忍衣装の隙間から見える太腿の傷跡を、謙信の指先が慈しむように撫でる。ぞくぞくっと身
体に痺れが走り、思わず漏れてしまいそうになる声を抑えるよう唇を噛んだ。
体に痺れが走り、思わず漏れてしまいそうになる声を抑えるよう唇を噛んだ。
「ふふ、かわいらしいですね」
「謙信様…」
「謙信様…」
太腿を撫でていた腕が腰にまわり、抱き寄せられる。どくどくと高鳴る胸の音が聞こえてし
まうんじゃないかと思うくらい、距離が近い。
謙信はかすがの髪をすくって口付け、優しく頬に手を添える。薄紅色に色づく唇に、謙信の
それを重ねた。
最初は、啄むような優しい口付け。次第にその間隔が長くなり、謙信の舌がかすがの唇を割
って口内に侵入する。歯裏を丁寧に舐め、舌を絡める。二人分の唾液が、かすがの頬を伝って
零れ落ちた。
まうんじゃないかと思うくらい、距離が近い。
謙信はかすがの髪をすくって口付け、優しく頬に手を添える。薄紅色に色づく唇に、謙信の
それを重ねた。
最初は、啄むような優しい口付け。次第にその間隔が長くなり、謙信の舌がかすがの唇を割
って口内に侵入する。歯裏を丁寧に舐め、舌を絡める。二人分の唾液が、かすがの頬を伝って
零れ落ちた。
「はぁ…謙信、様…」
何故謙信がこんなことをするのか、かすがには想像もつかない。口内を蹂躙され、あまりに
甘い接吻にかすがはぐったりと謙信にもたれかかった。謙信はかすがの額に唇を落とし、むき
出しになった背中に手を這わす。そのまま、かすがの身体を押し倒した。
甘い接吻にかすがはぐったりと謙信にもたれかかった。謙信はかすがの額に唇を落とし、むき
出しになった背中に手を這わす。そのまま、かすがの身体を押し倒した。
「かすが」
「謙信、様…?」
「そなたは、わたくしのまえからすがたをけそうと、かんがえていませんでしたか」
「謙信、様…?」
「そなたは、わたくしのまえからすがたをけそうと、かんがえていませんでしたか」
その問は、疑問の形をとっていたが断定していた。思っていたことを言い当てられて、どき
りとする。謙信の目を見る事ができずふいと顔を逸らすと、謙信は困ったように眉を顰めた。
りとする。謙信の目を見る事ができずふいと顔を逸らすと、謙信は困ったように眉を顰めた。
「おこっているのではありませんよ。わたくしは、かなしいのです」
「え、謙信様…?」
「いくさがおわって、そなたがわたくしのつるぎでなくなっても、かすがにはわたくしのそば
にいてほほしい」
「え、謙信様…?」
「いくさがおわって、そなたがわたくしのつるぎでなくなっても、かすがにはわたくしのそば
にいてほほしい」
思わず、謙信の顔を見る。その目は、真剣であった。
「わたくしには、かすががひつようなのですよ」
「けんしん、さま…」
「けんしん、さま…」
ぼろっと、かすがの瞳から涙が零れた。頬を伝って、床へと落ちる。
ずっと、必要とされたかった。戦の最中は謙信のつるぎという名目があるから側にいられた
けれど、その戦が終わってしまったから、もう自分は要らないものだと考えていたし、仕方な
いと思っていた。
けれど、本当は必要とされたかった。
ずっと、謙信の側にいたかった。
堰を切ったように泣き出したかすがの涙を、謙信は指先ですくいとる。慰めるように目許に
口付けた。
ずっと、必要とされたかった。戦の最中は謙信のつるぎという名目があるから側にいられた
けれど、その戦が終わってしまったから、もう自分は要らないものだと考えていたし、仕方な
いと思っていた。
けれど、本当は必要とされたかった。
ずっと、謙信の側にいたかった。
堰を切ったように泣き出したかすがの涙を、謙信は指先ですくいとる。慰めるように目許に
口付けた。