戦国BASARA/エロパロ保管庫

BBB5

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町の外れにはまだ人の手がほとんど入っていない森がある。
他の領地へと通じる道こそ通っているが道の周囲に人家はなく、たまに薪用の枝を拾う民が入る程度で、住んでいるのは野生の獣ばかりの静かな森だ。
実をつける木も多いからか鳥も多く、天気が良ければ様々な鳥たちの鳴き声を楽しむことも出来る。
自然の豊かなこの森は、昔から政宗の気に入りの乗馬コースでもあった。

動き始めた馬車は静かに道を進み、指示通り森へと入る道を進んだ。
進むごとに道の左右に立ち並ぶ木は数を増して鬱蒼とした繁みを見せ、やがて車輪が砂利を踏む音の合間に、間遠い鳥の声が聞こえ始めた。
鳥の声に耳を澄ますよう、政宗が一つきりの目を閉じる。
政宗の邪魔にならぬよう、小十郎も意識して無音であることに努めた。
心地良い静寂が車中に満ちる。
「……小十郎」
「はい」
静寂の中にぽつりと、聞こえるかどうかの小さな呟きが落ちた。それを小十郎は逃さず掬い上げる。
どれほど小さくとも、たとえ雑音轟音の最中であったとしても、小十郎が政宗の声を聞き漏らすことはけしてなかった。
それでこその執事であり、そうでなくては執事を名乗る資格は無いのだから。
「戻ったら茶を淹れろ。少し喉が乾いた」
「心得ております。戻る頃には、ちょうど茶の用意も出来ているでしょう」
小十郎の返答に政宗は伏せていた瞼を上げ、眉も上げた。
政宗は男勝りで荒々しいものを好む反面、静謐な自然や風雅も好み、よく愛でる。
そういった主の性格を熟知していた小十郎は、今日の天候であれば政宗が帰路に森を通りたがるだろうと出かける前からすでに見当をつけていた。
加えてこのところの政宗は、先頃交流のある他の領主から贈られた茶葉を気に入り、よくそれを飲んでいた。
ゆえに森を通って戻った頃に丁度間に合うよう、事前に茶の手配も済ませていたのだ。
当然、政宗の気紛れが顔を出す可能性も十分に考慮し、あらゆる状況に即時対応できる形で手配しておいたのは言うまでもない。
「Ha! Be clever.ほんっと、おまえは良く出来た執事だよなァ」
「お褒めに預かり光栄です」
上出来だと笑う政宗の言葉に、小十郎は心底から誇らしげに微笑した。


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