女半兵衛と女政宗とお子ちゃま幸村
季節はずれの温泉ギャグネタで、エロなし。
織田信長健在で、織田包囲網制作中という状態です。
季節はずれの温泉ギャグネタで、エロなし。
織田信長健在で、織田包囲網制作中という状態です。
不覚幸村
「お館さまっ…!…あれ……?」
信玄の居室に駆け込んだ幸村は、主の不在に首を傾げた。
「お館さまなら、出湯だぜ」
猿飛佐助が、縁側から声をかけて寄越す。
信玄の居室に駆け込んだ幸村は、主の不在に首を傾げた。
「お館さまなら、出湯だぜ」
猿飛佐助が、縁側から声をかけて寄越す。
「出湯……。どこか、具合でも?」
「いやあ、客人に付き合って、だよ。西から、わざわざ湯治に来たんだと」
「…客人?」
「大坂の、竹中半兵衛」
「……豊臣、の…!?」
あの、ねちねちと弁が立つ、しかも腕もそこそこ立つ危ない軍師。
幸村の半兵衛の第一印象は、変な仮面をつけた変な男、だった。
「いやあ、客人に付き合って、だよ。西から、わざわざ湯治に来たんだと」
「…客人?」
「大坂の、竹中半兵衛」
「……豊臣、の…!?」
あの、ねちねちと弁が立つ、しかも腕もそこそこ立つ危ない軍師。
幸村の半兵衛の第一印象は、変な仮面をつけた変な男、だった。
「そんなのと、お館さまが出湯へ出かけたのか!?」
「ついでに言うなら、奥州の姫さんも来てますぜ。アンタ、修行だあぁ!とか言って、山に
篭もるから」
「だといって、その顔ぶれで、湯治と言うのは信じられぬ」
休戦状態にあるとはいえ、大坂の軍師・竹中半兵衛と、甲斐の虎・武田信玄、さらには奥州
の独眼竜・伊達政宗と揃うのであれば、何か裏があって当然だと、佐助も思う。
「ついでに言うなら、奥州の姫さんも来てますぜ。アンタ、修行だあぁ!とか言って、山に
篭もるから」
「だといって、その顔ぶれで、湯治と言うのは信じられぬ」
休戦状態にあるとはいえ、大坂の軍師・竹中半兵衛と、甲斐の虎・武田信玄、さらには奥州
の独眼竜・伊達政宗と揃うのであれば、何か裏があって当然だと、佐助も思う。
「お館さまに、何かあっても困る。行くぞ、佐助!」
「…行ってもいいけど、真田のダンナ。あんたが乱入すると、ろくなことにならないと思う
んだけどねぇ」
「お館さまと、裸の付き合い!男らしくて、よいではないか!!」
「…男って、いや、ダンナ。…独眼竜は、姫さんだし。それに、って、アンタ人の話をっ」
聞いちゃいない、幸村であった。
「…行ってもいいけど、真田のダンナ。あんたが乱入すると、ろくなことにならないと思う
んだけどねぇ」
「お館さまと、裸の付き合い!男らしくて、よいではないか!!」
「…男って、いや、ダンナ。…独眼竜は、姫さんだし。それに、って、アンタ人の話をっ」
聞いちゃいない、幸村であった。
甲斐の隠し湯。
傷や病に効くという出湯で顔を会わせた三人は、それぞれの個性に応じた格好で湯に浸かっ
ていた。
傷や病に効くという出湯で顔を会わせた三人は、それぞれの個性に応じた格好で湯に浸かっ
ていた。
「で、其処許がわざわざ使者に立ったという、用件は?」
半兵衛の仮面をつけたままの白い顔が、うっすらと笑う。
湯に浸かる姿までスカしていると、政宗が冷ややかに眺めている。
半兵衛の仮面をつけたままの白い顔が、うっすらと笑う。
湯に浸かる姿までスカしていると、政宗が冷ややかに眺めている。
「僕の休養にいいから、と、秀吉が言うから来たんだけど」
「ここは、敵地ぞ。信じると、思うのか?そのような、戯言」
「hey。謙信のところへも、行ったそうじゃないか」
さすがに、情報が早い。
政宗の射るような独眼と、信玄の虎眼に半兵衛は、肩を竦めて見せた。
「ここは、敵地ぞ。信じると、思うのか?そのような、戯言」
「hey。謙信のところへも、行ったそうじゃないか」
さすがに、情報が早い。
政宗の射るような独眼と、信玄の虎眼に半兵衛は、肩を竦めて見せた。
「織田に対して、共同戦線を」
「…hann。西と北から、挟み討ちにするってのか?」
「ええ。美濃を平定し、今川を落とし、北条も崩れ、瀬戸内さえも死に体。三河の坊やも唯々
諾々。浅井も、最早太刀打ちができないとなれば」
「豊臣も、孤高を保てぬというわけか」
信玄は、湯気の向こうで微笑する半兵衛を睨むように見つめた。
「……僕も、僕の策の手詰まりを認めるのは嫌なんだけどね」
「…hann。西と北から、挟み討ちにするってのか?」
「ええ。美濃を平定し、今川を落とし、北条も崩れ、瀬戸内さえも死に体。三河の坊やも唯々
諾々。浅井も、最早太刀打ちができないとなれば」
「豊臣も、孤高を保てぬというわけか」
信玄は、湯気の向こうで微笑する半兵衛を睨むように見つめた。
「……僕も、僕の策の手詰まりを認めるのは嫌なんだけどね」
ざばりと湯を騒がせて、信玄はその体を深く沈めた。