その言葉に箍を外された忠勝は、目を見開くと家康を褥に押し倒し、小柄な体の上にのしかかると
さらしに手を掛け、音を立ててひきちぎるのは糞がつくほど堅物のこいつには無理だな、と、
桃の皮を剥くように、あくまでも丁寧にさらしをほどいていく忠勝の手つきを見つつ、
斜めに掛けられている金色の数珠を撫でながら内心一人ごちたが、そんな狼藉をされても
こちらが武人の重さで再起不能の大怪我をするか死ぬかの二択を迫られることとなる。
島津が女だったらきっと襲い掛かるかな、とも思ったが、うっかりあのままの姿で口や頬に化粧を施した
どぎつい姿の老武将を想像してしまい、笑みを消そうとして失敗し、口元が引き攣った。
さらしに手を掛け、音を立ててひきちぎるのは糞がつくほど堅物のこいつには無理だな、と、
桃の皮を剥くように、あくまでも丁寧にさらしをほどいていく忠勝の手つきを見つつ、
斜めに掛けられている金色の数珠を撫でながら内心一人ごちたが、そんな狼藉をされても
こちらが武人の重さで再起不能の大怪我をするか死ぬかの二択を迫られることとなる。
島津が女だったらきっと襲い掛かるかな、とも思ったが、うっかりあのままの姿で口や頬に化粧を施した
どぎつい姿の老武将を想像してしまい、笑みを消そうとして失敗し、口元が引き攣った。
「・・・?」
「いや、なんでもない・・・」
「いや、なんでもない・・・」
顔を隠すために、それと夜気に触れたせいで鳥肌が立ち始めた体を温めるために、武将の腰に腕を回して
頬をぴったりくっつけた。冬はこの温かさが心地よい。
これでもう少し柔らかかったら、とも思うが、ないものねだりを口にすれば忠勝は傷つくだろう。
背中を撫でてくれる手が優しいものだったら、硬くても柔らかくてもどちらでも良いではないか。
頬をぴったりくっつけた。冬はこの温かさが心地よい。
これでもう少し柔らかかったら、とも思うが、ないものねだりを口にすれば忠勝は傷つくだろう。
背中を撫でてくれる手が優しいものだったら、硬くても柔らかくてもどちらでも良いではないか。
ぼんやりしているうちに、ばさり、と少し重みのある何かが褥の上に落ちる音がして、家康は我に返った。
それと同時にさらしが全て取り払われる。胸の尖りの上を荒い目の布が掠め、体を強張らせた。
ああ、どうやらこの男は本気らしい、と口付けを受けながら悟った。
冬の夜長6
それと同時にさらしが全て取り払われる。胸の尖りの上を荒い目の布が掠め、体を強張らせた。
ああ、どうやらこの男は本気らしい、と口付けを受けながら悟った。
冬の夜長6




