――凋落の武田が、日の本の片隅の伊達が、天下を取るなど今はまだ夢のまた夢。
しかし、武田家の懐刀は祖父と父の智謀を思い出し、それを自分が行使しても構わないのだと気づく。
そして伊達家の大将の胸のうちには、小さな火種が確かに灯った。
そして伊達家の大将の胸のうちには、小さな火種が確かに灯った。
眼差しが交錯すれば心の臓に火が点き、得物を抜いて正対すれば身体中を雷が奔り、
一たび剣を交えようものならば我を亡くして時さえも忘れた。
一たび剣を交えようものならば我を亡くして時さえも忘れた。
……この感情と恋情との境目がわからぬまま、時代はさらに勢いを増して流れゆく。
終




