「……………???」
元親を止める事が出来ずに廊下に立ち尽くしていた慶次は、思わず目を疑った。
なにせ激高して部屋を飛び出し彼方に消えた筈の元親が、上機嫌で引き返してきたからだ。
…しかも世にも珍しく深窓の姫君のようないでたちをしている元就の手を引いて。
なにせ激高して部屋を飛び出し彼方に消えた筈の元親が、上機嫌で引き返してきたからだ。
…しかも世にも珍しく深窓の姫君のようないでたちをしている元就の手を引いて。
「おっ、おいおい…俺いくらなんでも、馬に蹴られて死ぬのは御免だぜ?
よぉしっ…そうと決まりゃあ、尻まくって逃げるに限るね!」
よぉしっ…そうと決まりゃあ、尻まくって逃げるに限るね!」
軽い調子でそう言って、慶次は即座に身を翻すと元親の部屋に駆け込む。
そして手際よく荷物をまとめ、ひらりと縁側から庭に飛び降りた。
そして手際よく荷物をまとめ、ひらりと縁側から庭に飛び降りた。
「………………」
大木の陰に体を隠し取り急ぎ身の安全を確保した上で、慶次はそっと背後を振り返る。
すると顔いっぱいに満面の笑みを浮かべた元親が元就に何やらあれこれ話しかけながら、
しっかりと手を繋いで渡り廊下を歩いてくるのが見えた。
元就も、ともすれば見落としてしまいそうな…だが確実に笑みと呼べる表情を滲ませている。
すると顔いっぱいに満面の笑みを浮かべた元親が元就に何やらあれこれ話しかけながら、
しっかりと手を繋いで渡り廊下を歩いてくるのが見えた。
元就も、ともすれば見落としてしまいそうな…だが確実に笑みと呼べる表情を滲ませている。
ひさし代わりに横にした右手を額に当ててそんな二人を眺めながら、
まばゆいばかりの光が燦々と降り注ぐ初春の日差しのもと、慶次は嬉しそうに肩をすくめた。
まばゆいばかりの光が燦々と降り注ぐ初春の日差しのもと、慶次は嬉しそうに肩をすくめた。
「恋も良いけど、愛ってのも良いもんだねぇ!」
終わり。