何を、と、かすがの意図はわかっていても少し恨めしく思った。かすがの指が柔らかく動いて、己の身体の中を撫で上げる
のを直に感じた。途端謙信の頬がかっと紅く染まる。
「ん…っん」
「謙信様、もっと」
何時もと同じ、優しいくて可愛らしい声はそのままで、かすがが謙信を煽り立てた。白い首筋に細い肩にあかく色づいた頬に、
余すところなく口付けて、その度にかすがはあのうっとりとした声で謙信に囁く。聞かせてくださいませ、もっともっと。差し入れた指が艶かしく動いて、謙信は
爪先から背筋を震わせて駆け上ってきた感覚に仰け反る。
「んあぁ! 」
口をこじ開けていたかすがの指は何時の間にか引き抜かれていた。己の喉から出た声に謙信はびくりとする。蕩けきった
声。これは女の、おんなの酔うた声。
「ああ、謙信様…」
頬を桜色に染めて囁くかすがは、いつも健気に笑う姿そのままで。うっとりとした色素の薄い瞳に己の蕩けきった姿が映っている
のが見える気がして、謙信は瞳を閉ざした。
「謙信様」
かすがが瞼に唇を寄せる。じんじんと頭に響く熱にさいなまれながら、それでも謙信は目を開けることが出来なかった。
瞼に触れるかすがの唇の感覚が柔らかくて、それが先刻の口付けを思い起こさせた。
閉じた瞼の裏には、変わらなくきれいなかすがの姿ばかりが浮かんで消えた。けんしんさま、けんしんさま。呼びかける声が
ただただ心地良くて優しかった。
本当に、どうして。どうしてこの子は、どうして、私は……
唇が離れたかと思うと、差し入れられた指が数を増やし、ぞくりとした波が全身を打った。
「ふ、ぁ、あああ! 」
喉を突いて発した声に、ああ、これは。
悲鳴なのかもしれないと、謙信は思った。
かすが×謙信(女)8
のを直に感じた。途端謙信の頬がかっと紅く染まる。
「ん…っん」
「謙信様、もっと」
何時もと同じ、優しいくて可愛らしい声はそのままで、かすがが謙信を煽り立てた。白い首筋に細い肩にあかく色づいた頬に、
余すところなく口付けて、その度にかすがはあのうっとりとした声で謙信に囁く。聞かせてくださいませ、もっともっと。差し入れた指が艶かしく動いて、謙信は
爪先から背筋を震わせて駆け上ってきた感覚に仰け反る。
「んあぁ! 」
口をこじ開けていたかすがの指は何時の間にか引き抜かれていた。己の喉から出た声に謙信はびくりとする。蕩けきった
声。これは女の、おんなの酔うた声。
「ああ、謙信様…」
頬を桜色に染めて囁くかすがは、いつも健気に笑う姿そのままで。うっとりとした色素の薄い瞳に己の蕩けきった姿が映っている
のが見える気がして、謙信は瞳を閉ざした。
「謙信様」
かすがが瞼に唇を寄せる。じんじんと頭に響く熱にさいなまれながら、それでも謙信は目を開けることが出来なかった。
瞼に触れるかすがの唇の感覚が柔らかくて、それが先刻の口付けを思い起こさせた。
閉じた瞼の裏には、変わらなくきれいなかすがの姿ばかりが浮かんで消えた。けんしんさま、けんしんさま。呼びかける声が
ただただ心地良くて優しかった。
本当に、どうして。どうしてこの子は、どうして、私は……
唇が離れたかと思うと、差し入れられた指が数を増やし、ぞくりとした波が全身を打った。
「ふ、ぁ、あああ! 」
喉を突いて発した声に、ああ、これは。
悲鳴なのかもしれないと、謙信は思った。
かすが×謙信(女)8




