっている時とは違い、凶悪さが数割減。
自分を引き立たせる衣装を選ばずとも、近寄りがたいような美しさを持った、
気位の高い少女に見える。正直鍋物があんまり似合わない。
但し、こっちは男とか女を通り越して存在そのものが怖い。鍋つついててもやっぱり少し怖い。
まあ酔っちまえば忘れるだろ、とやや良くない気持ちで酒をあおった。
北の酒は南のものと味わいが違う。
だが、どちらも元親は美味いと思う。
運べば味わいが変わってしまう日本酒は、産地杜氏に拘ることなく
訪れた場所で、好みにあったものを飲むのが一番良いのだ。
辛口のそれを改めて舐める。口腔にふわりと良い香りが広がって余韻を残す。
次いで細く刻んだ山芋の梅肉添えに手を伸ばそうとした時、
オクラ、いや毛利がこちらを見ていることに気づいた。
元親自身が毛利を見るともなしに見ていた時には
こちらのことなど忘れきった風でいたのだが。
「あん?どうした毛利。酒のまねえとヒマもてあます、か?」
ふん、貴様の知ったことではない。そう返されるかと思ったが、
毛利は素直に頷いた。
しかし辛辣な言葉を紡ぐ、小さな唇は開かない。
「じゃあアレだ、毛利、アンタ長曾我部を追いかけてきたんだろ?」
悪酔い大王独眼竜が口を挟む。
隣の幸村はザルかワクか、幸せそうな顔で糖度と度数のバカ強い酒をかぱかぱ空けていた。
北の酒は南のものと味わいが違う。
だが、どちらも元親は美味いと思う。
運べば味わいが変わってしまう日本酒は、産地杜氏に拘ることなく
訪れた場所で、好みにあったものを飲むのが一番良いのだ。
辛口のそれを改めて舐める。口腔にふわりと良い香りが広がって余韻を残す。
次いで細く刻んだ山芋の梅肉添えに手を伸ばそうとした時、
オクラ、いや毛利がこちらを見ていることに気づいた。
元親自身が毛利を見るともなしに見ていた時には
こちらのことなど忘れきった風でいたのだが。
「あん?どうした毛利。酒のまねえとヒマもてあます、か?」
ふん、貴様の知ったことではない。そう返されるかと思ったが、
毛利は素直に頷いた。
しかし辛辣な言葉を紡ぐ、小さな唇は開かない。
「じゃあアレだ、毛利、アンタ長曾我部を追いかけてきたんだろ?」
悪酔い大王独眼竜が口を挟む。
隣の幸村はザルかワクか、幸せそうな顔で糖度と度数のバカ強い酒をかぱかぱ空けていた。




